二都物語

フランス革命の物語

チャールズ・ディケンズ 著


第一部――蘇る

第一章 時代

それは最良の時代であり、最悪の時代であった。知恵の時代であり、愚かさの時代であった。信仰の時代であり、不信の時代であった。光の季節であり、闇の季節であった。希望の春であり、絶望の冬であった。われわれの前にはすべてがあり、われわれの前には何ひとつなかった。われわれはみな天国へまっすぐ向かっており、われわれはみなその正反対へまっすぐ向かっていた――要するにその時代は、よかれ悪しかれ、何事も最上級でしか語ってはならぬと、声の大きい権威者たちが言い張った点で、今の時代とよく似ていた。

イングランドの王座には大きな顎の王と、見栄えのしない顔の王妃がいた。フランスの王座には大きな顎の王と、美しい顔の王妃がいた。両国において、国家の役得というパンと魚を囲い込む貴人たちには、世の中の仕組みは永久に定まっていることが水晶よりも明らかであった。

西暦千七百七十五年である。その恵まれた時代には、今と同じく、イングランドにも霊的啓示が授けられていた。サウスコット夫人はつい最近、祝福された二十五歳の誕生日を迎えたばかりで、ライフ・ガーズの予言好きの一兵卒が、ロンドンとウェストミンスターを呑み込む手筈は整ったと告げて、その崇高なる出現を触れ回っていた。コック・レーンの幽霊[訳注:十八世紀ロンドンで話題になった心霊騒動]でさえ、その霊たちが叩いて知らせを送ってから、まだきっかり十二年しか経っていなかった。もっとも、つい前年の霊たちが叩いて送った知らせも、独創性においては超自然的なまでに乏しかったが。地上の出来事としての単なる知らせも、近ごろアメリカの英国臣民による会議から、イングランドの王室と人民へ届いていた。奇妙なことにそれは、コック・レーン一族のいかなる雛鳥を通じて受け取られた交信よりも、人類にとって重要であることが証明されたのである。

盾と三叉槍を持つ姉妹に比べ、霊的な事柄では総じて恵まれなかったフランスは、紙幣を刷っては使いながら、きわめて滑らかに坂を転がり落ちていた。そのうえ、キリスト教の牧者たちの導きのもと、五十ヤードか六十ヤード(約46~55メートル)先を通る汚らしい修道士の行列に敬意を表して雨の中でひざまずかなかったというだけで、一人の若者に両手を切り落とし、舌をやっとこで引き抜き、生きたまま焼き殺す刑を宣告する、といった人道的な偉業を楽しんでいた。その受難者が処刑されたとき、フランスやノルウェーの森には、すでに運命という木こりに印をつけられ、やがて切り倒され、板に挽かれ、袋と刃物を備えた、歴史に恐ろしい名を残す可動式の骨組みとなる木々が生えていたとしても、いかにもありそうなことだ。パリ近郊の重い土を耕す農夫たちの粗末な納屋には、その日、田舎の泥をはね散らかされ、豚に鼻先で嗅がれ、鶏にねぐらにされながら、死という農夫がすでに革命の護送荷車として取り分けていた荒っぽい荷車が、雨風をしのいでいたとしても、いかにもありそうなことだ。だがその木こりもその農夫も、休むことなく働きながら、黙々と働く。忍び足で行き来する二人の音を聞く者はいなかった。まして、彼らが目を覚ましているなどと疑うこと自体が、無神論的であり、反逆的であったのだから。

イングランドでは、国として大いに自慢できるほどの秩序と保護など、ほとんど存在しなかった。武装した男たちによる大胆な押し込み強盗や追いはぎが、首都そのものの中で毎夜起こっていた。家族は町を離れる際、家具を安全のため家具商の倉庫へ移してからにせよと公然と警告されていた。闇の中の追いはぎは、昼にはシティの商人であり、「隊長」として通行人を止めたところ、止められた同業者に見覚えがあると呼び止められると、勇ましく相手の頭を撃ち抜いて馬で走り去った。郵便馬車は七人の盗賊に待ち伏せされ、護衛が三人を撃ち殺したが、その後「弾薬が尽きたために」残り四人に撃ち殺され、それから郵便物は平穏無事に奪われた。ロンドン市長という荘厳なる権力者は、ターンハム・グリーンで一人の追いはぎに止められ、随行員一同の目の前でその輝かしい御仁の持ち物を奪われた。ロンドンの監獄では囚人たちが看守と戦をし、法の威厳は散弾と弾丸を込めたラッパ銃を彼らに向かって撃ち込んだ。宮廷の謁見室では、盗賊が貴族諸侯の首からダイヤの十字架を切り取った。銃士たちは密輸品の捜索にセント・ジャイルズへ入り、群衆が銃士に発砲し、銃士が群衆に発砲したが、誰もこうした出来事をさほど珍しいとは思わなかった。そのただ中で、絞首刑執行人はいつも忙しく、いつも役立たずどころか有害で、絶えず出番を求められていた。ある時は雑多な罪人たちを長い列で吊るし、ある時は火曜日に捕まった家宅侵入犯を土曜日に吊るし、ある時はニューゲートで十把一絡げに人々の手に焼き印を押し、ある時はウェストミンスター・ホールの戸口で小冊子を焼いた。今日は凶悪な殺人者の命を奪い、明日は農夫の小僧から六ペンスを盗んだ哀れなこそ泥の命を奪った。

これらすべて、そしてそれに類する無数の出来事が、懐かしき千七百七十五年とその前後に起こったのである。それらに取り巻かれ、木こりと農夫が顧みられぬまま働くなか、大きな顎を持つ二人と、見栄えのしない顔と美しい顔を持つもう二人は、相応の騒ぎを伴って歩み、その神聖なる権利を高々と振りかざしていた。こうして千七百七十五年は、彼ら偉大なる方々と、無数の小さき者たち――この記録に登場する者たちもその一部である――を、それぞれの前に延びる道へと導いていった。

第二章 郵便馬車

十一月末の金曜日の夜遅く、この物語が関わる最初の人物の前に横たわっていたのはドーヴァー街道であった。彼にとってその道は、シューターズ・ヒルをのろのろ登るドーヴァー便馬車の向こうへ延びていた。彼はほかの乗客たちと同じく、馬車の脇を泥に足を取られながら坂道を歩いていた。そんな状況で歩く運動を少しでも楽しんでいたわけではない。坂も、馬具も、泥も、馬車も、あまりに重く、馬たちはすでに三度立ち止まり、そのうえ一度は馬車を道に横向きに引きずって、ブラックヒースへ引き返そうという反抗的意図まで示したからである。しかし手綱と鞭と御者と護衛が一体となって、そうした意図を禁ずる軍律を読み聞かせた。それは、ある獣にも理性が備わっているという説を強く支持するものではあったが、四頭は降伏し、任務へ戻った。

頭を垂れ、尻尾を震わせながら、馬たちは深い泥を踏み潰して進み、ときおり大きな関節からばらばらになりそうに、もがき、つまずいた。御者が用心深く「ウォー、ほう! そら、そこだ!」と声をかけて馬を休ませ止めるたび、近い側の先導馬は頭と頭についたものを激しく振った。まるで異様に強情な馬が、馬車を丘の上まで運ぶことなどできないと否定しているようだった。その先導馬がそうやってがちゃがちゃ鳴らすたび、神経質な乗客らしくその人物はびくりとし、心を乱された。

くぼ地にはどこも湯気立つ霧が漂い、それは休み場を求めても見つけられぬ悪霊のように、わびしく丘をさまよい上ってきていた。粘りつくようにひどく冷たい霧は、よどんだ海の波のように、目に見える波紋を重ね、広がりながら、ゆっくりと空気の中を進んだ。馬車灯の光が照らす範囲から、霧そのものの動きと数ヤード(数メートル)の道以外をすべて遮るほど濃く、あえぐ馬たちの息の臭いは、まるで霧をすべて自分たちで作り出したかのように、その中へ湯気となって立ちのぼった。

その一人のほかに、二人の乗客が郵便馬車の脇をとぼとぼ坂へ向かって歩いていた。三人とも頬骨まで、耳の上までぐるぐる巻きに身を包み、長靴を履いていた。三人のうち誰一人として、目にしたものからほかの二人がどんな人間か言い当てることはできなかっただろう。また各人は、肉眼から隠れていたのとほとんど同じだけ多くの覆いで、二人の同伴者の心の目からも隠されていた。当時の旅人は、ちょっとしたことで打ち解けることにひどく用心深かった。道中の誰もが強盗か、強盗と通じている者であり得たからである。後者について言えば、どの宿駅にも酒場にも、亭主から最下級の正体不明の厩番に至るまで「隊長」の手先がいるとなれば、それはこの上なくありそうな話だった。だから千七百七十五年十一月のその金曜日の夜、シューターズ・ヒルをのろのろ上るドーヴァー便馬車の護衛は、馬車の後ろの自分専用の台に立ち、足踏みしながら、目と手を前の武器箱に向けて、そう考えていた。その箱には、斬刀を敷いた上に六、八挺の弾を込めた騎馬用拳銃が置かれ、そのさらに上に弾を込めたラッパ銃が横たわっていた。

ドーヴァー便馬車はいつものように和やかな状態にあった。護衛は乗客を疑い、乗客たちは互いと護衛を疑い、全員がほかのあらゆる者を疑い、御者だけは馬以外に確信を持てなかった。その馬たちについてなら、彼は旧約新約の両聖書にかけて、良心に恥じることなく、この旅に耐えられる代物ではないと誓えたであろう。

「ウォー、ほう!」と御者が言った。「そら、そこだ! もうひと踏ん張りで頂上だ、この畜生ども。お前らをここまで連れてくるのに、こっちは十分すぎるほど苦労したんだぞ! ――ジョー!」

「おう!」と護衛が答えた。

「何時だと思う、ジョー?」

「十一時十分を、きっちり過ぎたところだな。」

「畜生!」いらだった御者が叫んだ。「まだシューターズのてっぺんにも着かねえのか! チッ! やあ! 進め、この野郎!」

その強情な馬は、鞭によってきっぱりと否定を打ち切られ、必死に踏ん張って進み、ほかの三頭もそれにならった。もう一度、ドーヴァー便馬車は奮闘し、乗客たちの長靴が脇でぐちゃぐちゃ音を立てた。馬車が止まれば彼らも止まり、ぴたりとそばを離れなかった。もし三人のうち誰かが、少し先に霧と闇の中へ歩いていこうなどと別の者に提案する大胆さを見せたなら、その場で追いはぎとして撃たれる十分な道を自ら開いたことになっただろう。

最後の一踏ん張りで、馬車は丘の頂上へ着いた。馬たちは再び息をつくために止まり、護衛は下り坂に備えて車輪に歯止めを掛け、乗客を中へ入れるため馬車の扉を開けようと降りた。

「チッ! ジョー!」御者が箱台から見下ろし、警告する声で叫んだ。

「どうした、トム?」

二人は耳を澄ませた。

「馬が駆け足で上ってくる、ジョー。」

「俺には馬が全速で来るように聞こえるぜ、トム」と護衛は返し、扉から手を離してすばやく持ち場へ上がった。「紳士方! 国王陛下の名において、全員そのまま!」

この慌ただしい命令とともに、彼はラッパ銃の撃鉄を起こし、攻撃態勢を取った。

この物語が予約している乗客は、乗り込もうとして馬車の踏み段に足をかけていた。ほかの二人の乗客はすぐ後ろにいて、続こうとしていた。彼は片足を車内、片足を外に置いたまま踏み段にとどまった。二人はその下の道にとどまった。皆が御者から護衛へ、護衛から御者へ視線を移し、耳を澄ませた。御者は後ろを見、護衛も後ろを見、強情な先導馬でさえ耳をそばだて、否定もせずに後ろを見た。

馬車のごろごろいう音と苦しげな動きが止んだことによる静けさが、夜の静けさに加わり、あたりは実に静まり返った。馬たちの荒い息は馬車に震えるような動きを伝え、馬車そのものが動揺しているかのようだった。乗客たちの心臓の鼓動は聞こえるほど大きかったかもしれない。いずれにせよその静かな間は、人々が息を切らし、息を潜め、期待で脈を速めていることを、耳に聞こえるほど雄弁に物語っていた。

馬が全速力で駆ける音が、すばやく荒々しく丘を上ってきた。

「そおら!」護衛はできる限り大声で怒鳴った。「そこだ! 止まれ! 撃つぞ!」

速度が急に落ち、泥をはね、もがく音の中、霧の中から男の声が呼んだ。「そいつはドーヴァー便馬車か?」

「何だろうが貴様の知ったことか!」護衛が言い返した。「お前は何者だ?」

「それはドーヴァー便馬車か?」

「なぜ知りたい?」

「そうなら乗客に用がある。」

「どの乗客だ?」

「ジャービス・ロリー氏。」

この物語が予約した乗客は、それが自分の名であることを即座に示した。護衛、御者、そしてほかの二人の乗客は、不信の目で彼を見た。

「そこを動くな」と護衛は霧の中の声に呼びかけた。「俺が間違えたら、お前の生きてるうちには二度と正せねえからな。ロリーという名の紳士、まっすぐ答えろ。」

「何事です?」乗客はそのとき、穏やかに震える声で尋ねた。「私に用とは誰です? ジェリーですか?」

(「ジェリーだとしても、この声は気に入らねえな」と護衛は一人で唸った。「ジェリーにしちゃ、しわがれすぎてる」)

「はい、ロリー様。」

「何事だ?」

「あちらから、あなたの後を追って急報が来ました。T社です。」

「私はこの使者を知っている、護衛さん」とロリー氏は道へ降りながら言った――後ろの二人の乗客に、礼儀正しいとは言えないが迅速に手伝われた。二人はすぐに馬車へよじ登り、扉を閉め、窓を上げた。「近寄らせて構いません。怪しいことはない。」

「怪しくねえことを願いますがね、そんなにくそ確かだとは言い切れませんな」と護衛はぶっきらぼうに独りごちた。「おい、そこの!」

「何だ! そっちこそ何だ!」ジェリーが前よりもしわがれた声で言った。

原典

「歩く速さで来い! 聞こえてるか? その鞍にホルスターがついてるなら、手を近づけるなよ。俺は早とちりが得意な悪魔でな、俺が間違うと鉛玉の形を取る。さあ、姿を見せろ。」

馬と騎手の影が、渦巻く霧の中からゆっくり現れ、乗客の立つ馬車の脇へ来た。騎手は身をかがめ、護衛を見上げながら、小さく折った紙を乗客に手渡した。騎手の馬は息が上がっており、馬も騎手も、馬の蹄から男の帽子まで泥まみれであった。

「護衛さん」と乗客は、落ち着いた業務上の確信を帯びた声で言った。

警戒を解かない護衛は、掲げたラッパ銃の銃床に右手を置き、左手を銃身に添え、目は騎手から離さず、短く答えた。「はい。」

「心配はいりません。私はテルソン銀行の者です。ロンドンのテルソン銀行はご存じでしょう。仕事でパリへ向かっています。酒代に一クラウンを。これを読んでも?」

「お早ければ、旦那。」

彼はそちら側の馬車灯の明かりで紙を開き、まず黙読し、それから声に出して読んだ。「『ドーヴァーでマムゼルを待て』。短いでしょう、護衛さん。ジェリー、私の返答はこうだと伝えなさい。蘇る。」

ジェリーは鞍の上でぎくりとした。「それもまた、ひどく妙な返事ですな」と、彼は最もしわがれた声で言った。

「その伝言を持ち帰れば、私がこれを受け取ったことは、私が書いたのと同じように分かる。できるだけ急ぎなさい。おやすみ。」

そう言うと乗客は馬車の扉を開けて乗り込んだ。同行の乗客たちはまったく手伝わなかった。彼らはすでに手早く時計と財布を長靴の中へ隠し、今はほかのいかなる行動の発端となる危険も避けたいという以外に明確な目的もなく、皆で眠ったふりをしていた。

馬車はまたのろのろ進み出し、下り坂にかかると、いっそう重い霧の輪が周囲を閉ざした。護衛はすぐにラッパ銃を武器箱へ戻し、そのほかの中身を確かめ、腰帯に差した予備の拳銃を点検してから、座席の下にある小さな箱を見た。そこには鍛冶道具が少し、たいまつが二本、火口箱が入っていた。備えは万全だった。もし馬車灯が風雨で消えてしまっても――実際ときおりあったことだが――彼は中に閉じこもり、火打石と鋼の火花を藁から十分遠ざけておけば、運がよければ五分でそこそこ安全かつ容易に明かりをつけられたからだ。

「トム!」馬車の屋根越しに、低い声がした。

「おう、ジョー。」

「あの伝言、聞いたか?」

「聞いた、ジョー。」

「どう思った、トム?」

「何も分からん、ジョー。」

「そりゃ偶然だな」と護衛は考え込んだ。「俺も同じ結論だ。」

一方、霧と闇の中に一人残されたジェリーは、疲れた馬を楽にしてやるだけでなく、自分の顔の泥を拭い、半ガロン(約1.9リットル)ほども水をためられそうな帽子のつばから湿りを振り落とすために馬を降りた。激しく泥のはねた腕に手綱をかけ、郵便馬車の車輪の音が聞こえなくなり、夜が再びまったく静かになるまで立っていたが、やがて丘を下って歩き出した。

「テンプル・バーからあれだけ駆けたんだ、おばあちゃん、平地に着くまではお前の前脚を信用しねえぞ」と、このしわがれ声の使者は雌馬に目をやって言った。「『蘇る』だと。ひどく妙な伝言だ。そんなもんが多くなっちゃ、お前には困るぞ、ジェリー! なあ、ジェリー! 蘇るなんてものが流行り出したら、お前はひどくまずいことになるぞ、ジェリー!」

第三章 夜の影

思えば不思議な事実である。人間は誰もが、ほかのすべての人間にとって深い秘密であり、謎であるように作られている。夜、大都会へ入っていくとき、暗く群れ立つ家々の一つ一つがそれぞれの秘密を内に抱え、そのどの家のどの部屋もそれぞれの秘密を内に抱え、そこにある何十万もの胸の中で打つ一つ一つの心臓が、その想像の何かにおいて、最も近い心臓にとっても秘密であると考えるのは、厳粛なことだ。死そのものの恐ろしさの一部も、ここに由来する。私が愛したこの大切な書物のページを、もはやめくることはできず、いつか全部を読み通せるだろうとむなしく望むこともできない。瞬間の光がその中へ差し込むたび、埋もれた宝や水底に沈んださまざまなものを垣間見せてくれた、この測り知れぬ水の奥を、もはや覗き込むことはできない。私がまだ一ページしか読まないうちに、その書物はばねで閉じ、永遠に閉ざされるよう定められていた。私が何も知らず岸辺に立ち、光がその表面で戯れているときに、その水は永遠の氷に閉ざされるよう定められていた。友は死に、隣人は死に、私の愛する者、魂のいとし子は死んだ。それは、その個性の中に常にあった秘密が、容赦なく固められ、永続させられることなのであり、私もまた自分の秘密を、命の終わりまで自分の内に携えてゆく。この町を通り過ぎる私のそばにあるどの墓地にも、その奥底の人格において、忙しく暮らす住人たちが私にとって不可解である以上に、あるいは私が彼らにとって不可解である以上に、不可解な眠り人がいるだろうか。

この、生まれながらにして奪い得ない相続財産に関しては、馬上の使者も、王や首相やロンドン一の豪商とまったく同じだけのものを持っていた。一台の古びた郵便馬車の狭い中に閉じ込められた三人の乗客についても同じである。彼らは互いに、各人が六頭立ての自分の馬車、いや六十頭立ての自分の馬車に乗り、隣の者との間に一郡ほどの広さを隔てているのと同じくらい完全な謎であった。

使者はゆるい速歩で引き返し、道中の酒場でかなり頻繁に止まって酒を飲んだが、自分の胸の内は明かさず、帽子を目深にかぶり続ける傾向を示していた。その飾りによく似合う目をしていた。黒いのは表面だけで、色にも形にも奥行きがなく、しかもあまりに寄りすぎていた。まるで離れていれば片方ずつ何かを見破られるのを恐れているかのようだった。三角の痰壺のような古い三角帽の下で、その目は陰険な表情を浮かべ、顎と喉を覆う大きな襟巻きの上にあった。その襟巻きは着用者の膝近くまで垂れていた。酒のために止まると、彼は右手で酒を注ぎ込む間だけ左手でこの襟巻きをずらし、注ぎ終わるとすぐまた覆った。

「だめだ、ジェリー、だめだ!」使者は馬に乗りながら一つのことを繰り返した。「そいつはお前には困る。ジェリー、正直な商売人よ、そいつはお前の商売向きじゃねえ! 蘇る――! くそ、あいつ酒でも飲んでたんじゃねえかと思うぜ!」

伝言は彼の頭をひどく悩ませたので、何度も帽子を脱いで頭を掻かずにはいられなかった。頭頂だけはまだらに禿げていたが、そのほかには硬い黒髪がぎざぎざと一面に立ち、広く鈍い鼻のすぐ近くまで下りていた。それは鍛冶屋の仕事にあまりにも似ており、髪の毛というより頑丈な棘付き塀の天辺にずっと似ていたので、馬跳びの名手でも、世界で最も飛び越えるには危険な男として彼を避けたかもしれない。

テンプル・バーにあるテルソン銀行の戸口、その番小屋にいる夜警へ渡すべき伝言を持って彼が速歩で戻る間――夜警はそれを中のもっと偉い者たちへ渡すことになっていた――夜の影は、その伝言から生じる形を彼に対して取り、また雌馬には、雌馬自身の内密な不安の種から生じる形を取った。その不安の種は多かったらしく、雌馬は道の影という影に驚いて横跳びした。

そのころ郵便馬車は、三人の互いに不可解な同伴者を中に収め、退屈な道のりをごとごと、がたがた、ぎしぎし、どしんどしんと進んでいた。彼らに対してもまた、夜の影は、うとうとする目とさまよう思考の示す形で姿を現した。

テルソン銀行は馬車の中で取り付けに遭っていた。銀行の乗客は、革の吊り紐に腕を通していた。その紐は馬車が特別ひどく揺れるたび、彼が隣の乗客にぶつかって相手を隅へ押し込まないよう、できる限りの役を果たしていた。彼がその場で半ば目を閉じてこくりこくりすると、小さな馬車の窓、そこからかすかに光る馬車灯、向かいの乗客の大きな包みのような姿が銀行となり、盛大な取引を行った。馬具のがちゃがちゃ鳴る音は金貨の触れ合う音となり、テルソンほど外国にも国内にも取引先を持つ銀行でさえ、その三倍の時間で支払ったことがないほど多くの手形が五分のうちに決済された。するとテルソンの地下金庫が、乗客の知る限りの貴重な保管物や秘密とともに目の前に開いた。彼は大きな鍵と弱々しく燃える蝋燭を手にその中へ入り、そこが最後に見たとおり安全で、堅固で、健全で、静かなことを確かめた。

しかし、銀行はほとんどいつも彼とともにあり、馬車もまた――阿片の下にある痛みの存在のように混然と――いつも彼とともにあったが、夜を通じて途絶えることのないもう一つの印象の流れがあった。彼は、誰かを墓から掘り出しに行く途中だった。

さて、彼の前に現れた無数の顔のうち、どれが埋葬された人物の真の顔なのか、夜の影は示さなかった。しかしそれらはすべて四十五歳の男の顔であり、違いは主に、表している激情と、すり減り衰えた状態のぞっとする様子にあった。誇り、軽蔑、反抗、頑固、服従、嘆きが次々に現れた。こけた頬、死人のような顔色、痩せ細った手や姿にもさまざまな違いがあった。だが顔は大体一つの顔であり、どの頭も時ならぬ白髪であった。うとうとする乗客は、百回もこの亡霊に問いかけた。

「どれほど埋もれていた?」

答えはいつも同じだった。「ほとんど十八年。」

「掘り出される望みはすべて捨てていたのか?」

「とうの昔に。」

「自分が蘇らされると知っているか?」

「そう聞かされている。」

「生きたいと思ってくれるといいが?」

「何とも言えない。」

「彼女に会わせようか? 会いに来るか?」

この問いへの答えはさまざまで、矛盾していた。ある時は、壊れたような返答があった。「待ってくれ! 早すぎるうちに彼女を見たら、私は死んでしまう。」

ある時は、やさしい涙の雨の中で答えが与えられた。「彼女のもとへ連れていってくれ。」

ある時は、目を見開き途方に暮れて答えた。「私は彼女を知らない。分からない。」

こうした想像上の会話のあと、乗客は空想の中で掘った。掘って、掘って、掘った――ある時は鋤で、ある時は大きな鍵で、ある時は手で――この惨めな人間を掘り出そうとした。ついに外へ出ると、土が顔や髪にまとわりついているその男は、突然あおがれて塵となって消えてしまう。すると乗客ははっと我に返り、窓を下ろして、頬に当たる霧と雨の現実を確かめるのだった。

それでも霧と雨、ランプの動く光の斑、そして道端の生垣がぎくしゃく後退していくさまに目が開かれても、馬車の外の夜の影は、内なる夜の影の列へ加わった。テンプル・バーそばの本物の銀行、本当にあったその日の仕事、本物の金庫室、彼の後を追って実際に送られた急使、そして実際に返した伝言、それらがすべてそこにあった。そのただ中から幽霊めいた顔が立ち上がり、彼は再び語りかけた。

「どれほど埋もれていた?」

「ほとんど十八年。」

「生きたいと思ってくれるといいが?」

「何とも言えない。」

掘れ――掘れ――掘れ――やがて二人の乗客のどちらかが苛立った身動きをし、彼に窓を引き上げ、腕をしっかり革の吊り紐に通し、眠る二つの姿について思い巡らせるよう促すまで。そうして彼の心がその姿を捉え損ねると、二つの姿はまた銀行と墓の中へ滑り落ちていった。

「どれほど埋もれていた?」

「ほとんど十八年。」

「掘り出される望みはすべて捨てていたのか?」

「とうの昔に。」

その言葉は、たった今語られたばかりのように、彼の耳にまだ残っていた――生涯で聞いたどんな言葉にも劣らずはっきりと耳に残っていた――そのとき、疲れた乗客は昼の意識へと目覚め、夜の影が去ったことを知った。

彼は窓を下ろし、昇る太陽を見た。耕された畑の畝があり、昨夜馬が外されたとき置かれたままの鋤がその上にあった。その向こうには静かな雑木林があり、燃えるような赤や黄金色の葉がまだ多く木々に残っていた。大地は冷たく濡れていたが、空は澄み、太陽は明るく、穏やかに、美しく昇った。

「十八年!」乗客は太陽を見つめて言った。「慈悲深き昼の創造主よ! 十八年も生き埋めにされるとは!」

第四章 準備

午前のうちに郵便馬車が無事ドーヴァーへ着くと、ロイヤル・ジョージ・ホテルの給仕頭がいつものように馬車の扉を開けた。彼はいくらか儀式めいた大げささをもってそうした。冬にロンドンから郵便馬車で旅してくるのは、冒険好きな旅人に祝意を述べるに値する偉業であったからだ。

そのころ、祝意を受けるべき冒険好きな旅人は一人しか残っていなかった。ほかの二人は、それぞれ道中の目的地で降りていたからである。馬車のかび臭い車内は、湿って汚れた藁、不快な臭い、薄暗さによって、大きめの犬小屋にいくらか似ていた。乗客のロリー氏が、藁の鎖、毛むくじゃらの外套のもつれ、ぱたぱたする帽子、泥だらけの脚をまとってそこから身を揺すり出すさまは、大きめの犬の一種にいくらか似ていた。

「明日、カレー行きの連絡船はありますか、給仕さん?」

「はい、旦那様、天気が持ち、風向きがそこそこよければ。潮は午後二時ごろ、なかなか都合よくなりましょう。お休みになりますか、旦那様?」

「夜までは寝ません。だが寝室と理髪師が欲しい。」

「それからご朝食でございますね、旦那様? はい、旦那様。こちらでございます、どうぞ。コンコルドへご案内! 紳士のお鞄と湯をコンコルドへ。コンコルドで紳士の靴をお脱がせしろ。(上等な石炭の火がございます、旦那様。)理髪師をコンコルドへ。さあ、コンコルドのために急げ!」

コンコルドの寝室は郵便馬車の乗客にいつも割り当てられ、郵便馬車の乗客はいつも頭から足まで重々しく包まれているので、ロイヤル・ジョージの従業員にとってその部屋には奇妙な興味があった。入っていくときには一種類の男しか見えないのに、出てくるときにはあらゆる種類、あらゆる変種の男が現れるからである。したがって、茶色の服をきちんと着た六十歳の紳士が朝食へ向かって通り過ぎたとき、別の給仕、二人の荷運び、数人の女中、そして女主人が、偶然を装ってコンコルドと食堂のあいだの道の各所にたむろしていた。その茶色の服はかなり着古されていたが大切に手入れされ、大きな四角い袖口と大きなポケットの垂れ蓋がついていた。

その午前、食堂には茶色の紳士のほか誰もいなかった。彼の朝食の卓は炉の前に引き寄せられ、食事を待ちながら、その光に照らされて座っている彼は、あまりに静かで、肖像画を描かれているかのようだった。

ひどく規律正しく几帳面に見えた。両手をそれぞれ膝に置き、垂れ蓋のついた胴着の下で大きな懐中時計が重々しい説教のように高く時を刻んでいた。まるで、その厳粛さと長命を、はつらつとした炉火の軽さとはかなさに対抗させているようだった。彼は脚の形がよく、それを少し自慢にしていた。茶色の靴下はなめらかにぴたりと脚に合い、上等な織りであった。靴とバックルも、質素ながら整っていた。彼は奇妙なほど小さく、つややかで縮れた亜麻色のかつらを、頭にぴったり載せていた。そのかつらは髪でできているはずだが、むしろ絹かガラスの細い糸を紡いだもののように見えた。下着は靴下にふさわしいほど上等ではなかったが、近くの浜辺に砕ける波の頂や、遠い海上で陽光にきらめく帆の白い点ほど白かった。いつも抑えられ静められている顔は、その風変わりなかつらの下で、潤んだ明るい目にまだ照らされていた。その目をテルソン銀行らしい落ち着きと控えめな表情へ訓練するには、かつて持ち主もかなり苦労したに違いない。頬には健康な色があり、顔には皺こそあったが、不安の痕跡はほとんどなかった。もっとも、テルソン銀行の秘密を預かる独身行員たちは、主として他人の心配事に携わっていたのかもしれない。他人から借りた心配事は古着と同じく、脱ぎ着が容易なのかもしれなかった。

肖像画を描かれている男に似た様子を締めくくるように、ロリー氏は眠り込んだ。朝食が届いて目を覚まし、椅子を卓へ寄せながら給仕に言った。

「今日いつ到着するかもしれない若いご婦人のために、部屋を用意しておいてほしい。ジャービス・ロリー氏を訪ねるかもしれないし、テルソン銀行の紳士とだけ尋ねるかもしれない。知らせてください。」

「はい、旦那様。ロンドンのテルソン銀行でございますね?」

「そうです。」

「はい、旦那様。当ホテルでは、ロンドンとパリを往復なさる貴行の紳士方をしばしばお迎えする光栄に浴しております。テルソン社では実に多くのご旅行がございますな、旦那様。」

「そうです。われわれはイングランドの銀行であると同時に、かなりフランスの銀行でもありますから。」

「はい、旦那様。ですが旦那様ご自身は、そのようなご旅行にはあまり慣れておられないようにお見受けしますが?」

「近年はね。われわれが――私が――最後にフランスから来て十五年になります。」

「さようでございますか、旦那様? それは私がこちらに勤める前でございます。当方の者たちがここに来る前でございます。そのころのジョージは別の者の手にありました、旦那様。」

「そうでしょう。」

「しかし、テルソン社のような御店なら、十五年どころか五十年前にも繁盛していたと賭けてもよろしゅうございますな、旦那様?」

「その三倍にして百五十年と言っても、真実からそう遠くはありませんよ。」

「さようでございますか、旦那様!」

給仕は卓から後ずさりしながら口と両目を丸くし、ナプキンを右腕から左腕へ移し、楽な姿勢に落ち着いて、客が食べたり飲んだりするのを、まるで観測所か見張り塔からのように眺めて立っていた。あらゆる時代の給仕たちに伝わる太古からの作法に従って。

朝食を終えると、ロリー氏は浜辺へ散歩に出た。小さく狭く曲がりくねったドーヴァーの町は、海の駝鳥のように浜辺から身を隠し、白亜の崖へ頭を突っ込んでいた。浜辺は、海と石の山が荒々しく転がる荒野であり、海は好きなように振る舞った。そして海の好きなこととは破壊であった。海は町に轟き、崖に轟き、狂ったように海岸を崩していった。家々のあいだの空気はひどく魚臭く、病人が海に浸かりに下ってくるように、病んだ魚はその空気に浸されに上がってくるのかと思えるほどだった。港では少しの漁と、夜に歩き回って沖を眺めることがかなり行われていた。とりわけ潮が満ち始め、満潮に近づくころにはそうであった。まったく商売をしていない小商人が、ときおり不可解にも巨額の財産を築き、近所の誰も点灯夫に我慢できないというのは注目すべきことだった。

日が午後へ傾き、折々にはフランスの海岸が見えるほど澄んでいた空気が、また霧と靄を帯びると、ロリー氏の思いも曇るようだった。暗くなり、彼が朝食を待ったのと同じように夕食を待ちながら食堂の炉の前に座るころ、彼の心は真っ赤に生きた炭の中を忙しく掘り、掘り、掘っていた。

夕食後の上等なクラレット一本は、赤い炭の中を掘る者に害をなさない。ただし、その者を仕事から離れさせる傾向があるという点を除けば。ロリー氏は長いこと手を休めており、血色のよい年配の紳士が一本の瓶を空け終えたときに見せうるものとしてはまったく申し分ない満足げな様子で、ちょうど最後の一杯のワインを注いだところだった。そのとき車輪のがらがらいう音が狭い通りを上がってきて、宿の中庭へごろごろと入ってきた。

彼は口をつけないままグラスを置いた。「マムゼルだ!」と彼は言った。

ほんの数分で給仕が入ってきて、ミス・マネットがロンドンから到着し、テルソンの紳士にお目にかかりたいとのことです、と告げた。

「そんなに早く?」

ミス・マネットは道中でいくらか軽食を召し上がり、今は何もお求めでなく、もしご都合がよろしければ、テルソンの紳士にすぐお目にかかりたいと大変強くお望みです、とのことだった。

テルソンの紳士には、硬い絶望のような様子でグラスを空け、奇妙な小さな亜麻色のかつらを耳のところで整え、給仕についてミス・マネットの部屋へ行くほかなかった。そこは広く暗い部屋で、黒い馬毛の家具が葬儀めいて置かれ、重く黒い卓がいくつも詰め込まれていた。それらは幾度も油を塗られていたため、部屋の中央の卓に立つ二本の高い蝋燭が、どの天板にも陰鬱に映っていた。まるで蝋燭自身が黒檀の深い墓に埋められており、掘り出されるまで語るほどの光など期待できないかのようであった。

暗がりはひどく見通しにくく、ロリー氏はよく踏まれてすり減ったトルコ絨毯の上を探るように進みながら、ミス・マネットはひとまず隣室にでもいるのだと思った。ところが二本の高い蝋燭の先へ進むと、それらと炉火とのあいだの卓のそばに、彼を迎えるために立っている十七歳にもならぬ若い女性が見えた。乗馬用の外套を着て、麦藁の旅行帽をリボンのところでまだ手に持っていた。彼の目が、小柄でほっそりした愛らしい姿、豊かな金髪、問いかけるように彼の目を迎える青い瞳、そしてまだ若く滑らかであることを思えば奇妙なほど、額に皺を寄せたり編み合わせたりして、困惑とも、驚きとも、恐れとも、ただ明るくじっと注意を向けているだけとも言い切れず、しかしその四つすべてを含む表情を作ることのできる額に留まったとき――それらを見た瞬間、彼の前を、ある寒い時、雹が激しく吹きつけ海が荒れたその海峡を渡る船中で、腕に抱いた幼子の鮮やかな面影が突然よぎった。その面影は、彼女の背後にある痩せた姿見の表面を渡る息のように消えた。その鏡の枠では、何人かは首がなく、全員が不具である黒人のキューピッドの病院行列が、黒い女神たちに黒い籠に入れた死海の果実[訳注:見かけは美しいが口にすると灰になるとされる伝説上の果実]を捧げていた――そして彼はミス・マネットに儀礼的なお辞儀をした。

「どうぞお掛けくださいませ。」

とても澄んだ快い若い声だった。わずかに外国風の訛りがあったが、本当にごくわずかだった。

「お手に接吻を、ミス」とロリー氏は昔風の作法で言い、もう一度儀礼的にお辞儀をして腰を下ろした。

「昨日、銀行からお手紙をいただきました。私が一度も会ったことのない、ずっと前に亡くなった哀れな父の、ささやかな財産について、何か情報――あるいは発見が――」

「言葉は重要ではありません、ミス。どちらでもよいのです。」

「――あったために、私がパリへ行き、そこでその用件のためにわざわざ派遣された銀行の紳士とお話しする必要が生じた、と。」

「それが私です。」

「そう伺うものと思っておりました。」

彼女は彼にカーテシーをした(当時の若い女性はカーテシーをした)。彼が自分よりはるかに年長で賢明であることを感じている、と伝えたい可愛らしい気持ちを込めて。彼はもう一度お辞儀をした。

「私は銀行へお返事しました。事情をご存じで、親切にも私に助言してくださる方々が、私がフランスへ行く必要があるとお考えなら、そして私は孤児で、一緒に行ってくれる友人もおりませんから、その立派な紳士のご庇護に旅のあいだ身を委ねることをお許しいただければ、大変ありがたく存じます、と。その紳士はすでにロンドンを発ったとのことでしたが、ここで私を待っていただけるようお願いする使者が、後を追って遣わされたと思います。」

「その役目を託されたことを、私は幸いに思いました」とロリー氏は言った。「そしてそれを果たせれば、さらに幸いです。」

「本当にありがとうございます。心から感謝いたします。銀行からは、その紳士が用件の詳しい事情を説明してくださること、そしてそれが驚くべき性質のものだと知る覚悟をしておくように、と言われました。できる限り覚悟はしてまいりました。そして当然ながら、それが何であるのか知りたいという強く切実な思いがございます。」

「当然です」とロリー氏は言った。「はい――私は――」

少し間を置いて、彼はまた縮れた亜麻色のかつらを耳のところで整えながら付け加えた。「話し始めるのが、たいへん難しいのです。」

彼は話し始めなかったが、迷いのうちに彼女の視線と出会った。若い額にあの独特の表情が浮かんだ――独特であると同時に、可愛らしくその人らしい表情だった――そして彼女は、通り過ぎる何かの影を思わず捕まえようと、あるいは押しとどめようとするかのように手を上げた。

「あなたは私にとって、まったく見知らぬ方なのでしょうか?」

「そうではありませんか?」

ロリー氏は両手を開き、議論するような微笑みとともに外へ広げた。

眉と、これ以上繊細で美しくはあり得ないほど形のよい小さな女性らしい鼻のすぐ上とのあいだで、その表情はいっそう深まった。彼女はそれまで立っていた椅子に、考え込むように腰を下ろした。彼は物思いに沈む彼女を見守り、彼女が再び目を上げた瞬間、話を続けた。

「あなたの養国では、ミス・マネット、若いイングランド女性としてお呼びするのが最もよいでしょうね?」

「どうぞ、そのように。」

「ミス・マネット、私は商用の人間です。果たさねばならぬ仕事上の任務があります。それをお聞きになるにあたり、私のことなど、しゃべる機械ほどにも気に留めないでください――実際、私はそれと大差ありません。お許しいただければ、ミス、当行のお客様のお一人のお話をいたしましょう。」

「お話!」

彼女が繰り返したその言葉を、彼はわざと取り違えたように、慌てて付け加えた。「はい、お客様です。銀行業では、通常、当行と関係のある方々をお客様と呼びます。その方はフランスの紳士で、科学に通じた紳士で、多くの学識を身につけた人――博士でした。」

「ボーヴェの方ではありませんか?」

「ええ、そうです、ボーヴェの方です。あなたのお父上であるマネット氏と同じく、その紳士はボーヴェの方でした。あなたのお父上であるマネット氏と同じく、その紳士はパリで名声がありました。私は向こうでその方を知る光栄に浴しました。われわれの関係は業務上のものでしたが、機密に関わるものでした。当時私は当行のフランス支店におりまして――ああ! 二十年になります。」

「当時とおっしゃいましたが――それはいつのことでしょうか?」

「二十年前のことを申しております、ミス。その方は結婚しました――イングランドの女性と――そして私は受託者の一人でした。その方の財産事務は、ほかの多くのフランス紳士やフランス家族の事務と同じく、すべてテルソンに委ねられていました。同じように、私は当行のお客様の何十人もの方に、何らかの受託者であるか、かつてそうでありました。これは単なる業務上の関係です、ミス。そこに友情はなく、特別な関心もなく、感傷のようなものはありません。私は業務人生のなかで一人から別の一人へ移ってきました。仕事の一日の中で当行のお客様の一人から別の一人へ移るのと同じです。要するに、私には感情がありません。私はただの機械です。話を続けますと――」

「でもこれは父の話です。そして、そう思い始めています」奇妙に皺の寄った額は彼にひたと向けられていた。「母が父より二年しか長く生きず、私が孤児となって残されたとき、私をイングランドへ連れてきてくださったのはあなたではないかと。ほとんど確信しています。」

ロリー氏は、信頼して自分の手を取ろうと差し出された、ためらいがちな小さな手を取り、いくらか儀式めかして唇へ運んだ。それから若い女性をただちに椅子へ戻し、左手で椅子の背を持ち、右手で顎をこすったり、かつらを耳のところで引いたり、言葉を強調するため指したりしながら、彼女が見上げる顔を見下ろして立った。

「ミス・マネット、それはでした。そして、私に感情はなく、同胞との関係はすべて単なる業務上の関係だと先ほど申したことがいかに本当か、あなたにも分かるでしょう。考えてもみてください。それ以来、私は一度もあなたにお会いしていないのです。いいえ、あなたはその後テルソン商会の被後見人であり、私はその後テルソン商会のほかの業務で忙しかったのです。感情! 私には感情に割く時間も、機会もありません。私は一生を、巨大な金銭の洗濯絞り機を回すことに費やしているのです、ミス。」

日々の仕事をこう奇妙に描写したあと、ロリー氏は両手で亜麻色のかつらを頭に押しつけた(これはまったく不要だった。なぜならその光る表面は、押しつける前からこれ以上ないほど平らだったからである)。そして元の姿勢に戻った。

「ここまでは、ミス(あなたがお気づきのように)、亡きお父上の話です。ここから違いが出てきます。もしあなたのお父上が、その時お亡くなりになっていなかったとしたら――怖がらないで! どうしてそんなに驚くのです!」

彼女は確かにびくりとした。そして両手で彼の手首をつかんだ。

「どうか」とロリー氏はなだめる口調で言い、椅子の背に置いていた左手を、激しく震えながら彼をつかむ懇願の指の上へ持っていった。「どうか動揺を抑えてください――これは業務上の問題です。先ほど申し上げたように――」

彼女の眼差しは彼をひどく乱し、彼は言葉を止め、迷い、改めて始めた。

「申し上げていたように。もしマネット氏が亡くなっていなかったとしたら。もし突然、ひそかに姿を消していたとしたら。もしさらわれていたとしたら。もしどんな手段でも足取りをたどれないが、どんな恐ろしい場所か推測するのは難しくなかったとしたら。もし、その海の向こうで、私の時代にも、どれほど大胆な人々でさえ囁くことを恐れた特権を行使できる同国人の中に、彼の敵がいたとしたら。たとえば、誰であれ任意の期間、監獄という忘却へ送り込むための白紙の書式を埋める特権です。もしその妻が、彼の消息を求めて王に、王妃に、宮廷に、聖職者に嘆願し、すべてがまったく無駄だったとしたら――そのとき、あなたのお父上の歴史は、この不幸な紳士、ボーヴェの博士の歴史だったことでしょう。」

「どうか、もっとお聞かせください。」

「話します。これから話すところです。耐えられますか?」

「今この瞬間に私を置き去りにしている不確かさ以外なら、どんなことにも耐えられます。」

「落ち着いて話しておられますし、あなたは――落ち着いておられる。よろしい!」(もっともその態度は、言葉ほど満足げではなかった。)「業務上の問題です。業務上の問題として見てください――なされねばならぬ業務です。さて、もしこの博士の妻が、非常に勇気と気概のある女性であったにもかかわらず、幼い子が生まれる前にこのことであまりにも激しく苦しみ――」

「その幼い子は娘でしたね。」

「娘です。業務上の――問題です――取り乱してはいけません。ミス、もしその哀れな奥様が、幼い子が生まれる前にあまりにも激しく苦しんだため、その子を、父は死んだと信じさせて育てることで、自分が苦痛を知り尽くした苦悶のいかなる一部も、哀れな子に受け継がせまいと決心したのだとしたら――いけません、ひざまずかないで! 天にかけて、なぜ私にひざまずくのです!」

「真実を。ああ、親愛なる、善良で、思いやり深い方、真実を!」

「業務上の――問題です。あなたは私を混乱させます。混乱していては、どうして業務を処理できますか。頭をはっきりさせましょう。たとえば今、九ペンスの九倍はいくらか、あるいは二十ギニーは何シリングか、親切にも言っていただければ、とても励みになります。あなたの心の状態について、私はずっと安心できるでしょう。」

この訴えに直接答えることなく、彼がそっと彼女を起こしたあと、彼女はあまりにも静かに座り、彼の手首を握り続けていた手も以前よりずっと落ち着いていたので、それはジャービス・ロリー氏にいくらか安心を与えた。

「よろしい、よろしい。勇気です! 業務です! あなたの前には務めがあります。有益な務めです。ミス・マネット、あなたのお母様はあなたに対してその道を取りました。そして彼女が亡くなったとき――私は傷心のためだと思います――あなたのお父上を探す実らぬ努力を一度も緩めぬまま、あなたを二歳で残しました。お父上が監獄でまもなく心をすり減らしたのか、それとも長く引き延ばされた歳月の中でそこで衰え果てたのか分からずに生きるという暗い雲を、あなたの上に置かないまま、花咲くように、美しく、幸せに育つように。」

そう言いながら、彼は流れる金髪を、敬慕を含んだ哀れみで見下ろした。まるでそれがすでに灰色に染まっていたかもしれないと想像しているかのように。

「ご両親に大きな財産がなかったこと、そしてあったものはお母様とあなたに確保されたことはご存じでしょう。金銭についても、その他の財産についても、新しい発見があったわけではありません。しかし――」

彼は手首をいっそう強く握られるのを感じ、言葉を止めた。彼の注意をあれほど引いた額の表情は、今や動かぬまま、苦痛と恐怖の表情へ深まっていた。

「しかし、彼は――発見されました。生きています。大きく変わっていることは、十分にあり得ます。ほとんど廃人となっている可能性もあります。もっとも最善を望みましょう。それでも、生きているのです。あなたのお父上はパリにいる昔の召使いの家へ連れていかれました。われわれはそこへ向かいます。私は、できるなら本人だと確認するために。あなたは、彼を生命へ、愛へ、務めへ、安らぎへ、慰めへ戻すために。」

震えが彼女の身体を走り、それが彼にも伝わった。彼女は夢の中で言うように、低く、はっきりした、畏怖に打たれた声で言った。

「私は父の幽霊に会いに行くのですね! それは父の幽霊でしょう――父自身ではなく!」

ロリー氏は、自分の腕を握る手を静かにさすった。「さあ、さあ、さあ! もうお分かりでしょう、もうお分かりでしょう! 最善も最悪も、もうあなたは知ったのです。あなたは不当な扱いを受けた哀れな紳士のもとへ、すでにしっかり向かっています。海路が穏やかで、陸路も順調なら、ほどなくあの方の大切なそばに着きます。」

彼女は同じ調子で、囁きに沈んだ声で繰り返した。「私は自由でした。幸せでした。それでも父の幽霊は一度も私に取り憑かなかった!」

「もう一つだけ」とロリー氏は、彼女の注意を引き戻す健全な手段として強調しながら言った。「彼は別の名で見つかりました。自分の名は、長いあいだ忘れられていたか、長いあいだ隠されていたのです。どちらかを今尋ねるのは、無益どころではありません。何年も見落とされていたのか、それとも常に意図的に囚われていたのかを知ろうとするのも、無益どころではありません。今いかなる調査をすることも、無益どころか危険なのです。この件はどこでも、どんな形でも口にせず、彼を――少なくとも当面は――フランスの外へ移すのがよい。イングランド人として安全な私でさえ、そしてフランスの信用にとって重要なテルソンでさえ、この件の名を一切避けています。私はこれに公然と言及する文書の切れ端一つ持ち歩いていません。これは完全に秘密の任務です。私の信任状、記入、覚え書きは、すべて一行、『蘇る』に含まれています。これは何を意味してもよい言葉です。だがどうしたのです! 一言も耳に入っていない! ミス・マネット!」

彼女は完全に静かで、沈黙していた。椅子の背にもたれたわけでもなく、彼の手の下に座ったまま、まったく意識を失っていた。目は開いたまま彼に据えられ、最後のその表情が額に彫り込まれたか焼き印を押されたかのように見えた。彼女の手は彼の腕をあまりに強く握っていたので、外そうとすれば傷つけるのではないかと彼は恐れた。そのため身動きせずに、大声で助けを呼んだ。

宿の使用人たちに先立って、荒々しい感じの女が部屋へ駆け込んできた。ロリー氏は動揺していながらも、その女が全身赤っぽく、赤毛で、何やら異様にぴったりした服を着ており、頭には擲弾兵の木製升、それも大きな升か、大きなスティルトン・チーズのような実に驚くべきボンネットをかぶっていることに気づいた。女はすぐ、逞しい手を彼の胸に当て、いちばん近い壁へ吹き飛ばすことで、この哀れな若い女性から彼を引き離す問題を解決した。

(「これは本当に男に違いない!」壁にぶつかるのと同時に、ロリー氏は息もつけずにそう考えた。)

「まあ、あんたたちときたら!」その人物は宿の使用人たちに向かって怒鳴った。「そこに突っ立って私をじろじろ見る代わりに、どうして物を取りに行かないんだい? 私はそんなに見物するほどのものかい? どうして物を取りに行かないのさ? 気付け薬と冷たい水と酢をさっさと持ってこないなら、思い知らせてやるよ。」

すぐにこれらの回復用品を取りに皆が散り、彼女は患者をそっと長椅子に寝かせ、見事な手際と優しさで世話をした。「私の大事な子!」だの「私の小鳥!」だのと呼びながら、その金髪を大変誇らしげに、そして丁寧に肩の上へ広げてやった。

「それから、そこの茶色のあんた!」彼女は憤然としてロリー氏へ振り向き、言った。「言わなきゃならないことを、あの子を死ぬほど怖がらせずには言えなかったのかい? 見てごらん、こんな可愛い顔を青くして、手も冷たくして。これが銀行家のすることかい?」

ロリー氏は、この答えにくい質問にひどく狼狽し、少し離れたところで、だいぶ弱々しい同情と謙遜をもって見守ることしかできなかった。その間、たくましい女は、そこに突っ立って見物していれば、何をとは言わないが「思い知らせてやる」という神秘的な罰のもとに宿の使用人たちを追い払い、規則正しい段階を踏んで自分の預かる娘を回復させ、垂れた頭を自分の肩に乗せるよう優しく言い聞かせた。

「もう大丈夫だとよいのですが」とロリー氏は言った。

「大丈夫でも、茶色のあんたのおかげじゃないよ。私の可愛い大事な子!」

「あなたがミス・マネットに付き添ってフランスへ行かれるのだと、願っておりますが」とロリー氏は、またしばらく弱々しい同情と謙遜の沈黙を置いてから言った。

「そうだろうとも!」たくましい女は答えた。「もし私が塩水を渡るように定められていたなら、神様が私の運命を島に置いたりすると思うのかい?」

これもまた答えにくい質問だったので、ジャービス・ロリー氏はそれについて考えるために退いた。

第五章 ワイン酒場

大きなワイン樽が、通りに落ちて砕けていた。荷車から降ろす途中の事故だった。樽は勢いよく転がり落ち、たがが弾け、ワイン酒場の戸口のすぐ外の石畳の上に、くるみの殻のように割れて横たわっていた。

手の届くところにいた人々はみな、仕事も怠けも放り出してその場へ駆けつけ、ワインを飲んだ。通りの荒く不揃いな石は、あらゆる方向に突き出ていて、近づく生き物すべてを足なえにするため、わざわざそう造ったのではないかと思えるほどだったが、その石がワインを小さな溜まりにせき止めていた。溜まりの大きさに応じて、それぞれの周りには押し合う一団や群衆ができていた。男たちの中には膝をつき、両手を合わせて柄杓のようにし、指の間からワインがすっかり流れ出す前にすすったり、肩越しに身をかがめる女たちにもすすらせようとする者がいた。ほかの男女は、欠けた粗末な土器の小杯で、あるいは女の頭から外したハンカチで水たまりならぬワイン溜まりを浸し、それを絞って乳飲み子の口に垂らした。流れるワインをせき止めようと小さな泥の堤を作る者もいた。高い窓から見物している者に指図され、新たな方向へ走り出した細いワインの流れを遮ろうと、あちこちへ飛び回る者もいた。樽の水浸しになり、葡萄酒の澱に染まった破片に専念し、湿ったワインまみれの木片を舐め、いや、かじりさえして、貪るように味わう者もいた。ワインを運び去る排水路などなく、こぼれたワインはすべて吸い上げられたばかりか、泥もまた大量に一緒に吸い上げられたので、もしその通りを知る者が、そんな奇跡のような存在を信じることができたなら、そこに清掃夫がいたのだと思ったかもしれない。

このワイン遊びが続くあいだ、男、女、子供たちの甲高い笑い声と楽しげな声が通りに響き渡った。その騒ぎには乱暴さはほとんどなく、むしろ戯れの気分が濃かった。そこには独特の仲間意識があり、誰もが誰かと結びつこうとする傾向がはっきり見て取れた。とくに運のいい者や気の軽い者たちは、ふざけて抱き合い、健康を祝して飲み、握手し、さらには十人あまりで手を取り合って踊るほどだった。ワインがなくなり、もっとも豊かにあった場所が指で熊手のように掻かれて焼き網模様になると、こうした身振りは、始まったときと同じように突然やんだ。薪を切る途中で鋸を刺したままにしていた男は、また鋸を動かしはじめた。戸口の段に小さな熱い灰の壺を置いたままにしていた女は、飢えで痛む自分の手足の指、あるいは子供のそれを温めようとしていたその場所へ戻った。裸の腕、もつれた髪、死人のような顔をした男たちは、地下室から冬の光の中へ出てきていたが、ふたたび降りていくために立ち去った。そしてその場には、陽光よりもはるかに似つかわしい陰鬱が立ちこめた。

ワインは赤ワインで、こぼれたパリのサン=タントワーヌ郊外の狭い通りの地面を赤く染めていた。多くの手も、多くの顔も、多くの裸足も、多くの木靴も染まっていた。薪を挽いていた男の手は、割り木に赤い跡を残した。赤ん坊に乳を含ませていた女の額は、ふたたび頭に巻きつけた古いぼろ布の染みで染まった。樽板に貪りついていた者たちは、口の周りに虎のような汚れをつけていた。そして、そのように汚れた背の高い道化者の一人は、長くみすぼらしい袋のような寝帽をかぶっているというより、そこから頭を突き出しているような姿で、泥まじりのワインの澱に指を浸し、壁にこう書きなぐった――

やがてそのワインもまた通りの石にこぼれ、その染みが、そこにいる多くの者たちの上に赤く残る時が来るのだった。

そして今、束の間の光が聖なる顔から追い払っていた雲がサン=タントワーヌの上に落ち着くと、その暗さは重くのしかかった。寒さ、汚れ、病、無知、そして欠乏が、この聖者の御前に侍る君主たちであり、いずれも大きな力を持つ貴族だったが、とりわけ最後の一つが強かった。恐るべき臼で挽かれ、また挽き直された民の見本たちが、あらゆる角で震え、あらゆる戸口を出入りし、あらゆる窓から顔をのぞかせ、風に揺れる衣服の名残りのすべてにひらめいていた。その臼は、老人を若返らせるというおとぎ話の臼では決してなかった。彼らをすり減らしたのは、若者を老人へと挽く臼だった。子供たちは年寄りの顔と重々しい声を持っていた。そして子供の顔にも、大人の顔にも、年齢のすべての皺に刻みこまれ、また新たに浮かび上がっていたもの、それは飢えのため息だった。飢えはいたるところにあった。高い家々から突き出た棒や綱にかかる惨めな衣類の中に、飢えは押し出されていた。藁とぼろと木片と紙で、飢えはそれらの衣類につぎ当てされていた。男が切り落とすわずかな薪の一片一片に、飢えは繰り返されていた。煙の出ない煙突から飢えは見下ろし、食べられる屑など一つもない汚らしい通りのゴミの中から跳ね起きていた。パン屋の棚には飢えの銘が刻まれており、それは乏しい在庫のまずいパンの小さな一塊一塊に書かれていた。腸詰屋では、売り物として並べられた死んだ犬めいた加工品の一つ一つに書かれていた。回転する筒の中で焼かれる栗の間で、飢えは乾いた骨をかたかた鳴らした。いやいや垂らされた数滴の油で揚げられた、じゃがいもの皮まじりの切れ端が入った一ファージング銅貨分の椀の中で、飢えは微塵に刻まれていた。

飢えの住みかは、飢えにふさわしいものすべての中にあった。悪臭と不快に満ちた狭く曲がりくねった通り、そこからさらに狭く曲がりくねった通りが枝分かれし、どこもぼろと寝帽の人々でいっぱいで、どこもぼろと寝帽の臭いがし、目に見えるものはすべて、病んだような陰気な表情を帯びていた。人々の追い詰められた空気の中には、それでもなお、窮鼠が反撃に転じる可能性を思わせる野獣じみた思念があった。彼らは打ちひしがれ、身をすくめてはいたが、その中に炎のような目がないわけではなかった。押し殺すもののために白くなった固い唇がないわけでもなかった。耐えるべき、あるいは加えるべき絞首縄を思い描くかのように、眉間に皺を寄せた額がないわけでもなかった。商店の看板は、店の数ほどもあったが、そのすべてが欠乏の陰惨な挿絵だった。肉屋や豚肉屋が描いて掲げるのは、肉の中でももっとも痩せ細ったくず肉だけ。パン屋の看板には、貧相な粗いパンだけ。ワイン酒場で酒を飲んでいるように粗く描かれた人々は、薄いワインやビールの乏しい量を前に、しわがれ声でぼそぼそ言い合い、互いに険しい目で内密話をしていた。栄えている様子に描かれているものは、道具と武器を除いて何もなかった。刃物屋のナイフや斧は鋭く輝き、鍛冶屋の槌は重く、銃工の品物は殺意を帯びていた。泥と水の小さな溜まりを無数に持つ、足を不自由にするような舗石には歩道がなく、戸口のところで唐突に途切れていた。その埋め合わせのつもりか、排水溝は通りの真ん中を走っていた――走るときには、だが。走るのは大雨のあとだけで、そのときは数多くの風変わりな気まぐれを見せて家々の中へ流れ込んだ。通りを横切って、間隔を大きくあけながら、一本の不格好なランプが綱と滑車で吊るされていた。夜になると、点灯夫がそれらを下ろし、火を灯し、また引き上げる。すると薄暗い灯芯の弱々しい林が、まるで海の上にいるかのように、頭上で病んだように揺れた。実際、それらは海の上にあったのだ。そして船も乗組員も嵐の危機にさらされていた。

というのも、やがてその界隈の痩せこけた案山子たちは、怠惰と飢えの中であまりにも長く点灯夫を眺め続けたため、その方法を改良し、あの綱と滑車で人間を吊り上げて、自分たちの境遇の暗闇を照らそうと思いつく時が来るからだ。だが、その時はまだ来ていなかった。フランスの上を吹くどの風も、案山子たちのぼろをむなしく揺らすだけだった。美しい歌と羽を持つ鳥たちは、何の警告も受け取らなかった。

ワイン酒場は角店で、外見も格もほかの多くの店よりましだった。その主人は黄色い胴着に緑の半ズボン姿で店の外に立ち、失われたワインをめぐる争いを眺めていた。「俺の知ったことじゃない」と彼は最後に肩をすくめて言った。「市場の連中がやったんだ。別のを持ってくればいい。」

そのとき、彼の目が、例の背の高い道化者が冗談を書いているのを偶然とらえ、向こう側に呼びかけた。

「おい、ガスパール、そこで何をしている?」

その男は、同類がよくやるように、とてつもない意味ありげな態度で自分の冗談を指さした。だがそれは的を外し、完全に失敗した。これもまた、同類がよくやることだった。

「何だ、今度は。お前は気狂い病院行きか?」ワイン酒場の主人は道を渡り、そのために拾い上げた一握りの泥を冗談の上になすりつけて消しながら言った。「なぜ公の通りに書く? 言ってみろ――そんな言葉を書く場所が、ほかにないとでもいうのか?」

諫めるように言うあいだ、彼はより清潔なほうの手を、偶然かもしれず、そうでないかもしれないが、道化者の胸の上に落とした。道化者は自分の手でそれをぽんと叩き、身軽に跳ね上がると、踊りのような奇妙な姿勢で着地し、染みのついた靴の片方を足から手へと蹴り上げ、それを差し出した。そういう状況のもとでは、この道化者は、極端に、いや狼じみて実際的な性質の道化に見えた。

「履け、履け」と相手は言った。「ワインはワインと呼べ。それで終わりだ。」

そう忠告すると、彼は汚れた手を、道化者の着物とも呼べるものに、まったく意識的になすりつけた。そいつのために手を汚したから当然だ、とでもいうように。そしてまた道を渡り、ワイン酒場へ入っていった。

このワイン酒場の主人は、雄牛のような首をした、軍人じみた三十歳の男だった。気性は熱いに違いなかった。なぜなら、ひどく寒い日だというのに上着を着ず、肩に引っかけているだけだったからだ。シャツの袖もまくり上げられ、褐色の腕は肘までむき出しだった。頭にも、縮れた短い黒髪以外は何もかぶっていなかった。全体として色の濃い男で、よい目を持ち、その目のあいだには大胆で広い額があった。おおむね機嫌よさそうに見えたが、同時に容赦のない顔つきでもあった。明らかに強い決意と定まった目的を持つ男であり、両側が崖になった狭い道を突進してくるところで出会いたくはない男だった。何ものもその男を曲げることはできないだろうからだ。

彼が入ってくると、妻のデファルジュ夫人は店の中、カウンターの後ろに座っていた。デファルジュ夫人は夫と同じくらいの年頃の恰幅のよい女で、ほとんど何も見ていないように見える油断のない目、大きく指輪をいくつもはめた手、動じない顔、力強い目鼻立ち、そしてきわめて落ち着いた物腰を備えていた。デファルジュ夫人には、彼女が取り仕切るどんな勘定においても、自分に不利な間違いをすることはめったにないだろうと予言できるような性格があった。寒がりのデファルジュ夫人は毛皮にくるまり、鮮やかなショールをたっぷり頭に巻いていたが、大きな耳飾りまでは隠していなかった。編み物は目の前にあったが、爪楊枝で歯をつつくために置いていた。そうして、右肘を左手で支えながら、夫が入ってきてもデファルジュ夫人は何も言わず、ほんの一粒ほど咳をした。この咳と、爪楊枝越しに濃くくっきりした眉をほんの一線分だけ上げたことが組み合わさって、夫に知らせた。向こうへ行っているあいだに入ってきた新しい客がいないか、店内を見回したほうがいい、と。

そこでワイン酒場の主人は目をぐるりと巡らせ、隅に座っている年配の紳士と若い婦人に目を留めた。ほかにも客はいた。二人はトランプをし、二人はドミノをし、三人はカウンターのそばに立って少ないワインを引き延ばすように飲んでいた。彼がカウンターの後ろを通るとき、年配の紳士が若い婦人に目で「この男です」と語ったのに気づいた。

「いったいお前たちは、あんな船底みたいな隅で何をしている?」デファルジュ氏は心の中で言った。「俺はお前たちを知らんぞ。」

だが彼は二人の見知らぬ客に気づかないふりをして、カウンターで飲んでいる三人組の客と話しはじめた。

「調子はどうだ、ジャック?」三人の一人がデファルジュ氏に言った。「こぼれたワインは全部飲まれたか?」

「一滴残らずだ、ジャック」とデファルジュ氏は答えた。

この洗礼名のやりとりが済むと、デファルジュ夫人は爪楊枝で歯をつつきながら、また一粒ほど咳をし、眉をさらに一線分だけ上げた。

「こういう惨めな獣どもの多くが、ワインの味を知ることはめったにないな」と三人の二人目がデファルジュ氏に向かって言った。「黒パンと死の味以外は。そうだろう、ジャック?」

「そのとおりだ、ジャック」とデファルジュ氏は返した。

二度目の洗礼名のやりとりのときも、デファルジュ夫人は深い落ち着きで爪楊枝を使いながら、さらに一粒ほど咳をし、眉をまた一線分だけ上げた。

三人目が、空の杯を置き、唇を鳴らして、自分の言い分を口にした。

「ああ! まったく気の毒なことだ! ああいう哀れな畜生どもの口の中にはいつも苦い味があり、人生もまた厳しい、ジャック。そうだろう、ジャック?」

「そのとおりだ、ジャック」とデファルジュ氏が応じた。

この三度目の洗礼名のやりとりが終わった瞬間、デファルジュ夫人は爪楊枝を脇に置き、眉を上げたまま、席でかすかに身じろぎした。

「待て! そうだった!」夫はつぶやいた。「諸君――我が妻だ!」

三人の客は、三様に帽子を振ってデファルジュ夫人に脱帽した。夫人は頭を下げ、さっと彼らに目をやって、その敬意を受けた。それから何気ない様子でワイン酒場の中を見回し、いかにも落ち着き払い、心静かであるかのように編み物を取り上げ、それに没頭した。

「諸君」と夫は言った。彼の明るい目はずっと妻を注意深く見守っていた。「ごきげんよう。君たちが見たいと言い、私が外に出たときに尋ねていた、独身者向きに家具つきの部屋は五階にある。階段口は、ここから左手すぐの小さな中庭に面している」と手で示し、「私の店の窓の近くだ。だが、思い出した。君たちの一人はすでにそこへ行ったことがあり、道を案内できる。諸君、さらば!」

彼らはワインの代金を払い、店を出た。デファルジュ氏の目が、編み物をする妻を探るように見ていると、年配の紳士が隅から進み出て、一言お話を、と頼んだ。

「よろこんで、旦那」とデファルジュ氏は言い、静かにその紳士と戸口へ歩み寄った。

二人の話はごく短かったが、きわめて決定的だった。ほとんど最初の一言で、デファルジュ氏ははっとし、深く注意を傾けた。一分も経たないうちに彼はうなずき、外へ出た。紳士はそれから若い婦人に合図し、二人も外へ出た。デファルジュ夫人はすばやい指と動かない眉で編み物をし、何も見ていなかった。

こうしてワイン酒場から出てきたジャービス・ロリー氏とミス・マネットは、デファルジュ氏がさきほど自分の客たちに案内した戸口で彼と合流した。その戸口は、悪臭を放つ小さな暗い中庭に面しており、大勢の人間が住む大きな集合住宅への一般の入口だった。暗いタイル敷きの入口から、同じく暗いタイル敷きの階段へ入るところで、デファルジュ氏はかつての主人の子の前に片膝をつき、その手を唇へ運んだ。優しい行為だったが、やり方は少しも優しくなかった。わずか数秒のうちに、彼にはきわめて際立った変化が起きていた。顔からは機嫌のよさも、開けた表情も消え、秘密を抱いた、怒れる、危険な男になっていた。

「かなり高い。少し大変だ。ゆっくり始めたほうがいい。」

階段を上りはじめると、デファルジュ氏は厳しい声でロリー氏にそう言った。

「あの方は一人きりなのか?」後者はささやいた。

「一人きり! 神が助けたまえ、ほかに誰が一緒にいるというのだ!」相手は同じ低い声で言った。

「では、いつも一人なのか?」

「ああ。」

「ご本人が望んで?」

「そうせざるを得ないからだ。連中が私を見つけ、この人を引き取るか、そして命にかけて慎重にするかと尋ねてきたあと、初めて会ったときのあの人のままだ。そのときと同じく、今もそうだ。」

「ひどく変わっておられるのか?」

「変わった!」

ワイン酒場の主人は立ち止まり、手で壁を打ち、凄まじい呪いの言葉をつぶやいた。どんな直接の答えも、これほど力強くはなかっただろう。ロリー氏の気持ちは、二人の連れとともに高く高く上るにつれて、ますます重くなっていった。

パリの古く混み合った地区にあるそのような階段とその周辺は、今でさえ十分にひどいものだろう。だが当時、慣れておらず感覚の鈍っていない者にとっては、まことに忌まわしいものだった。一つの高い建物という巨大な汚らしい巣の中にある小さな住まい――つまり共同階段に面して開くそれぞれの扉の内側にある一部屋または数部屋――は、各自の踊り場に自分のゴミの山を残すだけでなく、窓からも別のゴミを投げ捨てていた。そうして生まれた制御不能で絶望的な腐敗の塊は、たとえ貧困と欠乏が目に見えない不浄で空気を重くしていなかったとしても、空気を汚していただろう。この二つの悪い源が重なって、それはほとんど耐えがたいものとなっていた。そのような空気の中を、汚れと毒の急で暗い縦穴を通って、道は続いていた。自分自身の心の動揺と、若い連れの刻一刻と増していく動揺に押されて、ジャービス・ロリー氏は二度、休むために立ち止まった。そのたびに彼らが止まったのは陰気な格子のそばで、そこからは、まだ腐らずに残っていたかもしれない弱々しい良い空気が逃げ出し、腐って病んだ蒸気ばかりが這い込んでくるようだった。錆びた鉄格子越しに、近隣の雑然とした様子は、見えるというより味わわれた。そして見渡せる範囲で、ノートルダムの二つの大塔の頂より近く、あるいは低いところにあるものには、健やかな生命や清らかな志を約束するものは何一つなかった。

ついに階段の頂上に着き、彼らは三度目に立ち止まった。屋根裏階へたどり着くには、なおいっそう急で狭い上の階段を上らねばならなかった。ワイン酒場の主人は、常に少し先を行き、常にロリー氏のいる側を進んでいた。まるで若い婦人から何か尋ねられるのを恐れているかのようだった。ここで彼は振り返り、肩に掛けていた上着のポケットを注意深く探って、鍵を取り出した。

「では、扉には鍵がかかっているのか、友よ?」ロリー氏は驚いて言った。

「ああ。そうだ」とデファルジュ氏は険しく答えた。

「不幸な紳士をそれほど人目から離しておく必要があると考えているのか?」

「鍵を回す必要があると考えている。」

デファルジュ氏はさらに耳元へ近づいてささやき、ひどく眉をひそめた。

「なぜだ?」

「なぜだと! あの人はあまりにも長く閉じ込められて生きてきた。扉を開けたままにしておけば、恐怖に襲われ――錯乱し――身を引き裂き――死に――何が起こるか分からぬ害に至るからだ。」

「そんなことがあり得るのか!」ロリー氏は叫んだ。

「あり得るのか!」デファルジュは苦々しく繰り返した。「ああ。あり得るのだ。そして、そうしたことがあり得るばかりか、ほかにも多くのことがあり得て、しかもただあり得るだけでなく、行われている――行われているのだ、分かるか! ――あの空の下で、毎日な。悪魔万歳。先へ行こう。」

この会話はあまりにも低いささやき声で交わされていたので、若い婦人の耳には一語も届かなかった。だがこの時には、彼女はあまりにも強い感情に震え、顔にはあまりにも深い不安が、何よりも深い恐れと恐怖が表れていたので、ロリー氏は安心させる言葉を一つ二つかけねばならないと感じた。

「勇気を、親愛なるお嬢さん! 勇気を! 用件です! 最悪の時はすぐに過ぎます。部屋の扉を通り抜けるだけで、最悪は終わります。そうすれば、あなたがあの方にもたらす善、救い、幸福のすべてが始まるのです。こちらのよき友人に、その側から手助けしてもらいましょう。そう、それでよい、デファルジュ友よ。さあ。用件、用件です!」

彼らはゆっくりと静かに上った。階段は短く、すぐに上まで来た。そこは急に折れ曲がっていたので、彼らは一度に三人の男の姿を目にした。男たちは一つの扉の横で頭を寄せ合うように低く屈め、壁の割れ目や穴から、その扉の属する部屋の中を熱心に覗いていた。すぐ近くの足音を聞くと、三人は振り返り、立ち上がった。そしてワイン酒場で飲んでいた、同じ名を持つ三人であることが分かった。

「君たちが訪ねてきた驚きで、この者たちのことを忘れていた」とデファルジュ氏は説明した。「行け、よい若者たち。ここには用がある。」

三人は滑るように通り過ぎ、黙って降りていった。

その階にはほかに扉がないようで、二人きりになるとワイン酒場の主人がまっすぐその扉へ向かったので、ロリー氏は少し怒りを帯びて、ささやき声で彼に尋ねた。

「君はマネット氏を見せ物にしているのか?」

「私は、あなたが見たようなやり方で、選ばれた少数の者にあの人を見せている。」

「それがよいことなのか?」

私はよいことだと思っている。」

「その少数とは誰だ? どう選ぶ?」

「本物の男たちとして選ぶのだ。私の名を持つ男たち――ジャックが私の名だ――あの光景が役に立ちそうな者たちを。もうよい。あなたはイングランド人だ。それは別の話だ。どうか、少しのあいだそこにいてくれ。」

下がっているようにという警告の身振りをして、彼は身をかがめ、壁の割れ目から中を覗いた。すぐにまた頭を上げると、扉を二、三度叩いた。明らかに、そこで物音を立てる以外の目的はなかった。同じ意図で、彼は鍵を扉の上で三、四度こすってから、不器用に錠前へ差し込み、できるかぎり重々しく回した。

扉は彼の手の下でゆっくり内側へ開き、彼は部屋の中を覗いて何かを言った。かすかな声が何かを答えた。どちらの側も、一音節ほどしか口にしていないようだった。

彼は肩越しに振り返り、入るように合図した。ロリー氏は娘の腰にしっかり腕を回して支えた。彼女が崩れ落ちそうなのを感じたからだ。

「よ、よ、用件です、用件!」彼は促した。頬には、用件とは無縁の潤みが光っていた。「入りましょう、入りましょう!」

「怖いのです」と彼女は震えながら答えた。

「怖い? 何が?」

「父が……父が怖いのです。」

彼女の様子と案内人の合図に追いつめられるようにして、ロリー氏は自分の肩の上で震える彼女の腕を首へ回し、少し抱き上げるようにして急いで部屋へ入れた。彼は彼女を扉のすぐ内側に座らせ、自分にしがみつく彼女を支えた。

デファルジュは鍵を抜き、扉を閉め、内側から鍵をかけ、また鍵を抜いて手に持った。これらすべてを、彼は几帳面に、しかもできるかぎり大きく耳障りな音を立てながら行った。最後に、彼は測ったような足取りで部屋を横切り、窓のあるところへ行った。そこで立ち止まり、振り返った。

屋根裏は薪などの置き場として造られており、薄暗かった。というのも、屋根窓の形をした窓は、実のところ屋根に設けられた扉であり、通りから荷物を吊り上げるための小さなクレーンがその上についていたからだ。ガラスはなく、フランス式のほかの扉と同じように、中央で二枚に閉じる作りだった。寒さを防ぐため、その片側はしっかり閉ざされ、もう片側もほんのわずかに開けられているだけだった。こうして入ってくる光はあまりにも乏しく、入ったばかりでは何も見分けるのが難しかった。このような暗がりで、細かな作業を必要とする仕事ができるようになるには、長い習慣だけが、ゆっくりと人にその能力を形づくるしかなかっただろう。それでも屋根裏では、その種の仕事が行われていた。扉に背を向け、ワイン酒場の主人が立って自分を見つめている窓の方に顔を向けて、一人の白髪の男が低い腰掛けに座り、前かがみになって、たいそう忙しげに靴を作っていた。

第六章 靴職人

「こんにちは!」デファルジュ氏は、靴作りの上に深く垂れた白い頭を見下ろして言った。

その頭は一瞬持ち上がり、ひどくかすかな声が、まるで遠くからのように挨拶に答えた。

「こんにちは。」

「まだ一生懸命働いているようだな?」

長い沈黙のあと、頭はもう一度、一瞬だけ上がり、声が答えた。「はい――働いています。」

このとき、やつれた一対の目が質問者を見てから、ふたたび顔を落とした。

その声のかすかさは、哀れであり、恐ろしかった。それは肉体的な弱さのかすかさではなかった。監禁と粗末な食事がそこに関わっていなかったはずはないにせよ。その嘆かわしい特異さは、孤独と使われなかったことによるかすかさだった。それは、はるか昔に発せられた音の、最後の弱々しい反響のようだった。人間の声の生命と響きをあまりにも完全に失っていたので、かつて美しかった色が、貧しく弱い染みにまで褪せてしまったように感覚へ作用した。あまりにも沈み、抑え込まれていたので、地中から聞こえる声のようだった。あまりにも、希望を失い、見捨てられた生き物を表していたので、荒野を孤独にさまよい疲れ果てた飢えた旅人なら、死ぬために身を横たえる前、そのような調子で故郷と友を思い出しただろう。

数分間、黙々と仕事が続いた。そしてやつれた目がふたたび上がった。興味や好奇心からではなく、ただ、気づいている唯一の訪問者が立っていた場所がまだ空ではないということを、鈍く機械的にあらかじめ感じ取ったように。

「ここへ」と、靴職人から目を離さずにデファルジュが言った。「もう少し光を入れたい。少しなら耐えられるな?」

靴職人は仕事を止め、聞いているのかいないのか分からない虚ろな様子で、自分の片側の床を見た。それから同じように、反対側の床を見た。それから話し手を見上げた。

「何と言いました?」

「もう少し光に耐えられるか?」

「入れるなら、耐えねばなりません」(二つ目の言葉に、ごく薄い影のような強調を置いて。)

開いていた半分の扉はもう少し開けられ、当座その角度で固定された。広い光の筋が屋根裏に落ち、膝の上に未完成の靴を置き、作業を中断した職人の姿を照らした。足元と腰掛けの上には、ありふれた少しの道具と、さまざまな革の切れ端があった。彼には白い顎髭があり、乱雑に切られていたが、さほど長くはなかった。顔はこけ、目は異様に輝いていた。顔のこけ方と痩せ方のために、たとえ実際にはそうでなかったとしても、まだ黒い眉と乱れた白髪の下でその目は大きく見えたはずだった。だが、目はもともと大きく、そのため不自然なほど大きく見えた。黄色いぼろのシャツは喉元で開き、体がしなび、すり減っているのを見せていた。彼も、古い帆布の仕事着も、ゆるんだ靴下も、哀れな衣服のぼろ切れすべても、直接の光と空気から長く隔てられていたため、羊皮紙めいた鈍い黄色へ一様に褪せており、どれがどれなのか判じがたいほどだった。

彼は目と光のあいだに片手をかざしていたが、その手の骨まで透けて見えるようだった。そうして仕事の途中で止まり、揺るぎない虚ろな目つきで座っていた。目の前の人物を見るときには、必ずまず自分のこちら側を見下ろし、それからあちら側を見る。まるで場所と音を結びつける習慣を失ってしまったかのようだった。話すときも、必ずまずこのようにさまよい、話すことを忘れてしまうのだった。

「その靴を今日中に仕上げるつもりか?」デファルジュは、ロリー氏に前へ出るよう合図しながら尋ねた。

「何と言いました?」

「その靴を今日中に仕上げるつもりか?」

「つもりだとは言えません。たぶん。分かりません。」

だがその問いは彼に仕事を思い出させ、彼はまたその上に身をかがめた。

ロリー氏は娘を扉のそばに残し、黙って前へ進んだ。彼がデファルジュの傍らに一、二分立っていると、靴職人が顔を上げた。もう一つの姿を見ても驚きは示さなかったが、それを見つめるうちに片手の不安定な指が唇へさまよった(唇も爪も同じく鉛のように青白かった)。それから手は仕事へ落ち、彼はもう一度靴の上に身をかがめた。その視線と動作は一瞬のことだった。

「客が来ているのが分かるだろう」とデファルジュ氏が言った。

「何と言いました?」

「客が来ている。」

靴職人は先ほどと同じように顔を上げたが、仕事から手を離さなかった。

「さあ!」デファルジュは言った。「こちらの旦那は、よくできた靴を見れば分かる方だ。今作っている靴を見せてやれ。どうぞ、旦那。」

ロリー氏はそれを手に取った。

「その靴がどういう種類の靴か、それから作り手の名前を旦那に言ってみろ。」

靴職人が答えるまで、いつもより長い間があった。

「何を聞かれたのか忘れました。何と言いました?」

「旦那に分かるように、靴の種類を説明できないかと言ったのだ。」

「婦人用の靴です。若い婦人の散歩靴です。今の流行のものです。私は流行を見たことがありません。型紙を手にしていました。」

彼はその靴にちらりと目をやり、ほんのわずか、過ぎゆく誇りのようなものを見せた。

「それで、作り手の名前は?」デファルジュが言った。

もう持つ仕事がなくなると、彼は右手の指の関節を左手の窪みに置き、次に左手の指の関節を右手の窪みに置き、それから髭のある顎を片手でなで、そうした規則的な動きを一瞬も休まず繰り返した。話し終えるといつも沈み込むそのさまよいから彼を呼び戻す仕事は、ひどく弱った人を気絶から呼び戻すようでもあり、何かを明かしてくれることを願って、今にも死にかけている人の魂を留めようとするようでもあった。

「私の名前をお尋ねですか?」

「もちろん尋ねた。」

「北塔、百五号。」

「それだけか?」

「北塔、百五号。」

ため息でも呻きでもない疲れた音を立てて、彼はまた仕事に身をかがめた。沈黙がふたたび破られるまで。

「あなたは本職の靴職人ではありませんね?」ロリー氏は、彼をじっと見つめながら言った。

やつれた目は、その問いを彼に移したいかのようにデファルジュへ向いた。だがそちらから助けが来ないので、地面を探ったあと、質問者へ戻った。

「私は本職の靴職人ではない? ええ、私は本職の靴職人ではありませんでした。わ、私はここで覚えました。独りで学びました。許しを願って――」

彼は数分にわたって意識が途切れたようになり、そのあいだずっと、両手であの規則的な動きを鳴らし続けていた。やがてその目はゆっくりと、さまよい出た元の顔へ戻ってきた。その顔に目を留めると、彼はびくりとし、たった今目を覚ました眠り人が昨夜の話題へ戻るような様子で続けた。

「独りで学ぶ許しを願い、長いあいだののち、たいへんな苦労で許されました。それ以来、ずっと靴を作っています。」

取られていた靴を返してもらおうと手を差し出したとき、ロリー氏はなおも彼の顔をじっと見ながら言った。

「マネット氏、私のことを少しも覚えておられませんか?」

靴は地面に落ち、彼は質問者をじっと見つめたまま座っていた。

「マネット氏」ロリー氏はデファルジュの腕に手を置いた。「この男のことを少しも覚えておられませんか? 彼を見てください。私を見てください。昔の銀行員も、昔の仕事も、昔の召使いも、昔の時も、あなたの心に浮かんできませんか、マネット氏?」

長年の囚われ人は、ロリー氏とデファルジュを交互にじっと見つめて座っていた。その額の中央に、長く消し去られていた、活発で集中した知性の痕跡が、彼に垂れこめた黒い霧を通して、しだいに無理やり浮かび上がってきた。また雲に覆われ、薄れ、消えた。だが、それは確かにそこにあった。そしてその表情は、壁に沿って忍び寄り、彼が見える位置まで来て、今そこに立って彼を見つめている彼女の美しい若い顔にも、まったく同じように繰り返されていた。最初は恐怖に満ちた憐れみで、あるいは彼を遠ざけ、その姿を遮ろうとして上げられていたにすぎない手が、今では、亡霊のようなその顔を自分の温かな若い胸に抱き寄せ、愛によって命と希望へ呼び戻したいという切なる思いに震えながら、彼へ伸びていた。その美しい若い顔にも、同じ表情が、より強い刻みで繰り返されていたため、それはまるで、動く光のように彼から彼女へ移ったかのように見えた。

その代わりに、暗闇がまた彼に落ちた。彼は二人を見つめる注意をしだいに失い、沈んだぼんやりした目で地面を探し、昔のように周囲を見た。ついには深く長いため息とともに靴を拾い上げ、仕事を再開した。

「彼だと分かりましたか、旦那?」デファルジュがささやいた。

「ああ。一瞬だけ。最初はまったく望みがないと思ったが、ほんの一瞬、かつてよく知っていた顔を確かに見た。しっ。もう少し下がろう。しっ!」

彼女は屋根裏の壁から離れ、彼が座っている腰掛けのすぐ近くまで進んでいた。身をかがめて仕事をする彼に、手を伸ばせば触れられるほどのその姿に、彼が気づいていないことには、何か恐ろしいものがあった。

一言も発せられず、物音一つしなかった。彼女は彼のそばに、霊のように立ち、彼は仕事の上に身をかがめていた。

やがて、彼は手にした道具を靴職人のナイフに持ち替える必要が生じた。それは彼女の立っている側ではない方に置かれていた。彼はそれを取り上げ、ふたたび仕事にかがもうとしたとき、彼女のドレスの裾が目に入った。目を上げ、彼女の顔を見た。二人の見守る者は前へ飛び出しかけたが、彼女は手の動きで制した。二人は彼がナイフで彼女に襲いかかるのではないかと恐れたが、彼女は恐れていなかった。

彼は恐ろしい目つきで彼女を見つめ、しばらくして唇がいくつかの言葉を形づくりはじめたが、音は出なかった。やがて、速く苦しげな呼吸の切れ目に、彼がこう言うのが聞こえた。

「これは何だ?」

涙を顔に流しながら、彼女は両手を唇に当て、その手に口づけして彼へ差し出した。それから両手を胸に組み、彼の壊れた頭をそこに置くかのようにした。

「お前は看守の娘ではないのか?」

彼女は「いいえ」とため息のように言った。

「誰だ?」

まだ自分の声を信じられず、彼女は彼の隣の腰掛けに座った。彼は身を引いたが、彼女は彼の腕に手を置いた。そうすると、不思議な震えが彼を打ち、目に見えて全身を走った。彼は彼女を見つめたまま、静かにナイフを置いた。

長い巻き毛にしていた彼女の金色の髪は、慌てて脇へ押しのけられていたため、首筋に垂れていた。彼は少しずつ手を伸ばし、それを取り上げて見た。その動作の最中に彼は意識を失うようにそれ、また深いため息をついて、靴作りに戻った。

原画

しかし長くはなかった。彼女は彼の腕を放し、手を彼の肩に置いた。彼はそれを疑わしげに二度三度見て、本当にそこにあることを確かめるようにしたあと、仕事を置き、自分の首へ手をやって、折りたたまれたぼろ切れの小片がついた黒ずんだ紐を外した。彼はそれを膝の上で注意深く開いた。中にはごくわずかな髪が入っていた。一、二本ほどの長い金色の髪で、ずっと昔のある日、指に巻き取ったものだった。

彼はふたたび彼女の髪を手に取り、じっと見た。「同じだ。どうしてあり得る! いつのことだ! どうしてだ!」

集中した表情が額に戻るにつれ、彼はそれが彼女の額にもあることに気づいたようだった。彼は彼女の顔を完全に光へ向け、見つめた。

「あの夜、私が呼び出されたとき、あの人は私の肩に頭を置いていた――私にはなかったのに、行くことを恐れていた――そして私が北塔へ連れてこられたとき、彼らはこれを私の袖に見つけた。『これを私に残してくれるのか? 体で逃げる助けには決してならないが、魂では助けになるかもしれない』そう言ったのは私だ。よく覚えている。」

この言葉を口に出す前に、彼は何度も唇で形づくった。だがひとたび声にできる言葉を見つけると、それは遅々としていたものの、筋をなして彼に戻ってきた。

「これはどういうことだ? ――お前なのか?」

彼が恐ろしい唐突さで彼女に向き直ったため、二人の見守る者はまた身を乗り出した。だが彼女は彼につかまれたまま完全に動かず、低い声で言っただけだった。「お願いです、よい方々、私たちに近づかないでください。話さないでください。動かないでください!」

「聞け!」彼は叫んだ。「今の声は誰の声だ?」

この叫びとともに、彼の手は彼女を放し、白い髪へ伸びて、狂ったようにかきむしった。それはやがて消えた。靴作り以外のすべてが彼の中で消えていくように。そして彼は小さな包みをたたみ直し、胸にしまおうとした。だがなお彼女を見つめ、陰気に首を振った。

「違う、違う、違う。お前は若すぎる、咲き誇りすぎている。あり得ない。囚人がどうなったか見ろ。これはあの人の知っていた手ではない。これはあの人の知っていた顔ではない。これはあの人が聞いたことのある声ではない。違う、違う。あの人は――そして彼は――北塔の遅い年月の前に――はるかな昔にいたのだ。お前の名は何という、優しい天使よ?」

その柔らいだ声と態度に希望を見いだし、娘は彼の前に膝をつき、懇願する両手を彼の胸に置いた。

「ああ、旦那さま、別の時なら私の名も、母が誰だったかも、父が誰だったかも、そして私がどうしてそのつらくつらい過去を知らずにいたのかも、知っていただけます。でも今この時に、ここでそれを申し上げることはできません。ここで、今、私が申し上げられるすべては、どうか私に触れ、祝福してくださいますようにという祈りだけです。口づけしてください、口づけしてください! ああ、愛しい方、愛しい方!」

彼の冷たい白い頭は、彼女の輝く髪と入り混じり、その髪はまるで自由の光が彼を照らしているかのように、それを温め、明るくした。

「もし私の声の中に――そうかどうかは分かりません。でもそうであってほしいのです――もし私の声の中に、かつてあなたの耳に甘い音楽だった声に似たものをお聞きになるなら、そのために泣いてください、泣いてください! もし私の髪に触れて、若く自由だったあなたの胸に横たわった愛する頭を思い起こすものがあるなら、そのために泣いてください、泣いてください! もし私が、これから私たちの前にある家のことをほのめかし、そこで私が娘としての務めと忠実な奉仕を尽くし、あなたに真実でいると申し上げるとき、あなたの哀れな心が衰えていったあいだ、長く荒れ果てていた家の記憶を呼び戻すなら、そのために泣いてください、泣いてください!」

彼女は彼の首をいっそう強く抱き、子供のように胸の上で揺すった。

「もし、最愛のあなたに、あなたの苦しみは終わったのだ、私はそこからあなたを連れ出すために来たのだ、そして私たちは安らぎと休息を得るためにイングランドへ行くのだと申し上げるとき、あなたの役に立つはずだった人生が荒らされ、私たちの故国フランスがあなたにあまりにも非道だったことを思い起こさせてしまうなら、そのために泣いてください、泣いてください! そして、私の名を、今も生きている私の父を、亡くなった母をお話しするとき、私が敬愛する父の前にひざまずき、母の哀れな愛が父の苦しみを私から隠していたために、父のために一日中努めず、夜通し眠らず、泣き明かすこともしなかった赦しを乞わねばならないとお知りになるなら、そのために泣いてください、泣いてください! そのときは母のために、そして私のために泣いてください! よい方々、神に感謝してください! 父の聖なる涙を私の顔に感じます。父のすすり泣きが私の胸に打ち当たります。ああ、見てください! 私たちのために神に感謝してください、神に!」

彼は彼女の腕の中に沈み込み、顔を彼女の胸に落としていた。あまりにも心を打つ光景でありながら、その前にあった凄まじい不正と苦しみゆえにあまりにも恐ろしく、見守る二人は顔を覆った。

屋根裏の静けさが長く乱されず、彼の波打つ胸と震える体が、あらゆる嵐のあとに必ず来る静けさへ長く身を委ねたあと――それは人類にとって、人生と呼ばれる嵐が最後には静まらねばならない休息と沈黙の象徴だった――二人は、父と娘を床から起こすために進み出た。彼は徐々に床へ崩れ落ち、疲れ果てて昏睡のように横たわっていた。彼女も彼とともに身を寄せて座り込み、彼の頭が自分の腕に乗るようにしていた。そして垂れた髪が彼の上に幕を作り、光を遮っていた。

「もし父を乱さずに」と彼女は、何度も鼻をかんだあと身をかがめたロリー氏へ手を上げて言った。「私たちがすぐにパリを発つ手はずをすべて整えられるなら、まさにこの扉から、そのまま父を連れ出せるように――」

「だが、考えてください。あの方は旅に耐えられるでしょうか?」ロリー氏が尋ねた。

「この街に留まるよりは、そのほうが耐えられると思います。父にとって、ここはあまりにも恐ろしい場所です。」

「そのとおりだ」と、跪いて見守り、聞いていたデファルジュが言った。「それ以上に、マネット氏はあらゆる理由から、フランスの外にいるのが最善だ。どうする、馬車と駅馬を雇おうか?」

「それが用件だ」とロリー氏は、たちまち几帳面な態度を取り戻して言った。「用件を処理するなら、私がしたほうがよい。」

「では、どうか」とミス・マネットは促した。「私たちをここに残してください。ご覧のとおり、父は落ち着いてきましたし、今なら私と二人にしても怖くはないはずです。なぜ怖がる必要がありましょう? 邪魔が入らないよう扉に鍵をかけてくだされば、戻っていらしたとき、父は今と同じように静かでいるはずです。いずれにせよ、あなた方が戻るまで私が父の世話をします。それからまっすぐ連れ出しましょう。」

ロリー氏もデファルジュも、この方針にはやや気が進まず、どちらか一人が残るべきだと考えていた。だが、馬車と馬だけでなく、旅行証明書も手配しなければならず、日が暮れかけて時間も迫っていたため、ついには急いで必要な用件を分担し、それを果たすために出ていった。

それから、闇が迫る中、娘は父のそばの硬い床に頭を横たえ、彼を見守った。闇はますます濃くなり、二人は静かに横たわっていた。やがて壁の裂け目から光が射した。

ロリー氏とデファルジュ氏は旅の準備をすべて整え、旅用の外套や覆い布に加え、パンと肉、ワイン、熱いコーヒーを持ってきた。デファルジュ氏はこの食料と持っていたランプを靴職人の腰掛けの上に置いた(屋根裏には寝藁の寝台のほか何もなかった)。そして彼とロリー氏は囚われ人を起こし、立ち上がるのを助けた。

彼の顔に浮かんだ、怯えた空白の驚きの中にある心の謎を、いかなる人間の知性も読み取ることはできなかった。何が起こったのかを知っているのか、彼らが言ったことを覚えているのか、自分が自由になったことを知っているのか――どんな賢さをもってしても答えられない問いだった。彼らは彼に話しかけようとした。だが彼はあまりにも混乱し、返事もひどく遅かったため、その当惑ぶりに恐れをなし、しばらくはこれ以上彼に手を加えないことに同意した。彼には、ときおり両手で頭を抱える、野生的で迷い子のような様子があり、それは以前には見られなかった。とはいえ、娘の声そのものにはいくらか喜びを感じているようで、彼女が話すと必ずその声の方を向いた。

強制のもとで従うことに長く慣れた者の従順な仕方で、彼は与えられた食べ物と飲み物を口にし、着るようにと渡された外套や覆いを身につけた。娘が自分の腕を彼の腕に通すと、彼はすぐに応じ、彼女の手を両手で取り、そして離さなかった。

彼らは降りはじめた。デファルジュ氏がランプを持って先頭に立ち、ロリー氏が小さな一行の最後を締めた。長い主階段をいくらも進まないうちに、彼は立ち止まり、屋根を見上げ、壁の周りを見回した。

「ここを覚えていらっしゃいますか、お父さま? ここへ上ってきたことを覚えていらっしゃいますか?」

「何と言った?」

だが彼女が問いを繰り返す前に、彼はまるで彼女が繰り返したかのように答えをつぶやいた。

「覚えている? いや、覚えていない。あまりにも昔のことだ。」

彼が自分の監獄からこの家へ連れてこられたことを、まったく覚えていないのは明らかだった。彼らは彼が「北塔、百五号」とつぶやくのを聞いた。そして彼が周囲を見回すとき、それは明らかに、長いあいだ自分を囲んでいた堅固な城塞の壁を探しているのだった。中庭に着くと、彼は跳ね橋を予期しているかのように、本能的に足取りを変えた。そして跳ね橋がなく、開けた通りに馬車が待っているのを見ると、娘の手を放し、また頭を抱えた。

扉の周りに群衆はいなかった。たくさんある窓のどれにも人影は見えなかった。通りには偶然の通行人さえいなかった。そこには不自然な沈黙と無人の気配が支配していた。ただ一つの魂だけが見えた。それはデファルジュ夫人だった。彼女は戸柱にもたれて編み物をし、何も見ていなかった。

囚人が馬車に乗り、娘もそのあとに続いたとき、ロリー氏の足は踏み段の上で止められた。彼が惨めな様子で、靴作りの道具と未完成の靴を求めたからだ。デファルジュ夫人はすぐ夫に、自分が取ってくると呼びかけ、編み物をしながらランプの光の外へ出て、中庭を抜けていった。彼女は素早くそれらを持って降りてきて、馬車の中へ手渡した。そしてその直後にはまた戸柱にもたれて編み物をし、何も見ていなかった。

デファルジュは御者台に乗り、「関門へ!」と命じた。

騎乗の御者は鞭を鳴らし、一行は弱々しく頭上で揺れるランプの下を、がらがらと走り去った。

頭上で揺れるランプの下を――よい通りではいっそう明るく揺れ、悪い通りではいっそう暗く揺れるその下を――灯りのともる店々、陽気な群衆、明るく照らされた喫茶店、劇場の入口のそばを通って、市門の一つへ。そこにある詰所には、ランタンを持った兵士たちがいた。「旅人、通行証を!」。「ではこちらをご覧ください、士官殿」とデファルジュは降り、相手を厳かに脇へ連れていって言った。「これは中にいる、白髪の旦那の書類です。あの方とともに私へ預けられました、あの――」そこで彼は声を落とした。軍のランタンの間にざわめきが起こり、その一つが制服の腕によって馬車の中へ差し入れられた。その腕につながる目は、白髪の旦那を、昼でも夜でも見慣れた目つきではない目で見た。「よろしい。進め!」と制服の男。「さらば!」とデファルジュ。そして、しだいに弱くなる頭上のランプの短い林の下を抜け、星々の大きな林の下へ出た。

動かぬ永遠の光のアーチの下で――そのいくつかは、この小さな地球からあまりにも遠く、学者たちによれば、その光が、苦しみや営みのある空間の一点としてこの地球をまだ見つけたかどうかさえ疑わしいという――夜の影は広く黒かった。夜明けまでの、寒く落ち着かない時間のあいだじゅう、それらの影はふたたびジャービス・ロリー氏の耳にささやいた。掘り出された埋葬者の向かいに座り、この人からどんな精妙な力が永遠に失われ、何が取り戻され得るのかを思いながら、昔の問いを。

「生き返らされることを、お望みですか?」

そして昔の答えを。

「何とも言えません。」

第一部 終わり。

第二部――金の糸

第一章 五年後

テンプル・バーのそばにあるテルソン銀行は、一七八〇年においてさえ古風な場所だった。ひどく小さく、ひどく暗く、ひどく醜く、ひどく不便だった。さらにその古風さは道徳的属性にも及んでおり、商会の共同経営者たちは、その小ささを誇り、その暗さを誇り、その醜さを誇り、その不便さを誇っていた。それらの点で卓越していることを自慢さえし、もし少しでも不快でなくなれば、少しは品格が落ちるのだという明白な確信に燃えていた。それは受け身の信念ではなく、より便利な営業所に対して振りかざす能動的な武器だった。テルソンには(彼らは言った)肘を張る余地など要らない。テルソンには光など要らない。テルソンには飾りなど要らない。ノークス商会なら、あるいはスヌークス兄弟商会なら必要かもしれない。だがテルソンには、ありがたいことに――! 

共同経営者の誰であれ、テルソンを建て替えるという問題になれば、自分の息子を勘当しただろう。この点で、この商会は国家とよく似ていた。国家もまた、長いあいだひどく不都合だったものの、だからこそいっそう尊重されていた法律や慣習の改善を提案した息子たちを、実にしばしば勘当していたからだ。

こうしてテルソンは、不便の勝ち誇った完成形となった。喉の奥で弱々しくがたつく、馬鹿げた頑固さの扉を押し開けると、二段下ってテルソンへ転がり込み、二つの小さなカウンターがあるみじめな小店で我に返る。そこでは最古参の男たちが、いつもフリート街からの泥のシャワーを浴びている、もっとも薄汚れた窓辺で署名を調べるあいだ、あなたの小切手を、風がかすめたかのように震わせる。その窓は本来の鉄格子と、テンプル・バーの重い影とによって、さらに薄暗くされていた。あなたの用件が「商会」と会う必要を生じさせるなら、あなたは奥の死刑囚収容所めいた場所へ入れられ、商会が両手をポケットに突っ込んでやってくるまで、人生を無駄にしてきたことを思いめぐらすことになる。そして陰惨な薄闇の中で、それをほとんどまばたきもできず見つめるのだ。あなたの金は、虫食いだらけの古い木の引き出しから出てきたり、そこへ入っていったりする。その引き出しが開け閉めされると、木屑が鼻へ舞い上がり、喉へ落ちた。あなたの銀行券は、まるで急いでまたぼろ布へ分解されつつあるかのように、かび臭かった。あなたの銀器は近所の汚水溜めの間にしまい込まれ、悪しき交わりはその立派な輝きを一日二日で損なった。あなたの証書は、台所や食器洗い場を急ごしらえで改造した金庫室へ入り、羊皮紙から脂をすっかり吐き出して銀行の空気へ滲ませた。家族書類の軽い箱は階上のバルメサイドの部屋[訳注:『千夜一夜物語』に由来する、料理のない宴席を指す語]へ上げられた。そこにはいつも大きな食卓があるのに、食事は決してなかった。そして一七八〇年においてさえ、昔の恋人や幼い子供たちからあなたへ初めて書かれた手紙は、テンプル・バーにさらされた首に窓からじろじろ覗かれる恐怖から、ようやく解放されたばかりだった。その無感覚な残忍さと獰猛さは、アビシニアやアシャンティにふさわしいほどのものだった。

しかし実際、当時は、死刑にすることがあらゆる商売や職業で大いに流行していた処方であり、テルソンもその例外ではなかった。死は万物に対する自然の治療法である。ならば立法の治療法であってなぜ悪い? したがって、偽造者は死刑にされた。悪い手形を流通させた者は死刑にされた。手紙を不法に開けた者は死刑にされた。四十シリング六ペンスを盗んだ者は死刑にされた。テルソンの戸口で馬を預かり、その馬とともに逃げた者は死刑にされた。悪い一シリング硬貨を造った者は死刑にされた。犯罪という全音階のうち四分の三の音を鳴らした者たちは、死刑にされた。予防という点で少しも役に立ったわけではない――実はまったく逆だったと言ってもよいほどだ――だが、それぞれの事件の厄介事を(この世に関しては)片づけ、それに関わるほかの何かを面倒見る必要を残さなかった。こうしてテルソンは、その時代において、同時代のより大きな商売場所と同じく、非常に多くの命を奪ってきたので、もしその前に低くされた首が私的に処分される代わりにテンプル・バーに並べられていたなら、おそらく一階に入るわずかな光を、かなり意味深い形で遮っていただろう。

テルソンでは、あらゆる種類の薄暗い戸棚や小部屋に窮屈に押し込められながら、最古参の男たちが厳かに仕事を続けていた。テルソンのロンドン本店に若者を採用すると、彼らはその若者をどこかに隠し、年を取るまで見せなかった。チーズのように暗い場所に置き、テルソン特有の風味と青かびが十分につくまで保管した。それから初めて、若者は人前に出ることを許された。大きな帳簿をじっと覗き込み、半ズボンとゲートルをこの店全体の重みへ加える、見世物のような姿で。

テルソンの外――呼び込まれない限り、決して中ではなかった――には、雑役夫、臨時の門番兼使い走りがいて、この家の生きた看板を務めていた。彼は営業時間中、用事で出ている時を除いて決して不在ではなく、その場合には息子が代役をした。十二歳のぞっとするような小僧で、父親そっくりだった。人々は、テルソンが威厳をもってその雑役夫を容認しているのだと理解していた。この店はいつも、そうした役割の者を誰かしら容認してきており、時と潮の流れがこの人物をその地位へ漂着させたのだった。彼の姓はクランチャーで、ハウンズディッチの東寄りの教区教会で、暗黒のわざを代理人を通じて退けた幼少の折、ジェリーという追加の呼び名を授けられていた。

場面はホワイトフライアーズのハンギング・ソード・アレイにあるクランチャー氏の個人住居。時は、主の年一七八〇年三月の風の強い朝、七時半である。(クランチャー氏自身はいつも「主の年」を「アンナ・ドミノーズ」と言っていた。どうやらキリスト紀元は、ある婦人が自分の名を与えた人気遊戯の発明に始まると思い込んでいたらしい。)

クランチャー氏の住まいは、芳しい界隈にはなく、ガラス一枚のはまった物入れを一室と数えても、部屋は二つしかなかった。だが、たいそうきちんと保たれていた。風の強い三月の朝、まだ早いというのに、彼が寝床に横たわっている部屋はすでに隅々まで磨かれていた。朝食用に並べられたカップと受け皿と、重たげな松材のテーブルとの間には、たいそう清潔な白い布が敷かれていた。

クランチャー氏は、家にいるハーレクイン[訳注:道化役の一種。派手な継ぎはぎ衣装で知られる]のように、継ぎはぎの掛け布団の下で休んでいた。最初は深く眠っていたが、しだいに寝床の中で転がり、うねりはじめ、ついに表面へ浮上した。そのとき、針のような髪は、シーツをずたずたに裂いてしまいそうに見えた。そしてその瞬間、彼は恐ろしい苛立ちの声で叫んだ。

「くそったれ、またやってやがる!」

秩序正しく働き者らしい女が、隅で膝をついていた姿勢から立ち上がった。その慌てぶりとおびえぶりから、言及された人物が彼女であることは十分に分かった。

「何だ!」クランチャー氏は寝床から身を乗り出し、長靴を探しながら言った。「またやってるのか、ええ?」

朝に向かってこの二度目の挨拶を投げかけると、彼は三度目の挨拶として女に長靴を投げつけた。それはひどく泥だらけの長靴だった。そしてここで、クランチャー氏の家政にまつわる奇妙な事情を紹介しておいてよい。彼は銀行の営業時間後、しばしばきれいな長靴で帰宅したにもかかわらず、翌朝起きると同じ長靴が粘土まみれになっていることがよくあったのだ。

「何だ」とクランチャー氏は、的を外したあと呼びかけ方を変えて言った。「何を企んでるんだ、このアゲラウェイターめ?」

「お祈りをしていただけです。」

「お祈りだと! たいした女だな! なんのつもりでぺたんとひざまずいて、俺に逆らって祈ってやがる?」

「あなたに逆らって祈っていたのではありません。あなたのために祈っていたのです。」

「違うね。たとえそうだとしても、そんな勝手は許さねえ。おい! お前の母親はたいした女だぞ、若いジェリー。父ちゃんの繁盛に逆らって祈ってやがる。親孝行な母親を持ったもんだな、息子よ。信心深い母親を持ったもんだな、坊主。ぺたんとひざまずいて、一人息子の口からパンとバターがもぎ取られるよう祈ってやがるんだからな。」

クランチャー坊や(シャツ姿だった)はこれを大いに不愉快に受け取り、母のほうを向いて、自分の食卓が祈りで消し飛ばされることに強く反対した。

「それで、お前はどう思ってるんだ、このうぬぼれ女め」とクランチャー氏は、自分でも気づかぬ矛盾を含んで言った。「お前の祈りにどれほどの値打ちがあると思ってる? お前の祈りにいくらの値をつけるか言ってみろ!」

「心から出ているだけです、ジェリー。それ以上の値打ちはありません。」

「それ以上の値打ちはない」とクランチャー氏は繰り返した。「じゃあ大した値打ちはねえな。どっちにしろ、俺は祈りで邪魔されるのはごめんだと言ってるんだ。そんな余裕はねえ。お前のこそこそで運を悪くされてたまるか。どうしてもぺたんとひざまずかなきゃならねえなら、亭主と子供の味方としてひざまずけ。敵に回るんじゃねえ。俺に不自然な女房でない女房がいて、この可哀想な坊主に不自然な母親でない母親がいりゃ、先週は少しは金ができていたかもしれねえんだ。ところが逆祈りと逆掘りと、信心深い回り込みで、最悪の運に落とし込まれた。く、く、くそったれ!」この間ずっと服を着ていたクランチャー氏は言った。「敬虔だの、いまいましいあれこれだので、この一週間、哀れな正直商売人が遭う最悪の不運にだまし込まれたんだ! 若いジェリー、服を着ろ、坊主。俺が長靴を磨いているあいだ、ときどき母ちゃんを見張ってろ。またぺたんの気配があったら呼べ。というのもだ」とここで彼はふたたび妻に向かった。「俺はこんなふうにやられるのはごめんだからな。俺は辻馬車みたいにがたがただし、アヘンチンキみたいに眠いし、筋という筋は痛みで分かるからまだいいものの、でなきゃどれが俺でどれが他人か分からねえほど引きつってる。それなのに懐は少しもよくならねえ。俺が懐をよくできないよう、お前が朝から晩までやっていたんじゃないかと疑ってるんだ。俺は我慢しねえぞ、アゲラウェイター。さあ、何と言う!」

さらに「ふん! そうだろうよ! お前は信心深いんだもんな。亭主と子供の利益に逆らうなんてしないよな? お前はしないとも!」といった言葉を唸り、怒りという回転砥石から別の皮肉の火花を散らしながら、クランチャー氏は長靴磨きと仕事に向かう全般的な準備に取りかかった。そのあいだ、父親よりも柔らかい針で頭を飾り、父親と同じように若い目が互いに近く寄っている息子は、求められた見張りを母親に対して続けた。彼は身支度をする寝室代わりの物入れから時おり飛び出し、押し殺した声で「母ちゃん、ぺたんしようとしてる。――おーい、父ちゃん!」と叫んでは、その偽の警報を立てたあと、不孝なにやにや笑いとともにまた飛び込んで、哀れな女を大いに動揺させた。

朝食に来たとき、クランチャー氏の機嫌は少しもよくなっていなかった。彼はクランチャー夫人が食前の祈りを唱えることに、とくに敵意を燃やした。

「おい、アゲラウェイター! 何をしてる? またか?」

妻は、ただ「祝福をお願いした」だけだと説明した。

「やめろ!」クランチャー氏は、妻の願いの効力でパンが消えるのを半ば予期しているように周囲を見回しながら言った。「俺は祝福されて家も食い物も失う気はねえ。食い物を祝福で食卓から消されてたまるか。じっとしてろ!」

ひどく目を赤くし、陰気な顔で、まるで一晩中、少しも陽気でない方向に進んだ宴会に出ていたかのように、ジェリー・クランチャーは朝食を食べるというより痛めつけ、動物園の四足獣のように唸りながらそれを済ませた。九時近くになると彼は乱れた外見をなでつけ、生まれつきの自分の上にできるだけ立派で仕事向きの外観をかぶせ、日の仕事へと出かけた。

彼は自分を「正直な商売人」と呼ぶのが好きだったが、それにもかかわらず、それを商売と呼ぶのは難しかった。

彼の資本は木の腰掛け一つだった。背の壊れた椅子を切り詰めて作ったもので、若いジェリーが父の横を歩きながら、毎朝それを銀行の建物の、テンプル・バーに最も近い窓の下まで運んだ。そこでは、通りかかる車から拾える最初の一握りの藁を足元に敷き、雑役夫の足を寒さと湿気から守ると、それがその日の野営地となった。その持ち場にいるクランチャー氏は、フリート街とテンプル地区に、テンプル・バーそのものと同じくらいよく知られていた。そして、ほとんど同じくらい内側をうかがっているように見えた。

九時十五分前、テルソンへ入っていく最古参の男たちに三角帽をちょいと触れて挨拶するのに十分な時間に野営を整え、ジェリーはこの風の強い三月の朝、自分の持ち場についた。若いジェリーは、テンプル・バーを抜けて襲撃に出かけ、彼の親切な目的にかなうほど小さい通りすがりの少年たちに鋭い肉体的・精神的損害を与えていないときは、そのそばに立っていた。父と息子は互いにひどくよく似ており、フリート街の朝の往来を黙って眺める二つの頭は、それぞれの二つの目と同じくらい近く寄っていて、二匹の猿にかなり似ていた。その類似は、成長したジェリーが藁を噛んでは吐き出し、若いジェリーのきらめく目が、フリート街のほかのすべてのものと同じくらい落ち着きなく彼を見張っているという偶然の事情によって、少しも弱められなかった。

テルソンの内部に属する常勤の使いの一人が戸口から頭を出し、声がかかった。

「門番が要る!」

「やった、父ちゃん! 朝一番の仕事だ!」

こうして親に幸先を祝う言葉をかけると、若いジェリーは腰掛けに座り、父が噛んでいた藁の相続権を行使し、考え込んだ。

「いっつも錆びてる! 父ちゃんの指はいっつも錆びてる!」若いジェリーはつぶやいた。「父ちゃんはあんな鉄錆をどこから持ってくるんだ? ここじゃ鉄錆なんかつかねえのに!」

第二章  一つの光景

「オールド・ベイリーのことは、よく知っているだろう、もちろん?」最古参の書記の一人が、使い走りのジェリーに言った。

「へえ、まあ、旦那」とジェリーは、どこか頑固そうに答えた。「ベイリーなら、存じております。」

「よろしい。それからロリー氏も知っているな。」

「ロリー氏なら存じております、旦那。ベイリーよりずっとよく存じております。ずっとです」とジェリーは、まるで当の施設に引っぱり出された気の進まない証人のように言った。「正直な商売人としては、ベイリーなんぞ、あまり知りたくはございませんので。」

「結構。証人たちが入る扉を探して、門番にこのロリー氏宛ての手紙を見せなさい。そうすれば中へ入れてくれる。」

「法廷の中へでございますか、旦那?」

「法廷の中へだ。」

クランチャー氏の両目は、少し互いに近づいたように見え、そこで「こいつをどう思う?」という問いを交わしたらしかった。

「法廷で待っていればよろしいので、旦那?」彼はその協議の結果として尋ねた。

「今から説明する。門番がその手紙をロリー氏に渡す。君はロリー氏の注意を引くような身ぶりをして、自分がどこに立っているか示すのだ。それから君のすることは、彼が君を必要とするまでそこにいることだ。」

「それだけでございますか、旦那?」

「それだけだ。彼は使いの者を手近に置いておきたい。この手紙は、君がそこにいると知らせるためのものだ。」

年老いた書記がゆっくりと手紙を折り、宛名を書いているあいだ、クランチャー氏は黙って相手を見つめていたが、吸い取り紙の段階に入ったところで口を開いた。

「今朝は文書偽造の裁判でもやるんでしょうかね?」

「反逆罪だ!」

「八つ裂きってやつですな」とジェリーは言った。「野蛮な!」

「それが法だ」と年老いた書記は、驚いた眼鏡を彼へ向けて言った。「それが法なのだ。」

「人を台無しにするなんざ、法ってのは酷いもんだと思いますね。殺すだけでも十分酷いが、台無しにするってのは、じつに酷いもんです、旦那。」

「まったくそんなことはない」と年老いた書記は応じた。「法については良く言いなさい。君は胸と声に気をつけることだ、友よ。そして法は法自身に任せておく。忠告しておくよ。」

「湿気でございますよ、旦那、胸と声にこびりつくのは」とジェリーは言った。「わしの生計の立て方がどんなに湿っぽいものか、旦那のご判断にお任せします。」

「まあ、まあ」と老書記は言った。「われわれは皆、それぞれ生計を立てる道がある。湿っぽい道もあれば、乾いた道もある。これが手紙だ。行きなさい。」

ジェリーは手紙を受け取り、外面ではそれなりに敬意を示しながらも、内心ではそれよりずっと遠慮なく「旦那だって、ずいぶん痩せこけた年寄りじゃねえか」とつぶやき、一礼して、途中で息子に行き先を知らせ、その場を去った。

当時、絞首刑はタイバーンで行われていたので、ニューゲートの外の通りには、のちにまとわりつくことになるあの悪名の一つは、まだ付いていなかった。だが監獄はひどい場所で、たいていの放蕩と悪事が行われ、恐ろしい病がそこに巣食い、囚人とともに法廷へ入り込み、ときには被告席からまっすぐ首席裁判官閣下その人へ飛びかかり、法壇から引きずり下ろすこともあった。黒帽をかぶった裁判官が囚人の運命を宣告すると同時に、自分自身の死刑判決をも同じ確かさで言い渡し、囚人より先に死ぬことさえ、一度ならずあったのである。そのほか、オールド・ベイリーは死の宿場の中庭のようなものとして名高かった。そこから青ざめた旅人たちが、荷車や馬車に乗せられて、絶えずあの世への荒々しい旅へ出発していったのだ。市中の通りと街道を二マイル半(約四キロ)ほど横切っていきながら、善良な市民の恥を誘うことなど、あったとしてもごくわずかだった。慣習とはかくも強力であり、だからこそ初めに良い慣習であることがどれほど望ましいことか。そこはまた、さらし台でも名高かった。罰の及ぶ範囲を誰にも予見できない罰を科す、賢い古き制度である。また鞭打ち柱でも名高かった。実施されるところを眺めると、人間性をたいへん豊かにし、心をやわらげる、これまた愛すべき古き制度である。さらに血の報奨金をめぐる大がかりな取引でも名高かった。これもまた祖先伝来の知恵の断片で、天の下で犯し得るかぎり最もおぞましい金目当ての犯罪へ、制度的に人を導くものであった。総じて、当時のオールド・ベイリーは、「存在するものはすべて正しい」という教訓を示す、選り抜きの実例だった。その格言は、怠惰であるのと同じくらい決定的なものになり得ただろう。ただし、厄介な帰結を含んでいなければ、である。すなわち、かつて存在したものは何一つ誤りではなかった、という帰結を。

この忌まわしい舞台のあちこちに散らばる、汚れた群衆のあいだを、静かに道を切り開くことに慣れた男の巧みさで進みながら、使者は目当ての扉を見つけ、その扉の小窓から手紙を差し入れた。というのも当時の人々は、ベドラムの芝居を見るのに金を払ったのと同じように、オールド・ベイリーの芝居を見るのにも金を払ったからである。ただし前者の見世物のほうが、ずっと高かった。したがって、オールド・ベイリーの扉はどれも厳重に守られていた――もっとも、犯罪者たちがそこへ入ってくる社会の扉だけは別で、その扉はいつも大きく開け放たれていた。

しばらくの遅れと渋りのあと、扉は不承不承、蝶番をきしませてほんの少しだけ開き、ジェリー・クランチャー氏が身を押し込んで法廷へ入るのを許した。

「何をやってるんだ?」彼は、隣にいた男へ小声で尋ねた。

「まだ何も。」

「これから何が始まる?」

「反逆罪の裁判だ。」

「八つ裂きのやつか?」

「ああ!」男はうまそうに言った。「そいつは障害物に乗せられて引かれ、半吊りにされ、それから下ろされて、自分の目の前で切り刻まれ、見ているあいだに腹の中身を取り出されて焼かれ、それから首を斬られ、四つに切り分けられる。そういう判決だ。」

「有罪になれば、ってことだろ?」

ジェリーは但し書きのつもりで付け加えた。

「おお! 有罪にするさ」と相手は言った。「そこは心配するな。」

ここでクランチャー氏の注意は門番にそれた。手に手紙を持ってロリー氏のほうへ進んでいくのが見えたのである。ロリー氏は、かつらをかぶった紳士たちのあいだの卓についていた。彼のすぐ近くには、同じくかつらをかぶった紳士、すなわち囚人の弁護人がいて、目の前に大量の書類を置いていた。そしてほぼ向かいには、もう一人のかつらをかぶった紳士が、両手をポケットに突っ込み、クランチャー氏がそのとき見ても、その後見ても、その注意のすべてを法廷の天井に集中しているように見えた。ジェリーは何度か荒っぽく咳払いし、顎をこすり、手で合図をして、彼を探そうと立ち上がっていたロリー氏の注意を引いた。ロリー氏は静かにうなずき、また腰を下ろした。

「あいつはこの事件とどう関係があるんだ?」さっき話した男が尋ねた。

「知るもんか」とジェリーは言った。

「じゃあ、あんたはこれとどう関係があるんだ、聞いてもいいなら?」

「それも知るもんか」とジェリーは言った。

裁判官の入廷と、それに続く法廷の大きなざわめきと着席が、会話を止めた。やがて、被告席が関心の中心になった。そこに立っていた二人の看守が出ていき、囚人が連れてこられ、柵の前に立たされた。

天井を見ていたかつらの紳士一人を除いて、その場の誰もが彼を見つめた。その場にある人間の息がすべて、海のように、風のように、火のように、彼へ押し寄せた。熱心な顔が柱や角のまわりから身を伸ばし、彼を見ようとした。後列の見物人は髪の一本も見逃すまいと立ち上がった。法廷の床にいる人々は、前にいる人々の肩に手を置き、誰を犠牲にしてでも彼を見ようとした――つま先立ちになり、縁に乗り、ほとんど何もないようなものの上に立って、彼の全身をくまなく見ようとした。その後者の中でもひときわ目立って、ニューゲートの釘を打った壁の一片が動き出したかのように、ジェリーは立っていた。途中で一杯ひっかけてきたビール臭い息を囚人へ向け、それを吐き出して、ほかのビールやジンや茶やコーヒーや何やかやの波と混ぜ合わせた。それらは囚人へ流れ寄り、すでに彼の背後の大きな窓へ、不浄な霧と雨となって打ちつけていた。

この注視と喧騒の的になっていたのは、二十五歳ほどの若い男で、よく育ち、容姿もよく、日に焼けた頬と黒い目をしていた。身なりからすれば若い紳士であった。黒、あるいはきわめて濃い灰色の質素な服を着ており、長く黒い髪は、飾りというより邪魔にならないよう、首の後ろでリボンでまとめていた。心の動揺というものが身体のどんな覆いを通しても表れるように、彼の置かれた状況が生んだ青白さは、頬の日焼けを透かして現れ、魂が太陽よりも強いことを示していた。そのほかはまったく落ち着いていて、裁判官に一礼し、静かに立っていた。

この男が見つめられ、息を吹きかけられていた、その関心のありようは、人間性を高める類いのものではなかった。もし彼がもっと恐ろしくない判決の危険にさらされていたなら――その残虐な細部のどれか一つでも免れる見込みがあったなら――その分だけ、彼の魅力は減じていただろう。あれほど恥ずべき形で損なわれる運命にある肉体こそが見世物だった。あれほど屠られ、引き裂かれることになる不滅の被造物こそが刺激を与えていた。さまざまな見物人が、それぞれの術と自己欺瞞の力に応じて、その関心にどのような上塗りをしていようとも、その根は鬼じみたものだった。

法廷、静粛に! チャールズ・ダーニーは、昨日、彼を告発する起訴状に対して無罪を申し立てていた。その起訴状は、無限のがちゃがちゃした文句を連ねながら、彼が、われらが穏やかにして輝かしく、卓越したる、云々の君主、われらが主たる国王に対する不実なる反逆者であると断じていた。すなわち、彼は幾度も、さまざまな手段と方法によって、フランス国王ルイを、われらが前記の穏やかにして輝かしく、卓越したる云々に対する戦争において援助したというのである。つまり、われらが前記の穏やかにして輝かしく、卓越したる云々の領土と、前記フランスのルイの領土とのあいだを行き来し、悪意をもって、不実に、反逆的に、その他あらゆる悪副詞的なやり方で、われらが前記の穏やかにして輝かしく、卓越したる云々がカナダおよび北アメリカへ派遣する準備をしていた兵力を、前記フランスのルイへ漏らしたというのであった。この程度のことを、法律用語が逆立たせるにつれてますます頭を尖らせながら、ジェリーは大いなる満足とともに読み取り、かくして遠回りの末に理解へたどり着いた。すなわち、前記の、そして何度も前記の、チャールズ・ダーニーが目の前に立って裁かれていること。陪審員が宣誓していること。そして法務長官閣下が発言の準備をしていることを。

その場の誰からも、心の中で吊るされ、首を斬られ、四つ裂きにされている被告は、その状況にひるみもしなければ、芝居がかった態度を取ることもなかった。静かで注意深く、冒頭の手続きを重々しい関心をもって見守っていた。そして両手を前の木の台に置いて、あまりにも落ち着いて立っていたので、そこに撒かれていた香草の葉一枚さえ動かしていなかった。法廷中には、監獄の空気と監獄熱を防ぐ用心として、香草が撒かれ、酢が振りかけられていた。

囚人の頭上には、光を彼へ落とすための鏡があった。邪悪で惨めな群衆がそこに映り、その表面からも、この世からも、同時に過ぎ去っていった。その鏡がいつの日か海が死者を返すように、映したものを返すことができたなら、あの忌まわしい場所は、世にも凄惨な形で亡霊に満ちていたに違いない。その鏡が取っておかれた不名誉と恥辱についての一瞬の思いが、囚人の心を打ったのかもしれない。いずれにせよ、姿勢を変えたことで、顔に横切る光の筋に気づいた彼は、見上げた。そして鏡を見ると顔を赤らめ、右手で香草を押しのけた。

その動作のために、彼の顔は法廷の左側へ向いた。彼の目とほぼ同じ高さ、裁判官席のその隅に、二人の人物が座っており、彼の視線はすぐにその二人へ留まった。あまりに即座に、そして彼の表情をあまりに大きく変えたため、彼に向けられていたすべての目が、そちらへ移った。

見物人がその二人の姿に見たのは、二十歳を少し過ぎた若い婦人と、明らかにその父親である紳士だった。その男は、髪の完全な白さと、顔に宿るある言いようのない強烈さにおいて、きわめて目を引く容貌をしていた。それは活動的な強さではなく、思案し、自らと語り合うような強さだった。この表情が彼にあると、彼は老人のように見えた。だがそれが揺さぶられ、砕かれると――今、娘に話しかけた瞬間のように――まだ盛りを過ぎてはいない、美しい男になった。

娘は父のそばに座り、片手を父の腕に通し、もう片方の手をその腕に押し当てていた。この場の恐ろしさと、囚人への哀れみのために、彼女は父に身を寄せていた。その額には、被告の危機以外は何も見えていない、心を奪われた恐怖と憐憫が、痛ましいほどはっきり表れていた。それはあまりにも目立ち、あまりにも力強く自然に示されていたので、彼に何の同情も持っていなかった見物人たちまで、彼女に心を動かされた。そして「誰だ、あれは?」というささやきが広がった。

使者ジェリーは、自分流に観察していたが、夢中になるあまり指から錆を吸っていた。その彼は、二人が誰なのか聞こうと首を伸ばした。周囲の群衆はその問いを押し合いへし合いして最寄りの係官へ伝え、そこからまたよりゆっくりと押し戻され、ついにジェリーのところへ来た。

「証人だ。」

「どちら側の?」

「不利なほう。」

「何に不利なんだ?」

「囚人にさ。」

裁判官は、皆と同じ方向へ向いていた目を戻し、席にもたれて、命をその手中に握られている男をじっと見つめた。そのとき、法務長官閣下が立ち上がり、縄をなうため、斧を研ぐため、そして足場に釘を打ち込むために、口を開こうとしていた。

第三章  期待外れ

法務長官閣下は陪審員に告げねばならなかった。目の前の囚人は、年こそ若いが、その命を没収されるべき反逆行為においては年季が入っている、と。この公敵との通牒は、今日や昨日、あるいは昨年や一昨年に始まったものではない、と。囚人がそれよりも長い期間にわたり、正直に説明できない秘密の用件でフランスとイングランドのあいだを往来し続けていたことは確実である、と。もし反逆の道が栄える性質のものであったなら(幸いにも、そうであったためしはないが)、彼の仕事の真の悪質さと罪は発覚しないままだったかもしれない、と。しかしながら神慮は、恐れを知らず、非難を受けるところもない一人物の胸に、囚人の企ての性質を探り出そうという思いを植えつけ、その人物は恐怖に打たれて、それを陛下の国務大臣長官ならびにいとも高貴なる枢密院に暴露した、と。この愛国者は、諸君の前に出廷するであろう、と。その立場と態度は、全体として崇高である、と。彼は囚人の友人であったが、吉なる時にしてまた凶なる時に、囚人の恥ずべき行為を見破り、もはや胸に抱いておけぬ反逆者を、祖国の神聖なる祭壇に犠牲として捧げる決意をした、と。もし古代ギリシアやローマのように、ブリテンでも公共の恩人に彫像が定められるなら、この輝かしい市民には間違いなく像が建てられたであろう、と。だがそう定められていない以上、おそらく彼には像は建たぬであろう、と。徳というものは、詩人たちが述べているように(その多くの一節を、陪審員諸君は一語一句、舌の先に載せていることと存じる――その言葉に陪審員たちの顔には、その一節など何も知らないという罪の意識が浮かんだ)、ある意味で伝染するものである。とりわけ、愛国心すなわち祖国愛として知られる輝かしい徳はそうである、と。この清廉にして非の打ちどころなき王室側証人――いかに拙く触れようとも、言及するだけで名誉となる人物――の高潔な模範は、囚人の召使いにも伝わり、主人の机の引き出しやポケットを調べ、書類をひそかに取っておこうという神聖な決意を彼の内に生んだ、と。彼(法務長官閣下)は、この立派な召使いに対する何らかの中傷が試みられることを覚悟している。だが概して言えば、彼はその召使いを、彼(法務長官閣下)自身の兄弟姉妹よりも好み、彼(法務長官閣下)自身の父母よりも尊敬している、と。彼は陪審員に対し、自信をもって、来たれ、同じくせよと呼びかける、と。この二人の証人の証言と、彼らが発見し提出されることになる文書を合わせれば、囚人が陛下の兵力、その海陸両面における配置と準備の一覧表を所持していたことが明らかになり、そのような情報を彼が常習的に敵対国へ伝えていたことに疑いは残らない、と。これらの一覧表が囚人の筆跡であることは証明できない。だがそれは同じことだ。いやむしろ、囚人が用心深く巧妙であったことを示すものとして、訴追側にはいっそう有利である、と。証拠は五年前にさかのぼり、英国軍とアメリカ人とのあいだで最初の戦闘が行われたその日付の数週間前には、すでに囚人がこの有害な任務に従事していたことを示すであろう、と。これらの理由により、陪審員諸君は忠実なる陪審員であり(彼は諸君がそうであると知っている)、責任ある陪審員である以上(諸君自身がそうであると知っている)、好むと好まざるとにかかわらず、断固として囚人を有罪と認定し、彼に終止符を打たねばならない、と。そうでなければ、諸君は枕に頭を置いて眠ることなど決してできない。諸君の妻が枕に頭を置くなどという考えにも耐えられない。諸君の子供たちが枕に頭を置くなどという想像にも堪えられない。要するに、囚人の首が落とされない限り、諸君にも諸君の家族にも、もはやいかなる頭も枕に置かれることはあり得ない、と。法務長官閣下は最後に、丸めて縄にできそうな思いつく限りのあらゆるものの名において、また囚人はすでに死んで消えたも同然と自分は考えているという厳粛な断言にかけて、その首を陪審員に要求して結んだ。

法務長官が言葉を終えると、法廷には、大きな青蝿の群れが、囚人が間もなくなるものを見越して、その周囲にたかっているかのようなざわめきが起こった。それがまた静まると、非の打ちどころなき愛国者が証人席に現れた。

次席法務官は、上役の導きに従って、その愛国者を尋問した。名をジョン・バーサード、身分は紳士である。その純粋な魂の物語は、法務長官閣下が述べたとおりであった――欠点があるとすれば、あまりにもそのとおりでありすぎたことかもしれない。彼は高貴な胸から重荷を下ろすと、つつましく退こうとした。だがロリー氏の近くに座り、前に書類を置いたかつらの紳士が、いくつか質問したいと申し出た。向かいに座るかつらの紳士は、依然として法廷の天井を見つめていた。

彼はかつて自分自身、密偵だったことがあるか? ない、その卑しいほのめかしを軽蔑する。何で暮らしているのか? 財産で。財産はどこにあるのか? どこにあったか正確には覚えていない。それは何か? 誰にも関係のないことだ。相続したのか? そうだ。誰から? 遠縁の親戚。非常に遠い親戚か? まあそうだ。刑務所に入ったことは? 断じてない。債務者監獄にもないのか? それがこの件とどう関係があるのかわからない。債務者監獄にもないのか? ――さあ、もう一度。ないのか? ある。何度? 二、三度。五、六度ではないのか? かもしれない。職業は? 紳士。蹴られたことはあるか? あったかもしれない。しょっちゅうか? いいや。階段から蹴り落とされたことは? 断じてない。階段の上で一度蹴りを受け、自分の意志で階段を落ちた。さいころでいかさまをしたため、そのとき蹴られたのでは? 暴行を加えた酔っぱらいの嘘つきがそんなようなことを言ったが、事実ではない。事実ではないと誓うか? 断固として。賭博のいかさまで生計を立てたことは? ない。賭博で生計を立てたことは? ほかの紳士たち以上にはない。囚人から金を借りたことは? ある。返したことは? ない。囚人とのこの親密さは、実際にはごく浅いもので、馬車や宿屋や定期船の中で囚人に押しつけられたものではないのか? 違う。囚人がこれらの一覧表を持っているのを見たのは確かか? 確かだ。一覧表についてそれ以上は知らないのか? 知らない。たとえば自分で手に入れたのではないのか? 違う。この証言で何か得るつもりか? ない。罠を仕掛けるため、政府から定期的に給料を受け、雇われているのではないのか? とんでもない。あるいは何かするために? とんでもない。誓うか? 何度でも。純粋な愛国心以外の動機はないのか? まったくない。

徳高き召使いロジャー・クライは、猛烈な勢いで証言を誓い進めた。四年前、誠実で単純な気持ちから囚人に奉公した。カレー行きの定期船で、手の利く男は要りませんかと囚人に尋ね、囚人は彼を雇った。慈善行為としてその手の利く男を雇ってくれと頼んだわけではない――そんなことは考えもしなかった。まもなく囚人に疑いを抱き、監視するようになった。旅行中に衣服を整えていると、囚人のポケットの中に、これらと同じような一覧表を何度も見た。これらの一覧表は囚人の机の引き出しから取った。先に自分がそこへ入れたのではない。カレーで囚人がこの同一の一覧表をフランス人紳士たちに見せ、また同様の一覧表をカレーでもブローニュでもフランス人紳士たちに見せたのを見た。彼は祖国を愛しており、それに耐えられず、通報した。銀のティーポットを盗んだ疑いをかけられたことは一度もない。マスタード入れについて中傷されたことはあるが、結局それは銀メッキ品にすぎないと判明した。前の証人とは七、八年前から知り合いである。それは単なる偶然である。特に奇妙な偶然だとは思わない。偶然というものは大抵奇妙なものだ。真の愛国心だけがの動機でもあったことも、奇妙な偶然とは思わない。彼は真の英国人であり、自分のような者が多くいることを望んでいる。

青蝿たちはまたざわめき、法務長官閣下はジャービス・ロリー氏を呼んだ。

「ジャービス・ロリー氏、あなたはテルソン銀行の行員ですか?」

「そうです。」

「一七七五年十一月のある金曜日の夜、あなたは仕事の都合で、便馬車でロンドンからドーヴァーへ旅をしましたか?」

「しました。」

「その便馬車に、ほかの乗客はいましたか?」

「二人いました。」

「その二人は夜のうちに道中で降りましたか?」

「降りました。」

「ロリー氏、囚人を見てください。彼はその二人の乗客の一人でしたか?」

「そうであったとは断言できません。」

「彼はその二人の乗客のどちらかに似ていますか?」

「二人ともすっかりくるまっていましたし、夜はたいへん暗く、私たちは皆、互いによそよそしかったので、それさえ断言できません。」

「ロリー氏、もう一度囚人を見てください。その二人の乗客と同じようにくるまっていたと仮定して、体格や背丈の点で、彼がその一人であるはずがないと言えるものがありますか?」

「ありません。」

「あなたは、彼がその一人ではなかったとは誓いませんね、ロリー氏?」

「誓いません。」

「では少なくとも、彼はその一人であったかもしれない、とおっしゃるのですね?」

「はい。ただし、二人とも私と同じように――追い剥ぎを怖がっていたと記憶していますが、囚人には怖がるような様子はありません。」

「臆病に見せかける偽物を見たことはありますか、ロリー氏?」

「確かにあります。」

「ロリー氏、もう一度囚人を見てください。あなたの確かな記憶として、以前に彼を見たことがありますか?」

「あります。」

「いつです?」

「その数日後、フランスから戻るときです。カレーで、私が戻るために乗った定期船に囚人が乗り込み、私と同じ航海をしました。」

「何時に乗船しましたか?」

「真夜中を少し過ぎた頃です。」

「夜更けですね。その時ならぬ時刻に乗船した乗客は、彼一人でしたか?」

「たまたま彼一人でした。」

「『たまたま』は結構です、ロリー氏。夜更けに乗船した乗客は、彼一人だったのですね?」

「そうです。」

「あなたは一人旅でしたか、ロリー氏、それとも同行者がいましたか?」

「同行者が二人いました。紳士と婦人です。ここにいます。」

「ここにいるのですね。あなたは囚人と何か会話しましたか?」

「ほとんどありません。天候が荒れていて、航路は長く、揺れも激しく、私は岸から岸まで、ほとんどソファに横になっていました。」

「ミス・マネット!」

前にもすべての目が向けられ、今また向けられた若い婦人が、座っていた場所で立ち上がった。父も彼女とともに立ち、彼女の手を自分の腕に通したままにした。

「ミス・マネット、囚人を見てください。」

そのような憐れみ、そのように真摯な若さと美しさと向き合わされることは、あの群衆全体と向き合わされるよりも、被告にははるかにつらいことだった。墓穴の縁で彼女と二人きりで立っているかのように、見守るすべての好奇の視線も、その瞬間だけは、彼に完全な静止を保たせる支えにはならなかった。彼の右手は慌ただしく、前にある香草を庭の花壇のように想像の区画へ分けた。呼吸を抑え、落ち着かせようとする努力は、色を心臓へ奪われた唇を震わせた。大きな蝿たちのざわめきが、また高くなった。

「ミス・マネット、以前に囚人を見たことがありますか?」

「はい、ございます。」

「どこで?」

「ただいま言及された定期船の船上で、同じ折にでございます。」

「あなたが、先ほど言及された若い婦人ですね?」

「ああ! なんと不幸にも、そうでございます!」

彼女の同情に満ちた哀れな調子は、裁判官の、より音楽的でない声にかき消された。裁判官は激しく何かを言った。「尋ねられた質問に答えなさい。感想を述べてはならん。」

「ミス・マネット、その海峡横断の航海中、囚人と何か会話しましたか?」

「はい、ございます。」

「思い出してください。」

深い静寂の中で、彼女はかすかに話し始めた。「その紳士が乗船なさったとき――」

「囚人のことを言っているのか?」裁判官が眉をひそめて尋ねた。

「はい、閣下。」

「ならば囚人と言いなさい。」

「囚人が乗船したとき、父が」そばに立つ父へ愛情深く目を向けながら、「たいへん疲れており、健康状態もとても弱っていることに気づかれました。父はひどく衰弱していて、空気のあるところから連れ出すのが怖かったため、私は船室へ下りる階段の近くの甲板に父の寝床を作り、父の世話をするため、そのそばの甲板に座っておりました。その夜、乗客は私たち四人のほかにはおりませんでした。囚人は、私がしたよりももっとよく風雨から父を守るにはどうしたらよいか、助言してもよいかと親切に申し出てくださいました。港を出たあと風がどう吹くか私にはわからず、うまくできていなかったのです。囚人が代わりにしてくださいました。父の状態に対して、とても優しさと親切を示してくださいましたし、私は彼が本当にそう感じていたと確信しています。それが、私たちが話し始めた経緯でございます。」

「少し遮ります。彼は一人で乗船しましたか?」

「いいえ。」

「何人が一緒でしたか?」

「二人のフランス人紳士です。」

「彼らは相談し合っていましたか?」

「フランス人紳士たちが自分たちの小舟へ降りなければならない最後の瞬間まで、相談し合っていました。」

「これらの一覧表に似た書類が、彼らのあいだで受け渡しされていましたか?」

「いくつか書類が受け渡しされていましたが、何の書類かは存じません。」

「形や大きさはこれらに似ていましたか?」

「そうかもしれませんが、本当にわかりません。彼らは私のすぐ近くでささやき合っていましたけれど。というのも、そこに吊るされていたランプの明かりを使うため、船室階段の上に立っていたのです。薄暗いランプでしたし、声もとても低く、何を言っているのかは聞こえず、ただ書類を見ていることだけが見えました。」

「では、囚人との会話に戻りましょう、ミス・マネット。」

「囚人は、私の無力な状況からそうなったのですが、私に対して率直に打ち明けてくださり、その率直さは、父に対する親切、善意、有用さと同じほどでした。どうか」と涙をあふれさせながら、「今日、私が彼に害を及ぼすことで、そのご親切に報いることになりませんように。」

青蝿たちのざわめき。

「ミス・マネット、囚人が、あなたが大きな不本意を抱きつつも、自分の義務として述べねばならず、述べるほかなく、述べることを避けられない証言をしているのだと完全に理解していないとすれば、そうした状態にあるのはこの場で彼一人です。どうぞ続けてください。」

「囚人は、自分は繊細で難しい性質の仕事で旅をしており、それは人々を困らせることになりかねず、そのため偽名で旅をしているのだと私に話しました。その仕事のために数日前フランスへ行っており、今後もしばらくは、折にふれてフランスとイングランドのあいだを行ったり来たりすることになるかもしれない、と言いました。」

「アメリカについて何か言いましたか、ミス・マネット? 詳しく。」

「その争いがどのように起こったかを説明しようとして、彼の判断する限りでは、それはイングランド側の誤った愚かな争いだと言いました。そして冗談めかして、ひょっとするとジョージ・ワシントンはジョージ三世とほとんど同じくらい偉大な名を歴史に残すかもしれない、と付け加えました。でも、その言い方に悪意はありませんでした。笑いながら、時間を紛らわせるために言ったのです。」

多くの目が向けられている、非常に興味深い場面の主要人物の顔に何か強い表情が浮かぶと、見物人は無意識にそれをまねるものだ。彼女がこの証言をするあいだ、その額には痛ましいほどの不安と緊張があった。そして裁判官が書き取るために彼女が言葉を止めるたび、その証言が弁護側と訴追側の弁護士たちに及ぼす影響を見守っていた。傍聴人たちのあいだでは、法廷のどのあたりにも同じ表情が広がっていた。そのため、裁判官がメモから顔を上げ、ジョージ・ワシントンについてのあの恐るべき異端をにらみつけたとき、そこにある額の大多数は、証人を映す鏡であったかのようだった。

法務長官閣下はここで閣下に対し、用心と形式の問題として、この若い婦人の父であるマネット博士を呼ぶ必要があると考える、と告げた。そこで博士が呼ばれた。

「マネット博士、囚人を見てください。これまでに彼を見たことがありますか?」

「一度。ロンドンの私の下宿を訪ねてきたときです。三年、あるいは三年半ほど前です。」

「彼が定期船であなたと同船した人物であると確認できますか。あるいは、彼とあなたの娘との会話について証言できますか?」

「閣下、どちらもできません。」

「そのどちらもできないことについて、何か特別な理由がありますか?」

彼は低い声で答えた。「あります。」

「マネット博士、あなたはご自身の国で、裁判もなく、告発さえもなく、長い投獄に遭う不幸を経験されましたか?」

原文

彼は、すべての人の心に届く調子で答えた。「長い投獄でした。」

「問題の時期には、釈放されて間もない頃でしたか?」

「そのように聞いています。」

「その折の記憶はありませんか?」

「ありません。私の心は空白です。いつからか――いつからかさえ言えません――囚われの身で靴作りに従事していた頃から、ここにいる愛しい娘とともにロンドンで暮らしている自分に気づいた時まで、何もありません。慈悲深い神が私の能力を回復してくださったとき、娘は私にとって親しい存在になっていました。けれども、どうして親しくなっていたのかさえ、まったく言えません。その過程の記憶がないのです。」

法務長官閣下は座り、父と娘もともに座った。

そのとき、この事件に奇妙な事情が生じた。目的は、囚人が五年前の十一月のその金曜日の夜、足取りをつかまれない共謀者とともにドーヴァー便馬車で下り、目くらましとして、留まらない場所で夜中に馬車を降り、そこから十数マイル(約二十キロ)以上引き返して、守備隊と造船所のある町へ行き、そこで情報を集めたことを示すことだった。そのため、必要とされるまさにその時刻に、囚人がその守備隊兼造船所の町のホテルの喫茶室で、別の人物を待っていたと確認する証人が呼ばれた。囚人の弁護人はこの証人を反対尋問していたが、囚人を他の機会には一度も見たことがないという事実以外には、何の成果も得られていなかった。そのとき、これまでずっと法廷の天井を見ていたかつらの紳士が、小さな紙片に一語二語を書きつけ、それを丸めて彼に投げた。次の間にこの紙片を開いた弁護人は、囚人をきわめて注意深く、興味深げに見つめた。

「あなたはもう一度、あれが囚人であったとまったく確信していると言うのですね?」

証人はまったく確信していた。

「囚人に非常によく似た人物を見たことはありますか?」

見間違えるほど似ている者はいない、と証人は言った。

「あちらの、わが博識なる同僚をよく見てください」と、紙片を投げた人物を指し示して言った。「それから囚人をよく見てください。どうです? 二人は非常によく似ていますか?」

わが博識なる同僚の外見が、放蕩とまでは言わずとも、だらしなく粗雑であることを差し引いても、二人は十分に似ていた。そのように並べて比較されると、証人だけでなく、その場の誰もが驚いた。閣下に対し、わが博識なる同僚にかつらを外すよう命じていただきたいと願い出があり、閣下があまり快くない同意を与えると、その類似はいっそう著しくなった。閣下はストライヴァー氏(囚人の弁護人)に、次はカートン氏(わが博識なる同僚の名)を反逆罪で裁くのか、と尋ねた。だがストライヴァー氏は閣下に、いいえ、と答えた。ただし証人に尋ねたい、かつて起こったことが二度起こり得るかどうか、この軽率さを示すこの実例をもっと早く見ていたなら同じほど自信を持てたかどうか、またそれを見た今もなお同じほど自信を持つのかどうか、その他もろもろを、と。その結末は、この証人を陶器の器のように打ち砕き、事件の中で彼の担う部分を、役に立たぬがらくたにまで粉々にすることだった。

クランチャー氏は、証言を追ううち、ここまでに指の錆をすっかり昼食代わりにしていた。今度はストライヴァー氏が、囚人の事件をぴったりした一揃いの服のように陪審員へ着せつけるあいだ、耳を傾けねばならなかった。すなわち、愛国者バーサードが雇われた密偵であり裏切り者であり、恥知らずな血の商人であり、呪われたユダ以来、地上最大級の悪党であることを示した――実際、彼はたしかに少しそう見えた。徳高き召使いクライは、その友人であり相棒であり、そうであるに値する者であること。これらの偽造者であり偽証者である者たちの油断ない目が、囚人を犠牲者として捉えたのは、彼がフランス系の出自であるため、フランスでの家族の事情により、海峡を何度も渡る必要があったからであること――ただし、その事情が何であるかは、彼の身近で愛しい者たちへの配慮から、命にかかわっても明かすことが許されないこと。証言する苦しみを陪審員たちが目撃した若い婦人から、ゆがめられ、ねじ取られた証拠は、何の意味もなさないこと。それは、あのように一緒になった若い紳士と若い婦人とのあいだに起こりそうな、些細で無邪気な親切や礼儀にすぎないこと――ジョージ・ワシントンへの言及だけは例外だが、それはあまりに突飛で不可能なため、途方もない冗談以外のものと見ることはできないこと。政府が、最低の国民的反感と恐怖に訴えて人気取りをしようとするこの企みに失敗するのは弱さとなるため、法務長官閣下はそれを最大限に利用したこと。にもかかわらず、それは何の根拠も持たず、ただこの種の事件をあまりにしばしば汚してきた、卑劣で悪名高い性質の証拠にのみ依拠しており、この国の国事裁判はそうしたもので満ちていること。だがそこで閣下が(まるでそれが真実ではないかのような厳粛な顔で)割って入り、自分はこの法壇に座って、そのようなほのめかしを許すことはできない、と言った。

そこでストライヴァー氏は少数の証人を呼び、次にクランチャー氏は、法務長官閣下がストライヴァー氏の陪審員へ着せつけた服を丸ごと裏返しにするあいだ、聞いていなければならなかった。バーサードとクライが、彼の思っていたよりもなお百倍も立派であり、囚人は百倍も悪いことを示したのである。最後に、閣下自身が登場し、その服を裏返したり表に戻したりしながらも、全体としては明らかに、囚人のための死装束へと整え、仕立て上げた。

そして今、陪審員は評議に向き直り、大きな蝿たちがまた群がった。

長いあいだ法廷の天井を見つめて座っていたカートン氏は、この興奮の中でも、場所も姿勢も変えなかった。博識なる同僚ストライヴァー氏が、目の前の書類をまとめ、近くに座る者たちとささやき合い、ときどき心配そうに陪審員へ目をやるあいだ、すべての傍聴人が多かれ少なかれ動き、新たな群れを作るあいだ、閣下自身でさえ席を立ち、法壇の上をゆっくり行き来し、その様子に傍聴人の心には、閣下の状態は熱を帯びているのではないかという疑いが湧かないでもなかったあいだ、この一人の男だけは背にもたれ、破れた法服を半ば脱ぎかけ、乱れたかつらを、一度外したあと頭に落ちたままのようにかぶり、両手をポケットに突っ込み、一日中そうだったように目を天井へ向けて座っていた。その態度にある特別な捨て鉢さは、彼に評判の悪そうな外見を与えただけでなく、彼が疑いなく囚人に持っていた強い類似――二人が比較されたときの一瞬の真剣さが強めた類似――を大きく薄れさせた。そのため、今になって彼に目を留めた傍聴人の多くが、二人がそれほど似ているとはとても思えなかっただろう、と互いに言った。クランチャー氏も隣人にその観察を述べ、付け加えた。「あいつに法律の仕事なんぞ回ってこねえほうに、半ギニー賭けてもいいぜ。仕事をもらえそうな手合いには見えねえだろ?」

それでも、このカートン氏は見た目以上に、その場の細部を取り込んでいた。というのも、今、ミス・マネットの頭が父の胸に落ちたとき、真っ先にそれを見つけ、はっきり聞こえる声で言ったのは彼だったからである。「係官! あの若い婦人を見ろ。紳士が彼女を連れ出すのを手伝え。倒れそうなのがわからないのか!」

彼女が運び出されると、彼女への同情と、父への共感が大いに寄せられた。投獄の日々を思い出させられたことは、明らかに博士にとって大きな苦痛であった。尋問されているあいだ、強い内的動揺を示していたし、彼を老けて見せるあの思案するような、あるいは沈み込むような表情が、それ以来ずっと、重い雲のように彼にかかっていた。彼が退出するとき、戻りかけて一瞬足を止めた陪審員たちが、代表者を通じて発言した。

意見が一致せず、退廷して評議したいとのことだった。閣下は(おそらくジョージ・ワシントンが頭にあったのか)意見が一致していないことにいくらか驚きを示したが、監視のもと退廷することを認める意向を示し、自らも退いた。裁判は丸一日続き、法廷のランプには今や火が灯されつつあった。陪審員の評議は長引くだろうという噂が立ち始めた。傍聴人たちは軽食を取りにぽつぽつと出ていき、囚人は被告席の奥へ退き、腰を下ろした。

若い婦人とその父が出ていったときに一緒に出ていたロリー氏が、今また姿を見せ、ジェリーに手招きした。関心が緩んだ中で、ジェリーは容易に近づくことができた。

「ジェリー、何か食べたければ食べてもいい。だが近くにいてくれ。陪審員が戻ってきたら必ず聞こえる。少しでも遅れてはならない。評決を銀行へ持ち帰ってほしいのだ。君は私の知るかぎり最も早い使者だから、私よりずっと早くテンプル・バーへ着けるだろう。」

ジェリーには、こぶしを当てるだけの額がかろうじてあり、その伝達と一シリングへの謝意として、そこへこぶしを当てた。その瞬間、カートン氏が近づいてきて、ロリー氏の腕に触れた。

「若いご婦人の具合は?」

「ひどく取り乱しておいでです。ですがお父上が慰めており、法廷を出たことで少し楽になっています。」

「囚人にそう伝えましょう。あなたのような立派な銀行紳士が、公然と彼に話しかけているところを見られるのは、よろしくないでしょうからね。」

ロリー氏は、その点を心の中で検討していたことを自覚しているかのように赤くなり、カートン氏は柵の外側へ進んでいった。法廷から出る道はそちらの方向にあり、ジェリーは目も耳も棘も総動員して、彼の後を追った。

「ダーニー氏!」

囚人はすぐに進み出た。

「証人のミス・マネットの様子は、当然気がかりでしょう。大丈夫です。動揺の最悪のところは、もうご覧になりました。」

「その原因になってしまったことを、心から申し訳なく思います。私の熱烈な感謝とともに、そのことを彼女に伝えていただけますか?」

「伝えられます。あなたが望むなら、そうしましょう。」

カートン氏の態度は、ほとんど無礼と言えるほど投げやりだった。彼は囚人から半ば身をそむけ、柵に肘をついてもたれていた。

「お願いします。心からの感謝を受け取ってください。」

「それで」とカートンは、なおも半ばだけ彼のほうを向いたまま言った。「どうなるとお思いですか、ダーニー氏?」

「最悪です。」

「そう考えておくのが一番賢いし、一番ありそうなことです。だが陪審員が退いたのは、あなたに有利だと思います。」

法廷を出る道でぐずぐずすることは許されていなかったので、ジェリーはそれ以上聞けなかった。彼らを残して出ていった――顔立ちはよく似ていながら、物腰はまるで違う二人が、並んで立ち、頭上の鏡にともに映っていた。

一時間半が、下の、盗人やならず者で混み合う通路で、重苦しく足を引きずって過ぎていった。羊肉パイとエールの助けがあってもなお、そうだった。その軽食を取ったあと、しわがれ声の使者が長椅子に居心地悪く座ってうとうとしていると、大きなどよめきと、法廷へ続く階段を上がる人々の速い流れが、彼をも一緒に押し流した。

「ジェリー! ジェリー!」

そこへ着いたとき、ロリー氏はすでに扉のところで呼んでいた。

「ここです、旦那! 戻るのはひと苦労で。ここにおります、旦那!」

ロリー氏は群衆越しに一枚の紙を彼へ渡した。「急げ! 受け取ったか?」

「はい、旦那。」

その紙には急いで書かれた「無罪」という言葉があった。

「また『甦る』なんて伝言を寄こしてたら」とジェリーは振り返りながらつぶやいた。「今度は意味がわかったのによ。」

オールド・ベイリーを抜け出すまで、彼にはそれ以上何かを言う機会も、考える機会さえもなかった。群衆が彼を足もとからさらいそうな勢いであふれ出し、獲物を取り逃がした青蝿たちが別の腐肉を探して散っていくかのような大きなざわめきが、通りへ流れ出たからである。

原文

第四章  祝意

一日中そこで煮え立っていた人間のごった煮の最後の沈殿物が、薄暗く照らされた法廷の通路から濾し出されていた頃、マネット博士、その娘ルーシー・マネット、ロリー氏、弁護側の事務弁護士、そして弁護人ストライヴァー氏は、たった今釈放されたチャールズ・ダーニー氏を囲んで立ち、死を免れたことを祝っていた。

もっと明るい光の下であっても、知性のある顔立ちとまっすぐな立ち姿をしたマネット博士に、パリの屋根裏の靴職人を見出すのは難しかっただろう。それでも、誰も彼を二度見ずにはいられなかった。たとえ観察の機会が、低く重々しい声の悲しげな抑揚や、明らかな理由もなく発作的に彼を覆う放心にまで及ばなかったとしても。外からの一つの原因、とりわけ長く続いた苦悶への言及は、裁判のときのように、常にその状態を彼の魂の奥底から呼び起こしたが、その状態はまた性質上、自然に立ちのぼることもあり、彼を知らぬ者には理解しがたい陰を彼に落とした。それは、実体が三百マイル(約四百八十キロ)も離れているのに、夏の太陽の下で本物のバスティーユ監獄の影が彼に投げかけられたのを見たかのようであった。

この黒い沈思を彼の心から解き去る力を持っているのは、娘だけだった。彼女は、彼を悲惨より向こうの過去と、悲惨より向こうの現在とに結びつける黄金の糸であった。そして彼女の声の響き、顔の光、手の感触は、ほとんど常に、彼に強い良い影響を及ぼした。絶対に常にではなかった。彼女の力が及ばなかったいくつかの機会を、彼女は思い出すことができたからである。だがそれらは少なく、軽いもので、彼女はもう過ぎ去ったものと信じていた。

ダーニー氏は彼女の手に熱烈かつ感謝をこめて口づけし、ストライヴァー氏のほうへ向き直って、温かく礼を述べた。ストライヴァー氏は三十を少し過ぎた男だったが、実年齢より二十歳は老けて見え、太っていて、声が大きく、赤ら顔で、無骨で、繊細さに妨げられるところがなかった。人の集まりや会話へ、道徳的にも肉体的にも肩で押し入っていくような強引なやり方を持っており、それは人生で出世の道を肩で押し開いていくには幸先のよいものだった。

彼はまだかつらと法服を身につけており、さきほどまでの依頼人へ向かって身構えた。その身構えぶりは、罪のないロリー氏を集団からきれいに押し出してしまうほどだった。「名誉ある形であなたを救い出せてうれしいですよ、ダーニー氏。あれは悪名高い訴追でした、ひどく悪名高い。だがそのために成功しにくいというわけではなかった。」

「私はあなたに一生の恩を負いました――二つの意味で」と、さきほどまでの依頼人は彼の手を取りながら言った。

「私はあなたのために最善を尽くしました、ダーニー氏。そして私の最善は、他の男の最善に劣らないと信じています。」

誰かが「はるかに勝っています」と言わねばならないのは明らかだったので、ロリー氏がそう言った。おそらく完全に無私ではなく、もう一度自分を押し戻すという利害ある目的をもってのことだった。

「そうお思いですか?」とストライヴァー氏は言った。「よろしい! あなたは一日中同席していたのだから、わかるはずだ。あなたも実務の人ですしね。」

「そして実務の人間として」と、法律に通じた弁護人が、先ほど集団から肩で押し出したのと同じように、今度は肩で押し戻してくれたロリー氏が言った。「その立場から、私はマネット博士に訴えます。この会合を切り上げ、私たち皆に帰宅を命じていただきたい。ミス・ルーシーは具合が悪そうですし、ダーニー氏は恐ろしい一日を過ごし、私たちは疲れ切っています。」

「ご自分のことだけを言いなさい、ロリー氏」とストライヴァーは言った。「私はまだ今夜の仕事がある。ご自分のことだけを。」

「私は自分のことを言っています」とロリー氏は答えた。「そしてダーニー氏のこと、ミス・ルーシーのこと、そして――ミス・ルーシー、私は私たち全員のことを言ってよいと思いませんか?」

彼ははっきりとそう問い、彼女の父へ視線を向けた。

博士の顔は、ダーニーへ向けた、非常に奇妙な表情のまま凍りついたようになっていた。じっと見つめる目つきで、それは嫌悪と不信のしかめ面へ深まり、恐れさえ混じっていないわけではなかった。この奇妙な表情を浮かべたまま、彼の思考はどこかへ漂い去っていた。

「お父さま」とルーシーは、そっと手を父の手に載せて言った。

彼はゆっくりとその影を振り払い、彼女のほうを向いた。

「帰りましょうか、お父さま?」

長い息をついて、彼は「そうしよう」と答えた。

無罪となった囚人の友人たちは、その夜は釈放されないだろうという印象のもとに散っていた――その印象は彼自身が生んだものだった。通路の明かりはほとんどすべて消され、鉄の門は軋みとがらがらという音とともに閉じられつつあり、その陰惨な場所は、翌朝の絞首台、さらし台、鞭打ち柱、焼き印ごてへの関心が再び人を満たすまで、人気を失っていた。父とダーニー氏のあいだを歩いて、ルーシー・マネットは外気の中へ出た。辻馬車が呼ばれ、父娘はそれに乗って去った。

ストライヴァー氏は通路で彼らと別れ、法服室へ肩で道を押し開いて戻っていった。もう一人、集団に加わらず、その誰とも言葉を交わさなかった人物がいた。その人物は、影が最も濃い壁にもたれていたが、他の者たちの後から静かにぶらりと出てきて、馬車が走り去るまで見守っていた。今、その男は歩道に立つロリー氏とダーニー氏のところへ歩み寄った。

「さて、ロリー氏! 実務の人間も、もうダーニー氏に話しかけてよいのですか?」

その日の成り行きにおけるカートン氏の働きを、誰も認めていなかった。誰もそれを知らなかったのである。彼は法服を脱いでいたが、外見はそれで良くなったわけではなかった。

「実務家の頭の中で、親切な衝動と実務上の体面とのあいだに引き裂かれたとき、どんな葛藤が起こるかご存じなら、面白がられるでしょうね、ダーニー氏。」

ロリー氏は顔を赤らめ、熱を込めて言った。「あなたは前にもそのことをおっしゃいましたな。私どものように、商会に仕える実務の人間は、自分自身の主人ではありません。自分のことより、商会のことを考えねばならないのです。」

わかっていますわかっています」とカートン氏は無造作に応じた。「むきにならないでください、ロリー氏。あなたは他の人と同じくらい立派でしょう、疑いありません。おそらく、それ以上でしょう。」

「それに実際、あなた」とロリー氏は、相手を気に留めず続けた。「あなたがこの件に何の関係があるのか、私には本当にわかりません。あなたよりずっと年長の者として申し上げることをお許しいただけるなら、それがあなたの務めだとは本当に思えません。」

「務め! いやはや、には務めなどありませんよ」とカートン氏は言った。

「それは残念ですな。」

「私もそう思います。」

「もしあったなら」とロリー氏は続けた。「おそらくそれに励まれたでしょうに。」

「とんでもない、いや! ――励みませんよ」とカートン氏は言った。

「まったく、あなた!」ロリー氏はその無関心にすっかり熱くなって叫んだ。「実務というものはたいへんよいものですし、たいへん尊敬すべきものです。そして、もし実務がその制約や沈黙や妨げを課すとしても、ダーニー氏のような寛大な若い紳士は、その事情をきちんと斟酌してくださいます。ダーニー氏、おやすみなさい、神の祝福がありますように! 今日救われたあなたが、繁栄し幸福な人生を歩まれることを願っています。――椅子を!」

おそらく法廷弁護士だけでなく自分自身にも少し腹を立てていたのだろう、ロリー氏は慌ただしく椅子かごに乗り込み、テルソン銀行へ運ばれていった。ポートワインの匂いをさせ、完全にしらふには見えないカートンは、そのとき笑い、ダーニーへ向き直った。

「あなたと私を一緒に立たせるとは、奇妙な偶然ですね。ここで自分のそっくりな相手と街路の石の上に二人きりで立っているとは、あなたには奇妙な夜に違いない。」

「まだどうにも」とチャールズ・ダーニーは答えた。「自分がまたこの世に属しているように思えません。」

「無理もありません。ついさっきまで、あなたは別の世への道をかなり先まで進んでいたのですから。声が弱いですね。」

「どうやら本当に、気が遠くなりかけているようです。」

「それなら、どうして飯を食わないんです? 私は自分で食べましたよ。あの間抜けどもが、あなたがどちらの世に属するべきか――この世か、それともどこか別の世か――を審議しているあいだにね。うまく食事のできる一番近い居酒屋を教えましょう。」

彼は自分の腕に相手の腕を通し、ラドゲート・ヒルを下ってフリート街へ連れていき、そこから屋根のある通路を抜けて居酒屋へ入った。そこで二人は小さな部屋へ案内され、チャールズ・ダーニーはまもなく、よい質素な夕食とよい酒で力を回復し始めた。一方カートンは、同じ卓の向かい側に座り、自分用のポートの瓶を前に置き、半ば無礼といってよい態度をまとっていた。

「もう、この地上の仕組みにまた属しているという感じはしますか、ダーニー氏?」

「時間と場所についてはひどく混乱しています。ですが、そこまで感じられるくらいには回復しました。」

「それは途方もなく満足なことでしょう!」

彼は苦々しくそう言い、またグラスを満たした。それは大きなグラスだった。

「私について言えば、私の最大の望みは、自分がそこに属していることを忘れることです。この世には私にとって良いものなど何もない――この酒のようなものを除けば――そして私もこの世にとって良いものではない。だからその点では、私たちはあまり似ていません。実際、あなたと私は、どの点でもあまり似ていないような気がしてきました。」

その日の感情に混乱し、粗野な振る舞いをするこの分身とともにそこにいることを夢のように感じていたチャールズ・ダーニーは、どう答えてよいかわからなかった。結局、何も答えなかった。

「食事が終わったのですから」と、やがてカートンが言った。「なぜ健康を祝して杯を掲げないのです、ダーニー氏。なぜ乾杯の言葉を言わないのです?」

「誰の健康を? 何に乾杯を?」

「ほら、舌の先にあるでしょう。あるはずだ、なければならない、そこにあると誓ってもいい。」

「では、ミス・マネットに!」

「では、ミス・マネットに!」

乾杯のあいだ、同席者の顔をまっすぐに見つめながら、カートンはグラスを肩越しに壁へ投げつけ、粉々に砕いた。それからベルを鳴らし、別のグラスを持ってこさせた。

「暗闇の中、馬車まで手を貸して送るには、美しい若い婦人ですね、ダーニー氏!」彼は新しい杯を満たしながら言った。

わずかなしかめ面と、短い「ええ」が答えだった。

「憐れまれ、泣いてもらうには美しい若い婦人だ! どんな気分です? あんな同情と憐れみの対象になるなら、命をかけて裁かれる価値はありますか、ダーニー氏?」

またしてもダーニーは一言も答えなかった。

「あなたの伝言を私が伝えたとき、彼女はたいそう喜んでいましたよ。喜んでいるようには見せませんでしたが、そうだったと思います。」

その言及は、時宜よくダーニーに思い出させた。この不愉快な同席者が、その日の窮地において、自らの自由意志で彼を助けたのだということを。彼は会話をその点へ向け、そのことに礼を述べた。

「礼など欲しくもなければ、それに値もしません」と、無造作な返事が返った。「第一に、やるほどのことではなかった。第二に、なぜやったのか自分でもわからない。ダーニー氏、一つ質問させてください。」

「喜んで。あなたのご厚意への、せめてものお返しです。」

「私が特にあなたを好いていると思いますか?」

「実のところ、カートン氏」と相手は妙にうろたえて答えた。「私はその問いを自分にしたことがありません。」

「では今、自分に聞いてみてください。」

「あなたは、そうであるかのように行動されました。ですが、そうだとは思いません。」

私もそうは思いません」とカートンは言った。「あなたの理解力について、かなりよい意見を持ち始めました。」

「とはいえ」とダーニーはベルを鳴らそうと立ち上がりながら続けた。「そのことが、私が勘定を頼み、双方に悪感情なく別れる妨げになるとは思いません。」

カートンは答えた。「人生において何の妨げもありません!」

ダーニーはベルを鳴らした。「勘定を全部持つのですか?」とカートンが言った。彼が肯定すると、「では同じ酒をもう一パイント持ってきてくれ、給仕。それから十時に起こしてくれ。」

勘定が支払われると、チャールズ・ダーニーは立ち上がり、おやすみを言った。その挨拶を返さず、カートンも立ち上がった。その態度には、どこか挑みかかるような気配があった。そして言った。「最後に一言、ダーニー氏。あなたは私が酔っていると思っていますね?」

「あなたは酒を飲まれたのだと思います、カートン氏。」

「思う? 飲んだと知っているでしょう。」

「そう言わねばならないなら、知っています。」

「なら、なぜ飲んだのかも知っておきなさい。私は失望した下働きです、あなた。地上の誰のことも大事ではないし、地上の誰も私のことを大事にしていない。」

「非常に残念なことです。あなたはその才能をもっとよく用いることができたでしょうに。」

「そうかもしれませんね、ダーニー氏。そうでないかもしれない。だが、しらふの顔をしているからといって、得意にならないことです。それがどこへ行き着くか、あなたにはわからない。おやすみ!」

一人残されると、この奇妙な存在は蝋燭を取り上げ、壁に掛かった鏡の前へ行き、自分の姿を細かく見つめた。

「あの男を特に好いているのか?」彼は自分の像へつぶやいた。「おまえに似た男を、なぜ特に好かねばならない? おまえには好かれるところなど何もない。わかっているだろう。ああ、くそったれ! おまえは自分を何という姿に変えてしまったんだ! 男を気に入る理由としては上等だな。そいつがおまえに、何から転落したのか、何になれたかを見せてくれるからだとは! あいつと立場を取り替えたとして、おまえはあの青い目にあいつのように見つめられ、あの取り乱した顔にあいつのように憐れまれただろうか? さあ、はっきり言葉にして片をつけろ! おまえはあの男が憎いんだ。」

彼は慰めを求めて一パイントの酒に戻り、数分でそれをすべて飲み干し、腕に顔を伏せて眠り込んだ。髪は卓の上へ乱れ落ち、蝋燭から垂れた長い経帷子のような蝋が、彼の上へ滴っていた。

第五章 ジャッカル

当時は酒浸りの時代で、たいていの男は大酒を飲んだ。時の流れがそうした習慣にもたらした改善は実に大きく、今なら、一人の男が一晩のうちに飲み干すワインやパンチの量を控えめに述べただけでも、しかもそれで「完璧な紳士」としての評判に傷一つつかなかったなどと言えば、滑稽な誇張に聞こえるだろう。法律という学識ある職業も、酒神バッカスに傾く性向では、他のいかなる学識職にも決して後れを取らなかった。そして、すでに肩で道を押し開けるようにして、大きく儲かる実務へ急速に進みつつあったストライヴァー氏も、この点において、法曹界のより乾いた競争部分においてと同様、同輩に劣るところはなかった。

オールド・ベイリーでも、また巡回裁判所でも人気者だったストライヴァー氏は、自分が登ってきた梯子の下段を、用心深く削り落とし始めていた。いまや巡回裁判所とオールド・ベイリーのほうが、その寵児をわざわざ呼び寄せ、待ち焦がれる腕の中へ迎えねばならなかった。そしてキングズ・ベンチ裁判所で首席裁判官の顔のほうへ肩で押し進むようにして、ストライヴァー氏の血色のよい顔は、毎日のように、かつらの海からにゅっと突き出して見えた。まるで、ぎらぎらした仲間でいっぱいの荒れた花壇の中から、太陽に向かって大きな向日葵が伸び上がるようだった。

法廷ではかつて、ストライヴァー氏は口が達者で、無遠慮で、機転が利き、大胆ではあるが、弁護人の最も際立って不可欠な能力の一つである、山のような陳述の中から核心を抽出する才には欠けている、と評されていた。ところが、この点で彼には目覚ましい進歩が訪れた。扱う仕事が増えれば増えるほど、その芯と骨髄に迫る力が強まっていくように見えた。そしてどれほど夜遅くまでシドニー・カートンと飲み騒いでいても、朝には必ず論点を掌中に収めていた。

シドニー・カートン――男たちの中でも最も怠惰で、最も見込みのなさそうなこの男こそ、ストライヴァーの強力な盟友だった。ヒラリー開廷期からミカエル祭開廷期[訳注:いずれも英国法廷の開廷期の区分]までの間に二人が一緒に飲んだ酒の量は、王の軍艦一隻を浮かべられたかもしれない。ストライヴァーがどこでどんな事件を抱えていても、カートンは必ずそこにいて、両手をポケットに突っ込み、法廷の天井を見つめていた。二人は同じ巡回に出かけ、そこでもいつものどんちゃん騒ぎを深夜まで引き延ばした。そしてカートンは、白昼、放蕩猫のように、こそこそと足元もおぼつかず宿へ帰る姿を見られたという噂まで立った。ついには、この件に関心を持つ者たちの間で、シドニー・カートンは決して獅子にはなれないが、驚くほど有能なジャッカルであり、その卑しい役目においてストライヴァーに忠勤を尽くしているのだ、と囁かれ始めた。

「十時でございます、旦那」と、彼に起こすよう言いつけられていた酒場の男が言った。「十時でございます。」

「何だって?」

「十時でございます、旦那。」

「どういう意味だ? 夜の十時か?」

「はい、旦那。お起こしするよう、ご命令でしたので。」

「ああ! 思い出した。いい、いい。」

ふたたび眠ろうと鈍い努力を何度かしたが、男が五分間ずっと暖炉の火をかき回すという巧みな妨害をしたため、彼は起き上がり、帽子をひょいとかぶって外へ出た。テンプル地区へ曲がり、キングス・ベンチ・ウォークとペーパー・ビルディングスの舗道を二度行き来して気を取り直すと、ストライヴァーの部屋へ入っていった。

この相談には決して同席しないストライヴァーの書記は帰宅しており、主人であるストライヴァー本人が扉を開けた。彼はスリッパを履き、ゆったりした寝間着をまとい、楽にするため喉元をはだけていた。目のあたりには、どこか荒々しく、張りつめ、焼け焦げたような痕があった。それはジェフリーズ[訳注:17世紀英国の悪名高い裁判官ジョージ・ジェフリーズ]の肖像以来、この階級の自由奔放な酒飲みすべてに見られるものであり、さまざまな芸術的仮装の下に、あらゆる「飲酒の時代」の肖像画を通じてたどることができるものだった。

「少し遅いぞ、記憶屋」とストライヴァーが言った。

「いつもと同じくらいだ。十五分ほど遅いかもしれん。」

二人は、書物で壁を覆われ、書類が散らばった薄汚い部屋へ入った。そこでは火が盛んに燃えていた。炉棚の上ではやかんが湯気を立て、書類の残骸の真ん中で、テーブルだけが輝いていた。そこにはたっぷりのワイン、ブランデー、ラム、砂糖、レモンが置かれていた。

「シドニー、もう一本は空けたようだな。」

「今夜は二本だと思う。今日の依頼人と食事をしてきた――いや、食べるのを見てきたと言うべきか。どちらでも同じだ!」

「今日、身元確認の件で突いたあの点は見事だったぞ、シドニー。どうやって思いついた? いつ閃いた?」

「なかなか男前なやつだと思ったんだ。もし少しでも運があれば、自分もああいう男とたいして違わなかっただろうと思ってな。」

ストライヴァー氏は、早熟に突き出た腹を震わせるほど笑った。

「お前とお前の運か、シドニー! 仕事にかかれ、仕事に。」

ジャッカルはむっつりと身なりを緩め、隣の部屋へ行き、大きな水差しに冷水、洗面器、タオルを一、二枚持って戻ってきた。タオルを水に浸し、半ば絞ると、見るもおぞましい格好でそれを頭に巻き、テーブルに座って言った。「さあ、準備はできた!」

「今夜はあまり煮詰める材料は多くないぞ、記憶屋」と、ストライヴァー氏は陽気に言いながら書類を探った。

「どれだけだ?」

「二組だけだ。」

「悪いほうから渡せ。」

「これだ、シドニー。撃て!」

すると獅子は、酒のテーブルの片側にあるソファに仰向けになって体を落ち着けた。一方ジャッカルは、その反対側にある自分専用の、書類だらけのテーブルに座り、手の届くところに瓶とグラスを備えた。二人とも酒のテーブルには遠慮なく手を伸ばしたが、その飲み方はそれぞれ違っていた。獅子はたいてい両手を胴衣の帯に入れて寝そべり、火を眺めたり、時には軽めの書類をもてあそんだりしていた。ジャッカルは眉を寄せ、顔を集中させて仕事に深く沈み込み、グラスを取ろうと伸ばした手を目で追うことさえなかった。その手はしばしば、一分以上も手探りでさまよってから、ようやく唇へ運ぶグラスを見つけるのだった。二、三度、扱っている問題があまりに込み入ってきたため、ジャッカルは立ち上がり、タオルをあらためて水に浸す必要に迫られた。水差しと洗面器へのこうした巡礼から戻るたび、彼の湿った頭飾りは、言葉では言い表せないほど奇怪な形をとっていた。それが彼の不安げな厳粛さによって、いっそう滑稽に見えた。

やがてジャッカルは、獅子のために手頃にまとめた食事を用意し、それを差し出しにかかった。獅子は用心深くそれを受け取り、その中から選び、意見を述べ、ジャッカルはその選択にも意見にも助力した。その食事が十分に吟味されると、獅子はまた両手を胴衣の帯に入れ、横になって熟考した。ジャッカルは喉に大杯を一杯流し込み、頭にも新しい処置を施して活力を取り戻すと、第二の食事の収集に取りかかった。これも同じ方法で獅子に供され、始末がついたのは、時計が午前三時を打ってからだった。

「さて、これで終わりだ、シドニー。パンチを大杯に満たせ」とストライヴァー氏が言った。

ジャッカルは、また湯気を立てていた頭のタオルを外し、体を振り、あくびをし、身震いして、言われたとおりにした。

「今日の王室側証人の扱いでは、お前はまことに堅実だったな、シドニー。どの質問も効いた。」

「俺はいつも堅実だろう?」

「否定はしない。何がそんなに機嫌を荒らしている? パンチを少し注いで、また滑らかにしろ。」

弁解めいた唸り声をあげて、ジャッカルはふたたび従った。

「昔のシュルーズベリー校のシドニー・カートンだな」とストライヴァーは、今と昔の彼を見比べるように頭上で頷きながら言った。「昔ながらのシーソー・シドニーだ。一分上がれば次の一分には下がる。今は上機嫌かと思えば、次には絶望している!」

「ああ」と相手はため息をついて返した。「そうだ。同じシドニー、同じ運さ。あの頃でさえ、俺はほかの少年たちの課題をやり、自分のものはめったにやらなかった。」

「なぜやらなかった?」

「神のみぞ知る、だな。そういうやり方だったんだろう。」

彼は両手をポケットに入れ、脚を前に投げ出して座り、火を見つめていた。

「カートン」と友人は、まるで炉格子が持続的努力を鍛え上げる炉であり、昔のシュルーズベリー校のシドニー・カートンにしてやるべきただ一つの繊細な仕事が、彼をそこへ肩で押し込むことだと言わんばかりに、威圧的な態度で彼に向き直って言った。「お前のやり方は、今も昔も足の不自由なやり方だ。活力も目的も呼び起こさない。俺を見ろ。」

「ああ、うるさい!」シドニーは、少し軽く、機嫌よく笑って返した。「お前が道徳を説くな!」

「俺はどうやって今のことを成し遂げた?」ストライヴァーは言った。「俺はどうやって自分の仕事をやっている?」

「一つには、俺に金を払って手伝わせているからだろうな。だが、そのことで俺や空気に向かって大演説するだけ無駄だ。お前はやりたいことをやる。いつだって前列にいた。俺はいつだって後ろだった。」

「前列へ出なければならなかったんだ。生まれつきそこにいたわけじゃないだろう?」

「その儀式には立ち会っていないが、俺の意見では、お前は生まれつきそこにいた」とカートンは言った。そこで彼はまた笑い、二人とも笑った。

「シュルーズベリーの前から、シュルーズベリーにいた頃も、シュルーズベリー以来ずっと」とカートンは続けた。「お前はお前の席に落ち着き、俺は俺の席に落ち着いた。パリの学生街で一緒に学生をして、フランス語だのフランス法だの、ろくに役立たないフランスの屑を拾っていた頃でさえ、お前はいつもどこかにいて、俺はいつもどこにもいなかった。」

「それは誰のせいだ?」

「誓って言うが、お前のせいでなかったとは断言できない。お前はいつも駆け、裂き、肩で押し、追い越し、あまりに落ち着きなく動き回っていたから、俺には錆びて休んでいる以外、生きる余地がなかった。だが、夜が明けるころに自分の過去を語るのは陰気なものだ。帰る前に、別の方向へ俺を向けてくれ。」

「ならば! あの美しい証人に乾杯しろ」とストライヴァーはグラスを掲げて言った。「これで気持ちのよい方向を向いたか?」

どうやらそうではなかった。彼はまた陰気になった。

「美しい証人だと」と彼はグラスの中を見下ろしながら呟いた。「今日も今夜も証人はもうたくさんだ。お前の美しい証人とは誰だ?」

「あの絵のような博士の娘、ミス・マネットだ。」

「彼女が美しい?」

「違うのか?」

「違う。」

「おい、生きた男ならわかるだろう。彼女は法廷中の憧れだったぞ!」

「法廷中の憧れなんぞ腐っちまえ! 誰がオールド・ベイリーを美の審判にした? 彼女は金髪の人形だった!」

「なあ、シドニー」とストライヴァー氏は鋭い目で彼を見つめ、血色のよい顔にゆっくり手を滑らせながら言った。「なあ、お前はそのとき、金髪の人形に同情して、金髪の人形に何が起こったかを素早く見て取ったように、俺には思えたんだがな。」

「素早く見て取っただと! 女の子が人形だろうがなかろうが、男の鼻先一、二ヤード(約一、二メートル)のところで気を失えば、遠眼鏡なしでも見える。乾杯はしてやるが、美しさは認めない。さて、もう飲まない。寝る。」

主人が蝋燭を持って階段までついてきて、下りる足元を照らしたとき、夜明けが汚れた窓から冷たく覗き込んでいた。家を出ると、空気は冷たく悲しく、鈍い空は雲に覆われ、川は暗くかすみ、目に映るすべてが命のない砂漠のようだった。朝の突風の前で塵の輪がくるくると回っていた。まるで、はるか彼方で砂漠の砂が舞い上がり、その先触れとなる飛沫が、進みながら街を覆い始めたかのようだった。

内には浪費された力があり、周囲には砂漠が広がる。この男は、静かなテラスを横切る途中で立ち止まり、目の前の荒野に、名誉ある野心、自己犠牲、忍耐の蜃気楼を一瞬見た。その幻の美しい都には、愛と優雅が彼を見下ろす空中回廊があり、人生の果実が熟れて垂れる庭があり、希望の水が彼の目にきらめいていた。一瞬で、それは消えた。家々の井戸のような吹き抜けにある高い部屋へ登ると、彼は服を着たまま、顧みられぬ寝台に身を投げ出した。そしてその枕は、無駄に流された涙で濡れた。

悲しく、悲しく、太陽は昇った。善い能力と善い感情を持ちながら、それを正しく働かせることができず、自分自身を助けることも、自分の幸福を得ることもできず、自らを蝕むものを感じながら、それに身を任せて食い尽くされるにまかせる男――太陽が昇って照らしたものの中に、これほど悲しい光景はなかった。

第六章 数百人の人々

マネット博士の静かな住まいは、ソーホー広場からほど近い、静かな街角にあった。反逆罪の裁判から四か月の波が押し寄せ、それを世間の関心と記憶から遠い海の彼方へ運び去ったころ、ある晴れた日曜日の午後、ジャービス・ロリー氏は、自分の住むクラーケンウェルから、博士と食事をするため、陽の射す通りを歩いていた。仕事への没頭に何度か逆戻りしたのち、ロリー氏は博士の友人となり、その静かな街角は彼の人生の陽だまりとなっていた。

この晴れた日曜日、ロリー氏が午後の早い時刻にソーホーへ向かったのには、習慣からくる三つの理由があった。第一に、晴れた日曜日には、夕食前に博士とルーシーと散歩に出ることがよくあったから。第二に、天気の悪い日曜日には、家族ぐるみの友人として二人と過ごし、話をしたり、本を読んだり、窓の外を眺めたりして、概して一日をやり過ごすのが常だったから。第三に、彼にはたまたま解きたい自分なりのささやかな鋭い疑念があり、博士の家の習わしからして、その時間がそれを解くのに向いていると知っていたからである。

博士の住むその角ほど風変わりな街角は、ロンドン中を探しても見つからなかった。そこは通り抜けができず、博士の部屋の正面窓からは、隠れ住むのにふさわしい雰囲気を帯びた、気持ちのよい小さな通りの眺めが見渡せた。当時、オックスフォード・ロードの北には建物が少なく、今は消え去った野原には森の木々が茂り、野の花が咲き、サンザシが花をつけていた。そのため、田園の空気がソーホーをのびやかに巡り、定住地を持たない迷い込んだ貧民のように教区へ弱々しく流れ込むのではなかった。近くには南向きのよい壁もいくつもあり、季節になると桃が熟した。

夏の光は一日の早い時間にはその角へまばゆく射し込んだが、通りが熱を帯びるころには、角は日陰になった。とはいえ、その日陰は遠く閉ざされたものではなく、その向こうにまばゆい輝きを見ることができた。そこは涼しく、落ち着いていながら明るい場所であり、こだまにとっては驚くべき場所であり、荒れ狂う街路から逃れたまさに港だった。

そのような泊地には穏やかな小舟があるべきで、実際にあった。博士は、大きく堅苦しい家の二階分を借りていた。そこでは昼間、いくつもの職業が営まれていることになっていたが、どの日にもほとんど物音は聞こえず、夜になるとそれらすべてから避けられていた。裏手の建物には、青葉をそよがせるプラタナスのある中庭を通って行けたが、そこでは教会用オルガンが作られ、銀細工が施され、さらに正面玄関の壁から突き出た黄金の腕を持つ謎めいた巨人によって金が打ち延ばされている、ということになっていた――まるで、その巨人は自分自身を貴金属に打ち変え、訪れる者すべてにも同じ変化を加えるぞと脅しているかのようだった。これらの仕事や、上階に住んでいると噂される孤独な下宿人や、階下に帳場を持つと称される薄暗い馬車内装職人について、耳にしたり目にしたりすることはほとんどなかった。時折、通りすがりの職人が上着を着ながら玄関ホールを横切ったり、見知らぬ者があたりを覗き込んだり、中庭の向こうから遠い金属音が聞こえたり、黄金の巨人のどしんという音がしたりする程度だった。しかし、それらは、家の裏のプラタナスにいる雀たちと、家の前の角に宿るこだまたちが、日曜の朝から土曜の夜まで思いどおりにしている、という規則を証明するために必要な例外にすぎなかった。

マネット博士は、昔の評判と、彼の身の上話がささやきとなって広まり、それによって蘇った評判が連れてくる患者たちを、ここで診ていた。科学的知識と、巧妙な実験を行う際の注意深さと技量によって、別の面でもほどほどに求められ、彼は望むだけの収入を得ていた。

晴れた日曜日の午後、ロリー氏がその角の静かな家の呼び鈴を鳴らしたとき、こうした事柄はすべて彼の知識、思案、注意の内にあった。

「マネット博士はご在宅かな?」

お戻りになる予定です。

「ミス・ルーシーはご在宅かな?」

お戻りになる予定です。

「ミス・プロスはご在宅かな?」

おそらくご在宅ですが、ミス・プロスがその事実を認めるか否かについて、召使いが意向を予測するのは確実に不可能です。

「私自身は在宅しているようなものだから」とロリー氏は言った。「二階へ上がろう。」

博士の娘は、自分が生まれた国のことを何も知らなかったが、その国の最も有用で、最も好ましい特質の一つである、わずかな手段から多くを生み出す能力を、生まれながらに受け継いでいるように見えた。家具は簡素だったが、値打ちといえば趣味と想像力だけという小さな飾りがいくつも添えられ、その効果は実に楽しいものだった。部屋にある最も大きな物から最も小さな物まで、すべての配置。色の取り合わせ。繊細な手、澄んだ目、良識によって、些細な倹約から生み出された優雅な変化と対比。それらはそれ自体が心地よいばかりか、それを作り上げた人をよく物語っていたので、ロリー氏があたりを見回して立っていると、椅子やテーブルまでもが、彼が今ではよく知っているあの独特の表情を帯びて、「お気に召しましたか」と尋ねているように思えた。

一つの階には三部屋あり、それらをつなぐ扉は空気が自由に通るよう開け放たれていた。ロリー氏は、周囲のあちこちに見いだすその空想的な似姿を微笑みながら観察しつつ、一つの部屋から次の部屋へ歩いた。最初は最もよい部屋で、そこにはルーシーの鳥、花、本、書き物机、裁縫台、水彩絵の具箱があった。二番目は博士の診察室で、食堂としても使われていた。三番目は、中庭のプラタナスの葉擦れによって光と影が変わりながら斑に揺れる博士の寝室で、そこには片隅に、使われなくなった靴職人の作業台と道具皿が置かれていた。パリのサン=タントワーヌ郊外、ワイン屋のそばにあった陰気な家の五階に置かれていたときと、ほとんど同じように。

「不思議だな」と、ロリー氏は見回すのを止めて言った。「あの方が苦しみを思い出させるものを、身近に置いておくとは!」

「それがなぜ不思議なんです?」という唐突な問いに、彼はぎくりとした。

声の主はミス・プロスだった。荒々しく赤ら顔で、手の強い女であり、ロリー氏が最初にドーヴァーのロイヤル・ジョージ・ホテルで知り合い、その後親交を深めていた相手だった。

「私はてっきり――」ロリー氏が言いかけた。

「ふん! てっきりですって!」ミス・プロスが言ったので、ロリー氏は口をつぐんだ。

「ご機嫌いかが?」その婦人はそれから尋ねた――鋭く、しかし彼に悪意は抱いていないと示すように。

「おかげさまで、まずまずです」とロリー氏はおとなしく答えた。「あなたはいかがです?」

「自慢できるほどじゃありません」とミス・プロスは言った。

「本当に?」

「ああ、本当に!」ミス・プロスは言った。「私のてんとう虫のことで、ひどく気が立っているんです。」

「本当に?」

「お願いだから、『本当に』以外のことをおっしゃってくださいな。でないと私をそわそわ死にさせますよ」とミス・プロスは言った。この人の性格は、背丈とは切り離して、短気だった。

「では、実に?」とロリー氏は改良案として言った。

「『実に』もかなりひどいですが」とミス・プロスは返した。「まだましです。ええ、私はひどく気が立っているんです。」

「理由を伺っても?」

「てんとう虫にまったくふさわしくない人たちが、何十人もここへ来て、あの子を追い回すのはごめんです」とミス・プロスは言った。

「その目的で何十人も来るのですか?」

「数百人です」とミス・プロスは言った。

この婦人の特徴として――彼女の前にも後にもいるいく人かの人々と同じように――自分の最初の主張に疑問を挟まれると、それを誇張するのだった。

「いやはや!」ロリー氏は、自分の思いつく最も安全な返事としてそう言った。

「私はあの愛しい子と暮らしてきました――いや、あの愛しい子が私と暮らし、その代金を払ってきたのです。もちろん、もし私が自分もあの子もただで養える身分だったなら、そんなことは絶対にさせなかったと、宣誓供述書にしていただいても結構です――あの子が十歳の時からです。それなのに本当にひどい話です」とミス・プロスは言った。

何がそれほどひどいのか正確には見えなかったので、ロリー氏は首を振った。彼は自分の身体のその重要な部分を、何にでも合う妖精の外套のように使ったのである。

「あの子に少しもふさわしくないありとあらゆる人が、いつもひょっこり現れるんです」とミス・プロスは言った。「あなたがそれを始めたとき――」

「私が始めたのですか、ミス・プロス?」

「違いますか? 誰があの子のお父さまを生き返らせたんです?」

「ああ! それを始めたと言うなら――」ロリー氏は言った。

「終わらせたわけではないでしょう? 私が言うのは、あなたが始めたとき、それだけでも十分つらかったということです。マネット博士に文句があるわけではありませんよ。ただ、あんな娘にふさわしい父親ではないというだけです。それは博士への非難ではありません。どんな事情のもとでも、誰ひとりあの子にふさわしいはずがないのですから。けれど、博士の後から(博士のことなら許せたでしょうに)人の群れや大勢が押し寄せて、てんとう虫の愛情を私から奪おうとするのは、本当に二重にも三重にもつらいのです。」

ロリー氏は、ミス・プロスが非常に嫉妬深いことを知っていた。しかし今ではまた、彼女が、その風変わりな外見に仕える形の下に、女性の間にだけ見いだされる無私の人間の一人であることも知っていた。彼女たちは純粋な愛と敬慕ゆえに、自ら進んで奴隷となる。自分が失った若さに、自分が持たなかった美しさに、幸運にも得ることのなかった才芸に、自分の陰鬱な人生を一度も照らさなかった明るい希望に。ロリー氏は世間を十分知っており、心からの忠実な奉仕に勝るものはこの世にないと知っていた。そのように捧げられ、金銭的な汚れからまったく自由な奉仕に、彼は高い敬意を抱いていたので、自分の心の中で作る応報上の配置――われわれは多かれ少なかれ、皆そういう配置を作るものだ――において、ミス・プロスを、テルソン銀行に預金残高を持ち、自然と技巧によって彼女より測り知れぬほどよく仕立てられた多くの婦人たちよりも、下級天使のずっと近くに据えていた。

「てんとう虫にふさわしい男は、これまでも、これからも、ただ一人しかいません」とミス・プロスは言った。「それは私の兄ソロモンです。人生で過ちさえ犯さなければ。」

ここでもまた、ロリー氏がミス・プロスの個人的な来歴を探ったところ、彼女の兄ソロモンは、投機の元手として彼女の持ち物をすっかり奪い、貧窮の中に永久に見捨て、良心の呵責などかけらも示さなかった冷酷な悪党である、という事実が明らかになっていた。ソロモンに対するミス・プロスの信念の忠実さは(この些細な過ちについて、ほんのわずかを差し引いても)、ロリー氏にとってかなり重大な事柄であり、彼女への好意的評価に重みを添えていた。

「今はたまたま二人きりですし、私たちは二人とも実務の人間ですから」と彼は、応接間へ戻って親しく腰を下ろした後で言った。「お尋ねしてもよいでしょうか――博士はルーシーと話しているとき、まだ靴作りの時代のことには一度も触れませんか?」

「一度も。」

「それでいながら、あの作業台と道具をそばに置いている?」

「ああ!」ミス・プロスは首を振って返した。「でも、博士がご自分の内側でそれに触れていないとは言いません。」

「博士はそのことをよく考えているとお思いですか?」

「思います」とミス・プロスは言った。

「あなたは想像なさいますか――」ロリー氏が言いかけたところで、ミス・プロスがぴしゃりと遮った。

「何も想像しません。想像力などまったく持ち合わせていません。」

「訂正します。では、あなたは思われますか――ときどき、そこまでは思われますか?」

「時々なら」とミス・プロスは言った。

「あなたは思われますか」とロリー氏は、明るい目に笑いのきらめきを浮かべ、彼女を親しげに見ながら続けた。「マネット博士が、ご自分があのような迫害を受けた原因について、長年を通じて保ってきた何らかの自説を持っていると。おそらくは、迫害者の名についてさえ。」

「てんとう虫が私に話すこと以外には、何も思いません。」

「それは――?」

「あの子は、博士が持っていると思っています。」

「これらの質問に腹を立てないでください。私は単なる鈍い実務家で、あなたは実務の女性なのですから。」

「鈍い?」

ミス・プロスは、落ち着いて尋ねた。

自分の控えめな形容詞を取り消したいと思いながら、ロリー氏は答えた。「いや、いや、いや。もちろん違います。話を実務に戻しましょう。マネット博士が、私たち全員が確信しているとおり、いかなる罪にも疑いなく無実でありながら、その問題に一切触れないというのは、注目すべきことではありませんか? 私に対してとは言いません。昔、私は博士と仕事上の関係があり、今は親しいとはいえ。けれど、博士があれほど献身的に愛し、また彼女も博士をあれほど献身的に愛している美しい娘に対してさえ触れないとは。信じてください、ミス・プロス、私は好奇心からこの話題をあなたに持ち出しているのではなく、熱心な関心からなのです。」

「そうですね! 私の理解の限りでは――その最善の理解もひどいものだと、あなたはおっしゃるでしょうけど」とミス・プロスは、謝罪の調子に和らげられて言った。「博士はその話題全体を怖がっているんです。」

「怖がっている?」

「なぜ怖がるかは、十分はっきりしていると思います。恐ろしい記憶ですもの。それに、博士が自分を失ったのはそこから始まったのです。どうやって自分を失い、どうやって自分を取り戻したのか分からない以上、また自分を失わないと確信できる日は来ないのかもしれません。それだけでも、その話題が気持ちよいものになるはずはないと思います。」

それはロリー氏が予想していたより深い指摘だった。「そのとおりです」と彼は言った。「考えるだに恐ろしい。しかし、ミス・プロス、私は一つ疑念を抱いているのです。マネット博士がその抑え込んだものをいつまでも自分の中に閉じ込めておくことが、果たしてよいのかどうか。実のところ、この疑念と、それが時折私にもたらす不安こそが、今のように打ち明け話をさせたのです。」

「どうにもなりません」とミス・プロスは首を振って言った。「その弦に触れれば、博士はたちまち悪いほうへ変わります。放っておくほうがいい。要するに、好むと好まざるとにかかわらず、放っておかなければなりません。時々、博士は真夜中に起き上がり、上にいる私たちにも、部屋の中を行ったり来たり、行ったり来たりする音が聞こえます。てんとう虫は、そういう時、博士の心が昔の牢獄の中を行ったり来たり、行ったり来たりしているのだと分かるようになりました。あの子は急いで博士のところへ行き、二人で一緒に行ったり来たり、行ったり来たりを続けます。博士が落ち着くまで。でも博士は、自分が落ち着かない本当の理由について、あの子に一言も言いませんし、あの子もそれをほのめかさないほうがよいと知っています。沈黙のうちに二人は一緒に行ったり来たり、行ったり来たりするのです。あの子の愛情と寄り添うことが、博士を自分自身へ連れ戻すまで。」

ミス・プロスは自分に想像力がないと否定していたが、「行ったり来たり」という言葉を繰り返す中には、一つの悲しい考えに単調につきまとわれる苦痛を感じ取る力があり、彼女がそうしたものを持っていることを証明していた。

その街角は、こだまにとって驚くべき角だと先に述べた。すると、疲れきって往復する足取りを口にしたこと自体がきっかけになったかのように、近づいてくる足音に対してその角が大きく響き始めた。

「お戻りです!」ミス・プロスは、話し合いを切り上げるため立ち上がって言った。「そしてもうすぐ数百人の人が来るでしょうよ!」

そこは音響的に実に奇妙な角で、場所そのものが特異な耳のようだったので、ロリー氏が開いた窓辺に立ち、聞こえてくる足音の主である父娘を探していると、二人は永遠に近づいてこないのではないかと思えた。足音が去ってしまったかのように、こだまが消えていくだけではない。代わりに、決して現れない別の足音のこだまが聞こえ、すぐ近くに来たように思えた瞬間、完全に消えてしまうのだった。しかし、父娘はついに姿を現し、ミス・プロスは二人を迎えるため通りの扉のところで待ち構えていた。

ミス・プロスは、荒々しく赤ら顔で険しいとはいえ、愛しい子が階上に上がってくると、その帽子を脱がせ、ハンカチの端で整え、埃を吹き払い、外套をしまえるように畳み、豊かな髪をなでつける姿が、見ていて微笑ましいものだった。もし自分が世にも虚栄心の強い美女であったなら、自分の髪に対して抱いたであろうほどの誇りを、彼女はルーシーの髪に抱いていた。愛しい子のほうもまた、彼女を抱きしめ、礼を言い、自分のためにそんなに手間をかけないでと抗議する姿が微笑ましかった――最後の抗議だけは冗談めかしてしか言えなかった。さもないと、ミス・プロスは深く傷ついて自分の部屋へ退き、泣いてしまうからだ。博士もまた微笑ましい眺めだった。二人を見守り、ミス・プロスに、あなたはルーシーを甘やかしすぎる、と言うその口調と目には、ミス・プロスと同じほど、いや可能ならばそれ以上の甘やかしが含まれていた。ロリー氏もまた微笑ましい眺めだった。小さなかつらの下でこのすべてに顔を輝かせ、独身者としての星々に、人生の下り坂で自分を「家庭」へ導いてくれたことを感謝していた。しかし、その眺めを見に来る数百人の人々は現れず、ロリー氏はミス・プロスの予言が実現するのをむなしく待った。

夕食の時間になっても、やはり数百人の人々はいなかった。小さな家の取り決めでは、ミス・プロスが下の領域を取り仕切り、いつも見事にやってのけていた。彼女の夕食は質素なものだったが、たいへんよく調理され、よく給仕され、イングランド風とフランス風が半々の工夫も清潔で、これ以上のものはなかった。ミス・プロスの友情は徹底して実用的な種類のものだったので、彼女は料理の秘奥を教えてもらうため、シリングや半クラウン銀貨に心を動かされる貧しいフランス人を探して、ソーホーとその周辺諸地域を荒らし回っていた。こうした落ちぶれたガリアの息子娘たちから、彼女は驚くべき技を身につけた。そのため、召使いの顔ぶれである女と娘は、彼女をまったく魔法使いか、シンデレラの名付け親のように見ていた。鶏一羽、兎一匹、庭の野菜一つ二つを買いに行かせると、彼女はそれらを好きなものに変えてしまうのである。

日曜日には、ミス・プロスは博士の食卓で食事をしたが、それ以外の日には、下の領域か、二階の自室――てんとう虫以外誰も入ることのない青い部屋――で、誰にも知られぬ時間に食事をすることに固執していた。このときは、てんとう虫の愛らしい顔と、彼女を喜ばせようとする愛らしい努力に応えて、ミス・プロスは大いに心を開いた。そのため、夕食もまたたいへん楽しいものとなった。

蒸し暑い日だったので、夕食後、ルーシーはワインをプラタナスの下へ持ち出し、外気の中で座りましょうと提案した。すべては彼女を中心に回り、彼女の周囲を巡っていたので、一同はプラタナスの下へ出て行き、彼女はとりわけロリー氏のためにワインを運び下ろした。彼女は少し前から、ロリー氏の杯を満たす役を自任していた。プラタナスの下で語らいながら座っている間、彼女は彼のグラスを絶やさず満たした。彼らが話す間、家々の謎めいた背面や端がこちらを覗き、頭上ではプラタナスが自分なりのやり方で囁いていた。

それでもなお、数百人の人々は姿を見せなかった。彼らがプラタナスの下に座っていると、ダーニー氏が姿を現したが、彼はただの一人だった。

マネット博士は彼を親切に迎え、ルーシーも同じだった。しかしミス・プロスは突然、頭と体にぴくぴくする発作を起こし、家の中へ退いた。彼女はこの病にしばしば悩まされており、普段の会話ではそれを「ぴくつきの発作」と呼んでいた。

博士は最もよい状態にあり、とりわけ若く見えた。そうした時、博士とルーシーの似通いは非常に強く、彼らが並んで座り、彼女が博士の肩にもたれ、博士が椅子の背に腕をかけていると、その似たところを辿るのはたいへん心地よかった。

博士は一日中、多くの話題について、いつになく生き生きと話していた。「ところで、マネット博士」とダーニー氏が、プラタナスの下に座りながら言った――ちょうどロンドンの古い建物が話題になっていたので、自然な流れでの言葉だった――「ロンドン塔はよくご覧になりましたか?」

「ルーシーと私は行ったことがあります。ただ、ほんのついでにですが。興味深いものに満ちていると知るには十分見ましたが、それ以上ではありません。」

「私は、覚えていらっしゃるでしょうが」とダーニーは微笑みつつ、しかし少し怒りで赤くなって言った。「別の立場でそこにいました。あまり多くを見る便宜を与えてくれる立場ではありませんでした。そこで面白い話を聞いたのです。」

「どんな話です?」

ルーシーが尋ねた。

「ある改修工事の最中、職人たちが古い地下牢を見つけたのです。何年もの間、壁で塞がれ、忘れられていた場所でした。その内壁の石は一つ残らず、囚人たちが彫りつけた銘で覆われていました――日付、名、訴え、祈り。壁の隅の角石には、処刑に連れて行かれたらしい囚人が、最後の仕事として三文字を刻んでいました。粗末な道具で、急いで、不安定な手つきで彫られたものです。最初、それはD. I. C.と読まれました。けれどさらによく調べると、最後の文字はGだと分かりました。その頭文字を持つ囚人の記録も伝説もなく、その名が何だったのか、実りのない推測がいくつもなされました。ついに、それらの文字は頭文字ではなく、完全な単語、DIG――『掘れ』だと示唆されたのです。その銘の下の床がきわめて慎重に調べられ、石かタイルか舗石の破片の下の土の中から、一枚の紙の灰が、小さな革のケースか袋の灰と混じって見つかりました。名もなき囚人が何を書いたのかは、もう永久に読まれることはありません。しかし彼は何かを書き、それを牢番から守るため隠しておいたのです。」

「お父さま」とルーシーが叫んだ。「ご気分が悪いのです!」

博士は突然立ち上がり、手を頭に当てていた。その様子と表情に、一同はすっかり怯えた。

「いいや、可愛い子よ、病気ではない。大粒の雨が落ちてきて、それで驚いたのだ。中へ入ったほうがよい。」

博士はほとんど瞬時に自分を取り戻した。雨は実際、大粒で落ちており、彼は雨粒のついた手の甲を見せた。しかし語られた発見に関しては一言も言わなかった。そして家の中へ入っていく時、ロリー氏の実務家の目は、チャールズ・ダーニーへ向けられた博士の顔に、裁判所の通路で自分へ向けられた時と同じ奇妙な表情を見つけた、あるいは見つけたように思った。

しかし博士はあまりにも素早く自分を取り戻したので、ロリー氏は自分の実務家の目に疑念を抱いた。玄関ホールの黄金の巨人の腕も、博士がその下で立ち止まり、自分はまだ些細な驚きには耐えられないのだ(いずれ耐えられるようになるとしても)と一同に言い、雨に驚かされたのだと述べた時の博士ほど、しっかりとはしていなかった。

お茶の時間になり、ミス・プロスはまたぴくつきの発作を起こしながら茶を淹れていたが、それでも数百人の人々はいなかった。カートン氏がぶらりと入ってきたが、彼を加えても二人にすぎなかった。

夜はひどく蒸し暑く、扉も窓も開けて座っていたにもかかわらず、一同は暑さに圧倒された。お茶の卓が片づくと、皆は窓の一つへ移り、重苦しい薄闇の中を外へ眺めた。ルーシーは父のそばに座り、ダーニーは彼女の隣に座り、カートンは窓にもたれていた。カーテンは長く白く、街角へ吹き込む雷雨の突風がそれを天井まで巻き上げ、幽霊の翼のように揺らした。

「雨粒はまだ落ちている。大きく、重く、まばらに」とマネット博士は言った。「ゆっくり来る。」

「確実に来ます」とカートンが言った。

彼らは低い声で話した。見守り待つ人々がたいていそうするように。暗い部屋で稲妻を見守り待つ人々が必ずそうするように。

通りでは、嵐が破れる前に避難しようと、人々が大急ぎで駆けていく気配があった。こだまにとって驚くべきその角は、行き来する足音のこだまで鳴り響いていたが、そこに足音は一つもなかった。

「大勢の人々、しかも孤独だ!」しばらく耳を澄ませた後で、ダーニーが言った。

「印象的ではありませんか、ダーニー氏?」ルーシーが尋ねた。「時々、夕方ここに座っていて、想像してしまうことがありました。でも今夜はすべてがあまりに暗く厳かで、愚かな空想の影だけでも身震いしてしまいます――」

「私たちにも身震いさせてください。それが何か知れるかもしれません。」

「あなたには何でもないことに思えるでしょう。こうした気まぐれは、自分から生み出した時だけ胸に響くものだと思います。人に伝えられるものではありません。私は時々、夕方ここに一人で座って耳を澄ませているうちに、このこだまが、やがて私たちの人生に入ってくるすべての足音のこだまだと思うようになったことがあります。」

「もしそうなら、いつか私たちの人生には大群衆が押し寄せてくることになるな」とシドニー・カートンが、陰気な調子で口を挟んだ。

足音は絶え間なく、その慌ただしさはますます速くなっていった。角は足の踏み鳴らす音で響き、また響き返した。あるものは窓の下にいるように、あるものは部屋の中にいるように、あるものは近づき、あるものは去り、あるものは途切れ、あるものは完全に止まったように思えた。だがすべては遠い通りにあり、視界の中には一つもなかった。

「これらすべての足音は、私たち全員のところへ来る運命なのですか、ミス・マネット。それとも、私たちで分け合うことになるのでしょうか?」

「分かりません、ダーニー氏。愚かな空想だと申し上げたのに、あなたが求めたのです。私がその想像に身を委ねた時は、一人でした。その時私は、それを私の人生と父の人生に入ってくる人々の足音だと思いました。」

「私はそれを自分の人生にも引き受けよう!」カートンが言った。「私は何も尋ねず、何の条件もつけない。大群衆がこちらへ押し寄せてくる、ミス・マネット。私には見える――稲妻に照らされて。」

彼は、まばゆい閃光が走り、窓にもたれる自分の姿を浮かび上がらせた後で、最後の言葉を付け加えた。

「そして聞こえる!」雷鳴が轟いた後で、彼はまた付け加えた。「来るぞ、速く、激しく、猛り狂って!」

彼がたとえたのは雨の奔流と轟きであり、その音が彼の言葉を止めた。その中ではどんな声も聞こえなかった。水の掃き流しとともに、記憶に残る雷と稲妻の嵐が破れ、真夜中に月が昇るまで、衝撃と火と雨の間に一瞬の間もなかった。

晴れた空気の中でセント・ポール大聖堂の大鐘が一時を打っていたころ、ロリー氏は、長靴を履きランタンを持ったジェリーに付き添われ、クラーケンウェルへの帰路についた。ソーホーとクラーケンウェルの間には人けのない道筋が点在しており、ロリー氏は追いはぎを警戒して、いつもこの役目にジェリーを雇っていた。もっとも、ふだんならそれは二時間ほど早く行われるのだが。

「なんという夜だったことか! ほとんど、死者を墓から呼び出すような夜だったな、ジェリー」とロリー氏は言った。

「わたしはそんなことをする夜なんて、見たことがありませんよ、旦那――これからも見たいとは思いませんね」とジェリーは答えた。

「おやすみ、カートン氏」と実務家は言った。「おやすみ、ダーニー氏。私たちは、またこんな夜を一緒に見ることがあるでしょうか!」

あるいは。あるいは、奔流と轟きを伴う大群衆が、自分たちの上にも押し寄せてくるのを見るのかもしれない。

第七章 都のモンセニョール

モンセニョール――宮廷で権力を握る大貴族の一人――は、パリの壮麗な館で、二週間に一度の謁見日を開いていた。モンセニョールは内室にいた。そこは聖所の中の聖所であり、外の続き部屋に集まる崇拝者の群れにとっては至聖所だった。モンセニョールは今、チョコレートを召し上がろうとしていた。モンセニョールは実に多くのものをたやすく呑み込むことができ、いくつかの不機嫌な心の持ち主からは、いささか急速にフランスを呑み込んでいるのではないかと疑われていた。だが、朝のチョコレートだけは、料理人のほかに屈強な男四人の助けなしには、モンセニョールの喉へ入ることさえできなかった。

そうだ。幸福なチョコレートをモンセニョールの唇へ導くには、四人の男が必要だった。四人とも華麗な飾りで燃え立つように着飾り、その筆頭は、モンセニョールが示した高貴で純粋な流行に倣って、ポケットに金時計を二つ以上入れていなければ生きていけなかった。一人の従僕がチョコレート壺を聖なる御前へ運び入れ、二人目がその役目のために持っている小さな道具でチョコレートをかき混ぜ泡立て、三人目が恵み深いナプキンを差し出し、四人目(二つの金時計の男)がチョコレートを注いだ。モンセニョールが、このチョコレートに侍る者の一人でも欠きながら、称賛する天の下で高い地位を保つことは不可能だった。もしチョコレートが卑しくも三人だけに給仕されたなら、その紋章には深い汚点がついただろう。二人であれば、彼は死んでいたに違いない。

モンセニョールは昨夜、ちょっとした晩餐に出ていた。そこでは喜劇とグランド・オペラが魅力的に演じられていた。モンセニョールはほとんど毎晩、魅力ある仲間とちょっとした晩餐に出ていた。モンセニョールはたいへん礼儀正しく、たいへん影響を受けやすかったので、退屈な国務や国家機密に関しては、フランス全土の必要よりも、喜劇とグランド・オペラのほうがはるかに強い影響力を持っていた。これほど恵まれた国々にとって、いつでもそうであるように、フランスにとって幸福な事情である! ――たとえばイングランドにとっても、国を売った陽気なスチュアート王家の惜しまれる時代には、いつもそうだったのだ。

モンセニョールは、公の事業全般について、一つのまことに高貴な考えを持っていた。すなわち、すべてを成り行きに任せること。個別の公務については、モンセニョールはもう一つのまことに高貴な考えを持っていた。すなわち、すべてが自分の思いどおりに進まねばならず、自分の権力と懐へ向かわねばならないこと。彼の快楽、一般的な快楽も個別の快楽もについて、モンセニョールはさらにもう一つのまことに高貴な考えを持っていた。すなわち、世界はそのために作られたということ。彼の一門の聖句は(原典から代名詞一つだけを変えたもので、それほど大した違いではない)こうだった。「地とそこに満ちるものは、わがものなり、とモンセニョールは言う。」

とはいえ、モンセニョールは次第に、私事にも公事にも、卑俗な困難が忍び込んでくることに気づいていた。そして両方の事柄について、やむなく徴税請負人と手を結んでいた。公の財政については、モンセニョールにはまったくどうにもできず、したがってそれをどうにかできる者に請け負わせねばならなかったから。私の財政については、徴税請負人は富裕であり、モンセニョールは何世代にもわたる大贅沢と出費の果てに貧しくなりつつあったからである。そこでモンセニョールは、迫りくるヴェール――彼女が身につけ得る最も安上がりな衣――を避ける余地がまだあるうちに妹を修道院から連れ出し、家柄は貧しいが非常に富裕な徴税請負人への褒美として与えていた。その徴税請負人は、上に金の林檎をつけたふさわしい杖を携え、今、外の部屋の客たちの中にいた。彼は人類の前で大いにひれ伏される存在だった――ただし、モンセニョールの血を引く上位の人類だけは常に例外であり、彼自身の妻を含めて、彼をこの上なく高い軽蔑の目で見下ろしていた。

徴税請負人は豪奢な男だった。厩には三十頭の馬が立ち、広間には二十四人の男召使いが控え、六人の侍女が彼の妻に仕えていた。できるところで略奪と糧秣徴発りょうまつちょうはつ以外は何もしないふりをする者として、徴税請負人は――結婚関係がいかほど社交上の道徳に寄与していたにせよ――少なくとも、その日モンセニョールの館に伺候した人物たちの中で、最大の現実味を持つ存在だった。

というのも、その部屋々は見るには美しい光景であり、当時の趣味と技量がなし得るあらゆる装飾の工夫で飾られていたが、実際には健全な仕事ではなかったからである。他の場所にいるぼろ布とナイトキャップをまとった案山子たち(しかもそれほど遠くではなく、二つの極端からほぼ等距離にあるノートルダムの見張り塔なら両方を見ることができた)との関連で考えるなら、それはひどく居心地の悪い仕事だったはずだ――もしモンセニョールの家でそれが誰かの仕事になり得たならば。軍事知識を欠いた軍人。船のことをまるで知らない海軍士官。事務の概念を持たない行政官。最悪の意味で世俗にまみれ、官能的な目、だらしない舌、さらにだらしない暮らしを持つ厚顔な聖職者。いずれもそれぞれの職分にはまったく不適格で、それに属しているふりをすること自体が恐ろしく嘘でありながら、みなモンセニョールの一門に近く、あるいは遠く属しているため、何か得られるもののあるあらゆる公職へ押し込まれていた。こうした者は何十人単位で数え上げられた。モンセニョールや国家に直接つながってはいないが、同じように現実の何ものにも、またこの地上で真に価値ある目的へまっすぐ向かう人生にもつながっていない人々も、少しも少なくなかった。存在したこともない想像上の不調に対する繊細な療法で大財産を築いた医師たちは、モンセニョールの控えの間で、宮廷風の患者たちに微笑みかけていた。国家に触れた小さな悪を治すあらゆる療法を発見した計画屋たち――ただし、たった一つの罪を根こそぎにするため真剣に働き始めるという療法だけは除いて――は、モンセニョールの謁見の場で、つかまえられる耳ならどれにでも、気を散らすおしゃべりを注ぎ込んでいた。言葉で世界を作り直し、天をよじ登るためのバベルのカード塔を作っていた不信仰の哲学者たちは、金属変成に目をつけていた不信仰の化学者たちと、このモンセニョールによって集められた驚くべき集会で語り合っていた。最上の育ちを持つ優美な紳士たちは――その見事な時代には、そしてそれ以後も、その育ちの良さは、人間の自然な関心事すべてに対する無関心という実によって知られるものだった――モンセニョールの館で、模範的なまでに疲弊しきった状態にあった。これらさまざまな名士たちがパリの上流社会に残してきた家庭は、あまりにもそのようなものだったので、モンセニョールの周囲に集まった信徒たちの中の密偵――上品な客の実に半数を占めていた――も、その圏の天使たちの間に、振る舞いや外見において自分が母であることを認める妻を、ただ一人見つけるのにも苦労しただろう。実際、面倒な生き物をこの世へ送り出すという単なる行為――それは「母」という名の実現にはあまり役立たない――を別にすれば、流行の世界にはそのようなものは知られていなかった。農婦たちは流行遅れの赤ん坊を身近に抱き育て、六十歳の魅力的な祖母たちは二十歳のように着飾って晩餐をとっていた。

非現実という癩病が、モンセニョールに伺候するすべての人間を醜く損ねていた。いちばん外側の部屋には、数年にわたり、世の中全般がどこか間違った方向へ進んでいるのではないかという漠然とした不安を抱いてきた、例外的な人々が半ダースほどいた。それを正す有望な方法として、その半ダースの半数は、奇妙な痙攣派[訳注:18世紀フランスに現れた宗教的熱狂集団]の一員となっており、まさにその時も、その場で泡を吹き、怒り、吠え、強硬症カタレプシーに陥るべきかどうかを内心で考えていた――それによって、モンセニョールの導きとなる、未来へのたいへん分かりやすい道標を立てるつもりだった。この托鉢僧めいた者たちのほかに、別の三人がもう一つの宗派へ飛び込んでいた。その宗派は「真理の中心」なる隠語を弄して事態を改善するものだった。すなわち、人間は真理の中心から外れてしまった――これはあまり証明を要しない――が、円周からは外れておらず、断食と霊を見ることによって、円周の外へ飛び出さないよう保たれ、さらには中心へ押し戻されるべきだ、という考えである。したがって、その中では霊との会話が盛んに行われ――それは、決して目に見える形にはならなかったが、世界に大いなる善をもたらした。

だが慰めだったのは、モンセニョールの大邸宅にいる客たち全員が完璧に装っていたことである。もし最後の審判の日が正装日であるとだけ確認されていたなら、そこにいる者は誰もが永遠に正しく装っていただろう。髪はこれほど巻き縮らされ、粉を振られ、立てられ、繊細な顔色はこれほど人工的に保たれ補われ、見事な剣はこれほど目を楽しませ、繊細な香りはこれほど嗅覚に敬意を払っていたのだから、きっとあらゆるものを、いつまでもいつまでも動かし続けるに違いなかった。最上の育ちを持つ優美な紳士たちは、気だるげに動くたびにちりんと鳴る小さな垂れ飾りを身につけていた。その黄金の足枷は、貴重な小鈴のように鳴った。その響きに、絹や錦や上質のリンネルの衣擦れが加わって、空気にはそよぎが生じ、それがサン=タントワーヌとその貪る飢えをはるか遠くへ扇ぎやっていた。

装いこそが、すべてをあるべき場所に保つために用いられる、決して失敗しない護符であり魔法だった。誰もが、決して終わることのない仮装舞踏会のために着飾っていた。テュイルリー宮殿から、モンセニョールと宮廷全体を通り、諸院、裁判所、そしてすべての社交界(案山子たちは除く)を通って、その仮装舞踏会は一般の死刑執行人にまで降りていた。彼はその魔法に従い、「髪を巻き、粉を振り、金モール付きの上着、パンプス靴、白絹の長靴下」で職務を果たすことを求められていたのである。

絞首台と車裂き台――斧は珍しかった――の場で、ムッシュー・パリ、すなわち地方の同業者であるムッシュー・オルレアンその他が司教風に彼を呼ぶ名で言えば、彼はこの優美な装いで主宰した。西暦一七八〇年、モンセニョールの謁見に集まった者の中で、髪を巻いた絞首吏、粉を振られ、金モールをつけ、パンプスを履き、白絹の長靴下をはいた絞首吏に根ざした制度が、星々の尽きるまで存続すると疑い得る者など、果たして誰がいただろうか! 

モンセニョールは四人の男から負担を取り除き、チョコレートを召し上がると、至聖所の扉を開け放たせ、外へお出ましになった。すると、なんという服従、なんというへつらいと追従、なんという卑屈、なんという惨めな屈辱! 身も心もひれ伏すという点では、天に残されたものは何もなかった――それが、モンセニョールの崇拝者たちが天を煩わせることのなかった理由の一つだったのかもしれない。

ここでは約束の言葉を授け、あそこでは微笑を授け、幸福な奴隷の一人には囁きを、別の者には手の一振りを与えながら、モンセニョールは愛想よく部屋々を通り、真理の円周の遠い領域へ進んだ。そこでモンセニョールは向きを変え、また戻り、やがてしかるべき時を経て、チョコレートの精霊たちによって聖所に閉じ込められ、二度と姿を見せなかった。

見世物が終わると、空気のそよぎはちょっとした嵐となり、貴重な小鈴は階下へ鳴りながら降りていった。ほどなく、群衆の中で残った者は一人だけになった。その男は帽子を脇に抱え、嗅ぎ煙草入れを手に、外へ向かう途中、鏡の間をゆっくりと通り過ぎた。

「貴様を捧げてやる」とその人物は、出ていく途中の最後の扉で立ち止まり、聖所のほうへ向き直って言った。「悪魔に!」

そう言うと、彼はまるで足の塵を振り払うように指先の嗅ぎ煙草を払い、静かに階下へ歩いていった。

彼は六十歳ほどの男で、見事な身なりをし、態度は傲慢で、顔は上等な仮面のようだった。透明な青白さを帯びた顔。すべての目鼻立ちがくっきりと整い、一つの決まった表情が張りついていた。鼻は、それ以外は美しい形をしていたが、両方の小鼻の上がごくわずかにつままれたようになっていた。その二つの圧迫、あるいは窪みに、その顔が示す唯一の小さな変化が宿っていた。そこは時々色を変え、ときおりかすかな脈動のようなものによって広がったり縮んだりした。その時、その顔全体には裏切りと残酷さの気配が宿った。注意深く観察すれば、そのような表情を助ける能力は、口の線と眼窩の線があまりに水平で薄いことにあると分かった。それでもなお、その顔が生み出す効果の中では、美しく、また目を引く顔だった。

その顔の持ち主は階段を下りて中庭へ出、馬車に乗り込み、走り去った。謁見で彼と言葉を交わした者は多くなかった。彼は少し離れた場所に立っており、モンセニョールの態度も、もう少し温かくてもよかったかもしれない。そうした事情のもとでは、彼にとって、馬の前から庶民が散らされ、しばしば轢き倒される寸前で逃げるのを見るのは、いささか愉快なことのようだった。彼の従者は敵に突撃するように馬車を走らせ、その男の激しい無謀さは、主人の顔にも唇にも何の制止ももたらさなかった。歩道のない狭い通りで、荒々しい貴族たちの暴走の慣習が、ただの下賤な者たちを野蛮にも危険にさらし、不具にしているという不平は、あの耳の聞こえない都市、口の利けない時代にあってさえ、ときおり聞こえるほどになっていた。しかし、それを二度考えるほど気にかける者はほとんどなく、この件でも他のすべてと同様、哀れな庶民どもは、できるかぎり自力で困難を抜け出すに任されていた。

馬車は、狂ったような軋みと轟きと、今日では容易に理解しがたいほど非人間的に配慮を捨てた勢いで、通りを突き抜け、角を曲がった。女たちはその前で悲鳴を上げ、男たちは互いをつかみ合い、子どもをつかんで進路から引き離した。ついに、泉のある街角へ襲いかかるように曲がった時、車輪の一つがぞっとするような小さな衝撃を受け、いくつもの声から大きな叫びが上がり、馬は立ち上がって暴れた。

原画

後者の不都合がなければ、馬車はおそらく止まらなかっただろう。馬車がそのまま走り去り、傷ついた者を後に残すことはよくあることだったし、なぜそうして悪いのか。しかし怯えた従僕が慌てて降り、二十もの手が馬の手綱にかかっていた。

「何が起こった?」ムッシューは、落ち着いて外を見ながら言った。

ナイトキャップをかぶった背の高い男が、馬の足元から一つの包みを抱き上げ、泉の台座に寝かせていた。そして泥と濡れた地面に身を投げ出し、野獣のようにその上で泣き叫んでいた。

「ご容赦を、エヴレモンド侯爵様!」ぼろをまとった従順な男が言った。「子どもでございます。」

「なぜあの男は、あんな忌まわしい音を立てている? あれの子か?」

「お許しください、エヴレモンド侯爵様――お気の毒に――はい。」

泉は少し離れたところにあった。というのも、その場所で通りは、十ヤードか十二ヤード(約九メートルから十一メートル)四方ほどの広場へ開けていたからである。背の高い男が突然地面から立ち上がり、馬車へ向かって駆け寄ってくると、エヴレモンド侯爵は一瞬、剣の柄に手を打ちつけた。

「殺された!」男は、狂った絶望の中で、両腕を頭上いっぱいに伸ばし、彼を睨みつけながら叫んだ。「死んだ!」

人々は周りを取り囲み、エヴレモンド侯爵を見た。彼を見つめる多くの目に現れていたのは、用心深さと熱心さだけだった。目に見える脅しや怒りはなかった。人々は何も言わなかった。最初の叫びの後、彼らは沈黙し、そのまま黙っていた。先ほど話した従順な男の声は、極度の服従のために平板でおとなしかった。エヴレモンド侯爵は、穴から出てきたただの鼠でも見るように、一同へ目を走らせた。

彼は財布を取り出した。

「私には実に奇妙に思える」と彼は言った。「お前たちが自分自身と自分の子どもの面倒を見られないとは。お前たちの誰かが、いつも道を塞ぐ。お前たちが私の馬にどんな損害を与えたか、私にどう分かる。見ろ! これをあの男にやれ。」

彼は従僕に拾わせるため金貨を投げ出した。金貨が落ちるのをすべての目で見下ろそうとして、すべての頭が前へ伸びた。背の高い男は、またもこの世のものとも思えぬ叫び声で叫んだ。「死んだ!」

彼は、別の男が素早く到着したことで制止された。人々はその男のために道を開けた。彼を見ると、哀れな男はその肩にすがりつき、すすり泣き、泣き声を上げながら、泉を指さした。そこでは何人かの女たちが動かぬ包みの上にかがみ込み、その周りで静かに動いていた。しかし女たちも、男たちと同じく沈黙していた。

「分かっている、全部分かっている」と最後に来た男が言った。「勇気を出せ、ガスパール! あの哀れな小さな玩具にとっては、生きるより、こうして死ぬほうがましなのだ。苦しまず、一瞬で死んだ。一時間でも、これほど幸せに生きられただろうか?」

「お前は哲学者だな、そこな男」と侯爵は微笑んで言った。「何と呼ばれている?」

「デファルジュと呼ばれております。」

「職業は?」

「エヴレモンド侯爵様、ワイン売りでございます。」

「拾え、哲学者にしてワイン売りよ」と侯爵はもう一枚の金貨を投げて言った。「好きに使え。そこの馬はどうだ。異常はないか?」

集まった者たちを二度見ようともせず、エヴレモンド侯爵は座席にもたれた。そして、偶然ありふれた物を壊し、その代金を払い、また払う余裕もある紳士のような態度で、まさに走り去ろうとした。そのとき、突然一枚の硬貨が馬車の中へ飛び込み、床の上で鳴ったため、その安逸は乱された。

「止めろ!」エヴレモンド侯爵は言った。「馬を止めろ! 誰が投げた?」

彼は、つい先ほどワイン売りのデファルジュが立っていた場所を見た。しかしその場所では、不幸な父親が舗道に顔を伏せて這いつくばっており、そのそばに立っていたのは、編み物をする黒々とした頑丈な女の姿だった。

「犬どもめ!」侯爵は、しかし滑らかに、鼻の窪みを除いて表情を変えずに言った。「私は喜んでお前たちの誰でも轢き殺し、この地上から根絶やしにしてやる。どの悪党が馬車に投げつけたか分かり、その山賊が十分近くにいたなら、車輪の下で押し潰してやったものを。」

彼らの境遇はそれほどまでに怯え切っており、こうした男が法の内でも外でも自分たちに何をし得るかという経験が、あまりに長く過酷だったため、声も、手も、目でさえも上がらなかった。男たちの中には一人も。しかし編み物をして立っていた女は、じっと顔を上げ、侯爵の顔を見据えた。それに気づくことは彼の威厳に関わることではなかった。彼の軽蔑に満ちた目は、彼女の上を、また他のすべての鼠どもの上を通り過ぎた。そして再び座席にもたれると、「進め!」と命じた。

彼は走り去り、その後すぐ、他の馬車が次々と渦巻くように通り過ぎた。大臣、国家計画屋、徴税請負人、医師、法律家、聖職者、グランド・オペラ、喜劇、仮装舞踏会全体が、明るく途切れない流れとなって渦巻きながら過ぎていった。鼠たちは穴から這い出してそれを眺め、何時間も眺め続けた。兵士と警官がしばしば彼らと見世物の間を通り、障壁を作り、彼らはその背後に身を縮め、その隙間から覗いた。父親はとっくに包みを抱き上げ、それとともに姿を隠していた。包みが泉の台座に横たわっていた間に世話をしていた女たちが、そこに座って水の流れと仮装舞踏会の流れを見守っていた時も――目立つように立っていたあの一人の女は、運命そのものの揺るぎなさで、なお編み続けていた。泉の水は流れ、速い川は流れ、日は夕へ流れ、都市の多くの生命は決まりに従って死へ流れ、時も潮も人を待たず、鼠たちはまた暗い穴の中で身を寄せ合って眠り、仮装舞踏会は晩餐の明かりをともされ、すべてのものがそれぞれの道を流れていった。

第八章 田舎のモンセニョール

美しい風景だった。畑には穀物が明るく実っていたが、豊かとは言えなかった。本来なら小麦が育つはずの場所には貧弱なライ麦の畝があり、貧弱なエンドウや豆の畝があり、小麦の代わりに植えられた、ひどく粗末な野菜の畝があった。生命なき自然にも、それを耕す男や女たちにも、どこか一様に、しぶしぶ生えているような気配が漂っていた。気落ちして、もう諦め、枯れてしまおうとしているかのような気配だった。

旅馬車に乗った侯爵閣下は、四頭の駅馬と二人の御者に引かれて、険しい坂道を疲れきったように登っていった。その旅馬車は、もう少し軽くできたはずのものだった。侯爵閣下の顔に差した赤みは、その高貴な育ちを損なうものではなかった。内からにじみ出たものではない。彼にはどうにもならない外の事情――沈む夕日――のせいだった。

坂の頂に達したとき、夕日は旅馬車の中へまばゆく差し込み、乗っている侯爵を深紅に浸した。「すぐに消える」と侯爵は自分の手に目をやりながら言った。「すぐにな。」

実際、太陽はすでに低く、その瞬間に地平へ沈んだ。重い制動具が車輪に取り付けられ、馬車が煤けた匂いと土埃の雲の中を坂道へ滑り下りるころには、赤い輝きはたちまち去っていた。太陽と侯爵がともに沈んでゆき、制動具が外されたときには、もうどこにも光は残っていなかった。

だがそこには、起伏の激しい、荒々しく開けた土地が残っていた。坂の下には小さな村があり、その向こうに大きく広がってまた持ち上がる丘陵があり、教会の塔があり、風車があり、狩猟のための森があり、岩山の上には監獄として使われる要塞があった。夜が近づき、それらのものがみな暗みを帯びてゆく中で、侯爵はまるで家へ近づいている者のような顔つきで、それらをぐるりと見渡した。

村には一本の貧しい通りがあるだけだった。貧しい醸造所、貧しいなめし皮工場、貧しい居酒屋、駅馬を替えるための貧しい厩庭、貧しい泉、どれもこれも貧しい備えだった。そこには貧しい人々もいた。村人はみな貧しく、その多くは夕食にするため、戸口に腰をおろして乏しい玉ねぎやそのたぐいを刻んでいた。また多くの者は泉のところで、葉や草や、食べられそうな大地のささやかな恵みを洗っていた。何が彼らを貧しくしているのかを示す印は、そこかしこにあった。国家への税、教会への税、領主への税、地方税に国税。それらをここで払い、あそこで払えと、小さな村に厳めしい銘文が掲げられているので、むしろ不思議なのは、この村がまだ丸呑みにされず残っていることだった。

子どもはほとんど見かけず、犬は一匹もいなかった。男たちと女たちについて言えば、この地上で彼らに与えられた選択肢は、目の前の眺めに明らかだった。風車の下の小さな村で、どうにか命をつなげる最低限の生活を送るか、あるいは岩山の上に君臨する監獄で、囚われの身となり死ぬか。

先触れの使者と、夕暮れの空気の中で頭上に蛇のようにうねる御者たちの鞭の音に導かれ――まるで復讐の女神フューリーズを従えてやって来たかのように――侯爵閣下の旅馬車は駅逓所の門前に止まった。そこは泉のすぐそばで、百姓たちは手を止めて侯爵を見た。侯爵も彼らを見た。そして自分では気づかぬまま、彼らの顔と姿に、苦悩にすり減らされた人間がゆっくりと、しかし確実に削られてゆくさまを見ていた。その痩せこけた姿は、やがてフランス人は痩せているというイングランド人の迷信を作り出し、真実が失われてからも百年近く生き残ることになるのだった。

侯爵閣下は、自分の前にうなだれる従順な顔を見渡した。宮廷のモンセニョールの前で、彼自身のような者たちがうなだれていたのと同じように――ただ違うのは、この顔たちはなだめるためではなく、ただ苦しみに耐えるためだけにうなだれているということだった。そのとき、白髪まじりの道路修繕人が一団に加わった。

「あの男をここへ連れてこい!」侯爵は使者に言った。

男は帽子を手にして連れてこられ、ほかの者たちはパリの泉の人々のように、見聞きしようと周囲に寄り集まった。

「私は道でおまえを追い越したな?」

「モンセニョール、そのとおりでございます。道でお追い越しいただく栄誉にあずかりました。」

「坂を登っているときも、坂の頂でも、どちらもか?」

「モンセニョール、そのとおりでございます。」

「おまえは何を、あんなにじっと見ていた?」

「モンセニョール、男を見ておりました。」

彼は少しかがみ、ぼろぼろの青い帽子で馬車の下を指した。仲間たちもみな、馬車の下をのぞき込もうとかがんだ。

「何の男だ、豚め? それに、なぜそこを見る?」

「お許しください、モンセニョール。その男は、輪止め――制動具の鎖にぶら下がっておりました。」

「誰がだ?」旅人は問いただした。

「モンセニョール、その男でございます。」

「悪魔がこの間抜けどもをさらってしまえ! その男を何と呼ぶのだ? おまえはこの辺りの男なら皆知っているだろう。誰だった?」

「ご慈悲を、モンセニョール! この辺りの者ではございません。生まれてこの方、一度も見たことのない男でございます。」

「鎖にぶら下がっていた? 窒息するためにか?」

「ご寛恕をいただけますなら、そこが不思議だったのでございます、モンセニョール。頭をこう、垂らして――こうでございます!」

彼は馬車に対して横向きになり、顔を空へ向けて背を反らし、頭をだらりと下げてみせた。それから姿勢を戻し、帽子をいじり、礼をした。

「どんな姿だった?」

「モンセニョール、粉挽きよりも白うございました。全身が埃まみれで、幽霊のように白く、幽霊のように背が高うございました!」

その絵のような説明は、小さな群衆に大きなざわめきを起こした。だがどの目も、互いに見合わせることなく、侯爵閣下を見た。もしかすると、その良心に何か幽霊が取りついているかどうかを見届けようとしていたのかもしれない。

「まったく、よくやったものだ」と侯爵は言った。このような害虫どもに自分が乱されることはないと、快く自覚していた。「私の馬車について来る盗人を見ておきながら、その大きな口を開かぬとはな。ふん! そいつをどかせ、ガベル氏!」

ガベル氏は駅逓長であり、同時に何らかの徴税官でもあった。この尋問を手伝おうと、たいそうへつらいながら出てきており、尋問されている男の袖を役人らしくつかんでいた。

「ふん! 脇へ行け!」ガベル氏は言った。

「今夜、その見知らぬ男がこの村に泊まろうとしたら捕らえろ。そしてその用向きが正直なものか、確かめるのだ、ガベル。」

「モンセニョール、ご命令に身を捧げられること、光栄の至りに存じます。」

「その男は逃げたのか、そこの者? ――あの呪われた奴はどこだ?」

その呪われた奴は、すでに半ダースほどの親しい仲間たちと馬車の下にもぐり込み、青い帽子で鎖を指し示していた。別の半ダースほどの親しい仲間たちがすばやく彼を引きずり出し、息も絶え絶えのまま侯爵閣下の前に差し出した。

「馬車を止めて制動具をつけたとき、その男は逃げたのか、まぬけ?」

「モンセニョール、その者は川へ飛び込む人間のように、頭から坂の斜面へ身を投げました。」

「よく見張っておけ、ガベル。進め!」

鎖をのぞき込んでいた半ダースほどの者たちは、まだ羊のように車輪の間にいた。車輪はあまりに急に回り出したので、皮と骨を守れただけでも幸運だった。ほかに守るものなどほとんどなかったから、かえって助かったのかもしれない。

馬車が村を飛び出し、その向こうの上り坂へ向かって勢いよく走り出したが、その勢いは坂の険しさにすぐ抑えられた。やがて、夏の夜の数々の甘い香りの中を、馬車は揺れ、重々しくきしみながら、歩くような速さで上っていった。御者たちの周りには、復讐の女神の代わりに無数の薄絹のような羽虫が輪を描いて飛び、彼らは静かに鞭の先を直していた。従僕は馬のそばを歩き、使者は先を小走りに進み、鈍い遠方へ消えていく音だけが聞こえた。

坂のいちばん険しいところに、小さな墓地があり、十字架と、その上に新しく大きな救世主の像が立っていた。田舎の未熟な木彫り職人が作った粗末な木像だったが、その職人は実物をもとにこの姿を学んだのだろう――おそらくは自分自身の人生をもとに。ひどく痩せ細っていたからだ。

長いあいだ悪化しつづけ、まだ最悪には至っていない大きな苦難を示す、この痛ましい象徴の前に、一人の女が跪いていた。馬車が近づくと、女は振り向き、すばやく立ち上がって馬車の扉のところへ進み出た。

「あなた様でございますね、モンセニョール! モンセニョール、お願いがございます。」

苛立ちの声を漏らしながらも、変わらぬ顔つきで、モンセニョールは外を見た。

「何だというのだ! 何事だ? いつもいつも請願か!」

「モンセニョール。偉大なる神の御名にかけて! 私の夫、森番でございました。」

「おまえの夫、森番がどうした? おまえたちはいつも同じだ。何かを払えないというのか?」

「すべて払いました、モンセニョール。夫は死にました。」

「そうか! なら静かになった。私が夫をおまえに戻せるとでも?」

「ああ、いいえ、モンセニョール! でも夫はあそこに、貧しい草の小さな盛り土の下に眠っております。」

「それで?」

「モンセニョール、貧しい草の小さな盛り土が、あまりにも多いのでございます。」

「それで、また何だ?」

女は老女のように見えたが、若かった。その身ぶりには激しい悲しみがあった。血管の浮いた節くれだった両手を狂おしい力で組み合わせたかと思うと、その片手を馬車の扉に置いた――優しく、撫でるように。まるでそれが人の胸で、哀願の触れ方を感じ取ってくれると期待しているかのようだった。

「モンセニョール、お聞きください! モンセニョール、私の願いをお聞きください! 夫は欠乏のために死にました。多くの者が欠乏で死んでおります。もっと多くの者が欠乏で死ぬでしょう。」

「また、それで? 私がそいつらを食わせろというのか?」

「モンセニョール、善き神はご存じでございます。でも私はそれを願っているのではありません。私の願いは、夫の名を刻んだ石か木のかけらを、夫の上に置いていただきたいということです。どこに眠っているか分かるように。でなければ、その場所はすぐに忘れられ、私が同じ病で死んだときには、二度と見つけられません。私は別の貧しい草の盛り土の下に葬られるでしょう。モンセニョール、あまりに多いのです、あまりに速く増えております、欠乏があまりに大きいのです。モンセニョール! モンセニョール!」

従僕は女を扉から引き離し、馬車は軽快な速歩に移り、御者たちは速度を上げた。女ははるか後ろに残され、モンセニョールは再び復讐の女神に護られながら、自分の城館まで残る一リーグか二リーグ(約4〜8キロメートル)の距離を急速に縮めていった。

夏の夜の甘い香りは侯爵の周囲に立ちのぼり、雨が降るように公平に、ほど近い泉のそばにいた埃まみれで、ぼろをまとい、労苦に疲れた一団の上にも立ちのぼっていた。そこでは道路修繕人が、青い帽子――それがなければ彼は何者でもなかった――の助けを借りて、彼らが耐えられるかぎり、幽霊のような男の話をなおも大げさに語っていた。やがて、もう耐えられなくなるにつれて、人々は一人また一人と離れていき、小さな窓に灯がまたたいた。その灯は、窓が暗くなり、星がさらに多く現れるにつれて、消えたのではなく空へ打ち上げられたかのように見えた。

そのころには、大きな高い屋根の館と、幾重にも覆いかぶさる木々の影が侯爵閣下を包んでいた。そして馬車が止まり、城館の大扉が開かれると、その影は松明の光に取って代わられた。

「私が待っているシャルル君は、イングランドから着いたか?」

「モンセニョール、まだでございます。」

第九章 ゴルゴンの首

侯爵閣下の城館は、重々しい建物の塊だった。前には大きな石造りの中庭があり、二つの石造りの階段が弧を描いて、正面玄関前の石のテラスで合わさっていた。何もかもが石だった。重い石の欄干、石の壺、石の花、石の人面、石の獅子頭が、いたるところにあった。まるで二世紀前、完成したそのときにゴルゴンの首がこの館を見渡したかのようだった。

幅広く浅い段を上って、侯爵閣下は松明を先に立て、馬車から館へ入っていった。その光は闇を十分に乱し、木立の奥にある大きな厩舎棟の屋根にいた梟から、大きな抗議の声を引き出した。ほかはあまりに静まり返っていたので、階段を上る松明も、大扉のところに掲げられたもう一つの松明も、戸外の夜気の中ではなく、閉ざされた儀式の間で燃えているかのようだった。梟の声のほかには、石の水盤に落ちる泉の音だけしかなかった。なぜならそれは、何時間も息をひそめ、それから低く長い溜息をつき、また息をひそめるような、暗い夜の一つだったからだ。

大扉が背後でがらんと閉まり、侯爵閣下は広間を横切った。そこは古い猪槍や剣や狩猟用のナイフで陰惨だった。さらに陰惨だったのは、重い乗馬鞭や鞭棒で、それらの重みを、怒った領主から身に受けた百姓たちは数知れず、今では慈悲深き死のもとへ去っていた。

夜のため暗く閉ざされた大広間を避け、侯爵閣下は松明持ちを前に、階段を上って廊下の扉へ向かった。扉が開かれると、彼は三室からなる自分の私室へ入った。寝室と、ほかに二つの部屋である。高くアーチを描く天井、絨毯のない冷たい床、冬に薪を燃やすための炉の大きな薪架、そして贅沢な時代と国における侯爵の身分にふさわしいあらゆる奢侈。決して断絶しないはずだった王統の、最後から二代前のルイ――ルイ十四世――の流行が、豪華な家具にははっきり表れていた。だがそこには、フランス史の古いページを物語る数多くの品々が混じっていた。

三つ目の部屋には、二人分の夜食の卓が整えられていた。城館の四つの、火消し帽をかぶせたような塔の一つにある円形の部屋だった。小さく天井の高い部屋で、窓は大きく開けられていたが、木の鎧戸は閉ざされており、暗い夜は、石色の幅広い横線の間に、細い黒い横線としてわずかに見えるだけだった。

「甥は」と侯爵は夜食の支度に目をやりながら言った。「まだ着いていないと言っていたな。」

実際、まだ着いていなかった。だがモンセニョールとともに来るものと予想されていたのだ。

「ああ! 今夜着く見込みは薄いな。それでも、卓はそのままにしておけ。十五分で支度する。」

十五分後、モンセニョールは支度を終え、豪華で選び抜かれた夜食の席に一人で着いた。椅子は窓の正面に置かれていた。スープを飲み終え、ボルドーの杯を唇へ運ぼうとしたとき、彼はそれを置いた。

「あれは何だ?」彼は黒と石色の横線を注意深く見つめながら、静かに尋ねた。

「モンセニョール? あれ、でございますか?」

「鎧戸の外だ。鎧戸を開けろ。」

そのとおりにされた。

「さて?」

「モンセニョール、何もございません。ここにあるのは木々と夜だけでございます。」

そう言った召使いは、鎧戸を大きく開け、空っぽの闇をのぞき、それを背にして立ち、指示を待って振り返っていた。

「よい」と動じない主人は言った。「もう一度閉めろ。」

それもまたそのとおりにされた。侯爵は夜食を続けた。食事が半ばまで進んだところで、彼はまた、杯を手にしたまま止まった。車輪の音が聞こえたのだ。音は勢いよく近づき、城館の正面へ乗りつけた。

「誰が着いたのか聞け。」

モンセニョールの甥だった。午後の早いころには、モンセニョールの数リーグ後ろにいた。彼は急速に距離を詰めていたが、道中でモンセニョールに追いつくほどではなかった。駅逓所では、モンセニョールが自分の先にいると聞いていた。

彼には、ここに夜食が用意されているので来るようにと伝えよ、とモンセニョールは言った。ほどなくして彼はやって来た。イングランドではチャールズ・ダーニーとして知られていた男である。

モンセニョールは礼儀正しく迎えたが、二人は握手をしなかった。

「昨日、パリをお発ちになったのですね、閣下?」彼は食卓につきながらモンセニョールに言った。

「昨日だ。君は?」

「まっすぐ来ました。」

「ロンドンからか?」

「はい。」

「ずいぶん長くかかったものだな」と侯爵は微笑んだ。

「逆です。まっすぐ来ました。」

「失礼! 旅に長くかかったという意味ではない。旅をしようと思い立つまでが長かったという意味だ。」

「いろいろな用事に足止めされまして」と甥は答えの途中で一瞬言葉を切った。「さまざまな用件です。」

「もちろんだ」と洗練された叔父は言った。

召使いがいるあいだ、二人の間にそれ以上の言葉は交わされなかった。コーヒーが供され、二人きりになると、甥は叔父を見つめ、美しい仮面のような顔の目と視線を合わせ、話を切り出した。

「お察しのとおり、私は出て行った目的を追って戻ってきました。その目的のために、私は大きく思いがけない危険にさらされました。ですが、それは神聖な目的です。たとえ死へ導かれていたとしても、それが私を支えてくれたと思います。」

「死へ、ではない」と叔父は言った。「死へ、とまで言う必要はない。」

「閣下」と甥は返した。「もしそれが私を死の瀬戸際まで連れていったとしても、あなたがそこで私を止めようとなさったかどうか、私は疑わしく思います。」

鼻に刻まれた皺は深まり、残酷な顔に走る細くまっすぐな線は長くなり、そのことについては不吉に見えた。叔父は抗議するように優雅な身ぶりをしたが、それはいかにも上品な作法の軽い形にすぎず、安心させるものではなかった。

「実際のところ、閣下」と甥は続けた。「私の知るかぎり、あなたは私を取り巻いていた疑わしい事情を、さらに疑わしく見せるために、わざわざ動かれたのかもしれません。」

「いや、いや、いや」と叔父は楽しげに言った。

「しかし、どうであれ」と甥は深い不信の目を向けて続けた。「あなたの策略はどんな手段を使ってでも私を止めるでしょうし、その手段について良心の呵責など知らないでしょう。」

「友よ、私はそう言ったはずだ」と叔父は、二本の皺をかすかに震わせて言った。「ずっと前に、私がそう言ったことを思い出してくれたまえ。」

「覚えています。」

「ありがとう」と侯爵は言った――実に甘やかに。

その声の調子は、ほとんど楽器の響きのように空気の中に残った。

「実際、閣下」と甥は続けた。「私がこのフランスで牢獄に入れられずに済んだのは、ひとえにあなたの不運であり、同時に私の幸運だったのだと思っています。」

「よく分からないな」と叔父はコーヒーをすすりながら返した。「説明してもらってもよいかな?」

「もしあなたが宮廷の不興を買っておらず、ここ数年その雲の陰に覆われていなかったなら、封印状[訳注:国王の命により裁判なしで逮捕・投獄できた命令書]で私はどこかの要塞へ、期限もなく送られていたでしょう。」

「あり得るな」と叔父はきわめて落ち着いて言った。「一族の名誉のためなら、君にその程度の不便をかける決心くらいはできたかもしれない。どうか許してくれたまえ!」

「一昨日の拝謁が、いつものように冷たいものだったことは、私にとって幸いでした」と甥は言った。

「幸い、とまでは言わないほうがよいな、友よ」と叔父は洗練された礼儀正しさで返した。「そこは確かではない。孤独という利点に囲まれた、よい思索の機会は、君自身が自分の運命に及ぼすより、はるかによい影響を君の運命に与えたかもしれない。だがこの問題を論じても無益だ。君の言うとおり、私は不利な立場にある。あの小さな矯正器具、一族の力と名誉を支えるあの穏やかな助け、君にそこまで不便をかけるかもしれないあのささやかな恩寵は、今では人脈と執拗な嘆願によってしか手に入らない。求める者はあまりに多く、許される者は(比較的)あまりに少ない! 昔はそうではなかったが、フランスはそういうすべての点で悪いほうへ変わった。我々からそう遠くない祖先たちは、周囲の下賤な連中に対して生殺与奪の権を持っていた。この部屋からも、そのような犬どもが何人も引き出され、吊るされたものだ。隣の部屋(私の寝室)では、ある男が、自分の娘に関して何やら生意気な繊細さを主張したため、その場で短剣で刺し殺されたことを、我々は知っている――自分の娘だと? 我々は多くの特権を失った。新しい哲学が流行となった。そしてこの時代に我々の身分を主張すれば、実際に我々が不便を被ることもあるかもしれない(そうなる、とまでは言わないが、あり得る)。まったく悪い、実に悪い!」

侯爵は上品に少量の嗅ぎ煙草をつまみ、頭を振った。自分という、再生の偉大な手段をなお含む国に対して、ふさわしい限り優雅に悲嘆してみせた。

「我々は昔も今も、その身分をあまりにも主張してきました」と甥は陰鬱に言った。「そのため、我々の名はフランスのどの名より憎まれていると思います。」

「そう願いたいものだ」と叔父は言った。「高き者への憎悪は、低き者が思わず捧げる敬意だ。」

「この周囲一帯の土地で」と甥は前と同じ調子で続けた。「私が見ることのできる顔の中に、私を敬って見返すものは一つもありません。あるのは、恐怖と隷属による暗い恭順だけです。」

「それは一族の偉大さへの賛辞だ」と侯爵は言った。「一族がその偉大さを保ってきたやり方にふさわしい賛辞だ。はっ!」

そして彼はまた上品に少量の嗅ぎ煙草をつまみ、軽く脚を組んだ。

だが甥が肘を食卓につき、思案深く、気落ちしたように手で目を覆うと、その美しい仮面は横目で彼を見た。その視線には、身につけた無関心の仮装とは相容れないほど、鋭さと執拗さと嫌悪が強く凝っていた。

「抑圧こそ、唯一長続きする哲学だ。恐怖と隷属による暗い恭順はな、友よ」と侯爵は言った。「この屋根が」と天井を見上げながら、「空を遮っているかぎり、犬どもを鞭に従わせておく。」

それは侯爵が思っているほど長くはないかもしれなかった。もしその夜、数年後のこの城館の姿、そして同じような五十の館の数年後の姿を彼に見せることができたなら、彼は、ぞっとするような、火に焦げ、略奪され、打ち壊された廃墟の中から、自分の館を見分けることに苦労したかもしれない。彼が誇るその屋根について言えば、それが別の意味で空を遮ることになるのを彼は知ったかもしれない――すなわち、十万丁のマスケット銃の銃口から撃ち込まれた鉛によって、その鉛を受けた肉体の目から、永遠に空を遮るという意味で。

「ともかく」と侯爵は言った。「君が守らないなら、私が一族の名誉と安寧を守ろう。だが君は疲れているに違いない。今夜の話し合いは終わりにしようか?」

「もう少しだけ。」

「お望みなら一時間でも。」

「閣下」と甥は言った。「我々は過ちを犯し、その過ちの実を刈り取っているのです。」

「我々が過ちを犯した?」侯爵は問いかけるように微笑み、まず甥を、次に自分を指し示しながら繰り返した。

「我々の一族です。我々の名誉ある一族――その名誉を、私たち二人はあまりにも違う形で大事にしています。父の時代でさえ、我々は途方もない過ちを犯しました。我々の快楽が何であれ、その間に立つすべての人間を傷つけました。父の時代と言う必要があるでしょうか、それはあなたの時代でもあるのに。父の双子の兄弟であり、共同の相続人であり、次の継承者であるあなたを、父から切り離すことができますか?」

「死がそれをした!」侯爵は言った。

「そして死は私を」と甥は答えた。「私には恐ろしい制度に縛りつけ、その責任を負わせながら、その中では無力な者として残しました。私は、慈悲をかけよ、償いをせよと私に訴えた、愛する母の唇が残した最後の願いと、愛する母の目が残した最後のまなざしを果たそうとしています。しかし助けと力を求めても得られず、苦しめられているのです。」

「それを私に求めるなら、我が甥よ」と侯爵は人差し指で甥の胸に触れながら言った――二人はいま暖炉のそばに立っていた――「永遠に空しく求め続けることになる。それは覚えておきたまえ。」

手に嗅ぎ煙草入れを持ち、静かに甥を見つめて立つ侯爵の、澄んだ白い顔に刻まれた細くまっすぐな線はことごとく、残酷に、狡猾に、固く引き締まっていた。彼はもう一度、甥の胸に触れた。まるでその指が小剣の鋭い切っ先であり、洗練された技巧で彼の身体を刺し貫くかのようだった。そして言った。

「友よ、私は自分が生きてきた制度を永続させながら死ぬ。」

そう言い終えると、彼は仕上げのように嗅ぎ煙草をつまみ、箱をポケットにしまった。

「理性的な存在になり」と彼は食卓の小さな鈴を鳴らしたあと、付け加えた。「自然な運命を受け入れるほうがよい。だが君はもう道を誤っているな、シャルル君。分かるよ。」

「この財産もフランスも、私には失われたものです」と甥は悲しげに言った。「私はそれらを放棄します。」

「その二つは、君が放棄できるほど君のものなのか? フランスはそうかもしれないが、財産はどうだ? 言うほどのものではないが、まだそうなのか?」

「今の言葉で、まだそれを主張するつもりはありませんでした。もし明日、あなたから私に渡るとしても――」

「それはあり得ないと自惚れていたいものだが。」

「――あるいは二十年後であっても――」

「過分な敬意だな」と侯爵は言った。「それでも、その仮定のほうを好む。」

「――私はそれを捨て、別の生き方を、別の場所で選びます。手放すにはあまりに小さいものです。それは惨苦と荒廃の荒野以外の何でしょう!」

「はっ!」侯爵は豪奢な部屋を見回しながら言った。

「ここから目にするかぎりでは、それなりに美しく見えるでしょう。けれど空の下で、日の光のもと、その全体を見れば、それは無駄、失政、搾取、借財、抵当、抑圧、飢え、裸身、苦痛によって崩れかけた塔です。」

「はっ!」侯爵はまた、満足げに言った。

「もしそれがいつか私のものになるなら、もっとふさわしい手に委ねます。もし可能なら、この地を引きずり下ろす重荷からゆっくり解き放つことのできる手に。ここを離れられず、長いあいだ耐えられる限界まで絞り取られてきた哀れな人々が、次の世代には少しでも苦しみを減らせるように。ですが、それは私の役目ではありません。そこには呪いがかかっています。この土地すべてに。」

「では君は?」叔父は言った。「好奇心を許してくれたまえ。君はその新しい哲学のもと、ありがたくどうやって生きるつもりだ?」

「私は生きるために、いつか我が国の人々が、たとえ背後に貴族の身分を持っていても、しなければならなくなるかもしれないことをするだけです――働きます。」

「たとえばイングランドで?」

「はい。一族の名誉は、この国では私によって傷つけられることはありません。一族の名も、ほかの国では私によって損なわれることはありません。私はほかの国ではその名を名乗りませんから。」

鈴を鳴らしたため、隣の寝室には明かりが灯されていた。いまそれは、続き扉を通して明るく輝いていた。侯爵はそちらを見やり、従僕の遠ざかる足音に耳を澄ませた。

「イングランドは君にたいそう魅力的らしいな。あちらでそれほど成功したわけでもないのに」と彼はそれから、穏やかな顔を甥に向け、微笑みながら言った。

「あちらでの私の成功のために、あなたに負うところがあったかもしれないとは、すでに申し上げました。ほかの点では、あそこは私の避難所です。」

「あの自慢好きのイングランド人どもは、そこが多くの者の避難所だと言っているそうだな。君はあそこで避難所を見つけた同胞を知っているか? 博士を?」

「はい。」

「娘のいる?」

「はい。」

「そうか」と侯爵は言った。「君は疲れている。おやすみ!」

侯爵がこの上なく宮廷風に頭を下げたとき、その微笑む顔には秘め事があり、その言葉には謎めいた気配が込められていて、甥の目と耳を強く打った。同時に、目の縁の細くまっすぐな線、細くまっすぐな唇、鼻に刻まれた皺が、見事なほど悪魔的な皮肉に歪んだ。

「そうだ」と侯爵は繰り返した。「娘のいる博士。そうか。そこから新しい哲学が始まるわけだ! 君は疲れている。おやすみ!」

その顔に問いただすのは、城館の外の石の顔のどれかに問いただすのと同じくらい無益だった。甥は扉へ向かいながら、むなしく彼を見つめた。

「おやすみ!」叔父は言った。「朝にまた君に会う楽しみを待っている。よい休息を! 甥君を部屋まで案内して差し上げろ! ――そして望むなら、甥君を寝台ごと焼いてしまえ」と彼は小さな鈴をもう一度鳴らし、自分の寝室へ従僕を呼ぶ前に、独り言を付け加えた。

従僕が来て去ると、侯爵閣下はゆったりした寝間着姿で、暑く静かな夜、穏やかに眠りの支度をするため、部屋を行きつ戻りつした。部屋の中を衣ずれの音を立て、柔らかな室内履きの足は床に音を立てず、彼は洗練された虎のように動いた。物語に出てくる、悔い改めることのない邪悪な類いの魔法にかけられた侯爵のように見えた。周期的に虎の姿へ変わる変身が、ちょうど解けかけているのか、あるいは始まりかけているのかのようだった。

彼は官能的な寝室の端から端へ歩きながら、その日の旅の断片が勝手に心へ浮かんでくるのをまた眺めた。夕暮れの坂をゆっくりと苦しげに登ったこと、沈む太陽、下り坂、風車、岩山の監獄、窪地の小さな村、泉の百姓たち、そして馬車の下の鎖を青い帽子で指し示す道路修繕人。その泉は、パリの泉を思い起こさせた。石段に横たわった小さな包み、その上に身を屈める女たち、そして両腕を高く上げ、「死んだ!」と叫ぶ背の高い男を。

「もう落ち着いた」と侯爵閣下は言った。「寝るとしよう。」

そうして、大きな炉に灯を一つだけ残し、彼は薄い紗の帳を自分の周りに垂らした。そして眠ろうと身を整えると、夜が長い溜息で沈黙を破るのを聞いた。

外壁の石の顔は、重苦しい三時間、黒い夜を盲いたように見つめていた。重苦しい三時間、厩の馬は飼い葉桶をがたがた鳴らし、犬は吠え、梟は人間の詩人たちが慣例的に梟へ割り当てる鳴き声とはほとんど似ても似つかぬ声を立てた。だが、そうした生きものは、自分たちのために書きつけられたとおりのことをめったに言わないという頑固な習わしを持っている。

重苦しい三時間、城館の石の顔――獅子も人間も――は盲いたように夜を見つめていた。死んだような闇が風景すべてに横たわり、死んだような闇は、すべての道の静まった埃に自らの静寂を重ねた。墓地では、貧しい草の小さな盛り土が互いに見分けられないほどになっていた。十字架上の像など、見えるものだけからすれば、降りてしまっていても分からなかっただろう。村では、税を取る者も取られる者もぐっすり眠っていた。飢えた者がよくするように宴を夢見、追い立てられる奴隷や軛をかけられた牛がそうするかもしれないように、安楽と休息を夢見ながら、痩せた住人たちは深く眠り、その中で養われ、解き放たれていた。

村の泉は見えず聞こえず流れ、城館の泉も見えず聞こえず滴っていた。どちらも、時の泉から落ちてゆく分のように、三つの暗い時間を通して溶け消えていった。それから、両方の灰色の水が、光の中で幽霊めいて見えはじめ、城館の石の顔の目が開かれた。

しだいに明るく、さらに明るくなり、ついには太陽が静かな木々の梢に触れ、その輝きを丘の上へ注いだ。その光の中で、城館の泉の水は血へ変わったかのように見え、石の顔は赤く染まった。鳥たちのさえずりは高く大きく響き、侯爵閣下の寝室の大窓の、風雨にさらされた敷居の上で、一羽の小鳥が力のかぎり最も甘い歌を歌った。すると、いちばん近い石の顔は驚いて見つめているようで、口を開け、下顎を落とし、畏怖に打たれたように見えた。

いまや太陽はすっかり昇り、村では動きが始まった。開き窓が開き、がたのきた戸の閂が外され、人々が震えながら外へ出てきた――新しく甘い空気に、まだ冷やされていたのだ。それから村人たちの間で、めったに軽くならない一日の労働が始まった。ある者は泉へ、ある者は畑へ。こちらでは男も女も掘り返し、あちらでは男も女も貧しい家畜の世話をし、骨ばった雌牛を引いて、道端に見つかるわずかな草地へ連れていった。教会と十字架の前には、跪く人影が一つ二つ。後者の祈りに付き添っているのは、連れてこられた牛で、十字架の足元の雑草の中から朝食を探そうとしていた。

城館は、その身分にふさわしく村より遅く目覚めたが、ゆっくりと、確かに目覚めた。まず、寂しく立つ猪槍と狩猟用のナイフが昔ながらに赤く染まり、それから朝日に鋭く輝いた。いまや扉や窓が開け放たれ、厩の馬たちは肩越しに振り返って戸口から流れ込む光と新鮮な空気を見、鉄格子の窓辺では葉がきらめき、ざわめき、犬たちは鎖を強く引き、放たれたいと苛立って後ろ足で立ち上がった。

こうした取るに足らない出来事はすべて、生活の決まりきった流れと朝の再来に属していた。だが、城館の大鐘が鳴ること、階段を人々が駆け上がり駆け下りすること、テラスを急ぐ人影、ここでもそこでも至るところで響く長靴と足音、馬に素早く鞍を置いて走り去ること――これは確かに、そうではなかった。

村の向こうの丘の頂で、すでに仕事に取りかかっていた白髪まじりの道路修繕人に、この慌ただしさをどんな風が運んだのだろう。彼の一日の食事(持つほどの量でもない)は包みにされ、石の山の上に置かれていたが、烏がつつく価値もないものだった。鳥たちがその何粒かを遠くへ運ぶ途中、偶然の種を蒔くように、彼の上に一粒落としたのだろうか。そうであろうとなかろうと、蒸し暑い朝、道路修繕人は命からがら逃げるように、膝まで埃にまみれて丘を駆け下り、泉に着くまで一度も止まらなかった。

村の人々はみな泉に集まっていた。沈み込んだ様子で立ち、低くささやき合っていたが、陰気な好奇心と驚きのほかには何の感情も見せていなかった。慌てて連れ戻され、つなげるものなら何にでもつながれた雌牛たちは、間抜けに見物しているか、中断されたぶらぶら歩きの中で拾った、苦労に見合うとはとても言えない何かを、横になって反芻していた。城館の者たちの一部、駅逓所の者たちの一部、そしてすべての徴税役人たちは、多かれ少なかれ武装し、小さな通りの向こう側に群がっていたが、目的のないその様子は、実に空疎そのものだった。すでに道路修繕人は、五十人もの親しい仲間たちの一団の真ん中へ入り込み、青い帽子で自分の胸を叩いていた。このすべては何を予兆していたのか。そして、召使いの後ろにガベル氏がすばやく馬へ引き上げられ、そのガベル氏が(馬が二人分を乗せているにもかかわらず)駆け足で運び去られるさまは、ドイツのバラッド『レオノーラ』[訳注:死者の恋人に連れ去られる娘を描いたゴットフリート・アウグスト・ビュルガーの詩]の新しい版のようだったが、それはいったい何を予兆していたのか。

それは、城館の上に石の顔が一つ多すぎることを予兆していた。

ゴルゴンは夜のあいだに再び建物を見渡し、足りなかった一つの石の顔を加えていた。およそ二百年のあいだ待ち続けていた、その石の顔を。

それは侯爵閣下の枕の上で仰向けになっていた。美しい仮面が、突然驚かされ、怒り、石と化したようだった。それにつながる石像の心臓深くまで、一本のナイフが突き刺さっていた。柄の周りには紙の飾りが巻かれ、そこに走り書きがあった。

「急いで墓まで送ってやれ。ジャックより。」

第十章 二つの約束

さらに十二か月という月日が来ては過ぎ、チャールズ・ダーニー氏は、フランス文学に通じたフランス語の高等教師としてイングランドで身を立てていた。この時代なら教授と呼ばれただろうが、当時は家庭教師だった。彼は、世界中で話される生きた言語を学ぶための余暇と興味をいくらかでも持つ若者たちに読み方を教え、その知識と想像力の宝庫への趣味を育てた。それについて健全な英語で文章を書くこともでき、健全な英語に訳すこともできた。そのような教師は当時、容易には見つからなかった。かつて王子だった者や、これから王となる者たちは、まだ教師という階級には属しておらず、没落した貴族がテルソン銀行の帳簿から抜け落ちて、料理人や大工になることもなかった。学識によって学生の道を並外れて楽しく有益なものにする家庭教師として、また単なる辞書知識以上のものを仕事にもたらす優雅な翻訳者として、若いダーニー氏はまもなく知られ、引き立てられるようになった。そのうえ彼は祖国の事情にも詳しく、その事情は日増しに人々の関心を集めていた。そうして、強い忍耐と尽きることのない勤勉によって、彼は成功した。

ロンドンで、彼は黄金の舗道を歩くことも、薔薇の寝床に横たわることも期待していなかった。もしそんな高望みをしていたなら、成功はしなかっただろう。彼は労働を予期しており、それを見いだし、それに取り組み、最善を尽くした。彼の成功はそこにあった。

彼の時間の一部はケンブリッジで過ごされた。そこで彼は、ギリシア語とラテン語を税関に通す代わりに、ヨーロッパ諸語という密輸品を扱う、黙認された密輸業者のようなものとして、学部生に読書を教えていた。残りの時間はロンドンで過ごした。

さて、エデンの園でいつも夏だったころから、堕落した緯度でたいてい冬であるこの時代に至るまで、男の世界は決まって一つの道を進んできた――チャールズ・ダーニーの道、すなわち女を愛する道である。

彼は危機にあったあの時から、ルーシー・マネットを愛していた。彼女の思いやりに満ちた声ほど甘く愛しい音を、彼は聞いたことがなかった。自分のために掘られた墓穴の縁で、彼女の顔が自分の顔と向き合ったときほど、優しく美しい顔を見たこともなかった。だが彼は、そのことをまだ彼女に語っていなかった。うねる海の彼方、長い長い埃っぽい道の果てにある、あの荒れ果てた城館――それ自体が夢の霧にすぎなくなっていた堅固な石の城館――での暗殺から一年が経っていたが、彼はただ一言でさえ、自分の心のありようを彼女に明かしたことはなかった。

そのための理由が自分にはあることを、彼はよく分かっていた。再び夏の日だった。大学での仕事を終えてロンドンに着いたばかりの彼は、マネット博士に胸の内を打ち明ける機会を求めて、ソーホーの静かな一角へ曲がっていった。夏の日の終わりで、ルーシーはミス・プロスと外出していると彼は知っていた。

博士は窓辺の肘掛け椅子で本を読んでいた。かつての苦しみに耐える支えであると同時に、その苦しみの鋭さを増してもいた活力が、少しずつ彼の中に戻っていた。今では彼は、実に精力的な人になっていた。目的の堅固さ、決意の強さ、行動の活力を備えていた。回復したその活力の中で、彼は時折いくらか気まぐれで唐突になることがあった。それは、ほかの回復した能力を使いはじめた当初にも見られたことだった。だがそれは、これまで頻繁に目立ったわけではなく、しだいに稀になっていた。

彼はよく学び、眠りは少なく、多くの疲労にも容易に耐え、いつも穏やかに陽気だった。そこへチャールズ・ダーニーが入ってくると、博士は彼を見るなり本を脇へ置き、手を差し出した。

「チャールズ・ダーニー! 会えてうれしい。ここ三、四日、君の帰りを待っていたのだ。ストライヴァー氏とシドニー・カートンが昨日ここへ来てね、二人とも君はもう戻っていて当然だと言っていたよ。」

「お二人がその件に関心を寄せてくださったことには感謝します」と彼は答えた。二人についてはやや冷ややかだったが、博士に対してはとても温かかった。「ミス・マネットは――」

「元気だよ」と博士は、彼が言葉を切ったところで言った。「君が戻ったら、私たちはみな喜ぶ。彼女は家の用事で出かけているが、すぐ帰ってくるだろう。」

「マネット博士、彼女が留守であることは存じています。その留守の機会に、先生にお話ししたいとお願いに参りました。」

ぽっかりと沈黙が落ちた。

「そうか?」博士は明らかにこわばって言った。「椅子をこちらへ持ってきて、話しなさい。」

彼は椅子については従ったが、話すことのほうはそれほど容易ではないようだった。

「マネット博士、ここで親しくさせていただく幸せに恵まれて」と、彼はようやく話しはじめた。「一年半ほどになります。ですから、これから触れようとする話題が――」

博士が手を差し出して彼を止めたため、彼は言葉を止められた。博士はしばらくそうしてから、手を引き戻して言った。

「ルーシーのことか?」

「はい。」

「いつであれ、彼女のことを語るのは私にはつらい。君のその口調で彼女のことを聞かされるのは、とてもつらいのだ、チャールズ・ダーニー。」

「それは熱烈な賛美、真実の敬意、そして深い愛の口調です、マネット博士!」彼は敬意を込めて言った。

父親が答えるまで、またぽっかりと沈黙があった。

「そうだろうと思う。君を正しく評価している。そう信じている。」

博士のこわばりはあまりに明らかであり、またそれがこの話題に近づきたくない気持ちから来ていることも明らかだったので、チャールズ・ダーニーはためらった。

「続けてもよろしいでしょうか、先生?」

また空白があった。

「続けなさい。」

「先生は、私が何を申し上げようとしているか予想しておられるでしょう。ですが、私の胸の内、そして長くそこに積もってきた希望や恐れや不安をご存じなければ、私がどれほど切実にそれを言い、どれほど切実に感じているかまではお分かりにならないはずです。親愛なるマネット博士、私はあなたのお嬢さんを、深く、心から、私心なく、身も心も捧げて愛しています。この世に愛というものがあるなら、私は彼女を愛しています。先生もかつて愛されたはずです。どうか先生の昔の愛に、私のために語らせてください!」

博士は顔をそむけ、目を床に落として座っていた。最後の言葉を聞くと、彼はまた急いで手を伸ばし、叫んだ。

「それはならん、君! それはやめてくれ! 頼む、そのことを思い出させないでくれ!」

その叫びは実際の痛みの叫びにあまりにも似ていたので、声が止んだあとも長くチャールズ・ダーニーの耳に響いた。博士は伸ばした手で合図した。それはダーニーに口を止めてくれと訴えているように見えた。ダーニーはそう受け取り、黙っていた。

「許してくれ」と博士はしばらくして、抑えた声で言った。「君がルーシーを愛していることは疑わない。その点は安心してよい。」

博士は椅子の中で彼のほうへ向き直ったが、彼を見ず、目も上げなかった。顎は手の上に落ち、白髪が顔を覆っていた。

「ルーシーには話したのか?」

「いいえ。」

「手紙も?」

「一度も。」

「君の自制が、彼女の父への配慮によるものだと知らないふりをするのは、寛大ではないだろう。彼女の父は君に感謝する。」

博士は手を差し出した。だが目はそれについてこなかった。

「私は知っています」とダーニーは敬意を込めて言った。「知っていないはずがありません、マネット博士。日々お二人を見てきた私には、あなたとミス・マネットの間には、父と子の優しさの中にあっても滅多に並ぶもののない、特別で、胸を打ち、それが育まれた事情そのものに属する愛情があると分かります。私は知っています、マネット博士――知っていないはずがありません――大人の女性となった娘の愛情と義務の中に、あなたに対して、幼子そのものの愛と信頼が彼女の心にすべて宿っていることを。彼女が幼いころ親を持たなかったように、今の彼女は、現在の年齢と性格が持つ揺るぎなさと熱意のすべてに、あなたを失っていた幼い日々の信頼と愛着を合わせて、あなたに尽くしているのだと知っています。もしあなたがこの世の彼方から彼女のもとへ戻されたのだとしても、彼女の目に映るあなたは、今いつも彼女とともにある姿以上に神聖なものとはなり得なかったでしょう。彼女があなたにすがるとき、赤子と少女と女の手がすべて一つになって、あなたの首に回されているのだと私は知っています。彼女があなたを愛するとき、彼女は自分と同じ年ごろの母を見て愛し、私と同じ年ごろのあなたを見て愛し、心を砕かれた母を愛し、恐ろしい試練の中にあったあなたと、祝福された回復の中にあるあなたを愛しているのだと知っています。私はこの家でお二人を知って以来、昼も夜もそれを知ってきました。」

彼女の父は顔を伏せたまま黙って座っていた。呼吸はいくらか速くなっていたが、動揺のほかの徴はすべて抑えていた。

「親愛なるマネット博士、私はいつもそれを知り、いつも彼女とあなたがその聖なる光に包まれているのを見てきました。だからこそ、私は人の性として可能なかぎり、耐え、耐え続けてきました。私の愛を――たとえ私の愛であっても――お二人の間に持ち込むことは、先生の来歴に、それ自身ほど清らかではないものを触れさせることだと、私は感じてきましたし、今も感じています。けれど私は彼女を愛しています。天が証人です、私は彼女を愛しています!」

「そうだろう」と彼女の父は悲しげに答えた。「以前からそう思っていた。そう信じている。」

「ですが、どうか信じないでください」とダーニーは言った。悲しげな声が、彼の耳には責める響きとして届いていた。「もし私の運命がそのようになり、いつの日か彼女を妻にできるという幸せを得たとして、そのために彼女とあなたの間に、ほんの少しでも隔たりを置かなければならないのなら、私は今言っていることを一言たりとも口にできませんし、口にしようとも思いません。それが望みのないことだと知るだけでなく、卑劣なことだと知るでしょう。たとえ遥か先の年月の彼方にでも、そのような可能性を思いに抱き、心に隠していたなら――それが一度でもそこにあったなら――それがそこにあり得るなら――私は今、この尊い手に触れることなどできません。」

彼はそう言いながら、自分の手を博士の手の上に置いた。

「いいえ、親愛なるマネット博士。あなたと同じく、私は自ら望んでフランスを離れた者です。あなたと同じく、その混乱、抑圧、惨苦によってそこから追われた者です。あなたと同じく、自分の努力でそこを離れて生きようとし、より幸福な未来に望みを託しています。私が望むのは、ただあなたの運命を分かち、あなたの生活と家庭を分かち、死に至るまであなたに忠実であることだけです。ルーシーがあなたの子であり、伴侶であり、友であるという特権を、彼女から分け奪うためではありません。その特権を助け、もしそれが可能なら、彼女をいっそうあなたに結びつけるために加わりたいのです。」

彼の手はなお彼女の父の手に触れていた。父はその触れ方に一瞬応えたが、冷たくはなかった。そして両手を椅子の腕に置き、この話し合いが始まってから初めて目を上げた。その顔には明らかに葛藤があった。暗い疑念と恐怖へ傾きがちな、あの時折の表情との葛藤だった。

「君はとても心を込め、男らしく話してくれた、チャールズ・ダーニー。だから私は心から感謝し、私の心をすべて――あるいは、ほとんどすべて――開こう。ルーシーが君を愛していると思う理由はあるか?」

「ありません。今のところは、ありません。」

「この打ち明け話の直接の目的は、私の知るところで、それをただちに確かめるためか?」

「それですらありません。私は何週間も、その希望を持てないかもしれません。あるいは(見込み違いであろうとなかろうと)明日にはその希望を持つかもしれません。」

「私に何か導きを求めるのか?」

「何も求めません、先生。ただ、先生が正しいとお考えになるなら、私に何かをお与えになることができるかもしれないと思いました。」

「私に何か約束を求めるのか?」

「それを求めます。」

「何だね?」

「あなたなしには、私に望みがないことはよく分かっています。たとえミス・マネットが今この瞬間、無垢な心の中に私を抱いていてくれたとしても――そんな思い上がりをしているとは思わないでください――父への愛に逆らって、その心に私の居場所を保つことなどできないと、よく分かっています。」

「もしそうなら、その一方で、そこに何が含まれるか分かるかね?」

「同じくよく分かっています。どんな求婚者であれ、彼女の父の一言がその人に味方すれば、それは彼女自身と全世界を合わせたより重いでしょう。だからこそ、マネット博士」とダーニーは慎ましく、しかし確固として言った。「私は命を救うためであっても、その一言を求めません。」

「それは確かだ。チャールズ・ダーニー、親密な愛からも、広い隔たりからと同じように、秘密は生まれる。前者の場合、その秘密は繊細で微妙で、見抜きがたい。娘ルーシーは、この一点において私にとってそのような秘密なのだ。彼女の心の状態について、私は何も推し量れない。」

「お尋ねしてもよろしいでしょうか、先生。彼女が――」彼がためらうと、彼女の父が続きを補った。

「ほかの求婚者に求められているか、ということか?」

「そう申し上げるつもりでした。」

彼女の父は答える前に少し考えた。

「カートン氏がここにいるのは君も見ている。ストライヴァー氏も時々ここへ来る。もしあるとすれば、この二人のどちらかだけだろう。」

「あるいは両方」とダーニーは言った。

「両方とは考えていなかった。どちらも、ありそうには思えない。君は私に約束を求めている。それが何か言いなさい。」

「もしミス・マネットがいつか、自分のほうから、私があえて先生に申し上げたような打ち明け話を先生に持ってきたなら、そのとき先生には、私が申し上げたことと、それを信じてくださっていることを証言していただきたいのです。先生が私をよく思ってくださり、私に不利な影響を及ぼされないことを願っています。これにかける私の思いについては、これ以上申しません。これが私のお願いです。このお願いの条件として、先生が要求する疑いようのない権利をお持ちのことは、すぐに守ります。」

「約束しよう」と博士は言った。「条件なしで。君の目的は、君が述べたとおり、純粋で真実なものだと信じる。君の意図は、私と、もう一人の、はるかに愛しい私自身との絆を弱めるのではなく、永続させることだと信じる。もし彼女がいつか、君が彼女の完全な幸福に欠かせない人だと私に告げるなら、私は彼女を君に託そう。もし何か――チャールズ・ダーニー、もし何か――」

若者は感謝を込めて博士の手を取っていた。博士が話すあいだ、二人の手は結ばれていた。

「――何か思い込み、何か理由、何か不安、新しいものでも古いものでも、彼女が本当に愛する男に不利なものがあったとしても――その直接の責任が彼自身にないなら――それらはすべて、彼女のために消し去られるべきだ。彼女は私にとってすべてだ。苦しみよりも、受けた不正よりも、私にとって――いや! これはつまらぬ話だ。」

彼が沈黙へ薄れていくような様子はあまりに奇妙で、話し終えたときの凝然とした目つきもあまりに奇妙だったので、ダーニーは、ゆっくり離されて落ちていくその手の中で、自分の手が冷たくなるのを感じた。

「君は私に何か言ったね」とマネット博士は微笑みを浮かべて言った。「私に何と言ったのだったかな?」

ダーニーは答えに窮したが、やがて条件について話したことを思い出した。心がそこへ戻って安堵し、彼は答えた。

「先生が私を信頼してくださるなら、私のほうも完全な信頼でお返しすべきです。今の私の名は、母の名からわずかに変えただけですが、ご存じのとおり、私自身の名ではありません。それが何であるか、そしてなぜ私がイングランドにいるのかを、先生にお話ししたいのです。」

「待ちなさい!」ボーヴェの博士は言った。

「先生の信頼によりふさわしくあるために、そして先生に秘密を持たないために、私はそうしたいのです。」

「待ちなさい!」

一瞬、博士は両手を自分の耳に当てさえした。次の一瞬には、両手をダーニーの唇に置きさえした。

「私が尋ねたときに話しなさい。今ではない。もし君の求婚が実り、ルーシーが君を愛するなら、結婚式の朝に私に話すのだ。約束するか?」

「喜んで。」

「手を出しなさい。彼女はすぐ帰ってくる。今夜、私たちが一緒にいるところを見られないほうがよい。行きなさい! 神の祝福が君にあるように!」

チャールズ・ダーニーが彼のもとを去ったとき、外は暗かった。そして一時間後、さらに暗くなってからルーシーが帰宅した。彼女は一人で部屋へ急いで入ってきた――ミス・プロスはまっすぐ二階へ上がっていた――そして父の読書椅子が空なのに驚いた。

「お父さま!」彼女は父を呼んだ。「お父さま!」

返事はなかったが、寝室の中から低い槌の音が聞こえた。彼女は中間の部屋を足音も軽く横切り、父の扉の中をのぞくと、怖くなって駆け戻り、血の気をすっかり失って、独り言のように叫んだ。「どうしましょう! どうしたらいいの!」

彼女の迷いは一瞬だけだった。彼女は急いで戻り、父の扉を叩き、そっと呼びかけた。彼女の声を聞くと音はやみ、やがて父が出てきた。そして二人は長いあいだ一緒に行ったり来たり歩いた。

その夜、ルーシーは寝床から下りて、眠る父を見に行った。父は深く眠っていた。そして靴作りの道具を載せた盆と、古い作りかけの仕事は、すべていつものとおりだった。

第十一章 対になる絵

「シドニー」と、その同じ夜、あるいは朝に、ストライヴァー氏は自分のジャッカルに言った。「パンチをもう一杯分作れ。君に話がある。」

シドニーはその夜も、その前の夜も、そのまた前の夜も、さらに何夜も続けて、二倍働いていた。長期休暇に入る前に、ストライヴァー氏の書類を大々的に片づけていたのだ。片づけはついに終わった。ストライヴァーの滞りは見事に取り戻され、十一月が大気の霧と法律の霧を携えて戻り、再び粉挽き場へ穀物を運んでくるまでは、すべてが片づけられた。

シドニーは、それほど働いたからといって、少しも陽気にならず、少しも素面にもならなかった。夜を乗り切るには、かなり余分に濡れタオルを使わねばならなかった。そのタオルに先立って、相応に余分な量のワインが入っていた。そして今、彼はこの六時間ほど折に触れて浸していた鉢から、ターバン代わりのタオルを頭から外して投げ込み、ひどく傷んだ状態にあった。

「そのもう一杯分のパンチを作っているのか?」肥えたストライヴァーは、両手を腰帯に差し入れ、仰向けに寝そべったソファから振り返って言った。

「作っている。」

「さて、よく聞け! 君をかなり驚かせる話をする。たぶん、君がいつも思っているほど私は抜け目ない男ではないと思わせるかもしれん。私は結婚するつもりだ。」

「本気か?」

「ああ。しかも金目当てではない。どうだ、何と言う?」

「あまり何か言いたい気分じゃないな。相手は誰だ?」

「当ててみろ。」

「俺の知っている人か?」

「当ててみろ。」

「朝の五時に、頭の中で脳味噌がじゅうじゅう跳ねているときに、当てものなんかする気はない。俺に当てさせたいなら、夕食に招け。」

「では言おう」とストライヴァーはゆっくり身を起こしながら言った。「シドニー、君に分かるように話せるかどうか、私はかなり絶望している。君はまったく鈍感な犬だからな。」

「そして君は」とシドニーはパンチを調合しながら返した。「なんとも感じやすく詩的な魂というわけだ――」

「おい!」ストライヴァーは得意げに笑って応じた。「私はロマンスの魂だなどと主張するつもりはないが(それくらいの分別はあるつもりだ)、それでも君よりは優しい種類の男だ。」

「それを言うなら、君は俺より運がいいだけだ。」

「そういう意味ではない。私が言いたいのは、私はもっと――もっと――」

「せっかくだ、女に親切だと言えよ」とカートンが助け舟を出した。

「よし! 女に親切だと言おう。私の意味はこうだ」とストライヴァーは、友人がパンチを作っている前で胸を膨らませて言った。「私は女のいる場で、君よりも、感じよくしようと心がけ、感じよくするために骨を折り、どうすれば感じよく見えるかをよく心得ている男だということだ。」

「続けろ」とシドニー・カートンは言った。

「いや、続ける前に」とストライヴァーは威圧的な調子で頭を振って言った。「この件は君にはっきり言っておく。君は私と同じくらい、いや私以上にマネット博士の家へ行っている。だが、あそこでの君の不機嫌さには、私は恥ずかしくなったものだ! 君の態度は、黙りこくり、むっつりし、しょげた犬のようで、命にかけても言うが、私は君を恥ずかしく思ったぞ、シドニー!」

「法廷で働く君のような男にとって、何かを恥ずかしく思うのは大いにためになるはずだ」とシドニーは返した。「俺に大いに感謝すべきだな。」

「そんなふうにはぐらかすな」とストライヴァーは言い返し、その反論を肩で押しつけるようにした。「だめだ、シドニー、これは君に言ってやるのが私の務めだ――君のために、面と向かって言っているのだ――ああいう社交の場での君は、実にひどく性質の悪い男だ。君は不愉快な男だ。」

シドニーは自分で作ったパンチを大杯で飲み干し、笑った。

「私を見ろ!」ストライヴァーは胸を張って言った。「私は境遇として君より自立しているから、自分を感じよく見せる必要は君より少ない。それなのに、なぜそうするのか?」

「君がそうしているところを、俺はまだ一度も見たことがない」とカートンはつぶやいた。

「そうするのが得策だからだ。私は主義としてそうしている。そして私を見ろ! 私は出世している。」

「君は自分の結婚の意図については少しも話を進めていない」とカートンは無頓着な調子で答えた。「そっちに戻ってほしいものだ。俺については――俺が救いようのない人間だと、いつになったら分かる?」

彼はその問いを、いくらか嘲るような様子で投げた。

「救いようのない人間でいる権利など君にはない」と友人は、少しも慰める調子ではない声で答えた。

「俺には、そもそも存在している権利があるかどうかも分からない」とシドニー・カートンは言った。「そのご婦人は誰だ?」

「さて、その名を告げても不愉快に思わないでくれよ、シドニー」とストライヴァー氏は、これから明かすことのために、これ見よがしな友好ぶりで彼を構えさせた。「君が言うことの半分も本気でないのは知っているし、もし全部本気だとしても重要ではない。こうして少し前置きするのは、君がかつてその若いご婦人のことを軽んじた言い方で私に話したことがあるからだ。」

「俺が?」

「確かに。この部屋でだ。」

シドニー・カートンはパンチを見、それから満足げな友人を見た。パンチを飲み、満足げな友人を見た。

「君はその若いご婦人を、金髪の人形と言った。その若いご婦人とはミス・マネットだ。もし君がその手のことにいくらかでも感受性や繊細な感情を持つ男だったなら、シドニー、私は君がそんな呼び名を使ったことに少し腹を立てていたかもしれない。だが君にはそれがない。その感覚がまるごと欠けている。だからその表現を思い出しても、絵を見る目のない男が私の絵について意見を言ったり、音楽を聴く耳のない男が私の曲について意見を言ったりするのに腹を立てないのと同じで、私は腹を立てない。」

シドニー・カートンはすさまじい勢いでパンチを飲んだ。大杯で飲みながら、友人を見ていた。

「これで全部分かったな、シド」とストライヴァー氏は言った。「私は財産のことなど気にしない。彼女は魅力的な女性だし、私は自分を満足させると決めた。全体として、私は自分を満足させるだけの余裕があると思う。彼女は私という、すでにかなり裕福で、急速に出世しており、それなりに名声もある男を得ることになる。彼女にとって幸運なことだが、彼女はその幸運に値する。驚いたか?」

カートンはなおパンチを飲みながら、「なぜ驚かなきゃならない?」と答えた。

「賛成か?」

カートンはなおパンチを飲みながら、「なぜ賛成しないことがある?」と答えた。

「よし!」友人ストライヴァーは言った。「君は私が思っていたより落ち着いて受け止めているし、私のために金のことを心配する度合いも思っていたほどではない。もっとも、君も今ではよく知っているはずだが、昔なじみの君の友人は、なかなか強い意志の持ち主だ。そうだ、シドニー、私はこの生活様式ばかりで、ほかに変化のない暮らしにはもう十分だ。人が行きたいと思ったときに帰れる家庭を持つのは愉快なことだと思う(行きたくなければ離れていればいい)。そしてミス・マネットはどんな地位にいても映えるし、いつも私の名誉になると思う。だから決心したのだ。さて、シドニー、旧友よ、今度は君の将来について一言言いたい。君は悪い状態にある、分かっているだろう。本当に悪い状態だ。君は金の価値を知らず、荒れた生活をし、いつか倒れて、病気になり貧しくなる。君は本当に、看病してくれる人間のことを考えるべきだ。」

彼がそう言うときの成功者ぶった庇護の態度は、彼を実際の二倍も大きく見せ、不快さは四倍にした。

「そこで勧めたいのだが」とストライヴァーは続けた。「それを正面から見据えろ。私は私なりに正面から見据えた。君も君なりに正面から見据えろ。結婚しろ。君の面倒を見てくれる人を用意するんだ。君が女との交際を楽しめないことも、それを理解できないことも、そのための機転がないことも気にするな。誰かを探せ。少し財産のある、まともな女性を見つけろ――女家主のような、あるいは下宿を貸しているような人だ――そして万一に備えて結婚しろ。それが君にふさわしいことだ。さあ考えてみろ、シドニー。」

「考えておく」とシドニーは言った。

第十二章 繊細な男

ストライヴァー氏は、博士の娘に幸運を気前よく授けてやろうと心を決めると、法廷の長期休暇で都を離れる前に、その幸福を本人へ知らせてやろうと決意した。その点についてしばらく頭の中で議論した末、まずは前段階をすっかり片づけておくのがよかろう、そうすれば、ミカエル祭開廷期[訳注:英国法曹界の秋の法廷期]の一、二週間前に自分が彼女へ手を差し出すか、それともその次のヒラリー開廷期[訳注:一月に始まる法廷期]とのあいだの短いクリスマス休暇にするか、あとはゆっくり相談して決めればよい、という結論に達した。

自分の勝算については、彼には一点の疑いもなく、評決までの道筋がはっきり見えていた。陪審に対して、実質的で世俗的な根拠――そもそも考慮に値する唯一の根拠――に基づいて弁論すれば、これは明白な事件であり、弱点など一つもない。彼は原告側証人として自分自身を呼び、その証言を覆すことはできず、被告側弁護人は弁論要旨を投げ出し、陪審は評議に移ることすらしない。審理の末、ストライヴァー首席裁判官は、これほど明白な事件はありえないと満足したのである。

そこでストライヴァー氏は、長期休暇の幕開けとして、ミス・マネットをヴォクソール・ガーデンズへ誘うという正式な申し入れを行った。それが不首尾に終わると、今度はラネラグへ。それも不可解にも駄目となると、彼としてはソーホーへ自ら赴き、そこで高潔な胸の内を打ち明けるほかなかった。

それゆえストライヴァー氏は、長期休暇がまだ生まれたての花盛りを帯びているうちに、テンプル地区からソーホーへ向けて肩で道を押し分けて進んだ。彼がまだテンプル・バーのセント・ダンスタン側にいるうちから、舗道を熟れきった勢いで突き進み、弱き人々をことごとく押しのけながらソーホーへ身を投げ込んでいく姿を見た者なら、彼がいかに安泰で、いかに強力であるかを見て取れたに違いない。

その道筋はテルソン銀行の前を通っており、彼自身テルソン銀行に口座を持ち、かつロリー氏がマネット父娘の親しい友人であることも知っていたので、ストライヴァー氏は銀行に入って、ソーホーの地平線がいかに明るいかをロリー氏へ知らせてやろうと思いついた。そこで彼は、喉を鳴らすような頼りない音を立てる扉を押し開け、二段の段差をよろめき降り、二人の古めかしい出納係の横を通り抜け、かび臭い奥の小部屋へ肩から入り込んだ。そこではロリー氏が、数字を書くために罫線の引かれた大帳簿を前に座っており、窓には縦の鉄格子がはまっていて、まるでその窓まで数字用に罫線を引かれているかのようで、天下のあらゆるものが計算問題であるかのようだった。

「やあ!」とストライヴァー氏は言った。「ご機嫌いかがです? お元気そうで何よりです!」

ストライヴァーには、どんな場所にも、どんな空間にも、いつも大きすぎるように見えるという際立った特徴があった。テルソン銀行にはあまりにも大きすぎたので、遠くの隅にいる老事務員たちが、まるで自分たちを壁へ押しつけられたかのような抗議の目で顔を上げた。銀行そのもの――はるか遠近法の奥で堂々と新聞を読んでいるあの「家」――も、不機嫌に眉をひそめた。まるでストライヴァーの頭が、その責任ある胴着へ突き当たってきたかのようだった。

慎重なロリー氏は、この状況ならぜひ推奨したいという声の見本のような調子で、「ご機嫌いかがですかな、ストライヴァー氏。ご機嫌いかがです、旦那」と言って握手した。テルソン銀行の事務員が、「銀行」が空気を支配しているときに顧客と握手する際には、いつも見られる独特の作法があった。彼は自分を消し去るように、テルソン社のために握手する者として手を振った。

「何かご用を承りましょうか、ストライヴァー氏?」とロリー氏は、仕事人としての顔で尋ねた。

「いや、いえ、どうも。これはあなた個人への私的な訪問でしてね、ロリー氏。内々に一言お話ししたくて参りました。」

「ほう、そうですか!」とロリー氏は耳を傾けながら、目だけは遠くの「銀行」へさまよわせた。

「私は」とストライヴァー氏は、内密めかして両腕を机に乗せた。すると、それが大きな両袖机であったにもかかわらず、彼には机が半分も足りないように見えた。「私は、あなたの愛らしい小さなお友達、ミス・マネットへ結婚を申し込むつもりなのです、ロリー氏。」

「おやまあ!」とロリー氏は顎をこすり、訪問者を疑わしげに見つめて叫んだ。

「おやまあ、ですと?」ストライヴァーは身を引いて繰り返した。「おやまあ、とは? どういう意味ですか、ロリー氏?」

「私の意味するところは」と実務家は答えた。「もちろん友好的で、ありがたく思うものでして、あなたにとってこの上ない名誉なことで、つまり――要するに、あなたがお望みになることはすべて含んでおります。ただ――実際のところ、ご承知のとおり、ストライヴァー氏――」ロリー氏はそこで口をつぐみ、なんとも奇妙な仕草で首を振った。まるで心ならずも内心で、「いや実際、あなたという人はどうにも多すぎるのですよ!」と付け加えずにはいられないかのようだった。

「なるほど!」とストライヴァーは、争うための手で机をぴしゃりと叩き、目を大きく見開き、長く息を吸って言った。「もしあなたの言うことが分かったなら、私は絞首台行きですな、ロリー氏!」

ロリー氏はその目的に少しでも近づく手段として、両耳のところで小さなかつらを整え、ペンの羽根を噛んだ。

「くそっ、何もかも!」ストライヴァーは彼をにらんで言った。「私は適格ではないとでも?」

「いやいや、まったく! ええ。ええ、あなたは適格ですとも!」とロリー氏は言った。「適格というお言葉なら、あなたは適格です。」

原文

「私は成功していないと?」ストライヴァーが尋ねた。

「ああ! 成功という話なら、あなたは成功なさっています」とロリー氏は言った。

「そして前進している?」

「前進という話ならご承知のとおり」とロリー氏は、もう一つ認めることができてうれしそうに言った。「それを疑う者はおりません。」

「ではいったい何が言いたいのです、ロリー氏?」ストライヴァーは目に見えてしょげ返りながら詰め寄った。

「そうですな! 私は――あなたは今から行かれるおつもりでしたか?」とロリー氏は尋ねた。

「まっすぐに!」ストライヴァーは拳を机へどすんと落として言った。

「ならば、私なら行きませんな。」

「なぜ?」とストライヴァーは言った。「さあ、あなたを追い詰めますぞ」と、法廷風に人差し指を振った。「あなたは実務家で、理由を持つ義務がある。理由を述べてください。なぜ行かないのです?」

「なぜなら」とロリー氏は言った。「私なら、成功する見込みがあると思える何らかの理由なしに、そういう目的で出向くことはしないからです。」

「くそ、この私が!」ストライヴァーは叫んだ。「これは何もかもを超えている。」

ロリー氏は遠くの「銀行」をちらりと見、怒れるストライヴァーをちらりと見た。

「ここに実務家がいる――年長者がいる――経験豊かな男がいる――しかも銀行の中にだ」とストライヴァーは言った。「そして完全な成功を示す三つの主要な理由を総括しておきながら、理由などまったくないと言う! 頭をつけたまま言うのだから驚きだ!」

ストライヴァー氏は、もしロリー氏が頭を外してそう言ったのなら、その奇妙さは限りなく薄れただろうと言わんばかりに、その特異さを指摘した。

「私が成功と言うとき、それは若いお嬢さんとの成功を申しているのです。そして成功を見込みあるものにする原因や理由と言うとき、それは若いお嬢さんにそのように響く原因や理由を申しているのです。若いお嬢さんですよ、あなた」とロリー氏は、ストライヴァーの腕をやさしく軽く叩きながら言った。「若いお嬢さんです。若いお嬢さんが何より先に来るのです。」

「ではあなたは私にこう言いたいわけですな、ロリー氏」とストライヴァーは肘を張って言った。「今問題になっているその若いお嬢さんは、あなたの熟慮の末の意見では、気取った愚か者だと?」

「そこまでは申しておりません。私があなたに申し上げたいのは、ストライヴァー氏」とロリー氏は赤くなって言った。「あのお嬢さんについて、どの口からであろうと無礼な言葉を私は聞き入れないということです。そして、もし私が――そんな男を知っていないことを願いますが――趣味がそれほど粗野で、気性がそれほど横柄で、この机の前であのお嬢さんを無礼に語ることを自制できない男を知っていたなら、テルソン銀行であろうとも、私がその男に一言申し上げるのを止めることはできません。」

抑えた声で怒らねばならないという必要は、今度は怒る番となったストライヴァー氏の血管を危険な状態にしていた。だが、普段はどれほど規則正しく流れていようとも、今度は怒る番となったロリー氏の血管も、少しもましな状態ではなかった。

「私が申し上げたいのはそういうことです、旦那」とロリー氏は言った。「どうかお間違えなきよう。」

ストライヴァー氏はしばらく定規の端をしゃぶり、それからそれで歯を叩いて調子を取って立っていた。おそらくそれで歯痛になったことだろう。彼は気まずい沈黙を破って言った。

「これは初耳ですな、ロリー氏。あなたは熟慮の上で、私にソーホーへ行って結婚を申し込むなと助言するわけですな――この私が、キングス・ベンチ法廷の法曹ストライヴァーである私が?」

「私に助言をお求めですか、ストライヴァー氏?」

「ええ、求めます。」

「よろしい。では助言します。そしてあなたはそれを正しく繰り返されました。」

「それについて私が言えることは」とストライヴァーは苛立った笑いで笑った。「これは――は、は! ――過去、現在、未来の何もかもを超えているということですな。」

「さて、私の言うことをお分かりください」とロリー氏は続けた。「実務家としては、私はこの件について何かを言う正当な立場にありません。実務家としては、私はこの件を何も知らないからです。しかし、ミス・マネットを腕に抱いたことのある老いぼれとして、ミス・マネットとそのお父上双方の信頼された友人として、そしてお二人に深い愛情を持つ者として、私は申しました。念のため申し上げますが、この打ち明け話は私が求めたものではありません。さて、あなたは私が正しくないかもしれないとお考えでしょう?」

「私は違いますな!」ストライヴァーは口笛を吹いて言った。「第三者に常識を見いだす責任までは負えません。私にできるのは、自分のためにそれを見いだすことだけです。私はある方面に分別があると仮定し、あなたは気取ったバター付きパン的な馬鹿げたものを仮定する。私には新しい話ですが、まあ、あなたが正しいのでしょう。」

「私が何を仮定するかは、私自身が性格づける権利を主張します――そしてご理解ください、旦那」とロリー氏はまたたちまち赤くなって言った。「それを私に代わって、この世に息をするいかなる紳士にも性格づけられるつもりはありません――たとえテルソン銀行であっても。」

「そこは! 失礼しました!」とストライヴァーは言った。

「承りました。ありがとう。さて、ストライヴァー氏、私が言いかけていたのはこうです――ご自分が思い違いをしていたと分かれば、あなたにはつらいことでしょう。マネット博士にとっても、あなたにはっきり申し上げる役目を負うのはつらいことでしょう。ミス・マネットにとっては、あなたにはっきり申し上げる役目を負うのはたいへんつらいことでしょう。あなたは、私があのご一家といかなる関係にあるか、その名誉と幸福をご存じです。よろしければ、あなたを何ら拘束せず、あなたを何ら代表せず、私はこの件に特に向けた少しばかり新たな観察と判断によって、自分の助言を訂正すべきかどうかを確かめることをお引き受けします。そのうえでなおご不満なら、あなたはご自身でその助言の確かさを試されればよい。一方、それでご納得になり、それが今のままであれば、どちらの側にも避けられるものは避けられるでしょう。いかがです?」

「どのくらい私を町に引き留めるおつもりです?」

「ああ! ほんの数時間の問題です。夕方にソーホーへ参り、その後であなたのお部屋へ伺えます。」

「では承知しました」とストライヴァーは言った。「今はあそこへ行かないことにします。そこまで血が上っているわけではありませんからな。承知しました。今夜お寄りになるのをお待ちしています。ごきげんよう。」

そうしてストライヴァー氏は身を翻し、銀行から飛び出していった。その通過に伴ってあまりに激しい空気の衝撃が生じたので、二つのカウンターの向こうで頭を下げながらそれに持ちこたえるには、二人の古めかしい事務員に残された力をすべて振り絞る必要があった。この尊くも弱々しい人々は、世間からはいつもお辞儀をしている姿で見られており、ひとりの客をお辞儀で送り出したあとも、次の客をお辞儀で迎え入れるまで、空っぽの事務所でなおお辞儀を続けているものと一般に信じられていた。

弁護士は、銀行家が道徳的確信にも等しい堅固な根拠なしに、あれほどまで意見を述べるはずがないと見抜くほどには鋭かった。飲み込まねばならない大きな丸薬に対して準備はできていなかったが、彼はそれを飲み下した。「さて」とストライヴァー氏は、それを飲み下したあと、テンプル地区全般へ向けて法廷風の人差し指を振りながら言った。「ここから抜け出す私の道は、諸君全員を悪者にすることだ。」

それはオールド・ベイリーの戦術家の技の一片であり、彼はそこに大いなる安堵を見いだした。「若いお嬢さん、あなたに私を悪者にさせはしませんぞ」とストライヴァー氏は言った。「私があなたを悪者にして差し上げる。」

したがってその夜、十時という遅い時刻にロリー氏が訪ねてくると、ストライヴァー氏は、その目的のために散らかしておいた大量の本や書類に囲まれ、朝の件などまるで頭の片隅にもない様子だった。ロリー氏を見ると驚いてさえみせ、全体として心ここにあらず、何かに没頭している状態だった。

「さて!」とその善良な使者は、彼をその問題へ引き戻そうとして実りのない試みをたっぷり半時間続けたあとで言った。「ソーホーへ行ってまいりました。」

「ソーホーへ?」ストライヴァーは冷ややかに繰り返した。「ああ、もちろん! 私は何を考えていたのやら!」

「そして私は」とロリー氏は言った。「私たちが交わした会話において、自分が正しかったことを疑いません。私の意見は確認されました。助言を繰り返します。」

「あなたに誓って申しますが」とストライヴァーは、いたって友好的な調子で返した。「あなたのために残念に思いますし、あの気の毒なお父上のためにも残念に思います。この件はあのご一家にとって、いつまでも痛ましい話題であるに違いありません。もうこのことは申しますまい。」

「おっしゃる意味が分かりません」とロリー氏は言った。

「そうでしょうとも」とストライヴァーは、なだめ、決着をつけるようにうなずいて応じた。「かまいません、かまいません。」

「しかし、かまうことです」とロリー氏は促した。

「いいえ、かまいません。断言します、まったくかまいません。分別のないところに分別があると仮定し、称賛すべき向上心のないところに称賛すべき向上心があると仮定した私は、過ちからうまく抜け出せたのであり、何の害もありません。若い女たちは昔からしばしば同じような愚行を犯し、貧困と無名のうちにしばしば後悔してきました。利他的な見地からすれば、この話が立ち消えになったのは残念です。というのも、世俗的な観点から見れば、私にとって悪い話であったでしょうから。利己的な見地からすれば、この話が立ち消えになったのは喜ばしい。なぜなら、世俗的な観点から見れば、私にとって悪い話であったでしょうから――言うまでもなく、私がそれによって得るものなど何もなかったのです。何の害もありません。私は若いお嬢さんへ申し込んでいないし、ここだけの話、よく考えてみると、私がそこまで身を委ねたかどうかはまったく確かではありません。ロリー氏、あなたは空っぽの頭をした娘たちの気取った虚栄や浮つきを制御することはできません。それを期待してはいけない。さもなくばいつも失望することになります。さあ、どうかもうこの件はおっしゃらないでください。申し上げますが、他人のためには残念に思います。しかし自分のためには満足しています。そして、あなたに探りを入れさせていただき、助言をいただけたことには本当にたいへん感謝しております。あなたはあの若いお嬢さんを私よりよくご存じだ。あなたが正しかった。あれは決してうまくいかなかったでしょう。」

ロリー氏はあまりに面食らい、ストライヴァー氏が惜しみない寛大さと忍耐と善意を、誤った彼の頭上へ浴びせかけるような様子で彼を扉へ押しやるのを、まったく間の抜けた顔で見つめていた。「どうかよいようにお取りなしください、親愛なる旦那」とストライヴァーは言った。「もうこの件はおっしゃらないでください。探りを入れさせてくださって重ねて感謝します。おやすみなさい!」

ロリー氏は、自分がどこにいるか分かる前に夜の中へ出ていた。ストライヴァー氏は長椅子に身を反らせ、天井へ向かって片目をつぶっていた。

第十三章 無神経な男

シドニー・カートンがどこかで輝いたことがあるとしても、少なくともマネット博士の家で輝いたことは一度もなかった。彼は丸一年のあいだ幾度もそこへ通ったが、そこではいつも同じ、気難しく陰気な無為の人であった。話す気になれば、彼はうまく話した。だが、何ごとにも関心を持たないという雲が、宿命的な暗さで彼を覆っており、その内側の光がそれを貫くことはめったになかった。

それでも彼は、その家を囲む通りや、その舗道をなすもの言わぬ石に、何かしら心を寄せていた。酒が一時の歓びさえもたらさなかった夜、彼は幾晩もそこをぼんやりと不幸にさまよった。幾度となく、寂しい夜明けが、そこにたたずむ彼の孤独な姿を照らし出した。そして太陽の最初の光が、教会の尖塔や高い建物の、遠く離れた建築の美しさをくっきりと浮かび上がらせるころにも、彼はなおそこにたたずんでいた。おそらくその静かな時が、ふだんなら忘れられ、届かないよりよきものへの感覚を、彼の心にいくらか呼び戻したのだろう。近ごろでは、テンプル地区の中庭にある顧みられぬ寝床も、彼を以前にも増してわずかしか知ることがなくなっていた。しばしば彼はそこへ身を投げ出しても、ほんの数分もしないうちにまた起き上がり、あの界隈をさまよった。

八月のある日、ストライヴァー氏が(自分のジャッカルに「例の結婚の件は考え直した」と告げたあと)その繊細さをデヴォンシャーへ持ち去っていたころ、またシティの通りに見える花やその香りが、最悪の者には善良さの漂着物を、最も病んだ者には健康の気配を、最も老いた者には若さの残り香を少しばかり含んでいたころ、シドニーの足はなおその石を踏んでいた。ためらいがちで目的のなかった足取りは、やがて一つの意図によって動き出し、その意図を果たすうちに、彼を博士の扉の前へ運んだ。

彼は二階へ案内され、ルーシーがひとりで針仕事をしているところに出会った。彼女は彼といると一度もすっかりくつろいだことがなく、彼が彼女のテーブル近くに腰を下ろすと、少し戸惑って迎えた。だが最初のありふれた言葉をいくつか交わすうち、彼女がその顔を見上げると、そこに変化があることに気づいた。

「お加減がよくないのではありませんか、カートンさん!」

「ええ。ですが、私の送っている暮らしは、健康にいいものではありません、ミス・マネット。こんな放蕩者に、何が期待できるというのでしょう――また、こんな者が何を期待できるというのでしょう。」

「それは――お許しください、もう口にしてしまいました――もっとよい暮らしをなさらないのは、惜しいことではありませんか。」

「神もご存じです、恥ずべきことです!」

「なら、なぜお変えにならないのです?」

彼女がまたやさしく彼を見つめると、彼の目に涙があるのを見て驚き、悲しくなった。答える彼の声にも涙があった。

「もう遅すぎます。私は今の私よりよくなることはありません。さらに沈み、さらに悪くなるでしょう。」

彼は肘を彼女のテーブルに載せ、手で目を覆った。その後に続いた沈黙の中で、テーブルが震えた。

彼女は、彼が心を和らげたところを見たことがなく、ひどく心を痛めた。彼は彼女を見ずとも、それを知っていて言った。

「どうかお許しください、ミス・マネット。あなたに言いたいことが何であるかを思うだけで、私は崩れてしまうのです。聞いていただけますか?」

「それがあなたのためになるのなら、カートンさん。あなたが少しでも幸せになれるのなら、私はとてもうれしいです!」

「その甘い思いやりに、神の祝福がありますように!」

しばらくして彼は顔から手を離し、落ち着いて語った。

「聞くのを恐れないでください。私の言うことから身を引かないでください。私は若くして死んだ者のようなものです。私の人生は、すべて、そうであったかもしれない人生なのです。」

「いいえ、カートンさん。きっとその最良の部分は、まだそうなれるはずです。あなたはご自分にもっと、ずっとふさわしい方になれると、私は確信しています。」

「あなたにふさわしい、と言ってください、ミス・マネット。そして私はもっとよく知っているのに――この惨めな自分の心の神秘の中で、もっとよく知っているのに――その言葉を決して忘れません!」

彼女は青ざめ、震えていた。彼は、自分自身への揺るぎない絶望をもって彼女を救った。そのため、この面会は、ほかのどんな面会とも違うものになった。

「もしありえたとして、ミス・マネット、あなたが目の前にいるこの男の愛に応えてくださったとして――あなたもご存じのとおり、投げ捨てられ、浪費され、酒に溺れ、自らを誤用した哀れな生き物であるこの男の愛に――その男は、まさに今日この時、この幸福にもかかわらず、自分があなたを不幸へ、悲しみと悔いへ連れていき、あなたを枯らし、あなたに恥をかかせ、あなたを自分とともに引きずり下ろすことを意識していたでしょう。あなたが私に優しい思いを抱きえないことは、よく分かっています。私はそれを求めません。それがありえないことにさえ、感謝しているのです。」

「それがなくても、私はあなたを救えませんか、カートンさん? 私はあなたを――またお許しください! ――もっとよい道へ呼び戻せませんか? あなたが寄せてくださった信頼に、少しでも報いることはできませんか? これは信頼だと分かっています」と彼女は、少しためらったあと、慎ましく、真剣な涙のうちに言った。「あなたはこのことを、ほかの誰にもおっしゃらないでしょう。私はそれを、あなたご自身のために、何かよいことに用いることはできないのでしょうか、カートンさん?」

彼は首を振った。

「何にも。いいえ、ミス・マネット、何にも。あとほんの少しだけ最後まで聞いてくだされば、あなたが私にしてくださることはすべて終わります。あなたが私の魂の最後の夢であったことを、知っていただきたいのです。私は堕ちていますが、それでもあなたがお父上とともにいる姿、そしてあなたによってこの家がこれほどの家となっている姿を見て、私の中からとうに消えたと思っていた古い影が揺り動かされるほどには、まだ堕ちきってはいませんでした。あなたを知ってから、私はもう二度と私を責めることはないと思っていた悔恨に苦しめられ、永遠に沈黙したと思っていた古い声が、私を上へと促す囁きを聞いてきました。私は形にならないながらも、もう一度励み直し、新たに始め、怠惰と肉欲を振り払い、見捨てた戦いを戦い抜こうという思いを抱いたことがありました。夢です、すべて夢です。何にもならずに終わり、眠る者を横たわった場所に残すだけの夢です。それでも、その夢を呼び起こしたのがあなたであったと知っていただきたいのです。」

「そこから何も残らないのですか? ああ、カートンさん、もう一度考えてください! もう一度試してください!」

「いいえ、ミス・マネット。その間ずっと、私は自分がまったくふさわしくない者だと知っていました。それでも私には弱さがあり、今も弱さがあります。灰の山にすぎない私を、あなたがどれほど突然の力で火に変えたかを、あなたに知ってほしいと願う弱さです――もっとも、その火は本質的に私自身と切り離せず、何も生かさず、何も照らさず、何の役にも立たず、ただ虚しく燃え尽きるだけの火なのですが。」

「私が、あなたを私と知り合う前より不幸にしてしまったことが、私の不幸であるのなら――」

「そう言わないでください、ミス・マネット。もし何かが私を取り戻せるとすれば、それはあなたであったでしょう。あなたが、私をさらに悪くする原因になることはありません。」

「あなたがお話しになった心の状態が、いずれにせよ私の何らかの影響によるものだとすれば――これが私の言いたいことです、うまく伝わるなら――私はあなたのために、その影響を使うことはできないのでしょうか? 私には、あなたに対して、善のための力が少しもないのでしょうか?」

「今の私にできる最大の善を、ミス・マネット、私は実現するためにここへ来ました。道を誤った残りの人生を通して、私がこの世の最後に心を開いたのはあなたであったという記憶を抱かせてください。そして、この時の私の中には、あなたが悲しみ、憐れんでくださるものがまだ残っていたという記憶を。」

「その残っていたものが、もっとよいものになれるのだと、私は何度も何度も、心から熱烈に信じてくださいとお願いしたのです、カートンさん!」

「もうそう信じるよう私にお求めにならないでください、ミス・マネット。私は自分を試し、自分のことをもっとよく知っています。あなたを苦しめていますね。もうすぐ終わります。この日を思い出すとき、私の人生最後の信頼が、あなたの清らかで無垢な胸に置かれたのだと、そしてそこにただ一人置かれ、誰とも分かち合われないのだと、私に信じさせていただけますか?」

「それがあなたの慰めになるのなら、はい。」

「いつかあなたにとって最も大切な方になる人にも?」

「カートンさん」と彼女は動揺した沈黙のあと答えた。「その秘密はあなたのものです。私のものではありません。私はそれを尊重するとお約束します。」

「ありがとう。そして、もう一度、神があなたを祝福されますように。」

彼は彼女の手を唇へ運び、扉のほうへ動いた。

「ミス・マネット、私がこの会話を、たとえほんの一言でも持ち出すのではないかと、ご心配なさらないでください。私は二度と触れません。私が死んでいたとしても、今後それ以上に確かなことはありません。死の時にあって、私は一つのよい記憶を神聖なものとして抱くでしょう――そしてそのためにあなたへ感謝し、祝福するでしょう――私の最後の告白があなたになされたこと、そして私の名も、過ちも、惨めさも、あなたの心にやさしく抱かれたことを。ほかのすべては、あなたにとって軽く、幸福でありますように!」

彼はそれまで見せてきたどの自分ともあまりに違っていた。そして彼がどれほど多くを投げ捨て、どれほど多くを日々押し殺し、ねじ曲げているかを思うのはあまりに悲しかったので、ルーシー・マネットは、振り返って彼女を見つめて立つ彼のために、悲しげに涙を流した。

「どうか慰められてください!」と彼は言った。「私はそんな感情に値しません、ミス・マネット。一、二時間もすれば、私が軽蔑しながらも屈している卑しい仲間や卑しい習慣が、通りを這っていくどんな惨めな者よりも、私をその涙に値しない者にするでしょう。どうか慰められてください! しかし私の内側では、私はあなたに対して、いつも今の私であり続けます。外側では、これまであなたが見てこられた私であるとしても。あなたへの最後から二番目の願いは、私についてこのことを信じていただくことです。」

「信じます、カートンさん。」

「最後の願いはこれです。そしてこれをもって、私は、あなたと何一つ響き合うものがなく、あなたとのあいだに越えがたい隔たりのある訪問者から、あなたを解放します。言っても無駄だとは分かっています。ですが、これは私の魂から湧き上がるのです。あなたのため、そしてあなたにとって大切な人のためなら、私は何でもします。もし私の歩む道がもっとましな種類のもので、その中に犠牲を払う機会や能力が少しでもあったなら、私はあなたと、あなたにとって大切な人々のために、どんな犠牲でも受け入れるでしょう。静かな時に、私のことを、この一点においては熱烈で誠実な者として、心に留めてみてください。時は来ます。遠からず来るでしょう。あなたのまわりに新しい絆が結ばれる時が――あなたがかくも美しく飾るこの家へ、あなたをさらに優しく強く結びつける絆が――あなたを飾り、喜ばせる最も愛しい絆が。ああ、ミス・マネット、幸せな父親の顔をした小さな面影があなたを見上げるとき、あなた自身の明るい美しさが、あなたの足もとで新たに芽吹くのを見るとき、ときどき思い出してください。あなたの愛する命をそばに留めるためなら、自分の命を差し出す男がいるのだと!」

彼は「さようなら!」と言い、最後に「神の祝福を!」と言って、彼女のもとを去った。

第十四章 正直な商売人

フリート街で腰掛けに座り、毛むくじゃらの小僧を脇に置いているジェレマイア・クランチャー氏の目には、毎日、膨大な数と種類の動くものが映っていた。昼の忙しい時間にフリート街の何かに腰を下ろして、二つの巨大な行列――一つは常に太陽とともに西へ向かい、もう一つは常に太陽から東へ向かい、いずれも常に、太陽が沈む赤と紫の彼方の平原へ向かう――に目をくらまされ、耳をつんざかれずにいられる者があるだろうか。

口に麦わらをくわえ、クランチャー氏は二つの流れを見守って座っていた。何世紀ものあいだ一つの流れを見守る任についてきた異教徒の田舎者のように――ただしジェリーには、その流れがいつか干上がるなどという期待はなかった。もっとも、それは希望に満ちた期待ではなかっただろう。というのも、彼の収入の一部は、臆病な婦人たち(たいていは肥満気味で人生の半ばを過ぎた人々)をテルソン銀行側の潮から向こう岸へ水先案内することで得られていたからである。そうした同伴は一回ごとには短いものだったが、クランチャー氏はその婦人に強い関心を抱くことを決して忘れず、彼女のたいへんご立派な健康を祝して一杯飲む名誉にあずかりたいと、強く願い出た。そして先ほど述べたとおり、この慈善的目的の遂行に向けて彼に与えられる贈り物によって、彼は財政を補っていたのである。

かつて詩人が公共の場所で腰掛けに座り、人々の目の前で物思いにふけった時代があった。クランチャー氏は公共の場所で腰掛けに座っていたが、詩人ではなかったので、できるだけ物思いにふけらず、あたりを見回していた。

そんなふうに過ごしていた時期のことだった。人出は少なく、遅れてくる婦人も少なく、全般に商売があまりに振るわないので、クランチャー夫人がどこか狙いすましたやり方で「ぺたりと祈って」いるに違いないという強い疑念が彼の胸に湧いていたころ、フリート街を西へ流れ下る異様な人だかりが彼の注意を引いた。そちらを見ると、クランチャー氏には、何かの葬列がやって来るのが分かった。そしてこの葬列に対して民衆が反発しており、それが騒ぎを生んでいた。

「若いジェリー」とクランチャー氏は息子のほうを向いて言った。「埋めるやつだ。」

「ばんざあい、父ちゃん!」若いジェリーが叫んだ。

若い紳士は、謎めいた意味を込めてこの歓喜の声を発した。年長の紳士はその叫びをひどく悪く受け取り、機会をうかがって若い紳士の耳を殴った。

「何のつもりだ? 何をばんざいしてやがる? てめえの父親に何を伝えようってんだ、この若造め? このガキゃ、おれに対して出しゃばりすぎだ!」とクランチャー氏は彼を眺め回して言った。「こいつときたら、ばんざいだの何だの! もうてめえの声を聞かせるな。でねえと、もっとおれを感じることになるぞ。分かったか?」

「悪いことなんかしてねえよ」と若いジェリーは頬をこすりながら抗議した。

「なら黙っとけ」とクランチャー氏は言った。「てめえの悪くねえなんぞ、いらねえんだ。そこの座席の上に乗って、群衆を見てろ。」

息子は従い、群衆が近づいてきた。人々は薄汚れた霊柩馬車と薄汚れた喪の馬車の周りで、わめき、口笛を吹いていた。その喪の馬車には、喪主がただ一人乗っており、その立場の威厳に不可欠とされていた薄汚れた喪の装束を身にまとっていた。しかしその立場は、彼にとって決して気に入るものではなかったらしい。増え続ける野次馬が馬車を取り囲み、彼を嘲り、しかめ面をし、絶え間なくうなり声をあげ、「やーい! スパイめ! チッ! やーい! スパイめ!」と叫び、そのほかにも多すぎ、かつ強烈すぎて繰り返せない数々の賛辞を浴びせていた。

葬式はいつでもクランチャー氏にとって著しく魅力的なものだった。テルソン銀行の前を葬列が通ると、彼はいつも神経をとがらせ、興奮した。したがって当然ながら、この異様な付き添いのある葬式は彼を大いに興奮させ、最初にぶつかってきた男に尋ねた。

「何だい、兄弟? 何の騒ぎだ?」

「知らねえよ」とその男は言った。「スパイだ! やーい! チッ! スパイめ!」

彼は別の男に尋ねた。「誰なんだ?」

「知らねえ」とその男は答えたが、それでも両手を口に当て、驚くほど熱く、最大の熱意で叫んだ。「スパイだ! やーい! チッ、チッ! スパ――イ!」

やがて、事の成り行きについてもう少しよく知っている人物が彼にぶつかってきて、この人物から彼は、その葬式がロジャー・クライなる者の葬式であることを知った。

「そいつはスパイだったのか?」クランチャー氏は尋ねた。

「オールド・ベイリーのスパイさ」と情報提供者は答えた。「やーい! チッ! やーい! オールド・ベイリーのスパ――イ!」

「そりゃあ、もちろんだ!」とジェリーは、自分が立ち会った裁判を思い出して叫んだ。「見たことがあるぞ。死んだのか?」

「羊肉みてえに死んでる」と相手は答えた。「死にすぎってことはねえ。引っぱり出せ、そこだ! スパイどもを! 引きずり出せ! スパイどもを!」

ほかにこれという考えがない状況では、その考えはたいへん受け入れやすいものだったので、群衆は熱心にそれを取り上げ、連中を引っぱり出せ、引きずり出せという提案を大声で繰り返しながら、二台の車へぎっしり押し寄せたため、車は止まってしまった。群衆が馬車の扉を開けると、一人だけの喪主は自分でまろび出て、一瞬彼らの手に落ちた。だが彼はすばしこく、そのわずかな時間を実にうまく利用したので、次の瞬間には、外套、帽子、長い帽章、白いハンカチ、その他象徴的な涙を脱ぎ捨て、横丁を駆け上がって逃げていた。

人々はそれらを大喜びで引き裂き、遠く広くばらまいた。その間、商人たちは急いで店を閉めた。というのも、当時の群衆は何ものにも止まらず、ひどく恐れられた怪物だったからである。彼らはすでに霊柩馬車を開け、棺を取り出そうとするところまで進んでいたが、そのとき、いくらか頭の冴えた者が、代わりに目的地まで大いに祝って護送してやろうと提案した。実際的な提案が大いに必要とされていたため、この提案も喝采で迎えられ、喪の馬車にはたちまち内に八人、外に十二人が乗り込み、霊柩馬車の屋根にも、工夫を凝らしてしがみつける限りの人間が乗った。こうした志願者の先頭近くにはジェリー・クランチャー自身もおり、彼は控えめに、喪の馬車の奥の隅で、その針のような頭をテルソン銀行の目から隠していた。

葬儀を執り行う葬儀屋たちは、儀式のこうした変更にいくらか抗議した。だが、川が恐ろしいほど近くにあり、職業上の反抗的な者を道理に立ち返らせるには冷水への浸漬が効くと何人もの声が述べたため、その抗議は弱々しく短かった。改造された行列は出発した。煙突掃除夫が霊柩馬車を御し――そのために、正規の御者が彼の横に腰掛けて厳重な監督のもとで助言していた――またパイ売りが、これも内閣大臣を伴って喪の馬車を御した。騎馬隊がストランドをそれほど進まぬうち、当時よく知られた街頭人物である熊使いが追加の飾りとして徴用された。そしてその熊は黒く、たいへん疥癬だらけで、歩くその一角にまことに葬儀めいた雰囲気を添えていた。

原文

こうして、ビールを飲み、パイプをふかし、歌をどなり、悲嘆を限りなく戯画化しながら、無秩序な行列は進んでいった。一歩ごとに人数を増し、行く先々ですべての店が閉まっていった。目的地は、野原のはるか向こうにある古いセント・パンクラス教会だった。やがてそこへ着くと、彼らは墓地へなだれ込むことを強要し、ついには故ロジャー・クライの埋葬を自分たちなりのやり方で成し遂げ、たいへん満足した。

死人の始末がつき、群衆は自分たちのために何か別の娯楽を用意する必要に迫られたので、別の冴えた才人(あるいは同じ人物かもしれない)が、たまたま通りかかった人々をオールド・ベイリーのスパイとして告発し、復讐するという愉快な思いつきを抱いた。この空想の実現として、生まれてこの方オールド・ベイリーの近くに寄ったこともない、何十人もの無害な人々が追い回され、乱暴に押し合われ、虐待された。窓割りという遊びへ、さらにそこから居酒屋の略奪へ移るのは容易で自然な流れだった。ついに数時間後、いくつもの東屋が引き倒され、いくらかの地階囲いの鉄柵が、より好戦的な者たちの武器とするために引き抜かれたころ、近衛兵が来るという噂が広まった。この噂を前に、群衆はしだいに消えていった。近衛兵は来たのかもしれず、来なかったのかもしれない。暴徒の進行とは、たいていこのようなものだった。

クランチャー氏は終盤の遊興には加わらず、墓地に残って葬儀屋たちと協議し、哀悼を交わしていた。その場所は彼に穏やかな影響を及ぼした。彼は近くの居酒屋でパイプを手に入れ、それをふかしながら、鉄柵越しに中をのぞき、その場所を熟考した。

「ジェリー」とクランチャー氏は、いつものように自分自身へ呼びかけて言った。「てめえはあの日、あのクライを見たんだ。自分の目で、あいつが若くて、まっすぐ作られたやつだと見たんだ。」

パイプを吸い終え、さらに少し考え込んだあと、彼は向きを変え、閉店の時刻前にテルソン銀行の持ち場へ現れるべく歩き出した。死すべき運命についての瞑想が彼の肝臓に触れたのか、それとも彼の全般的な健康状態がもともといくらかすぐれなかったのか、あるいは高名な人物にちょっとした敬意を表したかったのかは、それほど重要ではない。重要なのは、帰り道に彼が自分の医療顧問――著名な外科医――のもとへ短く立ち寄ったことである。

若いジェリーは父の留守を孝行息子らしい関心で埋め、留守中に仕事なしと報告した。銀行は閉まり、古めかしい事務員たちが出てきて、いつもの見張りが置かれ、クランチャー氏とその息子はお茶を飲みに家へ帰った。

「さて、ここで言っとくぞ!」とクランチャー氏は、入るなり妻に言った。「もし今夜、おれが正直な商売人としてやる仕事がうまくいかなかったら、おまえがおれに逆らってまた祈ってやがったと見なすからな。見たのと同じように、きっちり仕置きしてやる。」

意気消沈したクランチャー夫人は首を振った。

「ほら見ろ、おれの目の前でもう始めてやがる!」とクランチャー氏は、怒った不安のしるしを見せて言った。

「私は何も言っていません。」

「だったら、何も黙想するな。黙想するくらいなら、ぺたりと祈るのと同じだ。どんなやり方だろうが、おれに逆らうのは同じだ。すっぱりやめろ。」

「はい、ジェリー。」

「はい、ジェリーだと」とクランチャー氏はお茶の席に着きながら繰り返した。「ああ! そりゃあ、はい、ジェリーだろうよ。まあ、そんなところだ。はい、ジェリーと言えばいいさ。」

クランチャー氏は、こうした不機嫌な追認に特別な意味を込めていたわけではなかったが、世間の人々もしばしばそうするように、全般的な皮肉な不満を表すためにそれを用いた。

「おまえときたら、はい、ジェリーだ」とクランチャー氏はバター付きパンをかじり、受け皿から大きな目に見えない牡蠣を口に運んで、それを飲み下す助けにしているように見えながら言った。「ああ! そうだと思うね。おまえの言うことは信用できるよ。」

「今夜、お出かけになるのですか?」彼がもう一口かじったとき、慎ましい妻が尋ねた。

「ああ、出かける。」

「おれも一緒に行っていい、父ちゃん?」息子が勢いよく尋ねた。

「だめだ。おれは行くんだ――おまえの母親も知ってるように――釣りにな。そこへ行くんだ。釣りに行く。」

「父ちゃんの釣り竿、ちょっと錆びてきてるよな?」

「てめえは気にするな。」

「魚、持って帰ってくる、父ちゃん?」

「持って帰らなきゃ、明日は食い扶持が少ねえぞ」とその紳士は首を振って返した。「質問はもう十分だ。てめえがとっくに寝入るまで、おれは出かけねえ。」

彼は夜の残りの時間を、クランチャー夫人をきわめて用心深く見張ることに費やし、彼女が自分に不利な請願を黙想するのを防ぐため、不機嫌に会話へ引き留めた。この目的のため、彼は息子にも彼女と会話するよう促し、彼女を一瞬たりとも自分の思いに任せるくらいなら、彼女に対して持ち出せる不満の種を何でも持ち出して、その不幸な女にひどい暮らしをさせた。彼が妻をこうして疑うことによって、正直な祈りの効能に対して払った敬意は、いかに信心深い者であってもそれ以上のものは示せなかっただろう。それは、幽霊を信じないと公言する者が幽霊話に怯えるようなものだった。

「それから覚えとけ!」とクランチャー氏は言った。「明日はふざけた真似をするな! おれが正直な商売人として肉の関節を一つ二つ用意できたら、触りもしないでパンばかり食うなんてことはするなよ。おれが正直な商売人として少しのビールを用意できたら、水にするとか言い出すなよ。ローマに行ったらローマのやり方に従えだ。従わなきゃ、ローマはおまえにとって厄介な相手になるぞ。おれがおまえのローマなんだからな。」

それから彼はまたぶつぶつ言い始めた。

「自分の食い物や飲み物に盾突きやがって! おまえのぺたり祈りの小細工や薄情な振る舞いで、この家の食い物や飲み物がどれだけ乏しくなるか分かったもんじゃねえ。おまえの息子を見ろ。こいつはおまえの子だろうが? 板切れみたいに痩せてるじゃねえか。自分を母親だって言うなら、母親の第一の務めは息子を膨らませることだって知らねえのか?」

これは若いジェリーの弱いところに触れた。彼は母にその第一の務めを果たすよう懇願し、ほかに何をしようと怠ろうと、とりわけもう一方の親によってかくも感動的かつ繊細に示されたその母性的機能の遂行を特に重んじるよう求めた。

こうしてクランチャー家の夜は過ぎていき、やがて若いジェリーは寝床へ行くよう命じられ、母も同様の命令を受けてそれに従った。クランチャー氏は夜の初めの見張り時を、一人でパイプをふかして紛らわせ、ほとんど一時近くになるまで遠征へ出発しなかった。その小さく幽霊めいた時刻に近づくと、彼は椅子から立ち上がり、ポケットから鍵を取り出し、鍵のかかった戸棚を開け、袋、手ごろな大きさの鉄梃、縄と鎖、そのたぐいのほかの釣り道具を取り出した。それらの品々を巧みに身の回りへ配し、クランチャー夫人に別れの挑戦を投げつけ、明かりを消して出ていった。

若いジェリーは、寝床へ行くとき服を脱ぐふりをしただけだったので、父の後を追うのにそう長くはかからなかった。暗闇にまぎれ、彼は部屋の外へついて行き、階段を下りてついて行き、中庭を抜けてついて行き、通りへ出てついて行った。家へ戻ることについては何の不安もなかった。というのも、家には間借り人がぎっしり住んでおり、扉は一晩中少し開いていたからである。

父の正直な生業の技と奥義を学びたいという称賛すべき志に駆られ、若いジェリーは、自分の両目が互いに近いのと同じくらい、家の正面や壁や戸口にぴったり寄りながら、尊敬する親の姿を視界に収め続けた。尊敬する親は北へ舵を取り、さほど進まないうちに、アイザック・ウォルトン[訳注:『釣魚大全』で知られる英国の釣り文学者]のもう一人の弟子と合流し、二人は一緒にとぼとぼ歩いていった。

出発から半時間もしないうちに、彼らは瞬く街灯と、街灯以上に瞬く夜警たちの範囲を越え、寂しい道へ出ていた。ここでもう一人の漁師が加わった――それがあまりにも静かだったので、もし若いジェリーが迷信深かったなら、穏やかな技の二番目の従事者が、突然二人に分裂したのだと思ったかもしれないほどだった。

三人は進み、若いジェリーも進み、やがて三人は道に張り出した土手の下で止まった。土手の上には低い煉瓦塀があり、その上に鉄柵が載っていた。土手と塀の影で、三人は道を外れて行き止まりの小道へ入った。その小道の片側はその塀で、そこでは八フィートから十フィート(約2.4メートルから約3メートル)ほどの高さにそびえていた。若いジェリーが隅に身をかがめ、小道をのぞき込んで次に見たものは、水っぽく曇った月を背景にかなりはっきり浮かぶ、尊敬する親の姿だった。彼はすばやく鉄門をよじ登っていた。彼はすぐ向こう側へ越え、次に二番目の漁師が越え、そして三番目が越えた。三人とも門の内側の地面へそっと降り、しばらくそこに伏せていた――おそらく耳を澄ませていたのだろう。それから彼らは四つん這いで動き出した。

今度は若いジェリーが門に近づく番だった。彼は息を殺してそうした。そこでまた隅に身をかがめ、中をのぞくと、三人の漁師が伸び放題の草の中を這っていくのが分かった! そして教会墓地のすべての墓石――彼らがいるのは大きな教会墓地だった――が白い幽霊のように見守り、教会の塔そのものは、途方もない巨人の幽霊のように見守っていた。彼らはさほど遠くへ這わないうちに止まり、立ち上がった。そして、それから釣りを始めた。

初めのうち、彼らは鋤で釣った。やがて、尊敬する親は大きなコルク抜きのような道具を調整しているように見えた。どんな道具を使っていたにせよ、彼らは懸命に働いた。ところが、教会の時計が恐ろしく時を打ったので、若いジェリーはあまりに肝をつぶし、父親の髪のように髪を逆立てて逃げ出した。

しかし、そうした事柄についてもっと知りたいという長年温めてきた願望が、逃げる彼を止めただけでなく、再び彼を引き寄せた。二度目に門からのぞき込んだとき、彼らはなお根気よく釣っていた。だが今や、どうやら獲物がかかったらしかった。下のほうでねじるような、きしむような音がし、かがみ込んだ三人の姿は、重みに引かれるように力んでいた。ゆっくりと、その重みは上にかぶさった土を割り、地表へ出てきた。若いジェリーには、それが何であるかはよく分かっていた。だが実際にそれを見、尊敬する親がそれをこじ開けようとしているのを見ると、初めて見る光景にあまりに恐ろしくなり、また逃げ出し、一マイル(約1.6キロメートル)かそれ以上走るまで止まらなかった。

息をつくという、それ以上に必要なものでもなければ、彼はそこでさえ止まらなかっただろう。彼の走りは幽霊じみた種類のもので、どうしても終わりまで逃げきりたいものだったからだ。彼には、見た棺が自分を追いかけてくるという強烈な考えがあった。その棺は細い端を下に、直立したまま、自分の後ろをぴょんぴょん跳ねてついて来て、いつもまさに追いつき、横に並んで跳ね――ひょっとすると腕を取る――ものとして思い描かれ、避けるべき追跡者であった。それはまた矛盾に満ち、どこにでもいる悪鬼でもあった。というのも、背後の夜全体を恐ろしいものにしている一方で、彼は暗い路地から逃れるため車道へ飛び出した。尾も翼もない水腫の子の凧のように、それが路地からぴょんと出てくるのを恐れたからである。それは戸口にも隠れており、恐ろしい肩を扉にこすりつけ、まるで笑っているかのように肩を耳まで引き上げていた。道の影の中にも入り込み、彼をつまずかせようと狡猾に仰向けに横たわっていた。その間ずっと、それは絶え間なく後ろを跳ね続け、彼に迫っていたので、少年が自分の家の扉に着いたとき、半死半生であったのももっともだった。それでもなお、それは彼を離れず、一段ごとにどしんと音を立てて階段をついて上がり、彼と一緒に寝床へ這い込み、彼が眠りに落ちると、死んだように重く彼の胸へどしんと落ちてきた。

圧迫された眠りから、押し入れの中の若いジェリーが目覚めたのは、夜明け後、日の出前のことだった。家族部屋に父がいたからである。父には何か具合の悪いことがあったらしい。少なくとも若いジェリーは、父がクランチャー夫人の耳をつかみ、その後頭部を寝台の板に打ちつけている様子から、そう推測した。

「やると言っただろう」とクランチャー氏は言った。「そしてやった。」

「ジェリー、ジェリー、ジェリー!」妻は懇願した。

「おまえは商売の儲けに逆らってるんだ」とジェリーは言った。「それでおれと仲間が迷惑する。おまえは敬い、従うはずだったんだ。なんでそうしねえんだ、畜生?」

「よい妻でいようとしています、ジェリー」と哀れな女は涙ながらに抗議した。

「夫の商売に逆らうのが、よい妻でいることか? 夫の商売を貶めるのが、夫を敬うことか? 夫の商売という肝心かなめの件で夫に逆らうのが、夫に従うことか?」

「その頃はまだ、あなたは恐ろしい商売に手を出していませんでした、ジェリー。」

「おまえにゃ十分だ」とクランチャー氏は言い返した。「正直な商売人の妻でいるだけでな。いつその商売を始めたとか始めなかったとか、女の頭で勘定するんじゃねえ。敬い従う妻なら、夫の商売にはまったく口を出さねえもんだ。自分を信心深い女だと? おまえが信心深い女なら、おれには不信心な女をくれ! おまえにゃ、このテムズ川の川底が杭を受け入れるくらいの自然な義務感もねえ。だから同じように、叩き込まなきゃならねえんだ。」

この口論は低い声で行われ、最後には正直な商売人が泥のついた長靴を蹴り脱ぎ、床の上に長々と横になることで終わった。錆びた手を枕代わりに頭の下へ置き、仰向けに寝ている父をおずおずとのぞいたあと、息子も横になり、また眠りに落ちた。

朝食には魚がなく、ほかのものも大してなかった。クランチャー氏は気がふさぎ、機嫌も悪く、クランチャー夫人が食前の祈りを口にしそうな兆候を見せた場合の矯正用飛び道具として、鉄の鍋蓋をそばに置いていた。いつもの時刻に髪をとかし、体を洗うと、息子を連れて表向きの職業に従事するため出かけた。

陽の当たる混雑したフリート街を、腰掛けを小脇に抱えて父の横を歩く若いジェリーは、前の晩、陰惨な追跡者から暗闇と孤独の中を家へ逃げ帰っていた若いジェリーとは、まったく別人だった。彼の悪知恵は昼とともに新しくなり、気分の悪さは夜とともに去っていた――その点について言えば、その晴れた朝、フリート街とロンドンのシティには、彼に似た者が少なからずいたとしても不思議ではない。

「父ちゃん」と若いジェリーは歩きながら言った。腕一本分の距離を保ち、腰掛けをしっかり二人の間に挟むよう注意しながら。「復活屋って何?」

クランチャー氏は答える前に舗道で足を止めた。「おれが知るか?」

「父ちゃんなら何でも知ってると思ったんだ」と無邪気な少年は言った。

「ふむ! まあ」とクランチャー氏はまた歩き出し、帽子を持ち上げて針髪を自由にしながら返した。「そいつは商売人だ。」

「何を売るの、父ちゃん?」と元気な若いジェリーが尋ねた。

「そいつの商品は」とクランチャー氏は頭の中で考えを転がしたあと言った。「科学関係の商品だ。」

「人の体だろ、父ちゃん?」と快活な少年は尋ねた。

「まあ、そんなようなものだと思う」とクランチャー氏は言った。

「ああ、父ちゃん、おれ、大きくなったら復活屋になりたいな!」

クランチャー氏は機嫌をよくしたが、疑わしげで道徳的な様子で首を振った。「それはてめえが才能をどう伸ばすかにかかってる。才能を伸ばすよう気をつけろ。それから誰に対しても、言わずに済むことは決してそれ以上言うな。そうすりゃ、今の時点で、てめえがどんなものに向くようになるかは分かったもんじゃねえ。」

こう励まされた若いジェリーが、腰掛けをテンプル・バーの影に置くため数ヤード(数メートル)先へ進むと、クランチャー氏は自分に向かって付け加えた。「ジェリー、正直な商売人よ、あのガキゃ、いずれまだおまえにとって祝福になり、母親の埋め合わせになってくれる望みがあるぞ!」

第十五章 編み物

デファルジュ氏のワイン酒場では、いつもより早くから酒が飲まれていた。朝の六時にはもう、鉄格子のはまった窓からのぞく土気色の顔が、店の中でほかの顔たちがワインの升に身をかがめているのを見つけていた。デファルジュ氏の売るワインは、よい時でさえずいぶん薄いものだったが、この時売られていたものは、どうやらいつにもまして薄かったらしい。しかも酸いワイン、あるいは酸っぱくなりかけたワインで、それを飲んだ者の気分に及ぼす作用は、彼らを陰鬱にすることだった。デファルジュ氏の搾り葡萄からは、陽気なバッカスの炎など一つも躍り出なかった。だが、その澱の底には、闇の中で燃えるくすぶった火がひそんでいた。

デファルジュ氏のワイン酒場で早朝から酒が飲まれるのは、これで三日続きだった。月曜日に始まり、いまや水曜日になっていた。とはいえ、早朝の酒盛りというよりは、早朝の沈思のほうが多かった。戸が開いた時分から、そこで耳を澄まし、ささやき、こそこそ動き回っていた男たちの多くは、命を助けるためであっても硬貨一枚をカウンターに置くことなどできない者たちだったからである。それでも彼らは、まるでワインの樽を丸ごといくつも買い占められる身分であるかのように、この場所に深い関心を寄せていた。そして席から席へ、隅から隅へと滑るように移り、酒の代わりに話を、貪るような目つきで呑み込んでいた。

いつになく客が多いにもかかわらず、酒場の主人の姿は見えなかった。だが誰もそれを気にしなかった。敷居をまたぐ者の誰も彼を探さず、誰も彼のことを尋ねず、デファルジュ夫人だけがいつもの席にいて、前に置かれたへこんだ小銭の鉢を相手に、ワインの配分を取り仕切っているのを見ても、誰も不思議に思わなかった。その小銭は、ぼろをまとった人間という小額通貨のポケットから出てきたもので、彼ら自身と同じように、もとの刻印も分からぬほどすり減り、打ちひしがれていた。

王宮から犯罪者の牢獄まで、身分の高低を問わずあらゆる場所をのぞき込む密偵たちは、このワイン酒場をのぞいた時、宙吊りになったような関心と、広く漂う上の空の気配に気づいたかもしれない。カード遊びはだれていた。ドミノをする者は、ぼんやりとそれで塔を築いていた。酒飲みたちは、こぼれたワインの雫で卓上に模様を描いていた。デファルジュ夫人自身も、爪楊枝で袖の模様をほじくりながら、はるか遠くの、聞こえぬもの、見えぬものを見聞きしていた。

こうしてサン=タントワーヌは、酒に染まったこの一面を昼まで保っていた。正午も高くなった頃、二人の埃まみれの男がその通りを抜け、揺れる街灯の下を通った。一人はデファルジュ氏、もう一人は青い帽子をかぶった道路補修人だった。全身乾き、喉も渇いた二人は、ワイン酒場に入った。彼らが通りをやって来るにつれて、サン=タントワーヌの胸の中には一種の火が灯り、たちまち広がって、ほとんどの戸口や窓辺に浮かぶ顔という炎を揺らめかせた。だが誰も二人のあとをつけては来なかった。そして彼らがワイン酒場に入っても、そこにいる男たちの目はことごとく二人に向けられたものの、誰一人として口をきかなかった。

原画

「ごきげんよう、諸君!」とデファルジュ氏は言った。

それは、皆の舌をほどく合図だったのかもしれない。「ごきげんよう!」という返答が合唱のように湧き起こった。

「いやな天気だな、諸君」とデファルジュは首を振りながら言った。

すると男たちはそれぞれ隣を見、それからいっせいに目を伏せ、黙り込んだ。ただ一人を除いて。その一人は立ち上がり、外へ出ていった。

「おまえ」とデファルジュは、デファルジュ夫人に向かって大きな声で言った。「私はこのよい道路補修人、名をジャックという男と、いくつかの里を旅してきた。パリから一日半ほどの道のりのところで、偶然に――会ったのだ。この道路補修人、名をジャックという男は、よい子だ。飲ませてやってくれ、おまえ!」

二人目の男が立ち上がり、外へ出た。デファルジュ夫人はジャックという名の道路補修人の前にワインを置いた。彼は一同に向かって青い帽子を脱ぎ、飲んだ。上っ張りの胸元には粗末な黒パンを入れており、合間にそれをかじりながら、デファルジュ夫人のカウンターの近くで、もぐもぐ食べ、飲んでいた。三人目の男が立ち上がり、外へ出た。

デファルジュは一口ワインを飲んで喉をうるおした――だが、見知らぬ客に与えられた分よりは少なく飲んだ。自分にとって珍しいものではなかったからである――そして田舎者が朝食を終えるまで立って待っていた。彼はそこにいる誰にも目を向けず、いまや誰も彼を見なかった。編み物を取り上げ、手を動かしているデファルジュ夫人でさえも。

「食事は済んだか、友よ?」頃合いを見て彼は尋ねた。

「ええ、ありがとうございます。」

「では来い! おまえに使ってよいと言っておいた部屋を見せよう。きっと驚くほど気に入るぞ。」

ワイン酒場から通りへ、通りから中庭へ、中庭から急な階段を上り、階段から屋根裏部屋へ――かつて白髪の男が低いベンチに座り、前かがみになってひどく忙しそうに靴を作っていた、あの屋根裏部屋へ。

いまはそこに白髪の男はいなかった。だが、ワイン酒場から一人ずつ出ていった三人の男がいた。そして彼らと、遠い昔の白髪の男との間には、ただ一つの小さなつながりがあった。かつて壁の割れ目越しに、その男をのぞき見たことがあるというつながりである。

デファルジュは注意深く扉を閉め、声を落として言った。

「ジャック一号、ジャック二号、ジャック三号! こちらは私、ジャック四号が、取り決めどおり出会った証人だ。彼がすべて話す。話せ、ジャック五号!」

道路補修人は青い帽子を手に持ち、それで浅黒い額をぬぐって言った。「どこから始めましょう、ムッシュー?」

「始めるなら」とデファルジュ氏は、無理からぬ返答をした。「始めからだ。」

「では、旦那方、私はあの男を見ました」と道路補修人は語り始めた。「去年の、ちょうどこの夏のことです。侯爵様の馬車の下に、鎖につかまってぶら下がっていたのです。様子はこうです。私は道仕事を終え、日が沈もうとしている。侯爵様の馬車がゆっくり坂を上っていく。その下に、あの男が鎖につかまってぶら下がっている――こうです。」

道路補修人はまた一連の仕草をすべて演じてみせた。一年間まるまる、村にとってこれが間違いのない話の種であり、欠かせない余興であったことを思えば、この頃にはもう完璧であってしかるべき演技だった。

ジャック一号が口を挟み、その男を以前に見たことがあるのかと尋ねた。

「一度もありません」と道路補修人は身を起こして答えた。

ジャック三号は、それでは後になってどうやってその男だと見分けたのかと問い詰めた。

「背の高い姿でございます」と道路補修人は声をひそめ、鼻に指を当てて言った。「その晩、侯爵様が『言え、そいつはどんな男だった?』とお尋ねになった時、私は『幽霊のように背の高い男でございます』と答えました。」

「小人のように背の低い男、と言うべきだったな」とジャック二号が返した。

「しかし私に何が分かったでしょう? その時まだ事は成し遂げられておらず、あの男も私に打ち明けたわけではありません。ご覧ください! あんな状況でさえ、私は証言など差し出しておりません。侯爵様が、私どもの小さな泉のそばに立っていた私を指差し、『こっちへ! あの悪党を連れてこい!』とおっしゃる。まったく、旦那方、私は何も差し出しておりません。」

「そこは正しいぞ、ジャック」とデファルジュは、口を挟んだ男に向かってつぶやいた。「続けろ!」

「よろしい!」道路補修人は謎めいた様子で言った。「背の高い男は行方をくらまし、探されます――何か月でしたか。九か月、十か月、十一か月?」

「数はどうでもよい」とデファルジュは言った。「うまく隠れていたが、ついに不運にも見つかった。続けろ!」

「私はまた坂の斜面で働いておりました。日がまた沈もうとしておりました。もう下の村の自分の小屋へ降りるために道具を集めていたのです。村のほうはすでに暗くなっておりました。その時、ふと目を上げると、丘を越えて六人の兵士がやって来るのが見えました。その真ん中に、腕を縛られた背の高い男がいました――両脇に縛りつけられて――こうです!」

彼は欠かせぬ帽子を使って、肘を腰にぴったり縛りつけられ、縄が背中で結ばれている男を表してみせた。

「旦那方、私は石の山のそばに脇へよけ、兵士たちとその囚人が通り過ぎるのを見ておりました。そこは人気のない道で、どんな見ものでも見る価値があるものですから。初め、彼らが近づいてくる時には、六人の兵士が、縛られた背の高い男を連れていること、そして私の目には彼らがほとんど真っ黒に見えることしか分かりませんでした――ただ、沈む太陽の側だけは赤く縁取られていました、旦那方。それから、彼らの長い影が道の向こう側のくぼんだ尾根に伸び、その上の丘にも伸びて、巨人の影のようになっているのが見えました。それから、彼らが埃まみれで、その埃が、どしん、どしん、とやって来るたびに一緒に動くのが見えました。けれど、すぐ近くまで来た時、私はその背の高い男だと分かりましたし、向こうも私だと分かりました。ああ、あの男は、私たちが初めて出会ったあの夕べのように、同じ場所のすぐそばから、もう一度、丘の斜面に身を投げてしまいたかったことでしょう!」

彼はまるでその場にいるかのように語った。そしてその光景を鮮やかに見ていることは明らかだった。おそらく彼は、人生でそれほど多くのものを見てこなかったのだ。

「私は、背の高い男を知っていることを兵士たちには見せません。あの男も、私を知っていることを兵士たちには見せません。私たちは目でそれをし、目で分かり合いました。『進め!』と、その一隊の隊長が村を指差して言います。『早く墓場へ連れていけ!』すると彼らはさらに速く連れていきます。私はあとを追いました。腕はきつく縛られているせいで腫れ上がり、木靴は大きくて不格好で、あの男は足を引きずっていました。足を引きずって遅いものですから、彼らは銃で小突きます――こうです!」

彼はマスケット銃の台尻で男が前へ押しやられる動作をまねた。

「彼らが競走する狂人のように丘を下っていくと、あの男は倒れます。兵士たちは笑って、また引き起こします。顔は血を流し、埃まみれですが、あの男はそれに触れることができません。すると彼らはまた笑います。彼らはあの男を村へ連れてきます。村中が見に走ります。彼らはあの男を水車小屋のそばを通し、牢獄へ上らせます。村中が、夜の闇の中で牢獄の門が開き、あの男を呑み込むのを見ます――こうです!」

彼は口をできるだけ大きく開け、歯を鳴らしてぱちんと閉じた。その効果を損ねまいとして、もう一度口を開けるのをためらっている様子を見て、デファルジュが言った。「続けろ、ジャック。」

「村中が」と道路補修人は、つま先立ちになり、声をひそめて続けた。「引き上げます。村中が泉のそばでささやきます。村中が眠ります。村中が、崖の上の牢獄の錠と鉄格子の内に閉じ込められ、滅びるためにしか外へ出られぬ、その不幸な男の夢を見ます。朝、道具を肩に担ぎ、黒パンのかけらを食べながら仕事へ向かう途中、私は牢獄を回り道して行きます。そこであの男を見ました。高い鉄の檻の鉄格子の向こう、ずっと上のほうに、昨夜のまま血と埃にまみれて、こちらをのぞいている。私に手を振る自由な手はありません。私は声をかける勇気がありません。あの男は死人のように私を見つめておりました。」

デファルジュと三人は、暗い目で互いを見た。田舎者の話に耳を傾ける彼ら全員の目つきは暗く、抑えられ、復讐に満ちていた。全員の態度は秘密めいていると同時に、権威を帯びていた。彼らには荒々しい法廷のような趣があった。ジャック一号と二号は古い寝台に腰を下ろし、それぞれ顎を手に乗せ、道路補修人に目を凝らしている。ジャック三号は同じように熱心に、二人の後ろで片膝をつき、落ち着きのない手をいつも口と鼻のあたりの細かな神経の網の上に滑らせている。デファルジュは彼らと語り手との間に立ち、語り手を窓の光の中に立たせて、彼から三人へ、三人から彼へと交互に視線を移していた。

「続けろ、ジャック」とデファルジュは言った。

「あの男は鉄の檻の中で数日過ごしました。村は怖がって、こっそり彼を見ます。けれども村はいつも、遠くから崖の上の牢獄を見上げています。そして夕方、その日の仕事が終わり、泉のそばに集まって世間話をする時には、誰の顔も牢獄のほうを向いています。以前は宿駅のほうを向いていたのに、今では牢獄のほうを向くのです。泉のそばでは、死刑を宣告されてはいるが処刑はされないだろう、とささやかれます。子どもを死なせたことで激昂し、気が狂ったのだと訴える嘆願書がパリで出された、と言います。王ご自身に嘆願書が差し出された、とも言います。私に何が分かりましょう? あり得ます。そうかもしれませんし、違うかもしれません。」

「では聞け、ジャック」と、その名を持つ一号が厳しく割って入った。「嘆願書は国王と王妃に差し出されたのだ。ここにいる者は、おまえを除いて全員、通りの馬車の中で王妃の隣に座った国王がそれを受け取るのを見た。ここにいるデファルジュが、命がけで馬の前へ飛び出し、嘆願書を手に掲げたのだ。」

「もう一度聞け、ジャック!」と片膝をついた三号が言った。その指は絶えずあの細かな神経の上をさまよい続け、まるで何か――食べ物でも飲み物でもない何か――に飢えているような、ひどく貪欲な様子をしていた。「騎兵も歩兵も、護衛が嘆願者を取り囲み、殴りつけた。聞いたか?」

「聞きました、旦那方。」

「では続けろ」とデファルジュは言った。

「また一方で、泉のそばではこうもささやかれます」と田舎者は再び語り出した。「あの男は現地で処刑するために私どもの土地へ連れ戻されたのだ、必ず処刑されるのだ、と。さらに、モンセニョールを殺したから、そしてモンセニョールは小作人たち――農奴たち――何と呼ぼうと、その父であったから、あの男は父殺しとして処刑されるのだ、とさえささやきます。泉のそばのある老人は言います。短刀を握った右手は本人の目の前で焼き落とされる。腕、胸、脚に作られる傷には、煮えたぎる油、溶けた鉛、熱い松脂、蝋、硫黄が注がれる。最後には、四頭の強い馬で四肢を引き裂かれるのだ、と。その老人は、先王ルイ十五世の命を狙った囚人に、これとまったく同じことが実際に行われたと言います。しかし、その老人が嘘をついているかどうか、私にどうして分かりましょう? 私は学者ではありません。」

「ではもう一度聞け、ジャック!」落ち着きのない手と飢えた様子の男が言った。「その囚人の名はダミアン[訳注:1757年にフランス王ルイ十五世を襲撃し、八つ裂きの刑に処されたロベール=フランソワ・ダミアン]だ。そしてそのすべては、このパリの都の往来で、白昼堂々行われた。それを見物した大群衆の中で何より目についたのは、身分高く流行の先端にいるご婦人方の群れで、彼女たちは最後まで、貪るような関心に満ちていた――最後までだ、ジャック。日暮れまで引き延ばされ、あの男が二本の脚と一本の腕を失っても、まだ息をしていたその時まで! それが行われたのは――ところで、おまえは何歳だ?」

「三十五です」と道路補修人は言った。六十に見えた。

「おまえが十歳を越えていた時のことだ。見ていてもおかしくなかった。」

「もうよい!」デファルジュは陰気ないらだちを込めて言った。「悪魔万歳だ! 続けろ。」

「さて! ある者はあれをささやき、ある者はこれをささやきます。ほかの話など何もいたしません。泉さえ、その調子で流れているようです。ついに、日曜の夜、村中が寝静まった頃、兵士たちが牢獄から曲がりくねって下りてきて、その銃が小さな通りの石に当たって鳴ります。人夫たちが掘り、人夫たちが槌を振るい、兵士たちは笑い、歌います。朝になると、泉のそばに高さ四十フィート(約十二メートル)の絞首台が立ち、水を毒します。」

道路補修人は低い天井を、見ているというより突き抜けるように見上げ、絞首台が空のどこかに見えるかのように指差した。

「仕事はすべて止まり、みんなそこへ集まります。牛を連れ出す者もおらず、牛もほかの者と一緒にそこにおります。正午、太鼓が鳴ります。夜のうちに兵士たちが牢獄へ入り、あの男は大勢の兵士の真ん中におります。前と同じように縛られ、口には猿ぐつわがはめられています――きつい紐でこう結ばれて、まるで笑っているように見えました。」

彼は両方の親指で口の端から耳まで顔にしわを寄せ、それを示してみせた。「絞首台のてっぺんには刃物が固定され、刃を上に向け、先を空に突き立てています。あの男はそこに、高さ四十フィート(約十二メートル)のところで吊るされ――そのまま吊るされ、水を毒しているのです。」

彼が青い帽子で顔をぬぐうと、一同は互いに目を見交わした。その顔には、光景を思い出すうちにまた汗が噴き出していた。

「恐ろしいことです、旦那方。女たちや子どもたちは、どうやって水を汲めましょう! あの影の下で、夕べに誰が世間話などできましょう! あの下、と申しましたか? 私が村を発った月曜の夕方、日が沈もうとしている時、丘から振り返りますと、その影は教会を横切り、水車小屋を横切り、牢獄を横切って――大地を横切り、空がその上に載っているところまで伸びているように見えました、旦那方!」

飢えた男は他の三人を見ながら自分の指を一本かじった。その指は、彼をとらえている渇望に震えていた。

「それで全部です、旦那方。私は日没に出発しろと言われていたとおり、日没に村を出ました。そしてその夜と翌日の半分を歩き続け、会えると言われていたとおり、この同志に会いました。彼とともに、昨日の残りと昨夜を、乗ったり歩いたりして来ました。そしてこのとおり、ここにおります!」

陰鬱な沈黙の後、最初のジャックが言った。「よし! おまえは忠実に行動し、忠実に語った。しばらく扉の外で待てるか?」

「喜んで」と道路補修人は言った。デファルジュは彼を階段の上まで連れていき、そこに座らせて戻ってきた。

彼が屋根裏部屋に戻ると、三人は立ち上がり、頭を寄せ合っていた。

「どう言う、ジャック?」一号が尋ねた。「登録するか?」

「滅ぼされるべき者として登録する」とデファルジュは返した。

「すばらしい!」飢えた男がしわがれ声で言った。

「城館と、その一族すべてか?」最初の男が尋ねた。

「城館と、その一族すべてだ」とデファルジュは返した。「根絶だ。」

飢えた男はうっとりしたしわがれ声で「すばらしい!」と繰り返し、別の指をかじり始めた。

「大丈夫か」とジャック二号がデファルジュに尋ねた。「我々の登録のつけ方から、面倒が起こることはないのか? もちろん安全ではある。我々以外には誰にも読み解けないのだから。だが我々はいつでもそれを読み解けるのか――いや、こう言うべきだな、彼女は読み解けるのか?」

「ジャック」とデファルジュは身を起こして答えた。「もしわが妻である夫人が、記録をただ記憶だけにとどめると引き受けたなら、一語たりとも失わない――一音節たりともだ。彼女自身の編み目と彼女自身の記号で編み込まれたものは、彼女にはいつでも太陽のように明らかだ。デファルジュ夫人を信じろ。この世で最も臆病な腰抜けが自分自身の存在を消し去るほうが、デファルジュ夫人の編み物名簿から、自分の名や罪の一文字を消し去るよりたやすいだろう。」

信頼と賛同のざわめきが起こった。それから飢えた男が尋ねた。「この田舎者はすぐ帰すのか? そう願うが。あれはたいそう単純だ。少し危険ではないか?」

「何も知らん」とデファルジュは言った。「少なくとも、同じ高さの絞首台へ自分を容易に押し上げる程度のこと以上は知らん。あれは私が引き受ける。私のもとに置いておけ。面倒を見て、道に送り出してやる。あれは美しい世界を見たがっている――国王、王妃、宮廷をだ。日曜日に見せてやればよい。」

「何だと?」飢えた男は目を見開いて叫んだ。「王族や貴族を見たがるとは、よい兆しなのか?」

「ジャック」とデファルジュは言った。「猫に乳を欲しがらせたければ、賢く乳を見せてやることだ。犬にいつの日か獲物を仕留めさせたければ、賢く生来の獲物を見せてやることだ。」

それ以上は何も語られず、最上段の階段ですでにうとうとしているのが見つかった道路補修人は、寝台に横になって休むよう勧められた。説得は不要で、彼はすぐ眠り込んだ。

その程度の地方の奴隷にとって、パリにはデファルジュのワイン酒場よりひどい宿などいくらでも見つかっただろう。絶えずつきまとわれる、夫人への謎めいた恐怖を除けば、彼の生活はひどく新しく、心地よいものだった。だが夫人は一日中カウンターに座り、彼のことなどまったく意識していないとわざとらしいほど示し、彼がそこにいることが表面下の何かと関係しているなど、断じて気づかぬふりをしていた。そのため、彼の目が夫人に触れるたび、彼は木靴の中で震えた。というのも、彼は自分に言い聞かせていたからだ。あの女が次に何を装い出すかなど、とても予測できない、と。そしてもしあの女が、きらびやかに飾った頭にふと思いついて、自分が殺人を犯し、その後に犠牲者の皮を剝いだのを見たと装うことにしたなら、その芝居が終わるまで必ずやり通すに違いない、と確信していた。

だから日曜日が来て、夫人がムッシューと自分に同行してヴェルサイユへ行くと知った時、道路補修人は、(口ではそう言ったものの)うっとりはしなかった。公共の乗り物の中で、道中ずっと夫人が編み物をしているのは、さらに落ち着かないことだった。午後、人ごみの中で、国王と王妃の馬車を待つ群衆に交じって、夫人がやはり編み物を手にしているのは、なおさら落ち着かないことだった。

「精が出ますな、マダム」と近くの男が言った。

「ええ」とデファルジュ夫人は答えた。「やることがたくさんありますので。」

「何をお作りで、マダム?」

「いろいろと。」

「たとえば――」

「たとえば」とデファルジュ夫人は落ち着いて返した。「死に装束です。」

その男はできるだけ早く、少し離れた。道路補修人は青い帽子で自分を扇いだ。ひどく蒸し暑く、息苦しく感じたからである。もし彼が気を取り直すのに国王と王妃を必要としていたなら、幸いにも薬はすぐ手の届くところにあった。やがて、大きな顔の国王と美しい顔の王妃が黄金の馬車に乗って現れ、宮廷の輝く雄牛の目のような中心[訳注:原文の “Bull’s Eye” は、宮廷のまばゆく人目を引く中心を比喩的に指す]が随行し、笑いさざめく婦人たちと立派な貴族たちのきらめく群れが続いた。宝石、絹、白粉、壮麗さ、優雅に人を足蹴にする姿、男女ともに見事なまでに侮蔑的な顔。その中に道路補修人は身を浸し、一時的に酔いしれて、国王万歳、王妃万歳、みんな万歳、何もかも万歳! と叫んだ。まるでこの世に遍在するジャックのことなど一度も聞いたことがないかのように。それから庭園があり、中庭があり、テラスがあり、噴水があり、緑の土手があり、さらに国王と王妃があり、さらに雄牛の目があり、さらに貴族や婦人があり、さらにみな万歳! が続き、とうとう彼は感激のあまり本当に泣き出した。この場面はおよそ三時間続いたが、その間ずっと、彼には叫び、泣き、感傷に浸る仲間がたくさんいた。そしてそのあいだじゅう、デファルジュは彼の襟首をつかんでいた。まるで、束の間の崇拝の対象に飛びかかって八つ裂きにするのを抑えているかのようだった。

「よくやった!」終わると、デファルジュは後援者のように彼の背中を叩いて言った。「おまえはよい子だ!」

道路補修人はようやく我に返り、自分の先ほどの振る舞いが間違いだったのではないかと疑った。だが、違った。

「おまえこそ、我々の求める男だ」とデファルジュは彼の耳元で言った。「おまえはあの愚か者どもに、これが永遠に続くと信じさせる。すると連中はいっそう傲慢になり、終わりはいっそう近づく。」

「へえ!」道路補修人は考え込むように叫んだ。「なるほど、そのとおりです。」

「あの愚か者どもは何も知らん。連中はおまえの息を軽蔑し、おまえ一人の息も、おまえのような百人の息も、自分たちの馬や犬一頭の息より先に永遠に止めてしまいたがるが、連中が知るのは、おまえの息が連中に語ることだけだ。ならばもう少し、連中を欺いておけ。欺きすぎるということはない。」

デファルジュ夫人はその客を冷ややかに見下し、うなずいて確認した。

「おまえなど」と夫人は言った。「見せ物になって音さえ立てれば、何にでも叫び、涙を流すのだろう。言ってごらん、違うか?」

「まったく、マダム、そのとおりだと思います。その瞬間は。」

「もし大きな人形の山を見せられ、自分の得になるからそれを引き裂き、奪い取れと言われたら、おまえはいちばん金持ちで派手なものを選ぶだろう。言ってごらん、違うか?」

「まったくそのとおりです、マダム。」

「そうだ。そして、飛べない鳥の群れを見せられ、自分の得になるから羽をむしれと言われたら、おまえはいちばん見事な羽を持つ鳥に襲いかかるだろう。違うか?」

「そのとおりです、マダム。」

「おまえは今日、人形も鳥も見た」とデファルジュ夫人は、最後にそれらが見えた場所のほうへ手を振って言った。「さあ、家へ帰れ!」

第十六章 なおも編み物

デファルジュ夫人とその夫は、仲むつまじくサン=タントワーヌの懐へ戻っていった。その一方で、青い帽子の小さな一点は、闇と埃の中を、道端に延びる疲れ果てるような何マイルもの並木道をとぼとぼ歩き、いま墓の中にいる侯爵様の城館が、ささやく木々に耳を傾けている方角へと、ゆっくり向かっていた。いまや石の顔たちには、木々と泉の声に耳を澄ませるだけのたっぷりとした暇があった。そのため、食べる草や燃やす枯れ枝のかけらを探し求めて、大きな石造りの中庭やテラスの階段の見えるところまで迷い出た、村のわずかな案山子のような人々は、飢えた空想の中で、その顔つきが変わったように思い込むようになっていた。村には、かすかな噂がかろうじて生きていた――村人たちと同じように、弱々しく裸同然の存在で――刃が命中した時、顔は誇りの顔から怒りと苦痛の顔へ変わったという。また、あのぶら下がる姿が泉の上四十フィート(約十二メートル)へ引き上げられた時、顔は再び変わり、復讐を果たしたという残酷な表情を帯び、それをこれから永遠に保つのだという。殺人の行われた寝室の大窓の上にある石の顔では、彫刻された鼻に二つの細いへこみが指摘されていた。それを誰もが認めたが、昔それを見た者は誰もいなかった。二、三人のぼろをまとった農民が群れから抜け出し、石と化した侯爵様を急いでのぞき見するまれな機会には、痩せこけた指がそこを一分も指し示さぬうちに、皆、そこに生き場所を見つけられる、より幸運な野兎のように、苔と木の葉の間へ逃げ散ってしまうのだった。

城館と小屋、石の顔とぶら下がる姿、石の床の赤い染み、村の井戸の澄んだ水――何千エーカーもの土地――フランスの一州全体――フランスそのものすべて――それらは夜空の下、かすかな髪の毛ほどの線へと凝縮されて横たわっていた。一つの世界全体も、その偉大さと卑小さをすべて抱えながら、瞬く星の中に横たわっている。人間の知識だけでも一筋の光を分け、その成り立ちを分析できるのなら、より高貴な知性は、この地球の弱い輝きの中に、そこに生きる責任あるすべての生き物の、あらゆる思いと行い、あらゆる悪徳と美徳を読み取れるのかもしれない。

デファルジュ夫妻は、星明かりの下、乗合馬車に揺られて、旅の行き着く先として自然なパリの門へとやって来た。関所の衛兵詰所でいつもの停止があり、いつもの灯籠がいつもの検査と尋問のためにきらりと現れた。デファルジュ氏は降りた。そこにいる兵士の一人二人と、警察の者一人を知っていたからである。後者とは親しく、愛情を込めて抱擁した。

サン=タントワーヌが再びデファルジュ夫妻をその薄暗い翼のうちに包み、夫妻が聖者の境界近くでようやく馬車を降り、その通りの黒い泥と汚物の中を足もとに気をつけながら歩いていると、デファルジュ夫人が夫に言った。

「ねえ、あなた。警察のジャックは何を言っていたの?」

「今夜はごくわずかだが、知っていることは全部だ。我々の地区に、もう一人密偵が任じられた。彼に言えるかぎりではほかにも大勢いるかもしれんが、彼が知っているのは一人だ。」

「なるほどね!」デファルジュ夫人は、冷静な仕事ぶりで眉を上げて言った。「登録しなくては。その男は何という名?」

「イングランド人だ。」

「それはなおよい。名は?」

「バーサード」とデファルジュはフランス風に発音して言った。だが正確に聞き取ることに細心の注意を払っていたので、続けて完全に正しい綴りを述べた。

「バーサード」と夫人は繰り返した。「よし。洗礼名は?」

「ジョン。」

「ジョン・バーサード」と夫人は、一度小声でつぶやいてから繰り返した。「よし。外見は分かっている?」

「年齢、およそ四十歳。身長、およそ五フィート九インチ(約百七十五センチ)。黒髪。肌は浅黒い。概して、かなり整った顔立ち。目は黒く、顔は痩せて長く、黄ばんでいる。鼻は鷲鼻だがまっすぐではなく、左頬のほうへ独特に傾いている。そのため表情は陰険。」

「まあ、まったく。肖像画そのものね!」夫人は笑って言った。「明日、登録しておきましょう。」

二人はワイン酒場へ入った。店は閉まっていた――真夜中だったからである――そしてデファルジュ夫人はただちに帳場につき、留守中に受け取られた小銭を数え、在庫を調べ、帳簿の記入を点検し、自分でもほかの記入をし、あらゆる方法で給仕の男を照合し、最後に寝床へ下がらせた。それから二度目に金の鉢の中身をあけ、夜のあいだ安全に保管するため、ハンカチの中に一つ一つ別々の結び目を作り、鎖のように結び始めた。その間ずっとデファルジュは、パイプを口にくわえ、満足げに感心しながら行ったり来たりしていたが、決して口出しはしなかった。実際、商売や家庭のことについては、彼は生涯その調子で行ったり来たりしていたのである。

夜は暑く、店は固く閉ざされ、ひどく汚い界隈に囲まれていたので、悪臭がした。デファルジュ氏の嗅覚は決して繊細ではなかったが、ワインの在庫は、味わった時よりずっと強く匂い、ラム酒やブランデーやアニス酒の在庫も同じだった。吸い尽くしたパイプを置きながら、彼は入り混じった匂いをふっと吹き払った。

「疲れているのね」と夫人は、金を結びながら目を上げて言った。「いつもの匂いしかないわ。」

「少し疲れている」と夫は認めた。

「少し気落ちもしている」と夫人は言った。そのすばやい目は帳簿にどれほど注がれていても、夫に向ける光を一筋二筋は残していた。「ああ、男というものは、男というものは!」

「だが、なあ、おまえ!」デファルジュは言いかけた。

「だが、なあ、おまえ!」夫人は繰り返し、きっぱりとうなずいた。「だが、なあ、おまえ! 今夜のあなたは気が弱いわ、あなた!」

「では」とデファルジュは、胸の内から考えを絞り出されたように言った。「確かに、長い。」

「長いわ」と妻は繰り返した。「そして、長くなかったためしがある? 復讐と報いには長い時が必要なのよ。それが決まりです。」

「雷が人を打つのには、長い時はかからん」とデファルジュは言った。

「では」と夫人は落ち着いて問い返した。「その雷を作り、蓄えるのにどれほどかかるの? 言ってごらんなさい。」

デファルジュは、そこにも一理あるというように、考え深げに顔を上げた。

「地震が町を呑み込むのに」と夫人は言った。「長い時はかからない。なるほどね! では地震を準備するのにどれほどかかるか、言ってごらんなさい。」

「長い時だろうな」とデファルジュは言った。

「けれど準備が整えば、地震は起こり、目の前のすべてを粉々に挽き砕く。その間、見えず聞こえずとも、いつでも準備は進んでいる。それがあなたの慰めよ。覚えておきなさい。」

彼女は敵の喉を締めるように、目を光らせながら結び目を一つ作った。

「言っておくわ」と夫人は強調するため右手を伸ばして言った。「それは道のりに長くかかっているけれど、道の上にあって、こちらへ来ている。言っておくわ、それは決して後退せず、決して止まらない。言っておくわ、それはいつも前へ進んでいる。周りを見て、私たちの知る世の中の人々の暮らしを考えなさい。私たちの知る世の中の人々の顔を考えなさい。ジャックリー[訳注:中世フランスの農民反乱に由来し、ここでは民衆の反乱勢力を指す]が刻一刻と確実に向かっている、あの怒りと不満を考えなさい。そんなものが続くと思う? ふん、笑わせないで。」

「勇敢な妻よ」とデファルジュは、少し頭を垂れ、両手を背中で組み、教理問答を受ける従順で熱心な生徒のように彼女の前に立って返した。「私はこのすべてを疑ってはいない。だが、これは長く続いてきた。そしてあり得ることだ――おまえもよく分かっているだろう、妻よ、あり得ることだ――我々が生きているうちには来ないかもしれん。」

「なるほど! それで?」夫人は、また別の敵を絞め殺すように結び目を作りながら尋ねた。

「それで!」デファルジュは半ば不満げに、半ば弁解するように肩をすくめて言った。「我々は勝利を見られない。」

「私たちはそれを助けたことになる」と夫人は、差し伸べた手を力強く動かして返した。「私たちがすることで、無駄になるものは一つもない。私は心の底から信じている、私たちは勝利を見ると。けれど、たとえ見られなくても、たとえそれが確かだと分かっていても、貴族や暴君の首を私に見せてごらんなさい。私はそれでも――」

そこで夫人は、歯を食いしばり、実に恐ろしい結び目を作った。

「待て!」デファルジュは、臆病だと責められたように少し赤くなって叫んだ。「私だって、なあ、おまえ、どんなことでもためらわん。」

「ええ! でもあなたの弱さは、時に犠牲者と好機を目の前に見なければ、自分を支えられないところよ。それなしで自分を支えなさい。時が来たら虎と悪魔を解き放てばよい。けれど時を待つあいだは、虎と悪魔を鎖につないでおくのです――見せずに――それでも常に用意して。」

夫人はこの忠告の結論を、自分の小さなカウンターに金の鎖を叩きつけることで強めた。まるでその脳味噌を叩き潰すかのようだった。それから重いハンカチを静かに脇に抱え、寝る時間だと言った。

翌日の正午には、その見事な女はいつものようにワイン酒場のいつもの場所にいて、熱心に編み物をしていた。そばには一輪の薔薇が置かれていた。時おりその花へ目をやっても、それはいつもの物思いに沈んだ様子を少しも破るものではなかった。客は何人かいて、飲んだり飲まなかったり、立ったり座ったりして、ちらほら散らばっていた。その日はたいへん暑く、夫人の近くにある粘ついた小さなグラスというグラスへ、好奇心旺盛で冒険好きな探索を広げていた大量の蝿が、底に落ちて死んだ。その死は、散歩中のほかの蝿には何の印象も与えなかった。彼らはまったく冷静にそれを眺めていた――まるで自分たちが象か何か、とにかくそれとはかけ離れたものだとでもいうように――やがて同じ運命に遭うまで。蝿というものが何と無頓着かを考えるのは興味深い! ――おそらく、その晴れた夏の日、宮廷でも同じようなことを思っていたのだろう。

戸口に入ってきた人影が、デファルジュ夫人の上に影を落とした。夫人はそれを新しい影だと感じた。その姿を見る前に、夫人は編み物を置き、薔薇を頭飾りに留め始めた。

奇妙なことだった。デファルジュ夫人が薔薇を取り上げた瞬間、客たちは話をやめ、次第にワイン酒場から姿を消し始めた。

「ごきげんよう、マダム」と新来者が言った。

「ごきげんよう、ムッシュー。」

夫人は声に出してそう言ったが、編み物を再び取り上げると、自分だけにこう付け加えた。「はあ! ごきげんよう、年齢およそ四十、身長およそ五フィート九インチ(約百七十五センチ)、黒髪、概してかなり整った顔立ち、肌は浅黒く、目は黒く、痩せて長く黄ばんだ顔、鷲鼻だがまっすぐではなく、左頬のほうへ独特に傾いており、それが陰険な表情を与えている者よ! みんなまとめて、ごきげんよう!」

「古いコニャックを小さなグラスに一杯と、冷たい新鮮な水を一口、いただけますかな、マダム。」

夫人は礼儀正しい様子で応じた。

「すばらしいコニャックですな、マダム!」

そのコニャックがそのように褒められたのは初めてであり、デファルジュ夫人はその素性をよく知っていたので、そんなはずはないと分かっていた。だが夫人は、コニャックも喜んでおります、と言い、編み物を取り上げた。訪問者はしばらく彼女の指を眺め、その機会に店全体を観察した。

「実にお上手に編まれますな、マダム。」

「慣れておりますので。」

「柄も美しい!」

「あなたはそう思うの?」夫人は微笑みながら彼を見て言った。

「もちろんです。何のためのものか、伺っても?」

「暇つぶしです」と夫人は、指を素早く動かしながら、なおも微笑んで彼を見て言った。

「実用品ではなく?」

「それは場合によります。いつか使い道が見つかるかもしれません。もし見つかったら――そうね」と夫人は息を吸い、厳しい媚びのようなものを帯びてうなずいた。「使いますわ!」

注目すべきことだった。サン=タントワーヌの好みは、デファルジュ夫人の頭飾りに薔薇を挿すことに、明らかに反対しているようだった。二人の男が別々に入ってきて、飲み物を注文しようとしていたが、その目新しい飾りを見つけると、口ごもり、そこにいない友人を探しているように周囲を見回すふりをして、去っていった。この訪問者が入ってきた時そこにいた者も、一人として残っていなかった。みな姿を消していた。密偵は目を開けていたが、何の合図も見つけられなかった。彼らは貧しげで、目的もなく、偶然のような様子でぶらぶら出ていっただけで、まったく自然で、非の打ちどころがなかった。

「ジョン」と夫人は、指で編みながら目で見知らぬ男を見つめ、仕事を数えながら思った。「もう少し長くいなさい。あなたが帰る前に『バーサード』まで編み込んであげる。」

「ご主人はおいでで、マダム?」

「おります。」

「お子さまは?」

「子はおりません。」

「商売はよくなさそうですな?」

「商売はたいへん悪いです。人々があまりに貧しいので。」

「ああ、不幸で惨めな人々だ! しかも、ずいぶん虐げられている――あなたのおっしゃるとおり。」

「あなたがおっしゃるとおり」と夫人は訂正するように返し、器用に彼の名前へ、彼にとって不吉な何かを余分に編み込んだ。

「失礼。確かにそう言ったのは私ですが、あなたも当然そうお考えでしょう。もちろん。」

「私が考える?」夫人は高い声で返した。「私と夫は、このワイン酒場を開けておくだけで手いっぱいで、考えている暇などありません。ここで私たちが考えることはただ、生きていく方法だけ。それが私たちの考える問題で、朝から晩まで、それだけで十分頭を使います。他人のことで頭を悩ませる余裕などありません。私が他人のために考える? いいえ、いいえ。」

見つけられる、あるいは自分で作れるどんなパン屑でも拾いに来た密偵は、出鼻をくじかれたことを陰険な顔に出さなかった。むしろ世間話をする伊達男のような様子で、デファルジュ夫人の小さなカウンターに肘をつき、時おりコニャックをすすっていた。

「ガスパールの処刑はひどいことでしたな、マダム。ああ! 哀れなガスパール!」

大きな同情のため息をついて。

「まったく!」夫人は冷静に、軽く返した。「人が短刀をああいう目的に使うなら、その代償は払わなくてはなりません。彼は贅沢の値段を前もって知っていた。その値を払ったのです。」

「私は思うのですが」と密偵は、柔らかな声を信頼を誘う調子に落とし、邪悪な顔のあらゆる筋肉に傷つけられた革命的感受性を表して言った。「私は、この界隈には、あの哀れな男のことで大きな同情と怒りがあると思うのです。ここだけの話ですが。」

「あるのですか?」夫人はぼんやり尋ねた。

「ないのですか?」

「――夫が来ました!」デファルジュ夫人は言った。

ワイン酒場の主人が戸口から入ってくると、密偵は帽子に手をやって彼に挨拶し、人好きのする笑みを浮かべて言った。「ごきげんよう、ジャック!」

デファルジュはぴたりと足を止め、彼をにらんだ。

「ごきげんよう、ジャック!」密偵は繰り返した。その視線を受けて、自信も笑みの気楽さもいくらか薄れていた。

「人違いですな、ムッシュー」とワイン酒場の主人は返した。「あなたは私をほかの者と間違えている。それは私の名ではない。私はエルネスト・デファルジュです。」

「同じようなものです」と密偵は軽やかに言ったが、やはりたじろいでもいた。「ごきげんよう!」

「ごきげんよう!」デファルジュはそっけなく答えた。

「あなたが入ってこられた時、楽しくお話ししていたマダムに申していたのです。哀れなガスパールの不幸な運命について、サン=タントワーヌには多くの同情と怒りがあると聞きましてね――無理もありません!」

「誰も私にはそう言っておらん」とデファルジュは首を振って言った。「私は何も知らん。」

そう言うと、彼は小さなカウンターの後ろへ回り、妻の椅子の背に手を置いて立ち、その仕切り越しに、夫婦双方が敵対している相手を見た。どちらも、できることならこの上ない満足をもって撃ち殺したであろう相手を。

密偵は職務に慣れた男らしく、何も気づいていないような姿勢を変えず、小さなコニャックのグラスを飲み干し、新鮮な水を一口飲み、もう一杯コニャックを求めた。デファルジュ夫人はそれを注ぎ、再び編み物に戻り、その上で小さな歌を口ずさんだ。

「あなたはこの界隈をよくご存じのようですな。つまり、私よりは?」デファルジュが言った。

「とんでもない。ですがもっとよく知りたいとは思っています。ここの惨めな住民たちに、心から関心がありますので。」

「はあ!」デファルジュはつぶやいた。

「デファルジュ氏、あなたとお話しできる喜びは」と密偵は続けた。「あなたのお名前にまつわる、興味深い縁を私がいくつか大切にしていることを思い出させます。」

「ほう!」デファルジュはひどく無関心に言った。

「ええ、まことに。マネット博士が解放された時、あなたが昔の召使いとして博士を預かったことを、私は知っています。博士はあなたに引き渡された。事情は把握しているのですよ?」

「確かに、そのとおりです」とデファルジュは言った。妻が編み物をし、歌を口ずさみながら肘で偶然のように触れて伝えたところでは、答えたほうがよい、ただし常に短く、ということだった。

「彼の娘が訪ねてきたのは、あなたのところでしたな」と密偵は言った。「そしてその娘は、こぎれいな茶色の紳士を伴って――名は何でしたかな? 小さなかつらをつけた――ロリー――テルソン社の銀行の――あなたの世話から父を連れ、イングランドへ渡った。」

「そのとおりです」とデファルジュは繰り返した。

「たいへん興味深い思い出です!」密偵は言った。「私はイングランドでマネット博士とその娘を知っています。」

「そうですか」とデファルジュは言った。

「今ではあまり彼らのことをお聞きになりませんか?」密偵は言った。

「ええ」とデファルジュは言った。

「実のところ」と夫人が仕事と小さな歌から顔を上げて口を挟んだ。「私どもは彼らのことをまったく聞きません。無事到着した知らせと、おそらくもう一通、あるいは二通の手紙は受け取りました。けれどそれからは、彼らはしだいに自分たちの人生の道を進み、私たちは私たちの道を進み、文通はしておりません。」

「まったくそのとおりです、マダム」と密偵は答えた。「彼女は結婚するそうです。」

「するそう?」夫人は反響するように言った。「彼女なら、とうの昔に結婚していてもよいほどきれいでした。あなた方イングランド人は冷たいのね、私にはそう思えます。」

「ああ! 私がイングランド人だとご存じで。」

「舌を聞けば分かります」と夫人は返した。「そして舌がそうなら、その人間もそうなのでしょう。」

彼はその同一視を褒め言葉としては受け取らなかった。だができるだけうまくやり過ごし、笑って受け流した。コニャックを最後まですすった後、彼は付け加えた。

「ええ、ミス・マネットは結婚するところです。ですがイングランド人とではありません。彼女と同じく、生まれはフランスの男です。そしてガスパールの話をしていて思い出しましたが(ああ、哀れなガスパール! 残酷でした、残酷でした!)、妙なことに彼女は、ガスパールがあれほどの高さへ引き上げられることになった、その侯爵様の甥と結婚するのです。言い換えれば、現在の侯爵です。ただし彼はイングランドで名を隠して暮らしており、そこでは侯爵ではありません。チャールズ・ダーニー氏です。ドーネーというのは母方の家名です。」

デファルジュ夫人は絶えず編み続けていたが、その知らせは夫に目に見える影響を与えた。小さなカウンターの後ろで火をつけ、パイプに火を移そうと何をしても、彼は動揺しており、手元が定まらなかった。それに気づかず、心に記録しなかったなら、密偵は密偵ではなかっただろう。

少なくともこの一撃を放ち、それがどれほどの価値を持つことになるにせよ、ほかに彼を助ける客も入ってこないので、バーサード氏は飲んだ分の代金を払い、辞去した。出ていく前には上品な調子で、デファルジュご夫妻にまたお目にかかれるのを楽しみにしております、と言う機会も逃さなかった。彼が外のサン=タントワーヌの前へ出てから数分のあいだ、戻ってくるかもしれないため、夫婦は彼に残された時とまったく同じ姿勢でいた。

「本当だろうか」とデファルジュは、妻の椅子の背に手を置いて立ち、煙草を吸いながら見下ろし、低い声で言った。「マネットのお嬢さんについてあいつが言ったことは?」

「あの男が言ったことだから」と夫人は、眉を少し上げて返した。「たぶん嘘でしょう。けれど本当かもしれない。」

「もし本当なら――」デファルジュは言いかけ、止まった。

「本当なら?」妻は繰り返した。

「――そして、もしそれが来て、我々が生きて勝利を見るなら――彼女のためにも、運命が彼女の夫をフランスの外に留めてくれることを願う。」

「彼女の夫の運命は」とデファルジュ夫人は、いつもの落ち着きで言った。「行くべきところへ彼を連れていき、彼を終わらせるべき結末へ導くでしょう。私が知っているのはそれだけです。」

「だが非常に奇妙ではないか――少なくとも今は、ひどく奇妙ではないか」とデファルジュは、妻にそれを認めさせようとするように言った。「彼女の父上と彼女自身に、我々があれほど同情してきたというのに、この瞬間、彼女の夫の名が、おまえの手で、いま出ていったあの地獄の犬の名のそばに、禁制の者として記されるとは?」

「それが来れば、それよりもっと奇妙なことも起こるでしょう」と夫人は答えた。「確かに私は二人ともここに持っています。そして二人とも、それ相応の理由でここにいる。それで十分です。」

そう言うと、彼女は編み物を巻き上げ、ほどなく頭に巻いたハンカチから薔薇を取り出した。サン=タントワーヌは、その不快な飾りがなくなったことを本能的に察したのか、それともそれが消えるのを見張っていたのか。いずれにせよ、ほどなくその聖者は勇気を得てぶらぶら店に入り、ワイン酒場はいつもの姿を取り戻した。

夕方になると、この時間ほどサン=タントワーヌが内側をさらけ出し、戸口の段や窓枠に腰を下ろし、息を吸うために不潔な通りや中庭の角へ出てくる時はほかになかった。デファルジュ夫人は仕事を手に、あちらこちらへ、群れから群れへ移って歩くのを常としていた。宣教師――彼女のような者は大勢いた――この世が二度と生み出さぬほうがよい種類の宣教師である。女たちは皆、編み物をしていた。値打ちのないものを編んでいた。だがその機械的な仕事は、食べ飲みすることの機械的な代用品だった。手が、顎と消化器官の代わりに動いていたのである。もし骨ばった指が止まっていたなら、胃はいっそう飢えに締めつけられていたことだろう。

だが指が動けば、目も動き、思考も動く。そしてデファルジュ夫人が群れから群れへ移るにつれ、彼女が言葉を交わして去っていった女たちの小さな集まりでは、その三つすべてが、より速く、より激しく動き始めた。

夫は戸口で煙草を吸いながら、感嘆の目で彼女を見送った。「大した女だ」と彼は言った。「強い女だ、偉大な女だ、恐ろしいほど偉大な女だ!」

闇が周囲を閉ざし、それから教会の鐘の音と、宮殿の中庭で鳴る軍の太鼓の遠い響きがやって来た。女たちは座って、編み、編み続けていた。闇が彼女たちを包んだ。もう一つの闇もまた、確かに閉ざしつつあった。その時には、いまフランスじゅうの風通しのよい尖塔で心地よく鳴っている教会の鐘が、轟く大砲へと鋳直されるだろう。その時には、軍の太鼓が、今夜は権力と豊饒、自由と生命の声として全能である、哀れな声をかき消すために打ち鳴らされるだろう。編み、編み続けて座る女たちの周りに、あまりに多くのものが閉ざしつつあったため、女たち自身もまた、まだ建てられていない一つの構造物を取り囲みつつあった。そこに座り、編み、編み続け、落ちる首を数えることになる、その場所を。

第十七章 ある夜

ソーホーの静かな一角に、あれほど明るい栄光をもって太陽が沈んだことはなかった。博士と娘がプラタナスの木の下に並んで座っていた、忘れがたいある夕べのことだった。大ロンドンの上に、あれほど柔らかな輝きをもって月が昇ったこともなかった。その夜、月は二人がまだ木の下に座っているのを見つけ、葉の間から二人の顔を照らした。

ルーシーは明日、結婚することになっていた。彼女はこの最後の夕べを父のために取っておき、二人はプラタナスの木の下に二人きりで座っていた。

「お幸せですか、 dear father?」

「まったくだよ、わが子よ。」

長いあいだそこにいたにもかかわらず、二人はほとんど言葉を交わしていなかった。まだ働いたり読んだりできる明るさがあった時も、彼女はいつもの仕事に取りかからず、父に読んで聞かせもしなかった。これまで何度も何度も、木の下で父のそばに座り、その両方をしてきた。だが今回は、ほかのどの時とも少し違っており、何ものもそれを同じにはできなかった。

「そして私も今夜、とても幸せです、お父さま。天がこんなにも祝福してくださった愛――チャールズへの私の愛、そしてチャールズの私への愛――の中で、深く幸せです。でも、もし私の人生がこれからもあなたに捧げられるものでなくなるのなら、あるいは結婚によって私たちが、この通りをいくつか隔てるほどの距離でさえ離されるように決められているのなら、私は今、言葉にできないほど不幸で、自分を責めていたでしょう。今でさえ――」

今でさえ、彼女は声を保てなかった。

悲しげな月明かりの中で、彼女は父の首に腕を回し、顔を父の胸に伏せた。月明かりはいつも悲しい。太陽そのものの光が、その昇る時と沈む時に悲しいように――人間の人生と呼ばれる光が、その始まりと終わりに悲しいように。

「いとしい、いとしいお父さま! 最後にもう一度、私の新しい愛情も、新しい務めも、決して私たちの間に割って入ることはないと、あなたは完全に、完全に確信していると、私に言ってくださいますか? 私はよく分かっています。でもあなたは分かっていらっしゃる? ご自分の心の中で、まったく確かだと感じていらっしゃる?」

父は、ほとんど装うことなどできなかったであろう明るく確信に満ちた堅さで答えた。「まったく確かだよ、かわいい子! それどころか」と彼は優しく彼女に口づけしながら付け加えた。「ルーシー、君の結婚を通して見る私の未来は、それがなかった場合より――いや、これまでそうであったどんな時よりも――ずっと明るいのだよ。」

「もし私がそれを望めるなら、お父さま! ――」

「信じなさい、愛しい子よ! 本当にそうなのだ。そうであることが、どれほど自然で、どれほど明らかなことか、考えてごらん。献身的で若い君には、君の人生が無駄になってはならないと私がどれほど案じてきたか、十分には分からないだろう――」

彼女は父の唇へ手を伸ばしかけたが、父はその手を自分の手に取り、その言葉を繰り返した。

「――無駄に、わが子よ――私のために、物事の自然な流れからそらされて無駄になってはならないのだ。君の無私の心には、私の心がそのことにどれほど向けられてきたか、完全には分からないだろう。だが、自分に問いかけてみるだけでよい。君の幸せが不完全なままで、どうして私の幸せが完全であり得るだろうか?」

「もし私がチャールズに会っていなかったなら、お父さま、私はあなたと一緒で十分幸せでした。」

彼は、チャールズに出会った以上、チャールズなしでは不幸だっただろうという彼女の無意識の告白に微笑み、答えた。

「わが子よ、君は彼に会った。そしてそれはチャールズだった。もしチャールズでなかったとしても、別の誰かだっただろう。あるいは、もしほかの誰でもなかったなら、私がその原因となっていただろう。そしてその時には、私の人生の暗い部分が私自身を越えて影を落とし、君の上にまで及んでいただろう。」

裁判の時を除けば、彼が自分の苦しみの時期に触れるのを彼女が聞いたのは、これが初めてだった。その言葉が耳に届くあいだ、彼女は奇妙で新しい感覚にとらわれた。そしてずっと後になっても、それを忘れなかった。

「見なさい!」ボーヴェの医師は、月へ向かって手を上げて言った。「私は牢獄の窓からあの月を見たことがある。その光に耐えられなかった時に。失ったものの上にも月が輝いていると考えることが、それほどの拷問で、牢獄の壁に頭を打ちつけたこともある。あまりに鈍く、無気力な状態で月を見て、満月に横線を何本引けるか、その線を縦線で何本交差させられるか、その数だけを考えていたこともある。」

彼は月を見ながら、内へ沈み込むような思索的な調子で付け加えた。「どちらも二十本だったと覚えている。二十本目を押し込むのは難しかった。」

彼がその時代へ戻っていくのを聞いて彼女を襲った奇妙な震えは、彼がそこにとどまって語るにつれて深まった。だが、彼の語り方には彼女を震え上がらせるものはなかった。ただ彼は、現在の明るさと幸福を、すでに過ぎ去った恐ろしい忍耐と対比しているように見えただけだった。

「私はあの月を見ながら、私から引き裂かれた、まだ生まれぬ子のことを何千回も思い巡らした。その子は生きているのか。生まれて生きていたのか、それとも哀れな母の衝撃がその命を奪ったのか。息子で、いつか父の仇を討つのか。(投獄中には、復讐への欲望が耐えがたいほど強くなった時期があった。)息子でありながら、父の物語を決して知ることがないのか。ひょっとすると生きて、父が自分の意思と行動で姿を消した可能性を考えるようになるのか。あるいは、娘で、やがて一人の女へと成長するのか。」

彼女は父にいっそう身を寄せ、その頬と手に口づけした。

「私は自分の娘を、私のことを完全に忘れているものとして――むしろ、私をまったく知らず、私に気づきもしないものとして思い描いた。毎年毎年、娘の年齢を数え上げた。私の運命を何も知らない男と結婚する娘を見た。私は生きている者たちの記憶から完全に消え去り、次の世代では私の場所は空白になっていた。」

「お父さま! 存在しなかった娘について、あなたがそんな思いを抱いていたと聞くだけでも、まるで私がその子であったかのように胸に突き刺さります。」

「君がか、ルーシー? 君が私にもたらしてくれた慰めと回復の中から、こうした記憶が立ち上がり、この最後の夜に、私たちと月との間を過ぎていくのだ。――私は今、何と言ったかな?」

「その娘はあなたを何も知らなかった。あなたのことを何とも思っていなかった、と。」

「そうだ! だが別の月夜には、悲しみと静けさが違う仕方で私に触れた時――苦しみを土台にした感情でありながら、悲しげな平安の感覚に似た何かで私を揺り動かした時――私は、その娘が独房の私のところへ来て、要塞の外の自由へ導き出してくれるのを想像した。私はしばしば月明かりの中にその姿を見た。今、君を見るように。ただし、その娘を腕に抱いたことは一度もなかった。その姿は、小さな格子窓と扉の間に立っていた。だが分かるだろう、それは私がいま話している子ではなかった。」

「その姿は違った。でも――その――像、想像は?」

「違う。それは別のものだった。乱れた私の視覚の前に立っていたが、決して動かなかった。私の心が追い求めていた幻は、別の、もっと現実の子だった。その外見について私が知っていたのは、母に似ているということだけだ。もう一つの姿もその似姿を持っていた――君がそうであるように――だが同じものではなかった。私について来られるかい、ルーシー? 難しいだろうと思う。こうした入り組んだ区別を理解するには、孤独な囚人であったことが必要なのだろう。」

彼の落ち着き、冷静な態度をもってしても、彼がこのように昔の状態を解剖しようとするのを聞くと、彼女の血は冷たくならずにはいられなかった。

「そのより穏やかな状態の中で、私は月明かりの中、娘が私のもとへ来て、私を外へ連れ出し、その結婚生活の家が、失われた父への愛に満ちた記憶でいっぱいであることを見せてくれるのを想像した。私の肖像が彼女の部屋にあり、私は彼女の祈りの中にいた。彼女の人生は活動的で、明るく、有用だった。だが私の哀れな物語がそのすべてに染み渡っていた。」

「その子は私でした、お父さま。私は半分もそんなによい娘ではありませんでしたが、愛においては、それは私でした。」

「そして彼女は私に子どもたちを見せてくれた」とボーヴェの医師は言った。「子どもたちは私のことを聞いており、私を憐れむよう教えられていた。国家の牢獄のそばを通る時、彼らはその不機嫌にそびえる壁から遠ざかり、鉄格子を見上げ、声をひそめて話した。彼女は私を決して解放できなかった。そうしたものを見せた後、いつも私を連れ戻すと私は想像していた。だがその時、涙という救いに恵まれ、私は膝をつき、彼女を祝福したのだ。」

「私がその子でありたいです、お父さま。ああ、愛しい、愛しいお父さま、明日、同じように熱く私を祝福してくださいますか?」

「ルーシー、私は今夜、言葉にできぬほど君をいっそう愛し、私の大きな幸福について神に感謝する理由として、こうした昔の苦しみを思い出しているのだ。私の思いが最も荒れていた時でさえ、君とともに知った幸福、そしてこれから私たちの前にある幸福には、とうてい近づかなかった。」

彼は彼女を抱きしめ、厳かに天へ委ね、彼女を自分に授けてくれた天に謙虚に感謝した。やがて二人は家の中へ入った。

結婚式に招かれていたのはジャービス・ロリー氏だけだった。花嫁付き添いでさえ、痩せぎすのミス・プロスだけだった。結婚しても住まいは変わらないことになっていた。かつて正体不明の見えない下宿人のものだった上の部屋を自分たちのものにして、住まいを広げることができたからで、それ以上は何も望んでいなかった。

マネット博士は、ささやかな夕食の席でたいそう朗らかだった。食卓に着いたのは三人だけで、ミス・プロスが三人目だった。彼はチャールズがそこにいないことを残念がり、彼を遠ざけている愛情深い小さな企みに半ば以上異議を唱えたがっており、愛情を込めて彼のために杯を上げた。

やがて、彼がルーシーにおやすみを言う時が来て、二人は別れた。だが、午前三時の静けさの中、ルーシーは再び階下へ降り、父の部屋へ忍び込んだ。前もって、形のない恐れから自由ではなかった。

けれど、すべてのものはあるべき場所にあり、すべては静かだった。父は眠っており、その白髪は乱れのない枕の上で絵のように美しく、両手は掛け布の上に静かに横たわっていた。彼女は不要になったろうそくを離れた影の中に置き、父の寝台へ忍び寄って、その唇に自分の唇を触れた。それから身をかがめ、父を見つめた。

その端正な顔には、囚われの日々の苦い水が跡を刻んでいた。だが彼はそれらの跡をあまりに強い決意で覆い隠していたため、眠っている時でさえそれを支配していた。その夜、眠りという広大な領土のどこを探しても、目に見えぬ襲撃者と静かに、断固として、身構えながら闘うその姿ほど、目を引く顔は見られなかった。

彼女はおずおずと、いとしい父の胸に手を置き、自分の愛がそうありたいと願うほどに、また父の悲しみがそうされるに値するほどに、いつまでも父に誠実でいられますようにと祈りを捧げた。それから手を引き、もう一度父の唇に口づけし、去っていった。こうして日の出が訪れ、プラタナスの葉の影が父の顔の上を動いた。彼女の唇が父のために祈りながら動いたのと同じくらい、柔らかに。

第十八章 九日間

婚礼の日は明るく輝いていた。マネット博士の部屋の閉ざされた扉の外で、一同は支度を整えて待っていた。中では博士がチャールズ・ダーニーと話している。教会へ向かうばかりになっていたのは、美しい花嫁、ロリー氏、そしてミス・プロス――避けがたい運命に少しずつ折り合いをつけてきた末、この出来事は彼女にとってこの上ない幸福となるはずだった。ただし、今なお胸に残る「花婿は兄のソロモンであるべきだった」という思いさえなければ。

「つまりだね」と、花嫁の姿に見とれてやまないロリー氏は言った。彼はルーシーのまわりを歩き、静かで可憐な衣装の隅々まで眺めていた。「つまり、このためだったのだね、可愛いルーシー。あんな赤ん坊だった君を、私が海峡を越えて連れてきたのは! いやはや! 自分が何をしているのか、あの時は少しも分かっていなかった! 友人チャールズ氏に、これほどの恩を施していたとは、軽く考えたものだ!」

「そんなつもりじゃなかったんですもの」と、実際的なミス・プロスが言った。「だったら分かるわけがないでしょう。ばかばかしい!」

「本当かね? まあ、泣かないでおくれ」と、優しいロリー氏が言った。

「泣いてなんかいません」とミス・プロス。「泣いているのはあなたです。」

「私がかね、プロス?」(この頃には、ロリー氏も折に触れて彼女に冗談を言えるほどになっていた。)

「さっき泣いていました。ちゃんと見ましたし、無理もありません。あなたがあの二人に贈った銀食器一式ときたら、誰だって涙が出ます。あの中のフォークもスプーンも、昨夜、箱が届いてから一つ残らず、見えなくなるまで泣きながら眺めました。」

「それは大いに光栄だ」とロリー氏は言った。「もっとも、誓って言うが、あのささやかな記念の品々を誰の目にも見えなくするつもりはなかったのだがね。いやはや! こういう時は、人間、失ったものをいろいろ考えてしまう。いやはや、まったく! この五十年のどこかで、ロリー夫人という人がいてもおかしくなかったとは!」

「まったくありません!」

ミス・プロスの一言だった。

「ロリー夫人など、あり得なかったとお思いかね?」その名を持つ紳士が尋ねた。

「ふん!」ミス・プロスは言い返した。「あなたは揺りかごの中から独身者でした。」

「なるほど!」ロリー氏は小さなかつらを晴れやかに整えながら言った。「それもありそうだ。」

「しかも揺りかごに入れられる前から、独身者用に裁断されていたんです。」

「それなら」とロリー氏は言った。「私はずいぶん不当な扱いを受けたものだ。型紙を選ぶ時くらい、私にも発言権があってしかるべきだった。さて、もうよい! さあ、可愛いルーシー」彼は慰めるように腕を彼女の腰へ回した。「隣の部屋で動く音が聞こえる。ミス・プロスと私は、形式を重んじる商売人二人として、君が聞きたいであろうことを言う最後の機会を逃したくないのだ。君は愛するお父上を残して行くが、君自身に劣らぬ真剣で愛情深い手に託すのだよ。考え得る限りの世話をする。これから二週間、君がウォリックシャーあたりにいる間は、たとえテルソン銀行でさえ(比較の問題だが)博士の前では壁際に退く。そして二週間の終わりに、博士が君と愛する夫に合流して、さらに二週間ウェールズへ旅する時には、君はこう言うだろう。私たちは博士を最高の健康と、もっとも幸福な心持ちで君のもとへ送り出した、と。さて、誰かさんの足音が扉へ近づいてくる。誰かさんが自分のものを受け取りに来る前に、昔気質の独身者の祝福として、可愛い娘に口づけさせておくれ。」

一瞬、彼はその美しい顔を少し離して、額に浮かぶ懐かしい表情を見つめた。それから輝く金髪を自分の小さな茶色のかつらに寄せた。その誠実な優しさと繊細さは、もしそういうものを古風と呼ぶなら、アダムの時代ほどに古いものだった。

博士の部屋の扉が開き、チャールズ・ダーニーとともに博士が出てきた。二人で入っていった時にはそうではなかったのに、博士は死んだように青ざめ、顔には血の気がまったく見えなかった。だが態度の落ち着きは変わらない。ただロリー氏の鋭い目には、かつての避けるような、怯えるような気配が、冷たい風のように博士の上を過ぎたばかりであることが、影のように見て取れた。

博士は娘に腕を貸し、この日のためにロリー氏が雇った馬車へ階段を下りていった。残りの者たちは別の馬車で続き、ほどなく近くの教会で、見知らぬ目に見守られることもなく、チャールズ・ダーニーとルーシー・マネットは幸福に結ばれた。

小さな一行の笑顔の中に光る涙のほかに、花嫁の手には、ひときわ明るくきらめくダイヤモンドが輝いていた。それらはつい今しがた、ロリー氏のポケットの暗い奥から解き放たれたばかりだった。一同は朝食のため家へ戻った。すべては順調に進み、やがて、パリの屋根裏で哀れな靴作りの白髪に寄り添ったあの金髪は、別れの戸口で、朝の光の中、ふたたびその白髪に寄り添った。

短い別れとはいえ、つらい別れだった。だが父は娘を励まし、やがて包み込む腕からそっと身を解くと、言った。「受け取りなさい、チャールズ! この子は君のものだ!」

そして揺れる馬車の窓から、彼女の震える手が一同に振られ、去っていった。

その一角は暇人や物見高い者の目から外れており、準備もごく簡素で少なかったので、博士、ロリー氏、ミス・プロスだけがすっかり残された。涼しい古い玄関ホールの心地よい陰へ入った時、ロリー氏は博士に大きな変化が起きていることに気づいた。まるで、そこで振り上げられた金色の腕が、毒を含んだ一撃を博士に与えたかのようだった。

博士が自然と多くを押し殺していたこと、そして押し殺す必要がなくなった時に多少の反動があってもおかしくないことは分かっていた。だがロリー氏を悩ませたのは、あの昔の、怯え、失われたような目つきだった。二階へ上がると博士はぼんやり頭を抱え、寂しげに自室へさまよい入っていった。その様子にロリー氏は、酒屋のデファルジュと、星明かりの馬車旅を思い出した。

「思うに」と彼は不安げに考えた末、ミス・プロスに囁いた。「今は話しかけないほうがよい。少しも邪魔しないほうがよいだろう。私はテルソン銀行をのぞかねばならない。すぐ行って、ほどなく戻る。それから博士を田舎へ馬車で連れ出し、そこで食事をしよう。そうすればきっと大丈夫だ。」

ロリー氏にとって、テルソン銀行をのぞくのは、テルソン銀行から出るよりたやすかった。二時間も引き留められたのだ。戻ると、召使いには何も尋ねず、一人で古い階段を上った。そして博士の部屋へ入ろうとした時、低い叩く音に足を止めた。

「何ということだ!」彼ははっとして言った。「あれは何だ?」

恐怖に顔をこわばらせたミス・プロスが、耳元にいた。「ああ、ああ! すべておしまいです!」彼女は手を揉み絞って叫んだ。「レディバードに何と言えばいいの? 先生は私が分からず、靴を作っているんです!」

ロリー氏は彼女をなだめるだけなだめ、自ら博士の部屋へ入った。仕事台は、以前その靴作りが作業しているのを見た時と同じように、明かりのほうへ向けられていた。博士は頭を垂れ、非常に忙しそうだった。

「マネット博士。大切な友よ、マネット博士!」

博士は一瞬彼を見た――半ば問いかけるように、半ば話しかけられたことに腹を立てたように――そしてまた仕事へ身をかがめた。

上着とチョッキは脱ぎ捨ててあった。シャツの喉元は、かつてこの仕事をしていた時と同じように開いている。あの古い、やつれて色褪せた顔つきまで戻っていた。博士は懸命に、苛立つように働いていた。まるで邪魔をされたという感覚に駆られているかのようだった。

ロリー氏は博士の手元の仕事に目をやり、それが昔と同じ寸法、同じ形の靴であることに気づいた。そばに置かれた別の靴を取り上げ、それが何か尋ねた。

「若い婦人用の外歩き靴だ」と博士は顔も上げずに呟いた。「とうに仕上げていなければならなかった。放っておいてくれ。」

「だが、マネット博士。私を見てください!」

博士は従った。昔の機械的な従順さで、仕事の手を止めぬまま。

「私が分かりますか、大切な友よ? もう一度考えてください。これはあなたの本来の仕事ではありません。考えてください、友よ!」

それ以上、博士に言葉を発させることはできなかった。求められれば一瞬顔を上げる。だがどんな説得も、一言も引き出せない。博士は黙って働き、働き、働き続けた。言葉は、反響のない壁に当たるように、あるいは空気に落ちるように、彼には届かなかった。ロリー氏が見出せた唯一の希望は、時おり求められなくてもこっそり顔を上げることだった。そこには、かすかな好奇心か困惑の表情があるように見えた――心の中の疑いを何とかつじつま合わせしようとしているかのように。

ロリー氏には、何より重要な二つのことが同時に強く印象づけられた。第一に、これはルーシーに秘密にしなければならない。第二に、博士を知るすべての者に秘密にしなければならない。彼はミス・プロスと協力し、後者のためすぐ手を打った。博士は体調がすぐれず、数日の完全な休養が必要だと告げたのだ。娘に対する善意の欺きを助けるため、ミス・プロスが手紙を書き、博士が仕事で呼び出されたこと、同じ郵便で博士自身の筆跡による急ぎの二、三行の手紙が自分宛てに届いたことにして触れることになった。

いずれにせよ取るべきこれらの措置を、ロリー氏は博士が正気に戻る望みを持って行った。もしそれが早く起きたなら、彼にはもう一つ残しておいた手段があった。博士の症状について、もっともよいと思う意見を求めることだった。

博士の回復と、それによって第三の手段に訴えられるようになる望みを抱き、ロリー氏はできるだけそれと見せず、注意深く博士を見守ることにした。そのため生まれて初めてテルソン銀行を休む手配をし、同じ部屋の窓辺に陣取った。

話しかけるのは無益どころか有害だと、ほどなく分かった。促されると博士はいらだった。一日目でその試みは捨て、ただ常に博士の前に身を置くことにした。博士が陥った、あるいは陥りつつある妄想に対する、無言の抗議として。そこで窓近くの席に座り、読み書きをし、思いつく限り快く自然な方法で、ここは自由な場所なのだと示した。

マネット博士は差し出された食べ物と飲み物を受け取り、その一日目、見えなくなる暗さまで働き続けた――ロリー氏なら命を懸けても読み書きなどできない暗さになってから、さらに半時間も。博士が朝まで役に立たないとして道具を脇へ置くと、ロリー氏は立ち上がって言った。

「外へ出ませんか?」

博士は昔のように左右の床を見下ろし、昔のように見上げ、昔の低い声で繰り返した。

「外?」

「ええ、私と散歩に。なぜいけません?」

博士はなぜいけないのかを言おうともせず、それ以上何も言わなかった。だがロリー氏には、薄闇の中、博士が仕事台に前かがみになり、肘を膝に置き、両手で頭を抱えながら、霧の中で自問しているように見えた。「なぜいけない?」

商売人の鋭さはそこに利を見て取り、それをつかむことにした。

ミス・プロスと彼は夜を二つの見張りに分け、隣室から時おり博士を見守った。博士は横になるまで長いあいだ行ったり来たりしたが、ついに身を横たえると眠り込んだ。朝には早く起き、まっすぐ仕事台へ向かって作業を始めた。

二日目、ロリー氏は博士の名を呼んで陽気に挨拶し、最近二人にとってなじみだった話題を話した。博士は返事をしなかったが、言葉を聞き、混乱してはいても考えていることは明らかだった。これに励まされ、ロリー氏はその日何度か、ミス・プロスに仕事を持って入らせた。その時、二人はルーシーのこと、そこにいる父のことを、いつもどおり、何もおかしくないかのように静かに話した。大げさな身振りは伴わず、博士を悩ませるほど長くも頻繁でもなかった。そして博士が以前より多く顔を上げ、周囲の矛盾を何か感じて揺さぶられているように見えることが、ロリー氏の友情に満ちた心を軽くした。

また暗くなると、ロリー氏は前と同じように尋ねた。

「親愛なる博士、外へ出ませんか?」

前と同じく、博士は繰り返した。「外?」

「ええ、私と散歩に。なぜいけません?」

今度、返事を引き出せないと、ロリー氏は外出するふりをし、一時間留守にして戻った。その間に博士は窓辺の席へ移り、プラタナスを見下ろして座っていた。だがロリー氏が戻ると、そっと仕事台へ戻った。

時はひどく遅く進み、ロリー氏の希望は暗くなり、心はまた重くなり、その重さは日ごとに増した。三日目が来て去り、四日目、五日目。五日、六日、七日、八日、九日。

ますます暗くなる希望と、ますます重くなる心を抱えて、ロリー氏はこの不安な時を過ごした。秘密はよく守られ、ルーシーは何も知らず幸福だった。だが彼は見逃せなかった。初めは少し手元がおぼつかなかった靴作りが、恐ろしいほど巧みになっていること。九日目の夕暮れには、かつてないほど仕事に没頭し、その手はかつてないほど機敏で熟達していたことを。

第十九章 ある見解

不安な見張りに疲れ果て、ロリー氏は持ち場で眠り込んだ。宙ぶらりんの十日目の朝、暗い夜に深い眠りに落ちた部屋へ朝日が差し込んだため、彼ははっと目を覚ました。

目をこすって身を起こしたが、起きたあともなお、自分がまだ眠っているのではないかと疑った。博士の部屋の扉へ行って中をのぞくと、靴作りの仕事台と道具はまた片づけられ、博士自身は窓辺で読書をしていた。いつもの朝の服装で、顔は(ロリー氏にははっきり見えた)まだ非常に青白かったが、静かに学問に没頭し、注意深かった。

目覚めていると確かめた後でさえ、ロリー氏はしばらく目まいのするような不確かさに襲われた。先ごろの靴作りは、自分の乱れた夢ではなかったのか。目の前には、いつもの服装と様子で、いつものように過ごす友人がいるではないか。そして自分の目の届く範囲に、あれほど強い印象を受けた変化が実際に起こったしるしなど、何かあるだろうか。

それは最初の混乱と驚きから生じた問いにすぎず、答えは明白だった。もしその印象が、現実の相応で十分な原因によって生じたのでないなら、ジャービス・ロリーである彼は、なぜそこにいるのか。なぜ服を着たまま、マネット博士の診察室のソファで眠り込み、早朝、博士の寝室の扉の外でそんなことを考えているのか。

数分もしないうちに、ミス・プロスがそばに立って囁いた。もし彼にわずかでも疑いが残っていたなら、彼女の話が必ずそれを解いたはずだった。だがその時には彼の頭は冴えており、疑いはなかった。彼は、いつもの朝食の時間まで時をやり過ごし、その後は何事もなかったかのように博士と会うのがよいと勧めた。もし博士が普段どおりの精神状態に見えるなら、ロリー氏は慎重に、自分が不安の中でどうしても得たいと願っていた意見から、指示と導きを求めるつもりだった。

ミス・プロスが彼の判断に従ったので、この計画は慎重に実行された。いつもの整った身支度をする時間はたっぷりあったため、ロリー氏はいつもの白いリンネルと、いつものきちんとした脚で朝食の時間に姿を現した。博士はいつものように呼ばれ、朝食に来た。

ロリー氏が、唯一安全な進め方だと感じていた繊細で段階的な接近を越えずに理解できる限りでは、博士は初め、自分の娘の結婚式が昨日行われたと思っているようだった。曜日と日付について、意図的にさりげなく触れると、博士は考え、数え始め、明らかに不安になった。しかしその他の点では、あまりにも落ち着いて普段の自分だったため、ロリー氏は求めていた助けを得ようと決めた。その助けとは、博士自身だった。

そこで朝食が終わり、片づけられ、博士と二人きりになると、ロリー氏はしみじみと言った。

「親愛なるマネット、私が深く関わっている、非常に奇妙な症例について、内密にあなたのご意見を伺いたいのです。つまり、私には非常に奇妙なのです。あなたのより優れた知識から見れば、そうでもないかもしれませんが。」

最近の仕事で変色した自分の手をちらりと見て、博士は困った顔になり、注意深く聞いた。彼はすでに何度か、自分の手を見ていた。

「マネット博士」とロリー氏は、親しみを込めて博士の腕に触れた。「その症例は、私にとってとりわけ大切な友人のものです。どうか真剣に考え、彼のために――何よりその娘のために、よく助言してください。その娘のために、親愛なるマネット。」

「もし私の理解が正しければ」と博士は抑えた声で言った。「何らかの精神的衝撃――?」

「そうです!」

「はっきり話してください」と博士。「細部を省かずに。」

ロリー氏は二人が互いを理解していると悟り、続けた。

「親愛なるマネット、それは古く、長く続いた衝撃の症例です。愛情、感情、つまり――あなたの言葉で言えば――精神に対して、非常に鋭く苛酷な衝撃でした。精神です。その苦しむ人はその衝撃の下に打ち倒され、どれほど長くかは言えません。本人が時間を計算できないと思われ、ほかに知る手段もないからです。それは、苦しむ人が、自分でもたどれない過程によって回復した衝撃の症例です――かつて私は、彼が公の場でそれを印象深く語るのを聞いたことがあります。それは、その人が非常に完全に回復し、高い知性を備え、精神を集中して取り組むことができ、肉体的な大きな努力にも耐え、すでに非常に豊かな知識の蓄えに絶えず新たなものを加えられるまでになった衝撃の症例です。ところが不幸にも」彼は言葉を切り、深く息を吸った。「軽い再発がありました。」

博士は低い声で尋ねた。「どれくらい続きましたか?」

「九日九晩です。」

「どのように現れましたか? 推測するに」博士はまた自分の手を見た。「その衝撃に結びついた昔の作業を再開したのでは?」

「そのとおりです。」

「では、その人がもともとその作業に従事しているのを見たことがありますか」と博士は、同じ低い声ながらも、はっきり落ち着いて尋ねた。

「一度だけ。」

「再発した時、その人はほとんどの点で――あるいはすべての点で――その時と同じでしたか?」

「すべての点でそうだったと思います。」

「娘の話をされましたね。娘はその再発を知っていますか?」

「いいえ。彼女には隠してありますし、いつまでも隠しておけることを願っています。知っているのは私と、信頼できるもう一人だけです。」

博士は彼の手を握り、呟いた。「それはとても親切でした。とても思いやり深いことでした!」

ロリー氏もその手を握り返し、二人はしばらく何も言わなかった。

「さて、親愛なるマネット」と、やがてロリー氏は、できる限り思いやり深く愛情を込めて言った。「私はただの商売人で、このように入り組んだ難しい問題に対処するには不向きです。必要な種類の知識もなく、必要な種類の知性もありません。導きが必要なのです。この世で、正しい導きをこれほど頼りにできる人は、あなたのほかにいません。教えてください。この再発はどうして起きるのですか。再び起きる危険はありますか。繰り返しを防げますか。再び起きた時はどう扱うべきですか。そもそもどうして起きるのですか。私は友人のために何ができますか。どうすればよいのかさえ分かれば、友人の役に立ちたいという気持ちにおいて、私ほど切実な者はいないでしょう。

「しかし、このような場合、どこから始めればよいのか分からないのです。あなたの洞察、知識、経験が、私を正しい道へ導いてくれれば、多くのことができるかもしれません。だが明かりも指示もなければ、できることはほとんどありません。どうか一緒に考えてください。少しでもはっきり見えるようにして、少しでも役に立つ方法を教えてください。」

この真摯な言葉が語られた後、マネット博士は考え込んだ。ロリー氏は急かさなかった。

「おそらく」と博士は、努力して沈黙を破った。「あなたが話した再発は、親愛なる友よ、本人にとってまったく予期しないものではなかったと思います。」

「本人は恐れていたのですか?」

ロリー氏は思い切って尋ねた。

「非常に。」

博士は思わず身震いしてそう言った。

「そのような不安が苦しむ者の心にどれほど重くのしかかるか、そしてその重圧について一言でも自分に言わせることが、どれほど難しいか――ほとんど不可能に近いか、あなたには想像もつかないでしょう。」

「もしその人が、自分に重くのしかかる秘密の思いを誰かに打ち明けることができれば」とロリー氏は尋ねた。「かなり楽になるのでしょうか?」

「そう思います。ですが、申し上げたように、それはほとんど不可能です。場合によっては、まったく不可能だとさえ思います。」

「では」と、しばし双方が沈黙した後、ロリー氏はまたそっと博士の腕に手を置いた。「この発作の原因を、何に求めますか?」

「私は」とマネット博士は答えた。「その病の最初の原因となった思考と記憶の流れが、強く異常な形でよみがえったのだと思います。非常に苦痛な性質の強烈な連想が、生々しく呼び戻されたのでしょう。おそらく、その連想が呼び戻されるのではないかという恐怖が、長く心の中に潜んでいた――たとえば、ある状況のもとで、ある特別な時に。本人は備えようとしたが無駄だった。おそらく備えようとする努力そのものが、耐える力を弱めたのです。」

「再発の間に起きたことを、本人は覚えているでしょうか?」ロリー氏は自然なためらいをもって尋ねた。

博士は荒涼とした目で部屋を見回し、首を振り、低い声で答えた。「まったく。」

「では、今後については」とロリー氏がほのめかした。

「今後については」と博士はしっかりした調子を取り戻して言った。「大きな希望を持てると思います。天が慈悲によってこれほど早く彼を戻してくださったのですから、大きな希望を持てます。長く恐れ、長くぼんやり予見し、それに抗ってきた複雑な何かの圧力に屈し、雲が破れて過ぎ去った後に回復したのなら、最悪は越えたのだと望みます。」

「よし、よし! それは心強い。ありがたい!」ロリー氏は言った。

「ありがたいことです!」博士は敬虔に頭を垂れて繰り返した。

「もう二つ」とロリー氏は言った。「教えていただきたい点があります。続けても?」

「あなたの友人に、これ以上よい尽くし方はありません。」

博士は彼に手を差し出した。

「では第一に。その人は学究的な習慣を持ち、並外れて精力的です。専門知識の習得、実験の遂行、その他多くのことに非常な熱意を注ぎます。さて、それはやりすぎでしょうか?」

「そうは思いません。常に何かに従事していることを、特別に必要とする心の性質なのかもしれません。それは一部は生来のもの、一部は苦しみの結果でしょう。健全な事柄に心が向かわなければ向かないほど、不健全な方向へ向かう危険が増します。本人は自分を観察し、それに気づいたのかもしれません。」

「過度の負担にはなっていないと確信されますか?」

「かなり確信しています。」

「親愛なるマネット、もし今、その人が働きすぎているなら――」

「親愛なるロリー、それは容易には起きないと思います。一つの方向へ激しい圧力がかかっていた。だから釣り合いを取る重りが必要なのです。」

「しつこい商売人として、お許しください。仮にその人が働きすぎだったとしましょう。それはこの障害の再発として現れるのでしょうか?」

「そうは思いません。私は」とマネット博士は、自らの確信に支えられた堅さで言った。「その一連の連想以外に、これを再発させるものはないと思います。今後、あの弦を異常にかき乱す何か以外は、再発させないでしょう。起きたこと、そして回復したことを踏まえると、その弦が再びあれほど激しく鳴ることは想像しにくい。私は、再発させそうな事情は尽きたと信じたいし、ほとんど信じています。」

博士は、心という繊細な組織がどれほど些細なことで覆されるかを知る者の慎みをもって、同時に、自らの忍耐と苦悩からゆっくり勝ち取った確信をもって語った。友人として、その確信を弱めるわけにはいかなかった。ロリー氏は本当以上に安堵し励まされたふりをして、第二の、最後の点へ近づいた。それが何より難しいことだと感じていた。だが、昔の日曜の朝にミス・プロスと交わした会話、そしてこの九日間に見たことを思えば、向き合わねばならないと分かっていた。

「この一過性の苦しみの影響の下で再開され、幸いにも回復したその作業を」とロリー氏は咳払いして言った。「ここでは――鍛冶仕事、鍛冶仕事と呼びましょう。仮に、説明のため、その人が悪い時期に小さな鍛冶場で働いていたとします。そして思いがけず、またその鍛冶場で見つかったとします。彼がそれをそばに置いておくのは、惜しむべきことではありませんか?」

博士は手で額を覆い、神経質に足で床を叩いた。

「彼はいつもそれをそばに置いていました」とロリー氏は、友人を不安げに見ながら言った。「さて、それを手放したほうがよいのではありませんか?」

それでも博士は額を覆い、神経質に足で床を叩いた。

「助言しにくいのですね?」ロリー氏は言った。「微妙な問題だということは、よく分かります。それでも私は――」そこで彼は首を振り、言葉を止めた。

「お分かりでしょう」とマネット博士は、不安な沈黙の後、彼のほうへ向き直って言った。「この哀れな男の心の奥底の働きを、矛盾なく説明するのは非常に難しいのです。彼はかつて、その作業を恐ろしいほど渇望していた。そしてそれが与えられた時には、どれほどありがたかったことか。指先の困惑を脳の困惑に置き換え、熟練するにつれて、手の巧みさを精神的拷問の巧みさに置き換えることで、苦痛が大いに和らいだのは間違いありません。だから彼は、それを完全に手の届かないところへやる考えに、どうしても耐えられなかったのです。今でさえ、彼はこれまでになく自分に希望を持ち、自分について一種の自信をもって語るようになったと思いますが、あの昔の仕事を必要とするかもしれない、その時に見つからないかもしれないという考えは、迷子の子供の胸を打つと想像されるような、突然の恐怖を彼に与えるのです。」

そう言って博士がロリー氏の顔へ目を上げた時、その姿はまさに自分のたとえのようだった。

「しかし――よろしいですか! 私はギニー金貨、シリング、銀行券といった物質的な対象だけを扱う鈍重な商売人として、知るために尋ねています――その物を保持することは、その考えを保持することにつながりませんか? それがなくなれば、親愛なるマネット、恐怖も一緒に去るのではありませんか? 要するに、鍛冶場を残しておくことは、不安への譲歩ではないでしょうか?」

また沈黙があった。

「それに」と博士は震える声で言った。「それはとても古い伴侶なのです。」

「私なら残しません」とロリー氏は首を振って言った。博士の動揺を見るにつれ、彼の決意は強くなった。「彼にはそれを犠牲にするよう勧めます。あなたの権威だけが欲しいのです。良いことは何もありません。さあ! どうか、優しい立派な人として、あなたの権威をください。彼の娘のために、親愛なるマネット!」

博士の内でどれほどの葛藤があったことか、見るも不思議だった。

「では、彼女の名において、それを行ってください。私は認めます。だが、彼がいる間に持ち去ってはいけません。不在の時に取り除くのです。戻ってきてから、古い伴侶がなくなったことに気づかせなさい。」

ロリー氏はすぐにそれを引き受け、協議は終わった。二人はその日を田舎で過ごし、博士はすっかり回復していた。続く三日間も完全に健康で、十四日目にルーシーとその夫に合流するため出発した。沈黙の理由を説明するために取られていた予防策は、ロリー氏が前もって博士に説明してあり、博士はそれに従ってルーシーに手紙を書いたので、彼女は何も疑わなかった。

博士が家を出たその夜、ロリー氏は鉈、のこぎり、のみ、金槌を持って博士の部屋へ入り、ミス・プロスが明かりを持って付き添った。そこで扉を閉め、謎めいた後ろめたい様子で、ロリー氏は靴作りの仕事台をばらばらに叩き割った。ミス・プロスは、まるで殺人の手伝いをしているかのように蝋燭を掲げていた――実際、その厳めしさにおいて、彼女はそれにふさわしくない姿でもなかった。遺体(あらかじめ目的に適する大きさに切り刻まれていた)は、すぐ台所の火で焼かれ始めた。道具、靴、革は庭に埋められた。破壊と秘密は、正直な心にはこれほど邪悪に映るものなので、ロリー氏とミス・プロスは、その行為を実行し、その痕跡を消している間、恐ろしい犯罪の共犯者のように、ほとんど感じ、ほとんど見えた。

原画

第二十章 嘆願

新婚の二人が家に戻ると、最初に祝いを述べに現れたのはシドニー・カートンだった。二人が帰宅して数時間もしないうちに彼は姿を見せた。習慣も、外見も、態度もよくなってはいなかった。だが彼には、チャールズ・ダーニーが初めて目にする、粗野ながらも忠実な気配があった。

彼は機会をうかがい、誰にも聞かれぬ時に、ダーニーを窓辺へ引き寄せて話した。

「ダーニー氏」とカートンは言った。「友人になれればと思う。」

「私たちはもう友人だと思っています。」

「そう言ってくださるのはご親切だ。言葉の綾としてね。だが、私が言っているのは言葉の綾ではない。実のところ、友人になれればと言う時でさえ、厳密にはそれとも少し違う。」

チャールズ・ダーニーは、当然ながら、上機嫌で親しみを込めて、それではどういう意味かと尋ねた。

「まったく」とカートンは微笑んだ。「自分の心では理解しやすいのに、あなたに伝えるのは難しい。だがやってみよう。私がいつもより――いつもよりもひどく酔っていた、あの有名な一件を覚えているか?」

「あなたが酒を飲んでいたと私に認めさせた、あの有名な一件なら覚えています。」

「私も覚えている。ああいう時の呪いは重い。私はいつも覚えているからだ。いつか、私にとってすべての日が終わる時、そのことが斟酌されればよいと思う! 心配しないでくれ。説教するつもりはない。」

「少しも心配していません。あなたの真剣さは、私には少しも恐ろしくありません。」

「ああ!」カートンは、その言葉を払いのけるように無造作に手を振った。「問題の酔った時(あなたも知るとおり数多くあるうちの一つだが)、私はあなたを好きだの嫌いだのと、耐えがたいことを言った。忘れてほしい。」

「とっくに忘れました。」

「また言葉の綾だ! だがダーニー氏、忘却は、あなたが言うほど私には容易ではない。私は決して忘れていないし、軽い返事では忘れる助けにもならない。」

「軽い返事だったなら」とダーニーは返した。「お詫びします。私としては、驚いたことにあなたをひどく悩ませているらしい些細なことを、脇へどけたかっただけです。紳士の信義にかけて断言しますが、私はとうにそれを心から追い払っています。まったく、追い払うほどの何があったでしょう! あの日あなたが私にしてくれた大きな助けを思えば、もっと大切に覚えるべきことがあったではありませんか。」

「その大きな助けについては」とカートンは言った。「そう言われるなら白状せねばならないが、あれは単なる職業上のこけおどしだった。助けた時、あなたがどうなろうと気にしていたか分からない――いいか、助けた時の話だ。過去のことを言っている。」

「あなたは恩を軽く扱っています」とダーニーは返した。「だが私は、あなたの軽い返事と争うつもりはありません。」

「本当の真実だ、ダーニー氏、信じてくれ! 話が逸れた。友人になることについて話していたのだ。さて、あなたは私を知っている。私が人間の高く良い飛翔など到底できない男だと知っている。疑うならストライヴァーに聞けばいい。そう言うだろう。」

「彼の助けを借りず、自分の判断で決めたいと思います。」

「よし! いずれにせよ、あなたは私を、これまで何の役にも立たず、これからも立たない、だらしない犬だと知っている。」

「『これからも立たない』とは思いません。」

「私は思っている。そこは私の言葉を信じてもらう。さて! もしあなたが、こんな価値のない、評判もよくない男が、妙な時に出入りするのを耐えられるなら、私はこの家に特権者として出入りすることを許してほしいと願う。昔の働きに免じて許され、誰にも気にされない、役に立たぬ(あなたと私の似姿に気づいていなければ、飾りにもならぬと付け加えたい)家具の一つと見なしてほしいのだ。その許しを濫用するかは疑わしい。年に四度も使うかどうか、百に一つだろう。持っていると知っているだけで、たぶん満足できる。」

「試してみますか?」

「それは、私が今示した立場に置かれたという別の言い方だ。ありがとう、ダーニー。あなたの名をそう気安く呼んでもよいだろうか?」

「もうよいと思いますよ、カートン。」

二人はそのことで握手し、シドニーは離れた。一分後には、外見上、彼はいつもどおりつかみどころのない男に戻っていた。

彼が去った後、ミス・プロス、博士、ロリー氏と過ごしたその晩、チャールズ・ダーニーはこの会話のことを大まかに話し、シドニー・カートンを無頓着さと無謀さの問題人物として語った。要するに、苦々しくも、きつく責めるつもりでもなく、彼が自ら見せる姿を見た者なら誰でもそうするように語ったのだった。

そのことが若く美しい妻の心に残るとは、彼は思いもしなかった。だが後で自分たちの部屋へ行くと、彼女が待っており、額をそっと上げる昔からの可憐なしぐさがくっきり表れていた。

「今夜は考え込んでいるね!」ダーニーは腕を彼女に回して言った。

「ええ、いとしいチャールズ」と、彼女は両手を彼の胸に置き、問いかけるような注意深い表情を彼に据えた。「今夜は少し考え込んでいるの。今夜、心にかかることがあるの。」

「何だい、私のルーシー?」

「もし私が聞かないでとお願いしたら、一つだけ問い詰めないと約束してくれる?」

「約束するかって? 愛する人のために、約束できないことがあるものか。」

実際、彼の片手は頬から金髪を払っており、もう一方の手は彼のために打つ胸に当てられていたのだから。

「チャールズ、かわいそうなカートン氏は、今夜あなたが示したよりも、もっと思いやりと敬意に値すると思うの。」

「本当に、君? なぜだい?」

「それは聞かない約束でしょう。でも私は思うの――いえ、知っているの――彼はそうなの。」

「君が知っているなら、それで十分だ。私に何をしてほしい、わが命?」

「お願い、いとしい人。いつも彼にとても寛大でいて。彼がいない時には、その欠点にとても寛容でいて。彼には、めったに、ほんとうにめったに見せない心があると信じて。そこには深い傷があるの。ねえ、私はそれが血を流すのを見たの。」

「彼に何か悪いことをしたのなら、私にはつらい思いだ」とチャールズ・ダーニーはすっかり驚いて言った。「彼について、そんなふうに考えたことはありませんでした。」

「あなた、本当なの。彼が立ち直れるとは思えない。今となっては、性格でも境遇でも、修復できる望みはほとんどないわ。でも私は確信しているの。彼には善いこと、優しいこと、そして気高いことさえできる力がある。」

失われた男を信じるその清らかさの中で、彼女はあまりにも美しく、夫はその姿を何時間でも見つめていられただろう。

「それに、ああ、いとしい愛する人!」彼女はいっそう彼に寄り添い、彼の胸に頭を置き、目を上げて訴えた。「私たちは幸福の中でどれほど強く、彼は不幸の中でどれほど弱いか、忘れないで!」

その嘆願は彼の胸を深く打った。「必ず覚えているよ、愛しい人! 生きている限り忘れない。」

彼は金色の頭に身をかがめ、薔薇色の唇を自分の唇に寄せ、彼女を腕に抱いた。その時、暗い街路を歩いていた一人の孤独な放浪者が、彼女の無垢な打ち明け話を聞き、夫を愛する柔らかな青い瞳から哀れみの涙が夫の口づけで拭われるのを見ることができたなら、夜に向かって叫んだかもしれない――そしてその言葉は、初めて彼の唇を離れるものではなかっただろう――

「神よ、あの人の甘い憐れみに祝福を!」

第二十一章 響く足音

博士の住むあの一角は、反響に不思議なほど適した場所だと、以前にも述べられている。夫と父と自分、そして昔の監督者であり伴侶である女性を、静かな至福の生活に結びつける金色の糸を絶えず忙しく巻きながら、ルーシーは、静かに響くその一角の静かな家に座り、年月の足音の反響に耳を澄ませていた。

初めのうち、彼女は完全に幸福な若妻でありながら、時おり手仕事がゆっくり手から落ち、目が曇ることがあった。反響の中に、何かが近づいていた。軽く、遠く、まだほとんど聞こえない何かが、彼女の心を強く揺さぶったのだ。揺れる希望と不安――まだ知らぬ愛への希望、その新しい喜びを味わうために自分がこの世に残れるのかという不安――が胸を分けた。その時、反響の中には、彼女自身の早すぎる墓に近づく足音が立ち上がった。残されてどれほど寂しく、どれほど自分を嘆くだろう夫への思いが目にあふれ、波のように砕けた。

その時は過ぎ、小さなルーシーが彼女の胸に横たわった。すると近づく反響の中に、小さな足の踏み音と、おしゃべりな言葉の響きがあった。より大きな反響がどれほど響こうとも、揺りかごのそばの若い母は、いつでもその音を聞き分けられた。それらはやって来て、陰深い家は子供の笑いで陽だまりとなった。苦しみの中で彼女が自分の子を託した、子供たちの聖なる友は、昔その子を抱いたように彼女の子を腕に抱き、それを彼女にとって神聖な喜びにしてくださるように思われた。

皆を結ぶ金色の糸を絶えず忙しく巻き、幸福な影響という奉仕を彼らの人生の織物の中に織り込みながら、しかもどこにもそれを目立たせることなく、ルーシーは年月の反響の中に、親しく慰める音ばかりを聞いた。夫の足取りはその中で力強く栄えていた。父の足取りは確かで安定していた。見よ、ミス・プロスが紐の馬具をまとい、庭のプラタナスの下で、鞭で矯正された手に負えぬ軍馬のごとく鼻を鳴らし、地を掻いて、反響を呼び覚ましている! 

そのほかに悲しみの音が混じる時でさえ、それは厳しくも残酷でもなかった。彼女自身と同じ金髪が、小さな男の子のやつれた顔のまわりに後光のように枕の上へ広がり、その子が輝く微笑みで「大好きなパパ、ママ、二人と、かわいい妹とお別れするのはとても悲しい。でも呼ばれているから、行かなくちゃ!」と言った時でさえ、託されていた魂が母の抱擁から離れる時に、若い母の頬を濡らした涙は、すべてが苦悶の涙ではなかった。彼らを許し、妨げてはならない。彼らはわが父の御顔を見る。ああ、父よ、祝福された言葉! 

こうして天使の翼のそよぎがほかの反響と溶け合い、それらはもはやまったく地上のものだけではなく、天の息吹を含んでいた。小さな庭の墓を吹き渡る風のため息もそこに混じり、二つは、砂浜に眠る夏の海の呼吸のような静かなさざめきとなってルーシーの耳に聞こえた。その間、小さなルーシーは、朝の課題に滑稽なほど真剣に取り組んだり、母の足台のところで人形に服を着せたりしながら、自分の人生に溶け合った二つの都市の言葉でおしゃべりしていた。

反響がシドニー・カートンの実際の足音に応じることは、めったになかった。多くても年に半ダースほど、彼は招かれずに入る特権を使い、かつてよくそうしたように、一同の中で晩を過ごした。彼が酒で熱した状態でそこへ来ることはなかった。そして彼についてもう一つ、反響の中で囁かれることがあった。それは幾世にもわたり、すべての真の反響によって囁かれてきたことだった。

ある男が真に一人の女を愛し、その女を失い、その女が妻となり母となった時にも、非のない、しかし変わらぬ心でその女を知っているなら、その女の子供たちは彼に不思議な共感を抱く――本能的で繊細な憐れみを寄せる。そういう場合にどんな細やかな隠れた感受性が触れられるのか、反響は語らない。だがそうなのだし、ここでもそうだった。小さなルーシーがふっくらした腕を最初に差し出した他人はカートンで、成長しても彼はその子の中で自分の場所を保った。小さな男の子は、ほとんど最期に彼のことを口にした。「かわいそうなカートン! ぼくの代わりにキスしてあげて!」

ストライヴァー氏は、濁った水を突き進む巨大な機械のように法律界を肩で押し分け、有用な友人を、船尾に曳かれる小舟のように後ろへ引きずった。そのように恩恵を受ける小舟がたいてい荒れた状態で、ほとんど水をかぶっているように、シドニーの人生も水浸しだった。だが、安易で強い習慣――不幸にも、功績や恥の刺激的な感覚より彼の中でずっと安易で強かったもの――が、それを彼の送るべき人生にした。そして彼は、本物のジャッカルがライオンになろうと思うはずがないのと同じく、ライオンのジャッカルという身分から抜け出そうとは考えなかった。ストライヴァーは富み、財産と三人の男の子を持つ血色のよい未亡人と結婚していた。その子たちには、団子のような頭のまっすぐな髪のほか、特に輝くものはなかった。

その三人の若紳士を、ストライヴァー氏は毛穴という毛穴から最高に不快な恩着せがましさをにじませながら、三匹の羊のように自分の前を歩かせ、ソーホーの静かな一角へ連れてきた。そしてルーシーの夫に弟子として差し出した。気の利いた言い方で、「おい、ダーニー、君の結婚生活のピクニックにパンとチーズの塊が三つ来たぞ!」と言わんばかりに。

その三つのパンとチーズの塊を丁重に断られたことで、ストライヴァー氏は憤慨でぱんぱんに膨れ上がった。のちに彼はそれを若紳士たちの教育に役立て、あの家庭教師風情のような乞食の誇りには気をつけろと教えた。また彼は、こくのあるワインを飲みながら、かつてダーニー夫人が自分を「捕まえる」ために用いた策略と、奥様、自分の中にあった、ダイヤにはダイヤをもってする策略によって「捕まらずに」すんだことを、ストライヴァー夫人に向かって滔々と述べるのを常としていた。

時おりそのこくのあるワインと嘘の席に加わるキングス・ベンチの知人たちは、彼がその嘘をあまりに何度も語ったため自分で信じるようになったのだとして、嘘のほうを弁護した。だがそれは、本来悪い罪をどうしようもなく悪化させるもので、そのような罪人はどこかふさわしく人目につかぬ場所へ運び去られ、邪魔にならぬよう吊るされても当然であろう。

ルーシーは、小さな娘が六歳になるまで、時に物思いに沈み、時に楽しげに笑いながら、反響する一角でこうした反響に耳を傾けていた。子供の足音の反響がどれほど彼女の心に近かったか、いつも活動的で自制している愛する父の足音が、そして愛する夫の足音がどれほど近かったかは、語るまでもない。また、彼女自身の賢く優雅な倹約によって整えられた一家の、いちばんかすかな反響さえ、どんな浪費より豊かで、彼女にとって音楽だったことも。父が、結婚してからの彼女は(もしそんなことがあり得るなら)独身の時より自分に尽くしてくれると何度も語った声の甘い反響、夫が、どんな心配や務めも彼女の自分への愛や助けを分けるようには見えないと言い、「ねえ、君の魔法の秘密は何だい。私たち全員に対して、まるで相手が一人しかいないかのようにすべてでありながら、決して急いでいるようにも、やることが多すぎるようにも見えないのは?」と何度も尋ねた声の反響が、彼女の周りにあったことも。

だがその年月のあいだじゅう、その一角には遠くから来る別の反響があり、不吉に轟いていた。そして今、小さなルーシーの六歳の誕生日の頃、それは恐ろしい響きを帯び始めた。フランスで大嵐が起こり、恐るべき海が高まるような音だった。

一七八九年七月半ばのある夜、ロリー氏はテルソン銀行から遅く帰り、暗い窓辺でルーシーとその夫のそばに腰を下ろした。暑く荒れた夜で、三人は皆、同じ場所から稲妻を眺めた昔の日曜の夜を思い出した。

「私は思い始めていたよ」とロリー氏は茶色のかつらを後ろへ押しやりながら言った。「今夜はテルソン銀行で泊まることになるのではないかと。一日中あまりに忙しく、何から手をつけ、どちらへ向けばよいのか分からなかった。パリがあまりに不穏なので、なんと信用が殺到しているのだ! 向こうの顧客たちは、財産を早く預けたくてたまらないらしい。中にはそれをイングランドへ送ることに、まさしく熱狂している者までいる。」

「それはよくない兆しですね」とダーニーが言った――

「よくない兆しだと言うかね、親愛なるダーニー? そうだ、だがそこにどんな理由があるのかは分からん。人々は実に理不尽だ! テルソン銀行の者の中には年寄りもいて、正当な理由なしに通常の手順を乱されるのは、まったく困るのだよ。」

「それでも」とダーニーは言った。「空がどれほど暗く、険悪かはご存じでしょう。」

「もちろん知っている」とロリー氏は同意した。自分は穏やかな性分が酸っぱくなって、ぶつぶつ言っているのだと自らを納得させようとしていた。「だが私は、一日中の面倒事の後だから不機嫌でいると決めている。マネットはどこかね?」

「ここにいるよ」と博士が、その時、暗い部屋へ入ってきて言った。

「家にいてくれて本当にうれしい。一日中、あの慌ただしさと予感に囲まれていたものだから、理由もなく神経が高ぶってしまった。外出はしないだろうね?」

「しないよ。君がよければ、バックギャモンをしよう」と博士は言った。

「本音を言わせてもらえるなら、あまりしたくないね。今夜は君の相手になれる状態ではない。お茶の盆はまだあるかね、ルーシー? 見えないのだ。」

「もちろん、あなたのために取ってあります。」

「ありがとう、可愛い人。大切な子は無事に寝ているかね?」

「ぐっすり眠っています。」

「それでよい。みな無事で何よりだ! ここで何かが無事でなくなる理由など、ありがたいことに分からない。だが一日中気が乱れて、私も昔ほど若くない! お茶を、可愛い人! ありがとう。さあ、輪の中の自分の席に来て座り、静かにして、君が考えを持っているという反響を聞こうではないか。」

「考えではなくて、空想です。」

「では空想だ、賢い可愛い子よ」とロリー氏は彼女の手を軽く叩いて言った。「だが、ずいぶん多く、ずいぶん大きいではないか。聞いてごらん!」

誰の人生にも押し入ろうとする、真っ逆さまで狂おしく危険な足音。一度赤く染まれば容易には清められぬ足音。小さな輪が暗いロンドンの窓辺に座る遠くで、サン=タントワーヌに荒れ狂う足音。

その朝、サン=タントワーヌは、巨大で薄暗いかかしの群れとなって、うねるように揺れ動いていた。波打つ頭上にはしばしば光がひらめき、鋼の刃や銃剣が日に輝いた。サン=タントワーヌの喉からすさまじい轟きが湧き上がり、裸の腕の森が、冬風の中のしなびた枝のように空でもがいた。どの指も、下の深みから投げ上げられるあらゆる武器、あるいは武器に見えるものを、どれほど遠くのものでも痙攣するようにつかもうとしていた。

誰がそれを配っているのか、最後にどこから来たのか、どこで始まったのか、どんな手によって曲がりくねり、震え、何十本ずつ群衆の頭上を稲妻のように跳ねていくのか、群れの中のどんな目にも分からなかった。だがマスケット銃が配られていた。弾薬筒、火薬、弾丸、鉄棒や木材、短刀、斧、槍、狂気じみた工夫が見つけ出し、考え出せるあらゆる武器も配られていた。ほかに何もつかめない者は、血まみれの手で壁から石や煉瓦をこじり出そうとした。サン=タントワーヌのあらゆる脈と心臓は高熱の緊張と熱にあった。そこに生きる者は皆、命を何とも思わず、それを捧げる激情的な覚悟に取り憑かれていた。

煮え立つ水の渦に中心があるように、このすべての狂乱はデファルジュの酒屋を中心に回っていた。大釜の中の人間の一滴一滴は、すでに火薬と汗で汚れたデファルジュ自身が命令を出し、武器を渡し、この男を押し戻し、あの男を引き寄せ、一人から武器を奪って別の一人に持たせ、騒乱の真っただ中で働き、奮闘する渦へ吸い込まれようとしていた。

「そばにいろ、ジャック三号!」デファルジュは叫んだ。「お前たち、ジャック一号と二号は分かれ、できるだけ多くの愛国者の先頭に立て。妻はどこだ?」

「ええ、よくて! ここにいますよ!」夫人はいつもどおり落ち着いて言ったが、今日は編み物をしていなかった。デファルジュ夫人の断固たる右手には、いつもの柔らかな道具の代わりに斧が握られ、帯には拳銃と残酷な短刀が差してあった。

「どこへ行く、妻よ?」

「今は」と夫人は言った。「あなたと一緒に行きます。そのうち女たちの先頭に立つ私を見るでしょう。」

「では来い!」デファルジュは響き渡る声で叫んだ。「愛国者たち、友よ、準備はできた! バスティーユへ!」

フランス中の息が憎むべきその言葉の形を取ったかのような咆哮とともに、生きた海は波また波、深みまた深みとなって盛り上がり、街をその地点へあふれさせた。警鐘が鳴り、太鼓が打たれ、海は新たな岸辺で荒れ狂い轟き、攻撃が始まった。

深い壕、二重の跳ね橋、巨大な石壁、八つの大塔、大砲、マスケット銃、火と煙。火の中を、煙の中を――火のただ中で、煙のただ中で。海が彼を大砲へ押し上げ、その瞬間、彼は砲手となったからだ――酒屋のデファルジュは勇敢な兵士のように働いた。激しい二時間。

深い壕、一つの跳ね橋、巨大な石壁、八つの大塔、大砲、マスケット銃、火と煙。跳ね橋が一つ落ちた! 「働け、同志たち、働け! 働け、ジャック一号、ジャック二号、ジャック千号、ジャック二千号、ジャック二万五千号。すべての天使、あるいは悪魔――好きなほうの名にかけて――働け!」

そう叫ぶ酒屋のデファルジュは、長く熱くなった大砲からなお離れなかった。

「女たち、私のもとへ!」妻である夫人が叫んだ。「何をしているの! あそこを取ったら、私たちだって男同様に殺せるのよ!」

すると彼女のもとへ、鋭く渇いた叫びを上げ、さまざまな武器を持つ女たちが群がった。だが皆、飢えと復讐で同じように武装していた。

大砲、マスケット銃、火と煙。それでもまだ深い壕、一つの跳ね橋、巨大な石壁、八つの大塔。倒れる負傷者によって、荒れ狂う海にわずかなずれが生じる。きらめく武器、燃え上がる松明、濡れ藁を積んだ煙る荷車、四方の近くのバリケードでの激しい作業、悲鳴、一斉射撃、呪詛、惜しみない勇敢さ、轟音、破砕音、がらがらいう音、生きた海の猛烈な響き。それでもまだ深い壕、一つの跳ね橋、巨大な石壁、八つの大塔。そしてなお酒屋のデファルジュは、四時間の激闘によって二倍に熱くなった大砲のもとにいた。

要塞の内側から白旗が掲げられ、交渉が始まった――荒れ狂う嵐の向こうにぼんやり見えるだけで、何も聞こえない――突然、海は計り知れないほど広く高く盛り上がり、酒屋のデファルジュを、下ろされた跳ね橋の上へ、巨大な外側の石壁を越えて、降伏した八つの大塔の中へ押し流した! 

彼を運ぶ大海の力はあまりにも抗しがたく、南海の波打ち際でもがいているかのように、息をつくことも頭を向けることも不可能だった。ようやくバスティーユの外庭に押し上げられるまで。そこで壁の角にもたれ、彼はあたりを見ようともがいた。ジャック三号はほとんど隣にいた。デファルジュ夫人は、なお女たちの一部を率いて、奥のほうに見え、手には短刀があった。どこもかしこも騒乱、歓喜、耳をつんざく狂気じみた混乱、驚くべき騒音、しかも激しい無言劇だった。

「囚人だ!」

「記録だ!」

「秘密の独房だ!」

「拷問具だ!」

「囚人だ!」

これらの叫びと、無数の支離滅裂の中で、「囚人だ!」という叫びが、時間と空間だけでなく人間までも永遠にあるかのように流れ込む海に、もっとも強く取り上げられた。先頭の波が、牢獄の役人たちを巻き込みながら押し寄せ、隠し場所を一つでも明かさなければ即座に殺すと全員を脅して通り過ぎた時、デファルジュはその一人――灰色の髪で、火のついた松明を手にした男――の胸に力強い手を置き、他の者から引き離して、自分と壁との間に挟んだ。

「北塔を見せろ!」デファルジュは言った。「早く!」

「必ずお見せします」と男は答えた。「一緒に来てくださるなら。ですが、そこには誰もいません。」

「北塔、一〇五号とはどういう意味だ?」デファルジュは尋ねた。「早く!」

「意味でございますか、ムッシュ?」

「それは囚人を意味するのか、監禁場所を意味するのか。それとも、私にお前を打ち殺せと言うのか?」

「殺せ!」近くに来ていたジャック三号がしわがれ声で言った。

「ムッシュ、それは独房です。」

「見せろ!」

「では、こちらへ。」

いつもの渇望に取り憑かれ、会話が流血を約束しない方向へ進んだことに明らかに失望したジャック三号は、デファルジュが獄吏の腕をつかむように、デファルジュの腕につかまった。この短いやり取りの間、三人の頭はぴたりと寄せ合っていたが、それでも互いの声を聞くのがやっとだった。要塞へ突入し、庭や通路や階段へあふれ込む生きた大海の音は、それほどすさまじかった。外の周囲でも、それは深くしわがれた咆哮で壁を打ち、時おり騒乱の一部の叫びがしぶきのように空へ割れて跳ね上がった。

日の光が一度も差したことのない陰鬱な地下の丸天井を抜け、暗い巣穴や檻の恐ろしい扉を過ぎ、洞穴のような階段を下り、また階段というより乾いた滝のような石と煉瓦の急で険しい上りを進み、デファルジュ、獄吏、ジャック三号は、手と腕を絡め、できる限りの速さで行った。あちこちで、特に初めのうちは、氾濫が彼らに襲いかかり、そばを押し流れていった。だが下りきり、塔を曲がりながら上り始めると、彼らは一人きりだった。ここでは分厚い壁とアーチに囲まれ、要塞の内外の嵐は鈍く抑えられて聞こえるだけだった。まるで今出てきた騒音が、彼らの聴覚をほとんど破壊してしまったかのように。

獄吏は低い扉の前で止まり、がちゃつく錠に鍵を差し、扉をゆっくり開け、三人が皆頭をかがめて中へ入ると、言った。

「一〇五号、北塔!」

壁の高いところに、小さく、頑丈な格子のはまった、ガラスのない窓があり、その前に石の遮りがあったので、低くかがんで見上げなければ空は見えなかった。数フィート(約一メートルほど)内側には、小さな煙突があり、そこにも頑丈な鉄格子が渡されていた。炉床には、古く羽毛のような木灰の山があった。腰掛けと机、藁の寝床があった。四方には黒ずんだ壁があり、その一つに錆びた鉄の輪があった。

「その松明をゆっくり壁に沿わせろ。見えるように」とデファルジュは獄吏に言った。

男は従い、デファルジュはその光を目で追った。

「止まれ! ――ここを見ろ、ジャック!」

「A・M!」ジャック三号は貪るように読んで、しわがれ声で言った。

「アレクサンドル・マネットだ」とデファルジュは、火薬が深く染み込んだ浅黒い人差し指で文字をなぞりながら、彼の耳元で言った。「そしてここには『哀れな医師』と書いた。間違いなく、彼がこの石に暦を刻んだのだ。手に持っているのは何だ? バールか? よこせ!」

彼は自分の手に、まだ大砲の火縄棒を持っていた。突然その二つの道具を取り替えると、虫食いだらけの腰掛けと机へ向き直り、数撃で叩き壊した。

「明かりを高く持て!」彼は怒りを込めて獄吏に言った。「その破片を注意深く調べろ、ジャック。それから見ろ! これが私の短刀だ」彼はそれを投げた。「あの寝床を裂いて、藁を調べろ。お前、明かりを高く持て!」

獄吏を威嚇するように見ながら、彼は炉床に這い上がり、煙突をのぞき込み、バールで側面を打ち、こじり、横切る鉄格子に取りかかった。数分後、モルタルと埃が落ちてきたので、彼は顔を背けて避けた。その中、古い木灰の中、そして道具が滑り込んだか、こじ入った煙突の割れ目の中を、慎重な手つきで探った。

「木の中には何もないか、藁にも何もないか、ジャック?」

「何もない。」

「それを独房の真ん中に集めよう。そうだ! 火をつけろ、お前!」

獄吏は小さな山に火をつけ、それは高く熱く燃え上がった。三人はまた低いアーチの扉から出るため身をかがめ、燃えるままにして、来た道を中庭へ戻った。下りるにつれて聴覚を取り戻すように見え、やがて再び荒れ狂う洪水の中にいた。

洪水はデファルジュ自身を探して、うねり、揺れ動いていた。サン=タントワーヌは、バスティーユを守り民衆を撃った総督を護送する先頭に、酒屋の主人を立てろと喚いていた。さもなければ、総督を裁きのためオテル・ド・ヴィル(市庁舎)へ連れて行かない。さもなければ総督は逃げ、民衆の血(長年無価値だったのに、突然いくらか価値を持った血)は復讐されない。

灰色の上着と赤い勲章で目立つ、この陰気な老将校を取り巻く激情と争いの吠えたける宇宙の中で、ただ一つまったく揺るがぬ姿があった。それは女の姿だった。「見なさい、あそこに私の夫がいる!」彼女は指さして叫んだ。「デファルジュを見なさい!」

彼女はその陰気な老将校のすぐそばに動かず立ち、すぐそばに動かず居続けた。デファルジュたちが彼を運んで通りを進む間もすぐそばに動かず居続けた。目的地に近づき、後ろから殴られ始めた時もすぐそばに動かず居続けた。長く積もった突き刺しと打撃の雨が激しく降った時もすぐそばに動かず居続けた。彼がその下で倒れて死んだ時、彼女はあまりに近くにいたので、突然生気を帯び、彼の首に足をかけ、長く用意していた残酷な短刀でその首を切り落とした。

サン=タントワーヌが、自分が何者で何をなし得るかを示すため、人を吊るして街灯にするという恐ろしい考えを実行する時が来ていた。サン=タントワーヌの血は沸き上がり、鉄の手による暴政と支配の血は下へ落ちた――総督の遺体が横たわるオテル・ド・ヴィルの階段へ落ちた――デファルジュ夫人が、切断のため遺体を安定させようと踏みつけた靴底へ落ちた。「あそこのランプを下ろせ!」サン=タントワーヌは、新たな死の手段をぎらつく目で探した後に叫んだ。「こいつの兵士の一人を見張りに残すぞ!」

揺れる歩哨が配置され、海はさらに押し寄せた。

黒く脅かす水の海、波が波を破壊的に押し上げる海。その深さはまだ測られておらず、その力はまだ知られていなかった。乱れ揺れる姿、復讐の声、そして苦悩の炉で焼き固められ、憐れみの手が触れても跡をつけられぬ顔の、容赦ない海。

だが、あらゆる荒々しく激しい表情が生き生きと動く顔の大海の中に、二つの顔の群れがあった――それぞれ七つずつ――その顔はあまりにもくっきりと他と対照を成していたので、これほど忘れがたい漂流物を運んだ海はかつてなかった。墓を破った嵐によって突然解放された囚人たちの七つの顔が、頭上高く運ばれていた。皆怯え、皆見失い、皆驚き呆然としていた。まるで最後の審判の日が来て、周りで喜ぶ者たちは迷える霊であるかのように。もう七つの顔も、さらに高く掲げられていた。七つの死んだ顔。垂れたまぶたと半ば見える目は、最後の日を待っていた。無表情な顔。だがそこには、消えたのではなく中断された表情があった。むしろ恐ろしい停止の中にある顔で、いずれ垂れたまぶたを上げ、血の気のない唇で「汝がそれをなした!」と証言するかのようだった。

解放された七人の囚人、槍に刺された七つの血まみれの首、八つの強塔を持つ呪われた要塞の鍵、発見された手紙や、遠い昔に心を砕かれて死んだ囚人たちの遺品――そうしたもの、またそれに類するものを、一七八九年七月半ば、サン=タントワーヌの大きく響く足音はパリの通りを護送していった。どうか天よ、ルーシー・ダーニーの空想を打ち破り、この足音を彼女の人生から遠ざけてください! それらは真っ逆さまで狂おしく危険であり、デファルジュの酒屋の扉で樽が砕けてから長い年月を経ても、一度赤く染まれば容易には清められないのだから。

第二十二章 海はなおも満ちる

やつれ果てたサン=タントワーヌに与えられた歓喜の一週間は、固く苦いわずかなパンを、兄弟同士の抱擁と祝福という味つけで、せめていくらかでもやわらげるためのものだった。その一週間が過ぎたころ、デファルジュ夫人はいつものように勘定台に座り、客たちを取り仕切っていた。夫人の髪には薔薇がなかった。偉大なる密偵の同胞団は、たった一週間のうちに、聖者サン=タントワーヌの慈悲に身を委ねることをひどく慎むようになっていたからだ。通りに渡された街灯は、不吉なほどよくしなる揺れを見せていた。

デファルジュ夫人は腕を組み、朝の光と熱のなかで、酒場と通りを眺めていた。そのどちらにも、みすぼらしく惨めな暇人たちの小さな群れがいくつかあった。だが今、その悲惨の上には、明らかに力の自覚が玉座を占めていた。いちばんぼろぼろのナイトキャップが、いちばん不幸な頭の上で斜めにかぶられているだけで、そこにはこういう歪んだ意味があった。「これをかぶっている俺が、自分の命を支えるのにどれほど苦労するようになったか、それは俺が知っている。だが、これをかぶっている俺が、おまえの命を奪うのがどれほどたやすくなったか、おまえは知っているか?」

以前なら仕事もなかった痩せたむき出しの腕の一本一本に、今ではいつでもできる仕事があった。殴りつけることだ。編み物をする女たちの指先には、引き裂くことができると知った者の悪意がこもっていた。サン=タントワーヌの様相は変わっていた。この姿へと鍛え上げるため、何百年にもわたって鉄槌が振るわれてきたのであり、最後の仕上げの一撃が、その表情に途方もない刻印を残していた。

デファルジュ夫人は、サン=タントワーヌの女たちの指導者にふさわしい、抑えた満足をたたえてそれを見つめていた。傍らでは、同じ女仲間の一人が編み物をしていた。飢えた食料雑貨商の妻で、背は低く、いくらかふっくらしており、しかも二人の子の母であるこの副官は、すでに「ヴァンジャンス」という誉れある名を得ていた。

「しっ!」とヴァンジャンスが言った。「聞きな! 誰が来るんだい?」

サン=タントワーヌ区のいちばん外れから酒場の戸口まで火薬の線が敷かれていて、それに突然火がついたかのように、急速に広がるざわめきが押し寄せてきた。

「デファルジュだ」と夫人は言った。「静かに、愛国者たち!」

デファルジュは息を切らして入ってきた。かぶっていた赤い帽子を脱ぎ、周囲を見回した。「みんな、聞きなさい!」と夫人がまた言った。「この人の話を聞くのよ!」

デファルジュは、戸口の外にできた、熱に浮かされた目と開いた口の群れを背景に、息を切らして立っていた。酒場の中にいた者は皆、飛び上がるように立ち上がっていた。

「さあ言って、あなた。何なの?」

「向こうの世界からの知らせだ!」

「何だって?」夫人が軽蔑をこめて叫んだ。「向こうの世界ですって?」

「ここにいる者は皆、腹を空かせた民衆に草を食えばいいと言い、自分は死んで地獄へ行った、あの老フーロンを覚えているな?」

「覚えてる!」全員の喉から声が上がった。

「知らせはそいつのことだ。奴はわれわれの中にいる!」

「われわれの中に!」また全員の喉が叫んだ。「死んだんじゃないのか?」

「死んでいない! 奴はわれわれを恐れたのだ――それも当然だ――だから自分が死んだことにし、盛大な偽の葬式まで出した。だが奴は田舎に隠れて生きているところを見つかり、連れて来られた。俺は今しがた見た。囚人としてオテル・ド・ヴィル(市庁舎)へ向かう途中だった。俺は、奴がわれわれを恐れる理由があったと言った。皆、言え! 奴に理由はあったか?」

七十を越えた惨めな老罪人よ、たとえ今までそれを知らずにいたとしても、もしその返ってきた叫びを聞くことができたなら、心の底の底でそれを知ったはずだ。

一瞬、深い沈黙が続いた。デファルジュと妻は互いをじっと見つめた。ヴァンジャンスが身をかがめると、勘定台の陰、足もとで太鼓を動かす音がどんと響いた。

「愛国者たち!」デファルジュが決然とした声で言った。「用意はできているか?」

たちまちデファルジュ夫人の短刀は帯に差されていた。太鼓は、太鼓そのものと太鼓打ちが魔法で一緒に飛び出したかのように、通りで鳴り始めた。そしてヴァンジャンスは恐ろしい金切り声を上げ、四十人の復讐の女神が一度に取り憑いたように両腕を頭のまわりで振り回しながら、家から家へと駆け回り、女たちを呼び起こしていった。

原画

男たちも恐ろしかった。血を求める怒りをたぎらせて窓から顔を出し、手に入る武器をつかみ、通りへどっと流れ出してきたからだ。だが女たちの姿は、どんな豪胆な者の血も凍らせるものだった。むき出しの貧しさがかろうじて与える家事から、子どもたちから、飢えて裸のまま地面にうずくまる老人や病人から、髪を振り乱して飛び出し、狂った叫びと身振りで互いを、そして自分自身を、狂気へと駆り立てた。悪党フーロンが捕まったよ、姉妹よ! 老いぼれフーロンが捕まったよ、母さん! 極悪人フーロンが捕まったよ、娘よ! するとさらに二十人ほどがそのただ中へ駆け込み、胸を叩き、髪をかきむしりながら叫んだ。フーロンが生きていた! 飢えた民に草を食えばいいと言ったフーロンが! わたしに与えるパンがなかったとき、わたしの老いた父に草を食えばいいと言ったフーロンが! 困窮でこの乳房が干からびていたとき、わたしの赤ん坊に草でも吸わせればいいと言ったフーロンが! ああ神の母よ、このフーロンを! ああ天よ、わたしたちの苦しみを! 聞いておくれ、死んだ赤ん坊よ、干からびた父よ。わたしはこの石の上に膝をついて誓う、フーロンにおまえたちの仇を討つと! 夫たちよ、兄弟たちよ、若者たちよ、フーロンの血をよこせ、フーロンの首をよこせ、フーロンの心臓をよこせ、フーロンの身体と魂をよこせ、フーロンを八つ裂きにして土に埋めろ、奴から草が生えるように! こうした叫びとともに、女たちの多くは盲目的な狂乱へ鞭打たれ、自分の仲間にまで殴りかかり、引き裂き、ついに激情の失神に倒れた。彼女たちが踏み潰されずに済んだのは、身内の男たちが救い出したからにすぎなかった。

それでも一瞬たりとも失われなかった。一瞬たりとも! このフーロンはオテル・ド・ヴィル(市庁舎)にいる。逃がされるかもしれない。サン=タントワーヌが自分たちの苦しみ、侮辱、不正を知っているなら、そんなことは決して許されない! 武装した男も女もあまりの速さで地区から押し出し、さらには最後に残った澱までも吸い寄せるような力で連れ去ったため、十五分もしないうちに、サン=タントワーヌの懐には、数人の老婆と泣き叫ぶ子どもたちを除いて、人間の姿がなくなっていた。

いや、なくなっていたのではない。そのころには皆、あの醜く邪悪な老人がいる取調べの広間を息も詰まるほど埋め尽くし、隣の空き地や通りへあふれ出していた。デファルジュ夫妻、ヴァンジャンス、そしてジャック三号は、最前列の圧迫の中におり、広間では老人からそう遠くなかった。

「見なさい!」夫人が短刀で指して叫んだ。「縄で縛られたあの老悪党を見なさい。背中に草の束を結びつけたのは上出来だわ。は、は! 上出来よ。今こそそれを食わせてやればいい!」

夫人は短刀を脇に挟み、芝居を見るように手を叩いた。

デファルジュ夫人のすぐ後ろにいた人々が、その満足のわけをさらに後ろの者に説明し、その者たちがまたほかの者へ、そしてまたその先へと伝えたため、近くの通りは拍手の音で鳴り響いた。同じように、二、三時間にわたる間延びしたやり取りと、何ブッシェルもの言葉をふるいにかけるような退屈な審議の間、デファルジュ夫人がたびたび示す苛立ちは、驚くほどの速さで遠くまで伝わった。なおさらそれが容易だったのは、すばらしい身のこなしで建物の外装をよじ登り、窓から中をのぞき込んでいた幾人かの男たちがデファルジュ夫人をよく知っていて、彼女と建物の外の群衆とのあいだで電信機の役を果たしていたからだ。

ついに太陽は高く昇り、希望か庇護のような慈悲深い一筋の光を、老いた囚人の頭上へまっすぐ投げかけた。その恩恵は耐え難いものだった。たちまち、驚くほど長く持ちこたえていた塵と籾殻の防壁は風に吹き散らされ、サン=タントワーヌは老人を手に入れていた。

それはただちに、群衆の最も遠い端まで知れ渡った。デファルジュが手すりとテーブルを跳び越え、惨めな男を死の抱擁で抱え込んだばかりだった。デファルジュ夫人がそれに続き、老人を縛っていた縄の一本に手をかけたばかりだった。ヴァンジャンスとジャック三号はまだ追いついておらず、窓の男たちも、まだ高い止まり木から猛禽のように広間へ飛び降りてはいなかった。なのにその叫びは、街じゅうに沸き上がったかのようだった。「外へ引きずり出せ! 街灯へ連れて行け!」

建物の階段を下へ、上へ、頭から。あるときは膝をつき、あるときは立ち、あるときは仰向けにされる。引きずられ、殴られ、何百もの手が顔に押しつける草や藁の束で息を詰まらせられる。裂かれ、打たれ、喘ぎ、血を流し、それでも絶えず慈悲を乞い、懇願している。人々が見ようとして互いに押し退けると、周囲に小さな空間ができ、彼は激しい苦悶の動きで身をよじる。次には脚の森の中を引かれていく死んだ丸太のようになる。やがて、命取りの街灯が揺れる最寄りの街角へ引きずられていった。そこでデファルジュ夫人は、猫が鼠を放すように彼を放し、準備が整うあいだ、老人が彼女に命乞いするあいだ、黙って落ち着き払って見ていた。その間ずっと女たちは激情にかられて彼を罵り叫び、男たちは草を口に詰めたまま殺せと厳しく叫んだ。一度、老人は宙へ吊り上げられたが、縄が切れ、叫びながら落ちるところを受け止められた。二度目も宙へ上げられ、縄が切れ、叫びながら受け止められた。三度目、縄は慈悲深くも持ちこたえた。まもなく老人の首は槍の穂先に掲げられ、その口には、サン=タントワーヌじゅうがその光景に踊り狂うに足るだけの草が詰め込まれていた。

その日の悪行はそれで終わらなかった。夕暮れになり、始末された男の娘婿、これまた民衆の敵であり侮辱者である男が、騎兵だけで五百の護衛に守られてパリへ入ってくると聞くと、サン=タントワーヌは怒りの血を叫びと踊りで沸き立たせ、再び煮えたぎらせたのだ。サン=タントワーヌは炎のような紙片にその男の罪状を書きつけ、彼を捕らえた。フーロンの道連れにするためなら、軍隊の懐からでも引きずり出して八つ裂きにしただろう。その首と心臓を槍に刺し、その日得た三つの戦利品を、狼の行列のように通りへ担ぎ回った。

男たちと女たちが、泣き叫び、パンもない子どもたちのもとへ戻ったのは、すっかり夜になってからだった。それから、惨めなパン屋の店先には長い列ができ、彼らは粗悪なパンを買おうと辛抱強く待った。腹が弱り、空っぽのまま待つあいだ、彼らはその日の勝利を互いに抱き合って祝い、噂話の中でもう一度それをやり遂げて時間を紛らわせた。やがて、ぼろをまとった人々の列は少しずつ短くなり、ほつれるように消えていった。すると高い窓に貧しい灯がともりはじめ、通りにはか細い火が焚かれ、隣人たちがそこで共同で煮炊きをし、その後それぞれの戸口で夕食をとった。

乏しく足りない夕食だった。肉などなく、惨めなパンに添えるほかの味つけもほとんどなかった。それでも人と人との結びつきが、火打石のような食物にいくらかの滋養を吹き込み、そこからいくらかの明るさの火花を打ち出した。その日最悪の出来事に十分加わっていた父や母たちも、痩せた子どもたちとやさしく遊んだ。恋人たちは、周囲にも前途にもそのような世界を抱えながら、それでも愛し、望みを抱いた。

デファルジュの酒場から最後の客の群れが去ったのは、ほとんど朝になってからだった。デファルジュ氏は戸口に錠をかけながら、しわがれた声で妻に言った。

「ついに来たな、いとしい人よ!」

「ええ、そうね!」夫人は答えた。「もう少しよ。」

サン=タントワーヌは眠り、デファルジュ夫妻も眠った。ヴァンジャンスでさえ、飢えた食料雑貨商の夫とともに眠り、太鼓も休んでいた。サン=タントワーヌの中で、血と慌ただしさに変えられなかった声は、太鼓の声だけだった。太鼓の管理者であるヴァンジャンスがそれを起こせば、バスティーユが陥落する前や老フーロンが捕らえられる前と同じ言葉を引き出すことができただろう。だが、サン=タントワーヌの懐にいる男たちと女たちのしわがれた声は、もうそうではなかった。

第二十三章 火が上がる

噴水の落ちる村、そして道路工夫が、哀れで無知な魂と、哀れに痩せ衰えた身体をかろうじてつなぎとめるつぎはぎほどのパン屑を、毎日街道の石から叩き出しに出かける村に、変化が起きていた。岩山の上の監獄は、昔ほど圧倒的ではなかった。そこを守る兵士はいたが、多くはない。兵士を監督する士官もいたが、その誰一人として、自分の部下たちが何をするかを知らなかった。ただ一つ、命じられたことはおそらくしないだろう、ということを除いては。

遠く広く、荒廃した国土が横たわり、荒涼のほか何も産み出していなかった。緑の葉一枚、草の一本、穀物の一茎にいたるまで、惨めな人々と同じように萎び、貧しかった。すべてがうなだれ、意気消沈し、圧迫され、打ち砕かれていた。住まい、柵、家畜、男、女、子ども、そして彼らを生み支える土までもが、みな疲弊していた。

モンセニョールは(一個人としてはしばしばこのうえなく立派な紳士なのだが)国の祝福であり、物事に騎士道的な調子を与え、贅沢で輝かしい生活の上品な模範であり、そのほか同じ趣旨の多くのものだった。それにもかかわらず、一つの階級としてのモンセニョールは、どういうわけか物事をここまで運んでしまっていた。そもそもモンセニョールのためだけに設計された創造の世界が、こんなにも早く搾り尽くされ、絞り上げられてしまうとは奇妙なことだ! 永遠の仕組みには、きっとどこか見通しの甘いところがあるに違いない! とはいえ実際はそうだった。火打石から最後の血の一滴まで抜き取られ、拷問台の最後のねじはあまりに何度も回されて、そのかかりが崩れ、今ではどこにも食い込まずにただ空回りするばかりとなった。そこでモンセニョールは、このあまりに低劣で不可解な現象から逃げ出し始めた。

だが、それがこの村や、これに似た多くの村に起きた変化ではなかった。過ぎ去った幾十年ものあいだ、モンセニョールは村を絞り、搾り上げ、狩りの楽しみの時以外にはめったにその存在で村を飾ることもなかった――あるときは人々を狩り、またあるときは獣を狩った。獣を保存するため、モンセニョールは野蛮で不毛な荒野という、教訓的な空間を作ったのである。いや、そうではない。変化とは、上流階級の、彫り上げられたような、また別の仕方で美しく装われ、美しくもあったモンセニョールの顔立ちが消えたことよりも、下層階級の見慣れぬ顔が現れたことにあった。

というのも、この時代、道路工夫が塵の中で一人働いているとき――自分は塵であり、塵に帰らねばならぬなどと考えることはめったになく、たいていは夕食がどれほど少ないか、もし食べ物があればどれほどもっと食べるだろうかを考えるのに忙しすぎた――この時代、彼が孤独な仕事から目を上げて眺めを見渡すと、徒歩で近づいてくる粗野な人影を見ることがあった。そのようなものはかつてこの辺りでは珍しかったが、今ではしばしば現れた。その人影が近づくにつれ、道路工夫は驚きもせず見て取った。それは乱れ髪の男で、ほとんど野蛮人のような風貌をし、背が高く、道路工夫の目にさえ不格好に映る木靴を履き、陰険で、荒々しく、浅黒く、数知れぬ街道の泥と塵にまみれ、数多の低地の湿地の水気にじめつき、森を抜ける多くの脇道の棘や葉や苔をまとっていた。

七月の正午、雹のにわか雨を避けようと土手の下の石の山に座っていた道路工夫の前に、そんな男が幽霊のように現れた。

男は道路工夫を見、くぼ地の村を見、粉挽き場を見、岩山の上の監獄を見た。薄暗い頭の中でそれらを確かめると、かろうじてわかる方言で言った。

「どうだ、ジャック?」

「万事よし、ジャック。」

「では、触れろ!」

二人は手を握り合い、男は石の山に腰を下ろした。

「昼飯は?」

「今は夕飯しかない」と道路工夫は飢えた顔で言った。

「それが流行りだ」と男は唸った。「どこへ行っても昼飯なんてものには出会わない。」

男は黒ずんだパイプを取り出し、詰め、火打石と鋼で火をつけ、赤々と輝くまで吸った。それから突然、パイプを口から離し、指と親指のあいだから何かを中へ落とした。それはぱっと燃え、煙を一吹き上げて消えた。

「では、触れろ。」

今度は、その一連の動きを見届けた道路工夫がそう言う番だった。二人は再び手を握り合った。

「今夜か?」と道路工夫が言った。

「今夜だ」と男はパイプを口にくわえて言った。

「どこで?」

「ここだ。」

男と道路工夫は石の山に座り、互いを黙って見つめていた。雹は小人の銃剣突撃のように二人のあいだへ吹き込み、やがて村の上の空が晴れはじめた。

「見せろ!」と旅人は言い、丘の縁へ動いた。

「見ろ!」道路工夫は指を伸ばして答えた。「ここを下り、通りをまっすぐ抜け、噴水のそばを過ぎて――」

「そんなものは悪魔にくれてやれ!」相手は景色の上で目をぎょろつかせながら遮った。「俺は通りも噴水も通らない。それで?」

「それで! 村の上にあるあの丘の頂から、二リュー(約8キロ)ほど先だ。」

「よし。仕事はいつ終わる?」

「日暮れだ。」

「出かける前に起こしてくれるか? 二晩、休まず歩いた。パイプを吸い終えたら、子どものように眠る。起こしてくれるか?」

「もちろんだ。」

旅人はパイプを吸い尽くし、それを胸元にしまい、大きな木靴を脱ぎ、石の山の上に仰向けになった。すぐに熟睡した。

道路工夫が塵まみれの仕事を続け、雹雲が転がり去って、明るい空の帯や筋を見せ、その光に応えて風景の上に銀のきらめきが走ると、その小男(今は青い帽子の代わりに赤い帽子をかぶっていた)は、石の山の上の人物に魅せられているようだった。彼の目はしきりにそちらへ向き、そのため道具は機械的に使うばかりで、実に成果が乏しいと言ってよかった。青銅色の顔、もじゃもじゃの黒髪と髭、粗末な毛織りの赤帽、手織りの布と毛皮を継ぎ合わせた粗野な衣服、粗食で痩せてはいるが力強い体つき、眠りの中で不機嫌に、絶望的に引き結ばれた唇。それらは道路工夫に畏怖を抱かせた。旅人は遠く旅してきており、足は痛み、くるぶしは擦れて血を流していた。葉や草を詰めた大きな靴を、数多くの長いリューにわたって引きずってくるのは重かったし、衣服は擦り切れて穴が開き、本人も擦り傷だらけだった。道路工夫は傍らに身をかがめ、胸元かどこかに隠し武器がないかのぞこうとした。だが無駄だった。旅人は腕を胸の上で組み、唇と同じく断固として閉ざしたまま眠っていた。柵、番小屋、門、壕、跳ね橋を備えた城塞都市でさえ、この人物を前にすれば空気にも等しい、と道路工夫には思えた。そしてその人物から目を上げ、地平線を見渡すと、彼の小さな想像の中には、同じような人影が障害物に止められることなく、フランス全土の中心へ向かっていくのが見えた。

男は眠り続けた。雹のにわか雨にも、明るさの合間にも、顔に当たる日差しにも影にも、身体の上にぱらぱら落ちる鈍い氷の塊にも、それを太陽が変えたダイヤモンドにも無頓着だった。やがて太陽が西に低くなり、空が赤く燃えた。そこで道路工夫は道具をまとめ、村へ下りる用意をすっかり整えると、男を起こした。

「よし!」眠っていた男は肘をついて起き上がりながら言った。「丘の頂から二リューほど先だったな?」

「そのくらいだ。」

「そのくらいか。よし!」

道路工夫は家へ帰った。風向きに従って塵が彼の前を進み、まもなく彼は噴水のところへ着いた。そこで水を飲みに連れて来られた痩せ牛のあいだへ身をねじ込み、村中の者に囁くその囁きの中で、牛たちにまで囁いているように見えた。村が粗末な夕食をとり終えても、いつものように寝床へ這い込むことはせず、再び戸外へ出て、そこに残った。奇妙な囁きの伝染が村を覆っていた。また暗がりの中で噴水のそばに集まると、別の奇妙な伝染もあった。一方向の空だけを、期待をこめて見上げることだった。村の首席役人であるガベル氏は不安になった。一人で家の屋根に上がり、やはりその方向を見た。煙突の陰から、下の噴水のそばにいる暗くなっていく顔々を見下ろし、教会の鍵を預かる聖具係に、やがて警鐘を鳴らす必要があるかもしれないと伝言を送った。

夜は深まった。古い城館を取り囲み、その孤独な威容を隔てている木々が、強まる風に揺れ、まるで闇の中にどっしりと暗くそびえる建物の塊を脅しているようだった。二段のテラス階段を雨が荒々しく流れ下り、すばやい使者が中の者を起こすかのように大扉を打った。不穏な風の奔流が広間を抜け、古い槍や短刀のあいだを通り、嘆くように階段を上がって、最後の侯爵が眠った寝台のカーテンを揺らした。東、西、北、南、森を抜けて、重い足取りの、身なりの乱れた四つの人影が高い草を踏みつぶし、枝を折り、用心深く大股に進んで中庭に集まった。そこに四つの灯が現れ、それぞれ別の方向へ動き去り、すべてはまた黒くなった。

しかし長くはなかった。やがて城館は、まるで自ら発光しはじめたかのように、奇妙に姿を現しはじめた。次に、正面の建築の背後でちらつく光の筋が踊り、透けて見える箇所を浮かび上がらせ、欄干、アーチ、窓の位置を示した。それから光はさらに高く上がり、幅を増し、明るさを増した。まもなく、二十もの大窓から炎が噴き出し、石の顔々が目覚め、火の中から見つめた。

館のまわりに残っていたわずかな人々のあいだから、かすかなざわめきが起こり、馬に鞍が置かれ、乗り手が駆け去った。拍車を入れ、闇の中を水しぶきを上げて駆け、村の噴水の広場で手綱が引かれ、泡を吹いた馬がガベル氏の戸口に立った。「助けてくれ、ガベル! みんな、助けてくれ!」

警鐘は苛立たしげに鳴ったが、ほかの助けは――それが助けと言えるなら――何一つなかった。道路工夫と二百五十人の特別な友人たちは、腕を組んで噴水のそばに立ち、空へ立ち上る火柱を眺めていた。「高さは四十フィート(約12メートル)はあるな」と彼らは険しい顔で言い、動こうともしなかった。

城館から来た乗り手と泡を吹く馬は、村をがらがらと駆け抜け、石だらけの急坂を、岩山の監獄へ向けて駆け上がった。門のところでは、士官たちの一団が火を見ていた。離れたところには兵士たちの一団がいた。「助けてください、紳士方――士官方! 城館が燃えています。今すぐ助けていただければ、貴重品を炎から救えます! 助けを、助けを!」

士官たちは、火を見つめる兵士たちのほうを見た。命令は出さなかった。そして肩をすくめ、唇を噛んで答えた。「燃えるに任せるしかない。」

乗り手が再び丘を駆け下り、通りを抜けるころ、村には明かりがともされていた。道路工夫と二百五十人の特別な友人たちは、村を照らすという考えに男も女も一体となって奮い立ち、それぞれの家へ飛び込み、くすんだ小さな窓ガラスの一枚一枚に蝋燭を置いていた。万事が不足しているため、蝋燭はガベル氏からかなり強引に借り出された。この役人が一瞬ためらい、渋ると、かつては権威にあれほど従順だった道路工夫が、馬車は焚き火にするのに向いているし、駅馬車の馬は焼けば食える、と言った。

城館は炎を上げ、燃えるがままに放っておかれた。燃え盛り、荒れ狂う火災の中で、地獄の領域からまっすぐ吹きつける真っ赤に焼けた風が、建物を吹き飛ばしているかのようだった。炎が高まり、また低まるたび、石の顔々は責め苦を受けているように見えた。石や材木の大きな塊が崩れ落ちると、鼻に二つのくぼみのある顔は見えなくなった。やがてまた煙の中からもがき出て、火刑に処され、炎と争う残酷な侯爵の顔のように現れた。

城館は燃えた。最寄りの木々は火に捕まり、焦げ、縮れた。遠くの木々は、四つの獰猛な人影によって火を放たれ、燃え上がる建物を新たな煙の森で取り巻いた。噴水の大理石の水盤では、溶けた鉛と鉄が煮え立った。水は干上がった。塔の火消し帽のような頂は熱の前の氷のように消え、四つのごつごつした炎の井戸へ滴り落ちた。堅固な壁には結晶が枝分かれするように大きな亀裂と裂け目が広がった。呆然とした鳥たちは旋回し、炉の中へ落ちた。四つの獰猛な人影は、自分たちが灯した道標に導かれ、次の目的地へ向かって、夜に包まれた道を東、西、北、南へと重い足取りで去っていった。明かりのともった村は警鐘をわがものとし、正規の鐘撞きを廃して、歓喜のために鳴らした。

それだけではなかった。飢えと火と鐘の音で頭の軽くなった村は、ガベル氏が地代と税の徴収に関わっていたことを思い出した――もっとも、この頃ガベルが取り立てていたのは、税のごくわずかな分割分だけで、地代などまったくなかったのだが――そして彼との面会を待ちきれなくなり、家を取り囲んで、本人が出てきて直接話し合うよう呼びつけた。そこでガベル氏は重々しく戸に閂を下ろし、自分自身と協議するため退いた。その協議の結果、ガベルは再び煙突の列の陰にある屋根へ退避した。今度は、もし戸が破られたなら(彼は南方出身の小男で、やり返す気質だった)、胸壁の上から頭から身を投げ、下にいる一人か二人を押し潰してやろうと決意していた。

おそらくガベル氏は、遠くの城館を火と蝋燭代わりに、戸を叩く音と歓喜の鐘の音を音楽代わりにして、そこで長い夜を過ごしたのだろう。それに加え、彼の駅馬車宿の門の前の道をまたぐように、不吉な街灯が吊られており、村人たちはそれを彼のために取り外したくてたまらない様子を見せていた。黒い大海の縁で夏の夜をまるまる過ごし、ガベル氏が決意したとおり、いつでもそこへ飛び込めるようにしているとは、つらい宙吊りだった! だがついに友好的な夜明けが現れ、村の藺草蝋燭が燃え尽きると、人々は幸いにも散り散りになり、ガベル氏はひとまず命を携えて下へ降りてきた。

百マイル(約160キロ)以内の範囲で、またほかの火の光のもとで、その夜も、また別の夜にも、もっと不運な役人たちがいた。昇る太陽が見つけた彼らは、生まれ育った、かつては平和だった通りを横切って吊るされていた。また、道路工夫とその仲間たちほど幸運ではなかったほかの村人や町人たちもいて、役人と兵士たちがうまく彼らに反撃し、今度は彼らを吊るし上げた。だが、どうあろうとも、獰猛な人影たちは東へ、西へ、北へ、南へと着実に進み続けていた。そして誰が吊るされようと、火は燃えた。それを水に変えて消すことのできる絞首台の高さを、どの役人も、どれほど数学を駆使しても、うまく計算することはできなかった。

第二十四章 磁石岩へ引き寄せられて

そのように火が上がり、海が盛り上がるなかで――いまや引き潮を失い、ただ満ちるばかり、岸辺で見守る者たちの恐怖と驚きの前で高く、さらに高く満ちてくる怒れる大洋の奔流に、堅い大地が揺さぶられるなかで――嵐の三年が費やされた。小さなルーシーの誕生日もさらに三度、黄金の糸によって、彼女の家の平穏な生活の織物へ織り込まれていた。

その家の者たちは、幾夜も幾日も、隅に響くこだまに耳を澄ませ、群れ集う足音を聞くたびに心をくじかれた。というのも、その足音は彼らの心の中で、赤旗の下に騒然と集まり、祖国が危機にあると宣言され、長く続いた恐ろしい魔法によって野獣に変えられた一つの民の足音となっていたからだ。

一つの階級としてのモンセニョールは、自分が評価されないという現象から、自分を切り離していた。フランスで自分がそれほど求められておらず、その国とこの世の生から同時に退去を命じられるかなりの危険を負っている、という現象からである。苦労に苦労を重ねて悪魔を呼び出したものの、その姿を見るなり恐怖のあまり敵に何一つ問うこともできず、たちまち逃げ出したという昔話の農夫のように、モンセニョールもまた、長年にわたって主の祈りを堂々と逆さに唱え、悪しき者を強制的に呼び出す強力な呪法を数多く行ってきたのに、ひとたび恐るべき姿の悪魔を見るや、貴族の踵を返して逃げ出した。

宮廷の輝く牛の目は消えた。残っていれば、国民の弾丸の嵐の標的になっていただろう。その目は、もともと物を見るのに適した目ではなかった。長らく、そこにはルシファーの傲慢、サルダナパロスの奢侈[訳注:古代アッシリア王サルダナパロスは放縦と贅沢の象徴とされた]、そしてモグラの盲目という塵が入っていた。だがその目は落ち、消え去った。宮廷は、閉ざされた内輪の輪から、陰謀、腐敗、偽装に満ちた最も外側の腐った輪に至るまで、丸ごと消え去っていた。王権は消えた。最後に届いた知らせでは、宮殿を包囲され、「停止」されていた。

一七九二年八月が来ており、モンセニョールはこのころには遠く広く散り散りになっていた。

当然のことながら、ロンドンにおけるモンセニョールの本拠地であり大集合所は、テルソン銀行だった。霊は生前の身体が最もよく出入りした場所に出没すると考えられているが、ギニー金貨を失ったモンセニョールも、自分のギニーがかつてあった場所に出没した。さらに、そこは信頼できるフランスの情報が最も早く届く場所でもあった。加えて、テルソンは気前のよい店で、かつて高い身分にあったのに落ちぶれた旧顧客へ大いに寛大さを示した。さらに、迫り来る嵐を早くに見て取り、略奪や没収を予期して、テルソンへ用心深く送金しておいた貴族たちは、困窮した同胞たちが消息を聞くなら必ずそこにいるものだった。そこへ付け加えるべきこととして、フランスから来た新参者はほとんど当然のように、テルソンへ自分と自分の知らせを届け出た。こうしたさまざまな理由から、当時テルソンは、フランス情報に関しては一種の大取引所だった。このことは世間によく知られ、そこへの問い合わせも非常に多かったため、テルソンは時おり最新ニュースを一、二行に書き出して銀行の窓に貼り出し、テンプル・バーを駆け抜ける者すべてが読めるようにした。

蒸し暑く霧の深い午後、ロリー氏は自分の机に座り、チャールズ・ダーニーは机にもたれて低い声で話していた。かつて店との面談のために設けられていた悔悛用の小部屋は、今やニュース取引所となり、あふれんばかりに人で満ちていた。閉店の時刻まで、あと半時間ほどだった。

「ですが、あなたがこれまで生きた人の中でいちばんお若いとしても」とチャールズ・ダーニーはややためらいながら言った。「それでも、申し上げておかねばなりません――」

「わかっている。私は年を取りすぎている、というのだろう?」とロリー氏は言った。

「不安定な天候、長旅、不確かな交通手段、混乱した国、あなたにとってさえ安全とは言えないかもしれない都市です。」

「親愛なるチャールズ」とロリー氏は明るい確信をもって言った。「君が挙げたもののいくつかは、私が行く理由であって、行かずにいる理由ではない。私には十分安全だよ。あちらには、私などよりずっと手出しする価値のある人々が大勢いるのだから、八十に手が届こうという年寄りに誰もかまいはしない。都市が混乱しているという点については、混乱した都市でなければ、こちらの店から向こうの店へ、昔からその都市と仕事を知り、テルソンの信任を受けている誰かを送る必要などない。旅の不確かさ、長い道のり、冬の天候については、これだけの年月を経てなお、テルソンのために少々の不便を甘受する用意が私になければ、いったい誰にあるというのだね?」

「私自身が行ければよいのですが」とチャールズ・ダーニーはどこか落ち着かず、独り言のように言った。

「何だって! 異議を唱え、忠告するにはなかなかの御仁だな!」ロリー氏は叫んだ。「君自身が行ければよい? しかも君は生まれながらのフランス人ではないか。賢い助言者だ。」

「親愛なるロリーさん、私が生まれながらのフランス人だからこそ、その考えが(ここで口にするつもりはなかったのですが)しばしば頭をよぎるのです。あの惨めな人々に多少の同情を抱き、彼らのために何かを捨てた者としては、こう考えずにはいられません」彼はここで以前の思慮深い調子で話した。「自分なら耳を傾けてもらえ、いくらか節度を説く力があるかもしれない、と。昨夜も、あなたがお帰りになった後、ルーシーと話していたとき――」

「ルーシーと話していたとき」とロリー氏は繰り返した。「そうか。君はルーシーの名を口にするのを恥じないとは驚きだ! この時世にフランスへ行きたいなどと言っておきながら!」

「とはいえ、私は行きません」とチャールズ・ダーニーは微笑んで言った。「肝心なのは、あなたが行くとおっしゃっていることです。」

「そして私は、本当に行くのだ。実のところ、親愛なるチャールズ」ロリー氏は遠くの店のほうへ目をやり、声を落とした。「われわれの業務がどれほど困難に処理されているか、向こうにある帳簿や書類がどれほど危険にさらされているか、君には想像もつかないだろう。もしわれわれの文書の一部が押収されたり破棄されたりしたら、どれほど多くの人に不利な結果が及ぶか、天の主だけがご存じだ。そしてそれはいつ起きてもおかしくない。今日パリが火を放たれないと、明日略奪されないと、誰が言える? だから、これらの中から可能な限り遅れなく慎重に選び出し、埋めるなり、ほかの方法で危険の及ばぬところへ移すなりすることは、貴重な時間を失わずにできる者がいるとしても、私をおいてほとんどいないのだ。テルソンがそれを知り、そう言っているのに――六十年このかた私がそのパンを食べてきたテルソンが――関節が少しこわばるからといって、私は尻込みするのか? 何を言う、ここの年寄り連中を半ダースも相手にすれば、私は少年ですよ!」

「ロリーさん、あなたの若々しい精神の勇敢さには敬服します。」

「ふん! ばかばかしい、君! ――それに、親愛なるチャールズ」ロリー氏は再び店のほうをちらりと見た。「忘れてはならない。今この時、パリから物を持ち出すことは、それが何であれ、ほとんど不可能に近い。書類や貴重品がまさに今日、想像もつかないような運び手によってこちらへ届けられた(これは厳に内密の話だ。君にさえ囁くのは商売上よろしくない)。その者たちは皆、関門を通るとき、首が一本の髪の毛でつながっているようなものだった。別の時なら、われわれの小包は商売上の古きイングランドのように、楽々と行き来しただろう。だが今は、すべてが止められている。」

「本当に今夜発たれるのですか?」

「本当に今夜発つ。事態は遅延を許さぬほど切迫している。」

「誰も連れて行かないのですか?」

「いろいろな者を勧められたが、私はその誰とも関わるつもりはない。ジェリーを連れて行くつもりだ。ジェリーはここしばらく、日曜の夜ごとに私の護衛を務めてきたし、私は彼に慣れている。ジェリーがイングランドのブルドッグ以外の何かだとか、主人に触れる者に飛びかかる以外の意図を頭に抱いているとか、誰も疑いはしないだろう。」

「重ねて申し上げますが、あなたの勇敢さと若々しさには心から敬服します。」

「重ねて言うが、ばかばかしい、ばかばかしい! この小さな任務を果たしたら、私はおそらく、引退して気楽に暮らせというテルソンの提案を受けるだろう。年を取ることを考えるのは、そのときで十分だ。」

この会話はロリー氏のいつもの机で行われた。その一、二ヤード(約1~2メートル)以内にはモンセニョールが群がり、ならず者どもに近いうち復讐するため、自分なら何をしてやるかと大言壮語していた。亡命者として逆境にあるモンセニョールにとって、この恐ろしい革命を、まるで天の下で知られる収穫の中で唯一、種を蒔かずに生じたもののように語るのはあまりにも常のことだった。そして生粋の英国正統派にとっても、またあまりにも常のことだった。まるで、それへ導いた行為も、不作為も、これまで何一つなかったかのように。まるで、フランスの惨めな幾百万の人々と、彼らを繁栄させるべきだった資源が誤用され歪められている様を見ていた観察者たちが、何年も前からその到来を避けがたいものとして見ておらず、見たことを明白な言葉で記録していなかったかのように。そのような空威張りに加えて、モンセニョールが、完全に力尽き、自分自身だけでなく天と地をもすり減らした状態を復活させようとする途方もない陰謀を語るのは、真実を知る正気の者なら誰でも、いくらか抗議せずには耐えがたかった。そうした空威張りが、まるで自分の頭の中で血が厄介に錯綜しているように耳のまわりで響き、さらに心の奥に潜む不安も加わって、チャールズ・ダーニーをすでに落ち着かなくさせていたし、今もなおそうさせていた。

話し手の中には、キングス・ベンチ法廷のストライヴァー氏もいた。彼は官職への栄達の途上に大きく進んでいたので、この話題では声が大きかった。モンセニョールに向かって、民衆を爆破して地上から根絶し、彼らなしでやっていくための策を披露し、鷲の種族の尾に塩を振りかけて絶滅させるという類に似た性質の目的を、数多く達成するための方策を語っていた。ダーニーはその話を、特別な嫌悪感をもって聞いた。そして、これ以上聞かずに済むよう立ち去るべきか、残って一言差し挟むべきか、そのあいだで揺れていた。その時、起こるべきことが形を取り始めた。

店の者がロリー氏に近づき、汚れた未開封の手紙を前に置いて、宛名の人物の手がかりはもう見つかったかと尋ねた。店の者は手紙をダーニーのすぐ近くに置いたので、彼には宛名が見えた。それがなおさら素早く目に入ったのは、それが彼自身の正しい名前だったからだ。宛名を英語にすれば、こうなっていた。

「至急。フランスの、かつてのエヴレモンド侯爵殿へ。イングランド、ロンドン、銀行家テルソン社気付。」

結婚の朝、マネット博士はチャールズ・ダーニーに対し、この名の秘密を――博士自身がその義務を解かない限り――二人のあいだで厳守してほしいと、一つだけ切実に、明確に求めていた。ほかの誰も、それが彼の名であることを知らなかった。彼自身の妻でさえ、その事実に気づいていなかった。ロリー氏が知るはずもなかった。

「いや」とロリー氏は店の者に答えた。「今ここにいる者には、もう皆に尋ねたと思うが、この紳士がどこにいるか、誰も教えてくれない。」

銀行の閉店時刻へ時計の針が近づくにつれ、話し手たちの流れは一斉にロリー氏の机の前を通り過ぎた。彼は手紙を差し出し、問いかけるようにした。すると、陰謀を企て憤慨しているこの亡命者の姿をしたモンセニョールがそれを見た。また、陰謀を企て憤慨しているあの亡命者の姿をしたモンセニョールもそれを見た。この者も、あの者も、別の者も皆、見つからない侯爵について、フランス語なり英語なりで何かしら侮蔑的なことを言った。

「殺された洗練された侯爵の甥だと思う――いずれにせよ堕落した後継者だ」と一人が言った。「私は彼を知らずに済んで幸いだった。」

「持ち場を捨てた臆病者だ」と別の者が言った――このモンセニョールは、干し草の荷の中に足を上にして半ば窒息した状態でパリから運び出されていた――「何年か前にな。」

「新しい教義に毒されている」と三人目が、通りすがりに眼鏡越しに宛名を見ながら言った。「最後の侯爵に逆らい、相続した土地を捨て、ならず者の群れに放り出した。今こそ彼らが、その男にふさわしい報いを与えてくれることを願うよ。」

「何だって?」がなり立てるストライヴァー氏が叫んだ。「本当にそんなことを? そういう男なのか? その悪名高い名前を見せてみろ。畜生め!」

ダーニーはもはや自分を抑えられず、ストライヴァー氏の肩に触れて言った。

「私はその男を知っています。」

「ジュピターにかけて、本当か?」ストライヴァー氏は言った。「それはお気の毒に。」

「なぜです?」

「なぜだと、ダーニー君? 奴が何をしたか聞いているだろう? この時世に、なぜなどと聞くな。」

「しかし私は、なぜかと尋ねています。」

「ならもう一度言おう、ダーニー君、それはお気の毒だ。君がそんな並外れた質問をするのを聞くのは残念だ。ここにいる男は、かつて知られた中で最も有害で冒涜的な悪魔の教典に毒され、地上で最も卑しい屑ども、集団殺人を働いた連中に自分の財産を引き渡したのだ。それなのに君は、若者を教える男がそんな奴を知っていることを、なぜ私が残念に思うのかと聞くのか? よろしい、答えよう。そんな悪党には汚染があると信じるから残念なのだ。それが理由だ。」

秘密を心に留め、ダーニーはたいへんな苦労で自分を抑え、「あなたはその紳士を理解していないのかもしれません」と言った。

「私は君を追い詰める方法なら理解しているぞ、ダーニー君」と横暴なストライヴァー氏は言った。「そしてそうしてやる。この男が紳士だというなら、私は奴を理解しない。私の敬意を添えて、奴にそう伝えるがいい。ついでに私からこうも伝えたまえ。自分の世俗の財と地位をこの屠殺人の群れに譲り渡したあとで、奴がその先頭に立っていないのが不思議だと。だが、いや、諸君」ストライヴァー氏は周囲を見回し、指を鳴らして言った。「私は人間性というものを少しは知っている。だから言っておくが、こんな男が、そんな大切な被保護者どもの慈悲に身を委ねることなど決してない。いや、諸君。騒ぎのごく早い段階で、奴はいつでもさっさと逃げ足を見せ、こそこそ逃げ出すだろう。」

そう言って最後に指を鳴らすと、ストライヴァー氏は聞き手たちの全般的な賛同の中、肩で風を切ってフリート街へ出て行った。銀行から人々が退出していき、ロリー氏とチャールズ・ダーニーだけが机のところに残された。

「その手紙を預かってくれるかね?」とロリー氏が言った。「どこへ届ければよいか知っているのだろう?」

「知っています。」

「宛先の方へ転送先を知っているかもしれないと思ってここに宛てられ、しばらくここに置かれていたのだと、説明してくれるかね?」

「そうします。あなたはここからパリへ発たれるのですか?」

「ここから、八時に。」

「見送りに戻ってきます。」

自分自身にも、ストライヴァーにも、そしてほとんどの人間にもひどく居心地の悪さを覚えながら、ダーニーは急いで静かなテンプル地区へ向かい、手紙を開いて読んだ。その内容はこうだった。

「パリ、アバィー監獄。

「一七九二年六月二十一日。 「かつての侯爵殿

「長らく村の者たちの手で命の危険にさらされた末、私は大変な暴力と侮辱のもとに捕らえられ、徒歩で長い道のりをパリまで連れて来られました。道中、私はたいそう苦しみました。それだけではありません。私の家は破壊されました――地面まで跡形もなく。

「かつての侯爵殿、私が投獄され、法廷に召喚され、(あなたのあまりにも寛大なお助けがなければ)命を失うことになる罪とは、彼らの言うところでは、人民の尊厳に対する反逆です。すなわち、私が亡命者のために働き、人民に敵対したというのです。あなたのご命令に従い、私が彼らのために働いたのであって、彼らに敵対したのではないと申し立てても無駄です。亡命者財産の差し押さえ以前に、彼らが支払わなくなった賦課金を私は免除していたこと、地代を徴収していなかったこと、訴訟手段に訴えなかったことを申し立てても無駄です。返ってくる答えはただ一つ、私は亡命者のために働いた、ではその亡命者はどこにいるのか、というものです。

「ああ! このうえなく慈悲深き、かつての侯爵殿、その亡命者はどこにおられるのでしょう? 私は眠りの中で叫びます、あの方はどこにいるのか、と。天に問いかけます、あの方は私を救いに来てくださらないのか、と。答えはありません。ああ、かつての侯爵殿、私はこの悲嘆の叫びを海の向こうへ送ります。パリで知られる偉大なティルソン銀行を通じて、もしかするとあなたのお耳に届くことを望みながら! 

「天への愛にかけて、正義にかけて、寛大さにかけて、あなたの高貴なお名の名誉にかけて、かつての侯爵殿、どうか私を助け、解放してくださいますよう嘆願いたします。私の罪は、あなたに忠実であったことです。ああ、かつての侯爵殿、どうかあなたも私に忠実であってください! 

「この恐怖の監獄より、ここで私は一時間ごとに破滅へと近づいております。かつての侯爵殿、私はあなたへ、苦痛と不幸に満ちた私の奉仕の誠をお送りします。

「苦しむあなたのしもべ、

「ガベル。」

ダーニーの心の奥に潜んでいた不安は、この手紙によって激しく目覚めた。老いた忠実な召使い、しかもその唯一の罪が自分と自分の家族への忠誠である善良な召使いの危険が、咎めるように彼の顔を見据えた。そのため、どうすべきかを考えながらテンプル地区を行きつ戻りつ歩いていると、彼は通行人から顔を隠さんばかりだった。

彼はよくわかっていた。古い家門の悪行と悪評の頂点となったあの所業への嫌悪、叔父への怒りを帯びた疑念、そして自分が支えるべきものとされていた崩れかけた仕組みに対する良心の反感の中で、自分の行動は不完全だったのだと。彼はよくわかっていた。ルーシーへの愛の中で、社会的地位の放棄は、自分の心では決して新しいものではなかったにせよ、性急で不完全だったのだと。彼は知っていた。それを体系的に仕上げ、監督すべきだったし、そうするつもりでいたのに、結局それはなされなかったのだ。

自ら選んだイングランドの家庭の幸福、常に活発に仕事をしていなければならない必要、そして時代の急速な変化と混乱。それらはあまりに速く次々と続いたため、今週の出来事が先週の未熟な計画を消し去り、翌週の出来事がまたすべてを新しくしてしまった。彼はよくわかっていた。そうした事情の力に自分は屈していたのだと――不安がなかったわけではないが、それでも継続的に積み重なる抵抗はしなかったのだと。行動の時を求めて時代を見守ってきたが、時代は移り、もがき、その時は過ぎ去った。そして貴族たちはフランスからあらゆる街道と脇道を通って群れをなして逃げ出し、彼らの財産は没収と破壊の途上にあり、その名そのものも消されつつあった。このことは、フランスの新たな権威が彼をそのために弾劾するとして知り得るのと同じほど、彼自身にもよくわかっていた。

しかし、彼は誰も圧迫しなかった。誰も投獄しなかった。自分に支払われるべきものを苛酷に取り立てるどころか、自らの意思でそれを放棄し、何の恩恵もない世界へ身を投じ、そこで自分だけの場所を勝ち取り、自分のパンを稼いだ。ガベル氏は、貧しく債務の絡んだ領地を、人民をいたわり、与えられるわずかなものを与えるように――重い債権者たちが冬に彼らへ渡すのを許す燃料や、夏に同じ締めつけから救い出せる産物を――という書面による指示に基づいて管理していた。そして疑いなく、自身の安全のために、その事実を弁明し証拠として提出していたに違いない。だから今、それが明らかにならないはずはなかった。

このことが、チャールズ・ダーニーが抱き始めていた必死の決意を後押しした。彼はパリへ行くのだ。

そうだ。昔話の船乗りのように、風と潮流が彼を磁石岩の影響圏内へ押し流し、それが彼を引き寄せていた。彼は行かねばならなかった。心に浮かぶすべてのものが、彼をより速く、より速く、ますます確かに、その恐るべき引力へ漂わせていった。彼の潜在的な不安は、自分の不幸な祖国で、悪しき目的が悪しき道具によって実行されつつあるということだった。そして、自分が彼らより善いと知っていないはずのない彼が、その場におらず、流血を止め、慈悲と人間性の主張を貫くために何かをしようとしていない、ということだった。この不安は半ば押し殺され、半ば彼を責めていた。その彼は、義務感があれほど強い勇敢な老紳士と自分自身との鋭い比較へと導かれた。その比較(彼にとって不利なもの)の直後に、モンセニョールの嘲笑が続き、それが彼を苦々しく刺した。さらにストライヴァーの嘲笑が続いた。それは何よりも、昔からの理由により、粗野で腹立たしいものだった。その後にガベルの手紙が来た。死の危険にある無実の囚人が、彼の正義、名誉、そして良き名に訴える手紙だった。

彼の決意は固まった。パリへ行かねばならない。

そうだ。磁石岩が彼を引き寄せており、彼は船を進め、ついにぶつかるまで進まねばならなかった。彼は岩を知らなかった。危険もほとんど見えていなかった。自分がしたことについて、その意図は、たとえ未完に終わっていたとしても、フランスで自ら出向いて主張すれば感謝をもって認められるはずのものとして彼の前に現れていた。すると、善をなそうとするあの輝かしい幻が――多くの善良な心にしばしば現れる血気盛んな蜃気楼が――彼の前に立ち上がり、彼は錯覚の中で、自分がいくらかの影響力をもって、この恐ろしく荒れ狂う革命を導く姿さえ見た。

決意を固めて行きつ戻りつ歩きながら、彼はルーシーにも彼女の父にも、出発するまでそれを知らせてはならないと考えた。ルーシーには別れの苦痛を免れさせねばならない。そして、いつも昔の危険な領域へ考えを向けるのを嫌がる彼女の父には、その一歩を、宙吊りの不安と疑いの中にあるものとしてではなく、すでに踏み出されたものとして知ってもらわねばならない。自分の状況が不完全なままになったことのどれほどが、彼女の父に関わるものだったのか――博士の心に古いフランスの記憶をよみがえらせないようにという苦しい気遣いゆえのことだったのか――彼は自分自身と論じ合わなかった。だが、その事情もまた、彼の歩みに影響を及ぼしていた。

彼は思いを忙しく巡らせながら行きつ戻りつ歩き、テルソンへ戻ってロリー氏に別れを告げる時刻になるまでそうしていた。パリに着いたら、すぐにこの旧友の前へ姿を現すつもりだった。だが今は、自分の意図を何も言ってはならなかった。

銀行の戸口には駅馬車用の馬をつけた馬車が用意され、ジェリーは長靴を履き、支度を整えていた。

「あの手紙は届けました」とチャールズ・ダーニーはロリー氏に言った。「書面の返事をあなたに託すことには同意しませんでしたが、口頭の返事ならお引き受けいただけますか?」

「もちろん、喜んで」とロリー氏は言った。「危険でなければ。」

「まったく危険ではありません。もっとも、アバィー監獄の囚人宛てですが。」

「名前は?」ロリー氏は開いた手帳を手にして言った。

「ガベルです。」

「ガベル。で、その不幸な囚人ガベルへの伝言は?」

「ただ、『手紙は受け取った、そして行く』と。」

「時期は言っているかね?」

「明日の夜、旅立つそうです。」

「誰かの名は出ているかね?」

「いいえ。」

彼はロリー氏が何枚もの上着や外套にくるまるのを手伝い、古い銀行の暖かい空気の中から、霧の立ちこめるフリート街へ一緒に出た。「ルーシーと小さなルーシーに愛を伝えてくれ」と別れ際にロリー氏は言った。「私が戻るまで、二人を大事に守ってくれたまえ。」

馬車が走り去ると、チャールズ・ダーニーは首を振り、疑わしげに微笑んだ。

その夜――八月十四日のことだった――彼は遅くまで起きて、熱のこもった手紙を二通書いた。一通はルーシー宛てで、パリへ行かねばならない強い義務を説明し、自分がそこで個人的な危険に巻き込まれるはずはないと確信する理由を、詳しく示した。もう一通は博士宛てで、ルーシーと大切な子どもを博士の保護に託し、同じ事柄について最も力強い保証を重ねた。二人へ、到着後ただちに自分の無事を証明する手紙を発送すると書いた。

その日、彼らとともに過ごすのはつらい一日だった。共に生きてきた日々で初めての隠し事を胸に抱いていたからだ。彼らがまったく疑っていない無邪気な欺きを保つのは難しかった。だが、幸福に忙しく立ち働く妻へ愛情に満ちた一瞥を向けると、彼は迫っていることを告げまいと決意した(彼女の静かな助けなしに何かを行うなど、彼にはあまりにも奇妙だったので、半ば告げようと心が動いていた)。そうして一日は早く過ぎた。夕方早く、彼は妻と、彼女に劣らず愛しい同名の幼子を抱きしめ、やがて戻るふりをした(架空の用事で外出することにし、衣類を詰めた小旅行鞄は密かに用意してあった)。そして彼は、重い霧に包まれた重い街路へ、さらに重い心を抱いて出て行った。

見えない力はいまや急速に彼を自らへ引き寄せ、すべての潮と風はまっすぐ強くそこへ向かっていた。彼は信頼できる門番に二通の手紙を預け、真夜中の三十分前に、決してそれより早くなく届けるよう頼んだ。ドーヴァーへ向けて馬に乗り、旅を始めた。「天への愛にかけて、正義にかけて、寛大さにかけて、あなたの高貴なお名の名誉にかけて!」地上で愛しいものすべてを後にし、磁石岩へ向けて流れ去っていく彼は、打ち沈む心を、その哀れな囚人の叫びで励ました。

第二部 完。

第三部――嵐の跡

第一章 秘密のうちに

一七九二年の秋、イングランドからパリへ向かう旅人は、遅々として道を進んでいた。道路は悪く、馬車も悪く、馬も悪い。それだけでも、たとえ没落した不運なフランス王がいまだ栄光の玉座にあったとしても、旅を十分に遅らせただろう。だが、時代は変わり、それ以外の障害に満ちていた。町の門ごとに、村の徴税所ごとに、市民愛国者の一隊がいて、いつでも暴発しそうな国民銃を構え、行き来する者をすべて止め、根掘り葉掘り尋問し、書類を調べ、自分たちの名簿にその名を探し、気まぐれな判断や思いつきによって、自由、平等、友愛、しからずんば死の、夜明けを迎えつつある不可分の一かつ不可分なる共和国のために最善と信じるまま、引き返させたり、先へ進ませたり、拘束して留置したりしていた。

フランスの旅程をほんの数リーグ進んだだけで、チャールズ・ダーニーは、この田舎道では、パリで善良な市民と認められるまでは、自分に引き返す望みなどないのだと悟りはじめた。いま何が起ころうと、旅の終点まで進むしかない。名もない村の門が背後で閉じるたび、ありふれた関所の遮断棒が背後の道に下りるたび、それが自分とイングランドとのあいだに次々と落とされる鉄の扉なのだと、彼には分かった。四方八方から張りめぐらされた監視の目に包囲され、網にかけられたか、檻に入れられて目的地へ運ばれているとしても、これ以上に自由を奪われたとは感じられなかっただろう。

このあまねき監視は、街道の一行程ごとに彼を二十度も止めただけではない。一日に二十度も進行を妨げた。後ろから馬で追ってきて連れ戻し、先回りして待ち伏せて止め、横に並んで馬を進めながら監視下に置いたのである。フランスに入ってからだけでも幾日も旅を続けたのち、パリからなお遠い街道沿いの小さな町で、疲れ果てて床に就いた。

アバィー監獄から出された、苦境にあるガベル氏の手紙を示すことがなければ、彼はそこまで来ることもできなかっただろう。この小さな土地の衛兵所での難儀は、旅がいよいよ危機に達したと思わせるほどだった。だから、朝まで待つよう預けられた小さな宿屋で、真夜中に起こされたときも、彼は人としてできるかぎり驚かなかった。

彼を起こしたのは、おずおずした地方役人と、粗末な赤帽をかぶり、口にパイプをくわえた三人の武装した愛国者たちで、彼らは寝台に腰を下ろした。

「亡命者よ」と役人が言った。「護送を付けて、そなたをパリへ送る。」

「市民、私はパリへ行ければそれ以上望むことはない。ただし護送はなくても構わないのだが。」

「黙れ!」赤帽の一人がうなり、銃床で掛け布を叩いた。「静かにしろ、貴族め!」

「善良な愛国者の言うとおりだ」と、おずおずした役人が言った。「そなたは貴族であり、護送が必要だ――そしてその費用も払わねばならない。」

「私に選択の余地はない」とチャールズ・ダーニーは言った。

「選択だと! 聞いたか!」同じしかめ面の赤帽が叫んだ。「街灯の鉄柱から吊るされずに守ってもらえるだけでも恩恵だというのに!」

「いつでも善良な愛国者の言うとおりだ」と役人は言った。「起きて身支度をせよ、亡命者。」

ダーニーは従い、衛兵所へ連れ戻された。そこでは、ほかの粗末な赤帽の愛国者たちが、見張り火のそばで煙草を吸い、酒を飲み、眠っていた。ここで彼は護送のために高い金を支払い、午前三時、雨に濡れそぼる道へ、護送者たちとともに出発した。

護送は二人の騎馬の愛国者で、赤帽と三色徽章をつけ、国民銃とサーベルで武装し、彼の左右に一人ずつ馬を進めた。

護送される者は自分の馬を操ったが、手綱にはゆるい縄が結ばれ、その端を愛国者の一人が手首に巻きつけていた。その状態で一行は出発した。激しい雨が顔に吹きつける。でこぼこの町の舗道を、重々しい竜騎兵の速歩でがらがらと進み、泥深い街道へ出た。このまま彼らは、馬と速度を替える以外は何も変わらず、自分たちと首都とのあいだに横たわる泥深い道のりをすべて踏破した。

一行は夜に旅をし、夜明け後に一、二時間休み、黄昏が落ちるまで身を横たえた。護送の二人はあまりにもみすぼらしい身なりで、裸の脚には藁を巻き、破れた肩には雨よけの藁を葺くようにかぶせていた。こうした連れを伴う不快さは別として、また、愛国者の一人が始終酔っぱらっており、銃をひどく無造作に扱うことから生じる当面の危険を別として、チャールズ・ダーニーは、自分に課された拘束に重大な恐怖を呼び起こさせることはなかった。というのも彼は、まだ陳述されていない個別の事情や、アバィー監獄の囚人によって裏づけられるはずの申し立てとは、この拘束は何の関係もないはずだ、と自分に言い聞かせていたからである。

だが、夕刻、人々で通りがあふれるころボーヴェの町に着くと、事態がきわめて不穏であることを、自分に隠すことはできなかった。不吉な群衆が、駅馬車の中庭で彼が馬を下りるのを見ようと集まり、多くの声が大きく叫んだ。「亡命者を倒せ!」

彼は鞍から身を降ろしかけたところで動きを止め、いちばん安全な場所として鞍に戻ると、言った。

「亡命者だと、諸君! 私は自分の意志でフランスに来ているではないか。」

「呪われた亡命者め」と、蹄鉄工が、手に槌を持ち、群衆を押し分けて怒り狂って迫りながら叫んだ。「呪われた貴族め!」

駅長がその男と騎手の手綱――明らかに男がそこを狙っていた――とのあいだに割って入り、なだめるように言った。「放っておけ、放っておけ! パリで裁かれる。」

「裁かれるだと!」蹄鉄工は槌を振り回して繰り返した。「ああ! そして裏切り者として断罪されるのだ。」

これに群衆は賛同の咆哮を上げた。

馬の頭を中庭へ向けようとする駅長を制しながら(酔った愛国者は手首に縄を巻いたまま、鞍上で落ち着き払って見ていた)、ダーニーは声が届くようになるや言った。

「諸君、君たちは思い違いをしているか、思い違いをさせられている。私は裏切り者ではない。」

「嘘をついている!」鍛冶屋が叫んだ。「布告以来、こいつは裏切り者だ。こいつの命は人民のものだ。呪われた命はこいつ自身のものではない!」

群衆の目に突進の気配が浮かび、あと一瞬で襲いかかってくるとダーニーが見たその瞬間、駅長は馬を中庭へ向け、護送の二人は彼の馬のすぐ脇に乗り入れ、駅長はがたつく両開きの門を閉ざしてかんぬきを掛けた。蹄鉄工は槌で門を一撃し、群衆はうめき声を上げたが、それ以上のことはなかった。

「鍛冶屋が言っていた布告とは何だ?」

礼を言い、中庭で駅長のそばに立ったとき、ダーニーは尋ねた。

「正確には、亡命者の財産を売却する布告です。」

「いつ可決された?」

「十四日です。」

「私がイングランドを発った日だ!」

「誰もが言っています、それは幾つかあるうちの一つにすぎず、ほかにも出るだろう――もう出ていなければ――すべての亡命者を追放し、戻ってきた者を全員死刑にする布告が、と。彼があなたの命はあなたのものではないと言ったのは、そういう意味です。」

「だが、まだそんな布告はないのだな?」

「私に何が分かりましょう!」駅長は肩をすくめて言った。「あるかもしれないし、これから出るかもしれない。どちらも同じことです。どうしようもありません。」

彼らは真夜中まで納屋の二階の藁の上で休み、町中が眠りにつくころ、また馬を進めた。なじみあるものが荒々しく変わり果て、この異様な騎行を現実離れしたものにしていたが、その中でも少なからず奇妙だったのは、眠りそのものがまれなものに見えたことだった。荒涼とした道を長く寂しく馬に拍車を入れて進むと、貧しい小屋の集まりに着く。そこは闇に沈んでいるのではなく、どこも灯火できらめいており、真夜中の死んだような時刻に、人々が幽霊めいて、しなびた自由の樹の周りで手に手を取って輪になっていたり、皆そろって立ち並び自由の歌を歌っていたりした。だが幸いにも、その夜のボーヴェには眠りがあったので、一行はそこを抜け出すことができ、ふたたび孤独と寂寥の中へ進んだ。時ならぬ寒さと雨の中、鈴を鳴らしながら、今年は大地の実りをもたらさなかった貧しい畑のあいだを行く。景色には、焼け落ちた家々の黒ずんだ残骸が混じり、また、あらゆる道で見張っている愛国者の巡邏隊が伏兵のように突然姿を現し、行く手を遮って鋭く馬を止めさせた。

やがて夜が明けたとき、一行はパリの城壁の前にいた。彼らがそこへ乗りつけたとき、関門は閉ざされ、厳重に守られていた。

「この囚人の書類はどこだ?」衛兵に呼び出された、権限ある断固たる顔つきの男が要求した。

その不快な言葉に当然ながら打たれ、チャールズ・ダーニーは、相手に注意を促した。自分は自由な旅人でありフランス市民であり、国の混乱した状況のために課された護送を受け、その費用も自分で支払ったのだ、と。

「この囚人の書類はどこだ?」同じ人物は、彼の言葉をまったく意に介さず、繰り返した。

酔った愛国者が帽子の中にそれを入れていて、取り出した。権限あるその人物はガベル氏の手紙に目を走らせると、いくらか動揺と驚きを示し、ダーニーを鋭く見つめた。

しかし彼は、護送する者にもされる者にも一言も告げず、衛兵室へ入っていった。そのあいだ一行は門の外で馬上に座っていた。この宙ぶらりんな状態で周囲を見回しながら、チャールズ・ダーニーは、門が兵士と愛国者の混成の衛兵によって守られており、後者の数が前者をはるかに上回っていることに気づいた。また、物資を運び込む農民の荷車や同様の往来・商人たちが市内へ入るのはかなり容易なのに、外へ出ることは、いちばん質素な人々にとってさえひどく難しいことも分かった。男も女も大勢入り混じり、さまざまな家畜や車両は言うまでもなく、外へ出るために待っていた。だが身元確認があまりに厳格なため、彼らは関門を非常にゆっくりと濾されるように通っていった。中には自分の検査の順番がはるか先だと知って、地面に横になって眠ったり煙草を吸ったりする者もあり、また話し合ったり、ぶらぶらしている者もいた。赤帽と三色徽章は、男にも女にも行き渡っていた。

そうしたものを観察しながら鞍上に半時間ほど座っていると、ダーニーの前に、さきほどの権限ある男が現れ、衛兵に関門を開けるよう命じた。それから、酔った者としらふの者から成る護送者たちに、護送された者の受領証を渡し、彼には馬を下りるよう求めた。彼がそうすると、二人の愛国者は疲れた彼の馬を引き、町へ入ることなく向きを変えて去っていった。

彼は案内者に従い、安ワインと煙草の匂いのする衛兵室に入った。そこでは、眠っている者、起きている者、酔っている者、しらふの者、そして眠りと覚醒、酔いとしらふのあいだのさまざまな中間状態にある兵士や愛国者たちが、立ったり寝転がったりしていた。衛兵所の光は、一方では夜の残りの油ランプの弱々しい光、他方では曇った日の光から来ており、それにふさわしく曖昧だった。机の上には幾冊かの登録簿が開かれ、粗野で暗い面立ちの士官がそれらを取り仕切っていた。

「市民デファルジュ」と、その士官は書くための紙片を手に取りながら、ダーニーの案内者に言った。「これが亡命者エヴレモンドか?」

「この男だ。」

「年齢は、エヴレモンド?」

「三十七歳。」

「既婚か、エヴレモンド?」

「はい。」

「どこで結婚した?」

「イングランドです。」

「疑いないな。妻はどこだ、エヴレモンド?」

「イングランドです。」

「疑いないな。エヴレモンド、そなたはラ・フォルス監獄へ送致される。」

「天よ!」ダーニーは叫んだ。「どの法律によって、どんな罪で?」

士官は紙片から一瞬顔を上げた。

「そなたがここにいたころから、新しい法律ができ、新しい罪もできたのだ、エヴレモンド。」

彼は硬い笑みを浮かべてそう言い、書き続けた。

「どうかご承知いただきたい。私はここにある、同胞の書面による訴えに応えて、自発的に参りました。遅滞なくその事情を述べる機会だけを求めます。それは私の権利ではありませんか?」

原文

「亡命者に権利はない、エヴレモンド」無表情な返答だった。士官は書き終えるまで筆を進め、書いたものを読み返し、砂を振って乾かし、デファルジュに渡して言った。「秘密。」

デファルジュはその紙を合図に、囚人へ同行せよと示した。囚人は従い、武装した愛国者二人の衛兵がついた。

「あなたか」とデファルジュは、衛兵所の階段を下りてパリへ曲がっていくとき、低い声で言った。「もはや存在しないバスティーユ監獄に囚われていたマネット博士の娘と結婚したのは?」

「そうです」ダーニーは驚いて彼を見ながら答えた。

「私の名はデファルジュ。サン=タントワーヌ地区で酒場を営んでいる。おそらく聞いたことがあるだろう。」

「妻が父を取り戻すため、あなたの店へ行きましたね? そうです!」

「妻」という言葉は、デファルジュに陰鬱な何かを思い出させたらしく、彼は急に苛立って言った。「あの新しく生まれた鋭い女、ギロチンの名にかけて、なぜフランスへ来た?」

「つい一分前に理由を言ったのを聞いたでしょう。真実だとは信じないのですか?」

「あなたにとっては悪い真実だ」デファルジュは眉を寄せ、まっすぐ前を見据えて言った。

「実際、ここでは私は何も分からない。ここは何もかも前例がなく、変わり果て、急で、不公平で、まったく途方に暮れています。少し助けてはもらえませんか?」

「できない。」

デファルジュは相変わらずまっすぐ前を見たまま言った。

「一つだけ質問に答えてもらえますか?」

「場合による。質問の性質しだいだ。言ってみるがいい。」

「こうして不当に送られる監獄で、外の世界といくらか自由に連絡を取ることはできますか?」

「行けば分かる。」

「そこに埋められるように閉じ込められ、あらかじめ裁かれ、自分の事情を示す手段もない、ということにはなりませんね?」

「行けば分かる。だが、それがどうした? これまでにも、ほかの人々がもっとひどい監獄に同じように埋められてきたのだ。」

「しかし、市民デファルジュ、私がそうしたのではありません。」

デファルジュは答えとして暗い目をちらりと向け、揺るぎない固い沈黙のまま歩き続けた。彼がその沈黙の奥へ沈むほど、わずかでも心が和らぐ望みは薄れる――少なくともダーニーにはそう思えた。そこで彼は急いで言った。

「私にとってきわめて重要なのです(市民、あなたは私以上にそれがどれほど重要かご存じでしょう)、いまパリにいるイングランド紳士、テルソン銀行のロリー氏へ、何の論評も添えず、私がラ・フォルス監獄に入れられたという単純な事実だけを知らせることが。どうかそれをしていただけませんか?」

「私は」とデファルジュは頑なに答えた。「あなたのためには何もしない。私の義務は祖国と人民に対してある。私はその双方に誓った僕であり、あなたに敵対する者だ。あなたのためには何もしない。」

チャールズ・ダーニーは、これ以上懇願しても望みはないと感じたし、誇りも傷ついた。二人が沈黙のまま歩いていくと、囚人が街路を連れていかれる光景に人々がいかに慣れているかを、彼は見ずにはいられなかった。子供たちでさえほとんど彼に目を留めない。通行人が何人か振り返り、何人かが貴族だとして指を振っただけで、それ以外には、身なりのよい男が監獄へ行くことは、作業着の労働者が仕事へ行くことと同じくらい珍しくなかった。彼らが通った狭く暗く汚い通りでは、興奮した弁士が腰掛けの上に立ち、興奮した聴衆に向かって、王と王家が人民に対して犯した罪を演説していた。その男の唇から聞き取れたわずかな言葉で、チャールズ・ダーニーは初めて、王が獄中にあり、外国大使たちがことごとくパリを去ったことを知った。道中では(ボーヴェを除いて)彼はまったく何も聞いていなかった。護送とあまねき監視が、彼を完全に孤立させていたのである。

イングランドを発ったときに姿を現していた危険よりも、はるかに大きな危険のただ中に落ち込んだことを、彼はもちろん今や知っていた。危険が急速に彼の周囲で濃くなり、なおいっそう速く濃くなりうることも、もちろん知っていた。数日前の出来事を予見できていたなら、この旅には出なかったかもしれないと、自分に認めざるをえなかった。それでも、後の時代の光で想像すればそう見えるほどには、彼の不安は暗くなかった。未来は波乱に満ちていたが、それは未知の未来であり、その暗がりの中には無知ゆえの希望があった。あとわずかな時のうちに、数日数夜にわたって、祝福されるべき収穫の時に大きな血の印を押すことになる恐ろしい虐殺は、十万年先のことのように彼の認識の外にあった。「新しく生まれた鋭い女、ギロチン」と呼ばれるものも、彼にとっても、一般の人々にとっても、その名さえほとんど知られていなかった。まもなく行われることになる戦慄すべき所業は、おそらくその時点では、実行者たちの頭の中にも思い描かれていなかった。どうしてそれが、穏やかな心のぼんやりした想像の中に居場所を持てただろうか。

拘禁と苦難における不当な扱い、妻子との残酷な別離については、彼はありそうなこと、あるいは確実なこととして予感していた。しかしそれ以上に、はっきり恐れるものはなかった。陰鬱な監獄の中庭へ持ち込むにはそれだけで十分な思いを胸に、彼はラ・フォルス監獄へ到着した。

膨れた顔の男が頑丈なくぐり戸を開けた。デファルジュはその男に「亡命者エヴレモンド」を引き渡した。

「畜生! まだ何人来るんだ!」膨れた顔の男は叫んだ。

デファルジュはその叫びを気にも留めず受領証を受け取り、二人の愛国者仲間とともに立ち去った。

「畜生、もう一度言うぞ!」妻とともに残された牢番が叫んだ。「まだ何人だ!」

牢番の妻はその問いに答えを持ち合わせていなかったので、ただ「我慢しなくちゃね、あなた!」と答えただけだった。

彼女が鳴らした呼び鈴に応じて入ってきた三人の鍵番もその気持ちに同調し、一人が「自由への愛のために」と付け加えたが、その場所では場違いな結びのように響いた。

ラ・フォルス監獄は陰鬱な監獄で、暗く汚く、汚れた眠りのひどい匂いがこもっていた。手入れの悪いこうした場所では、囚われた眠りの忌まわしい臭気が、なんと早くはっきり現れることか! 

「しかも秘密だと」牢番は書かれた紙を見て不平を言った。「もう破裂しそうなほど満杯だというのに!」

彼は不機嫌にその紙を書類刺しに突き刺した。チャールズ・ダーニーは、その後の沙汰を半時間待った。頑丈なアーチ形の部屋を行ったり来たりし、ときには石の腰掛けに腰を下ろした。いずれにせよ、彼は長官とその部下たちの記憶に刻み込まれるために留め置かれていたのである。

「来い!」やがて長官は鍵束を取り上げて言った。「ついて来い、亡命者。」

陰鬱な監獄の薄明かりの中、新しい囚人は、廊下や階段を通って彼についていった。多くの扉が背後で音を立てて閉まり、鍵を掛けられた。やがて二人は、低く大きなヴォールト天井の部屋に着いた。そこは男女の囚人でいっぱいだった。女たちは長い卓に座り、読んだり書いたり、編み物をしたり、縫い物や刺繍をしたりしていた。男たちは大半が椅子の後ろに立つか、部屋を行き来していた。

囚人といえば恥ずべき犯罪や不名誉を本能的に連想して、新来者はこの一団から身を引いた。だが、その長く非現実的な騎行の非現実感を頂点にまで押し上げたのは、彼らが一斉に立ち上がり、当時知られていたあらゆる洗練された作法と、人生の魅力ある優雅さや礼儀をもって彼を迎えたことだった。

その洗練は監獄の作法と陰鬱さに奇妙に曇らされ、場違いな不潔と惨めさを透かして見えるせいで、彼らは幽霊のようになっていた。チャールズ・ダーニーには、自分が死者の一団の中に立っているように思えた。すべて幽霊だった。美の幽霊、威厳の幽霊、優雅の幽霊、誇りの幽霊、軽薄の幽霊、機知の幽霊、若さの幽霊、老いの幽霊。みな荒涼たる岸辺からの退去を待ち、そこへ来るまでに死んだ死によって変わり果てた目を彼へ向けていた。

彼は打たれたように動けなかった。そばに立つ牢番や、周囲を動くほかの牢番たちは、通常の職務を果たしているだけなら外見上さほど不自然ではなかっただろう。しかしそこにいる悲しむ母親たちや花のような娘たち――色っぽい女、若い美女、繊細に育てられた成熟した婦人たちの幻影――と対照されると、あまりにも途方もなく粗野に見え、この影の光景が示すあらゆる経験と蓋然性の転倒を、極限まで高めていた。間違いなく、すべて幽霊だった。間違いなく、長い非現実の騎行は、彼をこの陰惨な影の世界へ運んできた病の進行なのだった。

「ここに集う不幸の友らを代表して」と、宮廷風の容姿と物腰の紳士が進み出て言った。「あなたをラ・フォルスへお迎えする光栄を担い、またあなたをわれわれの中へ連れてきた災厄にお悔やみ申し上げます。どうかそれが速やかに幸福な終わりを迎えますように! ほかの場所なら不躾でしょうが、ここではそうではありません。お名前とご身分を伺ってもよろしいでしょうか?」

チャールズ・ダーニーは我に返り、見つけうるかぎりふさわしい言葉で、求められたことを告げた。

「しかし願わくは」とその紳士は、部屋を横切っていく長官牢番を目で追いながら言った。「あなたが秘密ではありませんように。」

「その言葉の意味は分かりませんが、彼らがそう言うのを聞きました。」

「ああ、なんとお気の毒な! われわれは深くお察しします! しかし勇気をお持ちなさい。われわれの仲間にも、初めは秘密だった者が幾人かいますが、それは短いあいだで済みました。」

それから彼は声を高めて付け加えた。「諸君に残念なお知らせをしなければならない――秘密です。」

チャールズ・ダーニーが、牢番の待つ格子戸へ向かって部屋を横切ると、同情のざわめきが起こり、多くの声――中でも女たちの柔らかく哀れみ深い声が際立っていた――が幸運と励ましを彼に送った。彼は格子戸のところで振り返り、心からの感謝を述べようとした。戸は牢番の手で閉じられ、幻影たちは彼の視界から永遠に消えた。

くぐり戸は上へ続く石段に開いていた。四十段上ったところで(半時間前から囚人となった彼はすでに数えていた)、牢番は低い黒い扉を開け、二人は独房へ入った。そこは冷たく湿っていたが、暗くはなかった。

「ここだ」と牢番は言った。

「なぜ私は一人で閉じ込められるのですか?」

「知るか!」

「ペンとインクと紙は買えますか?」

「そういう命令は受けていない。そのうち見回りが来るから、そのとき聞け。今のところは食べ物だけ買える。それ以外はだめだ。」

独房には椅子、卓、藁の寝台があった。牢番が出ていく前にそれらの品と四方の壁を一通り点検しているとき、向かいの壁にもたれていた囚人の心を、さまよう空想がよぎった。この牢番は顔も体も不健康に膨れ上がり、まるで溺れて水をたっぷり含んだ男のようだ、と。牢番が去ると、同じようにさまよう思いで彼は考えた。「これで私は、死んだも同然に取り残された。」

そこで立ち止まり、藁の寝台を見下ろすと、彼は吐き気を覚えて目をそむけ、思った。「そしてここを這う虫どもが、死後の身体の最初の状態なのだ。」

「五歩に四歩半、五歩に四歩半、五歩に四歩半。」

囚人は独房の中を行き来し、その寸法を数えた。都市の轟きが、くぐもった太鼓のように湧き上がり、そこへ荒々しい声の高まりが加わった。「彼は靴を作った、彼は靴を作った、彼は靴を作った。」

囚人はまた寸法を数え、あの後の繰り返しから心を引き離そうと、足早に歩いた。「くぐり戸が閉まると消えた幽霊たち。その中に一人、黒い服を着た婦人の姿があった。窓のくぼみにもたれ、金色の髪に光が差し、まるで**** お願いだ、神の名にかけて、もう一度馬で走ろう、人々がみな目覚めている明るい村々を抜けて! **** 彼は靴を作った、彼は靴を作った、彼は靴を作った。**** 五歩に四歩半。」

こうした断片が心の深みから跳ね上がり、転がりながら、囚人はますます足早に歩き、頑固に数え続けた。都市の轟きは変わった――いまだくぐもった太鼓のように流れ込んではくるが、その上に盛り上がる声のうねりには、彼の知っている嘆き声が混じっていた。

第二章 砥石

パリのサン=ジェルマン地区に設けられたテルソン銀行は、大きな邸宅の一翼にあり、中庭を通って入る造りで、高い塀と頑丈な門によって通りから隔てられていた。その邸宅は、ある大貴族のもので、彼は混乱から逃れるため、自分の料理人の服をまとって国境を越えるまで、そこに住んでいた。狩人から逃げる単なる獣となったとはいえ、その変身後も彼はかつてと同じモンセニョールにほかならなかった。彼の唇に供されるチョコレートを用意するためには、くだんの料理人のほかに、三人の屈強な男が必要だった、そのモンセニョールである。

モンセニョールが去り、その三人の屈強な男たちが、彼の高給を受け取っていた罪を償うかのように、自由、平等、友愛、しからずんば死の、夜明けを迎えつつある不可分の一なる共和国の祭壇で彼の喉をかき切ることに、この上なく進んで熱心になったのち、モンセニョールの邸宅はまず差し押さえられ、ついで没収された。あらゆることがあまりにも速く進み、布告に布告が激しい性急さで続いたため、秋の月、九月三日の夜には、法の愛国的使者たちがモンセニョールの邸宅を占拠し、そこに三色旗の印をつけ、豪奢な客間でブランデーを飲んでいたのである。

ロンドンにある商売場が、パリのテルソンの商売場のようであったなら、その店はたちまち正気を失って『ガゼット』紙[訳注:破産公告が掲載された官報]に載る羽目になっただろう。銀行の中庭に箱植えのオレンジの木があり、さらにはカウンターの上にキューピッドがいるなど、落ち着いた英国的責任感と体面は何と言っただろうか。だが、そうしたものは実際にあった。テルソンはキューピッドを白く塗っていたが、それでも天井にはなおその姿が見え、いかにも涼しげな薄衣で、朝から晩まで金を狙って矢を引いていた(彼がよくするように)。ロンドンのロンバード街なら、この若い異教の神がいれば破産は避けられなかったに違いないし、この不滅の少年の背後にあるカーテン付きの小部屋も、壁にはめ込まれた鏡も、少しのきっかけで人前で踊る、まったく老けていない事務員たちも同様だった。とはいえ、フランスのテルソンはこうしたものとともに実にうまくやっており、時代が持ちこたえているかぎり、誰もそれに怯えて金を引き出した者はいなかった。

これから先、テルソンからどの金が引き出され、どの金がそこに失われ忘れ去られて残るのか。預金者たちが監獄で錆びつき、やがて暴力的に命を落とすあいだ、テルソンの隠し場所でどの銀器や宝石が曇っていくのか。テルソンとの幾つの勘定が、この世では決して清算されず、来世へ持ち越されねばならないのか。その夜、それを言える者は誰もいなかった。ジャービス・ロリー氏にも言えなかったが、彼はそれらの問題を重く考えていた。彼は新しく火の入れられた薪火のそばに座っていた(不作で実りのない年は、早くも寒くなっていた)。その誠実で勇敢な顔には、吊りランプが投げることも、部屋のどんな物が歪めて反射することもできない、より深い影――恐怖の影が差していた。

彼は銀行内の部屋を使っていた。自分が一部となるまで強い根を張る蔦のように結びついた商会への忠誠からである。たまたま、母屋を愛国者たちが占拠していることが、ある種の安全をもたらしてはいたが、この真心ある老紳士はそんな計算をしたことはなかった。義務を果たしているかぎり、そうした事情はすべて彼にはどうでもよかった。中庭の向こう側、列柱の下には馬車置き場として広い場所があり、実際そこにはモンセニョールの馬車がまだ幾台か残っていた。二本の柱には大きく燃え上がる松明が二つ取り付けられ、その光の中、戸外に大きな砥石が置かれていた。粗末に据えられたもので、近くの鍛冶場か何かの作業場から急いで運び込まれたように見えた。立ち上がって窓の外にあるそうした害のない物を眺めたロリー氏は身震いし、炉辺の席へ戻った。彼はガラス窓だけでなく、その外側の格子戸も開けていたが、その両方を閉め直し、全身を震わせた。

高い塀と頑丈な門の向こうの通りからは、都市のいつもの夜のざわめきが聞こえてきた。その中に、ときおり言い表しがたい響きが混じった。異様で、この世のものならぬ、何か恐ろしい性質の見慣れぬ音が天へ上っているかのようだった。

「神に感謝します」とロリー氏は両手を握り合わせて言った。「今夜、この恐ろしい町に、私の身近な大切な者が誰もいないことを。危険の中にあるすべての者に、神の慈悲がありますように!」

ほどなくして、大門の呼び鈴が鳴り、彼は「戻ってきたのだ!」と思って耳を澄ませた。だが、予期したように中庭へ大勢が激しくなだれ込む音はなく、門がまたがしゃんと閉まるのを聞いただけで、あとは静かになった。

彼に取りついていた神経の高ぶりと恐怖は、大きな変化がこうした感情を呼び起こすとき自然に生じる、銀行に関する漠然とした不安をかき立てた。銀行はよく守られており、彼はそれを見張っている信頼できる者たちのところへ行こうと立ち上がった。そのとき、扉が突然開き、二つの人影が飛び込んできた。彼はそれを見て驚愕し、思わず後ずさった。

ルーシーとその父だった! ルーシーは彼へ両腕を差し伸べていた。その顔には昔からの真剣な表情があり、それがあまりにも凝縮され、強められていたため、彼女の人生のこの一場面に力と重みを与えるため、わざわざその顔に刻みつけられたかのように見えた。

「これはどういうことです?」ロリー氏は息を切らし、混乱して叫んだ。「何があったのです? ルーシー! マネット! 何が起こったのです? なぜここへ? いったい何です?」

彼女は蒼白で取り乱しながらも、視線を彼に据えたまま、その腕の中で息を弾ませ、すがるように言った。「ああ、大切な友よ! 夫が!」

「あなたのご主人が、ルーシー?」

「チャールズが。」

「チャールズがどうしたのです?」

「ここに。」

「ここ、パリに?」

「何日か前からここに――三日か四日か――何日か分かりません――考えがまとまらないのです。寛大な用件で、私たちに知らせずここへ来たのです。でも関門で止められ、監獄へ送られました。」

老人は抑えようのない叫びを上げた。ほとんど同じ瞬間、大門の呼び鈴がまた鳴り、足音と声の大きな騒ぎが中庭へなだれ込んできた。

「あの音は何です?」博士が窓の方を向いて言った。

「見てはいけません!」ロリー氏は叫んだ。「外を見てはいけません! マネット、命に関わります、格子戸に触らないで!」

博士は、窓の留め金に手をかけたまま振り返り、冷静で大胆な笑みを浮かべて言った。

「親愛なる友よ、この町では私の命は守られている。私はバスティーユの囚人だった。パリに――いやフランスに、私がバスティーユの囚人だったと知って私に手を出す愛国者などいない。抱擁で押しつぶすか、勝利の行列のように担ぎ上げることはあっても。昔の苦しみが私に力を与え、その力で私たちは関門を通り、そこでチャールズの知らせを得て、ここへ来た。こうなると分かっていた。チャールズをあらゆる危険から救い出せると分かっていた。ルーシーにもそう言ったのだ。――あの音は何だ?」

彼の手はふたたび窓にかかった。

「見てはいけません!」ロリー氏は、まったく必死に叫んだ。「だめです、ルーシー、あなたもだめです!」

彼は彼女を腕で抱き寄せ、支えた。「そんなに怯えないでください、いとしい人。私は厳粛に誓います、チャールズに害が及んだとは何も知りません。彼がこの致命的な場所にいることさえ、疑ってもいませんでした。彼はどの監獄に?」

「ラ・フォルスです!」

「ラ・フォルス! ルーシー、わが子よ、これまでの人生で勇敢で役に立つ人であったことがあるなら――そしてあなたはいつもその両方でした――今こそ心を落ち着け、私の言うとおりにしてもらわねばなりません。あなたが思う以上に、私が言える以上に、多くのことがそれにかかっています。今夜、あなた自身が何か行動して助かることはありません。外へ出ることなど絶対にできません。こう言うのは、チャールズのためにあなたに命じなければならないことが、何よりも難しいからです。すぐに従い、じっとして、静かにしていなければなりません。私はあなたをここの奥の部屋へ入れます。お父上と私を二分だけ二人にしてください。この世に生と死があるかぎり、遅れてはなりません。」

「あなたに従います。あなたの顔を見れば、私にはそれ以外できないと、あなたが知っていることが分かります。あなたが誠実な方だと知っています。」

老人は彼女に口づけし、急いで自分の部屋へ入れ、鍵を掛けた。それから博士のもとへ急いで戻り、窓を開け、格子戸を少し開け、博士の腕に手を置き、ともに中庭をのぞいた。

そこに見えたのは、男と女の群れだった。中庭を満たすほどの数でも、近さでもなく、全部で四、五十人を超えなかった。邸宅を占拠している者たちが彼らを門から入れたのであり、彼らは砥石で作業するために駆け込んできていた。それは明らかに、便利で人目につきにくい場所として、彼らの目的のためにそこへ据えられたものだった。

だが、なんという恐ろしい作業者たち、なんという恐ろしい仕事だろう! 

砥石には二つの取っ手があり、それを狂ったように回している二人の男がいた。砥石の回転で顔が上を向き、長い髪が後ろへはねるたび、その顔は、もっとも野蛮な扮装をした最も荒々しい蛮人の顔よりも恐ろしく残酷だった。付け眉と付け口髭を貼りつけ、醜い顔は血と汗にまみれ、吠え立てるために歪み、獣じみた興奮と睡眠不足で目をむき、ぎらついていた。この悪党どもが回しに回すあいだ、もつれた髪が目の上へ前に投げ出されたかと思えば、首筋へ後ろに投げ飛ばされ、女たちの幾人かが彼らの口元にワインを差し出して飲ませていた。滴る血、滴るワイン、石から吹き出す火花の流れによって、彼らを包む邪悪な空気はすべて血潮と炎のようだった。その集団の中に、血の汚れを免れた者を一人として目で見分けることはできなかった。次に刃を研ごうとして肩をぶつけ合っているのは、腰まで裸で、手足も体も汚れに覆われた男たち、あらゆるぼろをまとい、そのぼろに汚れをつけた男たち、女物のレースや絹やリボンの戦利品で悪魔のように飾り立て、その小物の隅々まで汚れに染めた男たちだった。研ぐために持ち込まれた手斧、ナイフ、銃剣、剣は、どれもそれで赤かった。欠けた剣の幾つかは、麻布の裂け端や衣服の断片で、持つ者の手首に結びつけられていた。結び紐はさまざまだったが、どれも一つの色に深く染まっていた。そして、これらの武器を振るう狂乱の者たちが、火花の流れからそれをひったくり、街路へ飛び出していくとき、その狂った目にも同じ赤い色が燃えていた。獣性に染まっていない目撃者なら誰であれ、狙い澄ました銃でその目を石にしてしまうために、寿命の二十年を差し出してもよいと思っただろう。

これらすべては一瞬のうちに見えた。溺れかけた人間や、極度の危機にあるどんな人間も、そこに世界があれば一瞬で世界を見ることができるように。二人は窓から身を引き、博士は友の灰のような顔に説明を求めた。

「彼らは」とロリー氏は、鍵の掛かった部屋の方へ怯えた目を走らせながら、ささやいた。「囚人たちを殺しているのです。あなたのおっしゃることが確かなら、あなたが持っていると思う力を本当に持っているなら――私は持っていると信じます――あの悪魔たちに自分を知らせ、ラ・フォルスへ連れていかれなさい。手遅れかもしれません、私には分かりません。だが一分たりとも遅らせてはなりません!」

マネット博士は彼の手を握り、帽子もかぶらず部屋を飛び出した。ロリー氏が格子戸に戻ったとき、博士はすでに中庭にいた。

流れる白髪、際立った顔立ち、そして武器を水のように押し分けるその態度の激しい確信が、彼を瞬く間に砥石の群衆の中心へ運んだ。しばらくのあいだ、停止と混乱とざわめき、そして彼の声の聞き取れない音があった。それからロリー氏は、彼が全員に囲まれ、肩と肩、手と肩を組んだ二十人ほどの列の中央に置かれ、「バスティーユの囚人万歳! ラ・フォルスにいるバスティーユの囚人の親族を助けろ! 前を開けろ、バスティーユの囚人を通せ! ラ・フォルスの囚人エヴレモンドを救え!」という叫びと、千もの応答の叫びに送られて急いで連れ出されるのを見た。

彼は震える心でまた格子戸を閉じ、窓とカーテンを閉め、ルーシーのもとへ急いで行き、父上は人々の助けを受け、ご主人を探しに行かれたと告げた。彼女のそばには子供とミス・プロスがいた。だが、ずっと後になって、その夜に可能なかぎりの静けさの中で彼女たちを見守って座っていたときまで、彼女たちが現れたことに驚くという考えは、彼にはまったく浮かばなかった。

そのころまでにルーシーは、彼の足もとの床に昏然と倒れ、彼の手にしがみついていた。ミス・プロスは子供を彼の寝台に寝かせ、その頭は次第に、美しい保護対象のかたわらの枕へ落ちていった。ああ、長い、長い夜、哀れな妻のうめきとともに! そしてああ、長い、長い夜、父は戻らず、知らせもないままに! 

暗闇の中でさらに二度、大門の呼び鈴が鳴り、侵入が繰り返され、砥石が回り、火花を散らした。「何ですか?」ルーシーが怯えて叫んだ。「しっ。兵士たちの剣をあそこで研いでいるのです」とロリー氏は言った。「ここは今や国有財産で、一種の武器庫として使われているのですよ、いとしい人。」

さらに二度あっただけだった。だが最後の作業は弱々しく、途切れがちだった。ほどなく夜が明けはじめ、彼は握りしめられた手からそっと自分の手を外し、慎重にまた外をのぞいた。あまりにもひどく汚れていて、まるで殺戮の野で意識を取り戻しながら這い戻る重傷の兵士のようにも見える男が、砥石のそばの敷石から身を起こし、うつろな様子で周囲を見回していた。やがてこの疲れ果てた殺人者は、不完全な光の中にモンセニョールの馬車の一台を見つけ、その豪奢な乗り物へよろめき寄り、扉から中へよじ登り、繊細なクッションの上で休むために自分を閉じ込めた。

ロリー氏がふたたび外を見たとき、大いなる砥石である地球は回り、太陽が中庭を赤く染めていた。だが、小さな砥石は穏やかな朝の空気の中に一つだけ立ち、その上には太陽が与えたことも、取り去ることもない赤が残っていた。

第三章 影

勤務時間がめぐってきたとき、ロリー氏の実務的な心に最初に浮かんだ考えの一つはこうだった。亡命囚の妻を銀行の屋根の下にかくまって、テルソンに危険を及ぼす権利は自分にはない。自分の財産、安全、命であれば、ルーシーとその子のために一瞬のためらいもなく賭けただろう。だが、彼が預かる大きな信託は彼自身のものではなく、その業務上の責任については、彼は厳格な実務家だった。

初め、彼の思いはデファルジュに戻り、あの酒場をもう一度探し出して、混乱した都市の状況でいちばん安全な住まいについて店主に相談しようかと考えた。だが、彼を思いつかせたのと同じ考慮が、彼を退けた。デファルジュは最も激しい地区に住み、そこできっと影響力を持ち、危険な動きの深くに入り込んでいるに違いなかった。

正午になっても博士は戻らず、一分ごとの遅れがテルソンを危うくしかねないため、ロリー氏はルーシーと相談した。彼女は、父がこの地区で、銀行の近くに短期の宿を借りることを話していたと言った。それに業務上の支障はなく、また、たとえチャールズが無事で釈放されても町を出る望みはないと彼には見えていたので、ロリー氏はそのような宿を探しに出かけた。そして、人気のない脇道の高い場所に適当な部屋を見つけた。高く物寂しい建物の四角い一画にあり、ほかの窓はすべて閉じた鎧戸で、捨てられた家々であることを示していた。

彼はただちにルーシーとその子、そしてミス・プロスをその宿へ移し、できるかぎり慰めた。自分が持ち合わせる以上の慰めをも与えた。彼はジェリーを彼女たちのところへ残した。戸口をふさぐ姿として、かなり頭を殴られても持ちこたえられるだろうからである。そして自分の仕事へ戻った。乱れ沈んだ心でそれに向かい、日はいかにもゆっくりと重く彼とともに過ぎていった。

日が暮れ、彼もまた消耗し、銀行が閉まった。彼は前夜の部屋にふたたび一人でいて、次にどうすべきか考えていた。そのとき階段に足音が聞こえた。数瞬ののち、一人の男が彼の前に立った。男は鋭く観察するように彼を見つめ、彼の名を呼んだ。

「どうも」とロリー氏は言った。「私をご存じですか?」

男は、黒い巻き毛をした、四十五から五十歳くらいの頑丈な体つきの人物だった。答えとして、彼は抑揚をまったく変えずに同じ言葉を繰り返した。

「私をご存じか?」

「どこかでお目にかかったことがあります。」

「私の酒場で、かもしれないな。」

ひどく興味を引かれ、動揺して、ロリー氏は言った。「マネット博士のところから?」

「そうだ。マネット博士のところから来た。」

「博士は何と? 私に何を託されたのです?」

デファルジュは、不安げな彼の手に、開かれた紙片を渡した。そこには博士の筆跡で次の言葉があった。

「チャールズは無事だが、私はまだ安全にここを離れられない。
持参人がチャールズから妻への短い手紙を持つ許可を得た。
持参人に妻を会わせてほしい。」

日付はラ・フォルスで、一時間以内のものだった。

「ご一緒願えますか」とロリー氏は、この手紙を声に出して読んだあと、喜びに安堵して言った。「彼の妻の住まいまで。」

「よい」とデファルジュは返した。

デファルジュが妙に控えめで機械的な話し方をしていることには、まだほとんど気づかず、ロリー氏は帽子をかぶり、二人は中庭へ下りた。そこには二人の女がいた。一人は編み物をしていた。

「デファルジュ夫人、まさしく!」ロリー氏は言った。十七年前、彼女をまさに同じ姿勢で後にしたのだった。

「彼女だ」と夫が言った。

「夫人もご一緒に?」彼女が彼らとともに動くのを見て、ロリー氏は尋ねた。

「そうだ。顔を見分け、人物を知っておけるようにするためだ。彼らの安全のためだ。」

デファルジュの様子にようやく引っかかりを覚えはじめながら、ロリー氏は疑わしげに彼を見て、先に立った。二人の女は後に続いた。二人目の女はヴァンジャンスだった。

彼らは間の通りをできるだけ急いで進み、新しい住まいの階段を上り、ジェリーに中へ入れられ、ルーシーが一人で泣いているのを見つけた。ロリー氏が夫の知らせを伝えると、彼女は有頂天になり、その手紙を届けた手を握りしめた――その手が夜のあいだ彼女の夫の近くで何をしていたか、また偶然がなければ夫に何をしていたかなど、少しも思いもせずに。

「*最愛の人へ*――勇気を持って。私は無事だ。君の父上は
私の周囲で影響力を持っている。これに返事はできない。
私のために子供に口づけを。」

書かれていたのはそれだけだった。だが受け取った彼女にとってはそれで十分すぎるほどだったので、彼女はデファルジュからその妻へ向き直り、編み物をする手の一つに口づけした。それは情熱的で、愛情深く、感謝に満ちた、女らしい行為だった。だがその手は何の応答もせず――冷たく重く落ち、また編み物に戻った。

その手触りには、ルーシーをはっとさせる何かがあった。彼女は手紙を胸に入れかけたまま動きを止め、両手をまだ首もとに置いたまま、怯えた目でデファルジュ夫人を見つめた。デファルジュ夫人は、上がった眉と額を、冷たく無表情な凝視で受け止めた。

「親愛なる方」とロリー氏が割って入り、説明した。「街ではしばしば騒ぎが起きます。あなたが困らせられることはおそらくないでしょうが、デファルジュ夫人は、そういう時に自分が守る力を持つ人々を見ておきたいのです。知っておくために――身元を見分けられるように。そういうことだと思いますが」とロリー氏は、三人全員の石のような態度がますます重く感じられ、安心させる言葉をいささかつかえさせながら言った。「そう申し上げてよろしいですね、市民デファルジュ?」

デファルジュは陰気に妻を見やり、同意のしるしとしてぶっきらぼうな音を漏らしただけだった。

「ルーシー」とロリー氏は、声色と態度でできるかぎりなだめようとしながら言った。「かわいいお子さんと、われらが善きプロスをここへ呼んだほうがよいでしょう。われらが善きプロスは、デファルジュ、イングランドの婦人で、フランス語は分かりません。」

当の婦人は、自分がどんな外国人にも十分対抗できるという根深い確信を、苦境や危険によっても揺るがされることなく、腕を組んで現れた。そして最初に目の合ったヴァンジャンスに向かって、英語で言った。「まあ、確かにね、厚かましい顔だこと! あなたがお元気なら結構ですわ!」

彼女はデファルジュ夫人にも英国式の咳払いを一つ贈った。だが二人の女のどちらも、彼女に大した注意を払わなかった。

「あれが彼の子か?」デファルジュ夫人は初めて手を止め、編み針を運命の指であるかのように小さなルーシーへ向けて言った。

「はい、夫人」とロリー氏が答えた。「この子は、われわれの哀れな囚人の愛する娘で、ただ一人の子です。」

デファルジュ夫人とその一行に付き従う影が、その子の上へ脅かすように暗く落ちたように見え、母親は本能的に子のそばにひざまずき、胸に抱いた。するとデファルジュ夫人とその一行に付き従う影は、今度は母と子の双方に、脅かすように暗く落ちたように見えた。

「もう十分だ、夫」とデファルジュ夫人は言った。「彼らを見た。行こう。」

だが、その抑えた態度には、見える形で示されているのではなく、曖昧に押し隠された威嚇が十分にあり、ルーシーを不安に駆り立てた。彼女は訴える手をデファルジュ夫人の服に置き、言った。

「どうか私のかわいそうな夫に善くしてください。夫に害をなさらないでください。できるなら、私が夫に会えるよう助けてくださいませんか?」

「あなたの夫は、ここでの私の用ではない」とデファルジュ夫人は、完全に落ち着いて彼女を見下ろしながら返した。「私の用は、あなたの父の娘だ。」

「では私のために、夫に慈悲をおかけください。わが子のために! この子は手を合わせて、慈悲をとあなたに祈るでしょう。私たちは、ほかの方々よりあなたを恐れています。」

デファルジュ夫人はそれを賛辞として受け取り、夫を見た。デファルジュは不安げに親指の爪を噛みながら妻を見ていたが、顔つきをより厳しい表情へまとめた。

「その小さな手紙で、あなたの夫は何と言っている?」デファルジュ夫人は暗い笑みを浮かべて尋ねた。「影響力、とか。影響力に触れて何か言っているのでは?」

「父が」とルーシーは、急いで胸から紙を取り出しながらも、怯えた目は紙ではなく問いかける相手に注いだまま言った。「父が、夫の周囲で大きな影響力を持っていると。」

「きっとそれで釈放されるでしょう!」デファルジュ夫人は言った。「そうなればよい。」

「妻として、母として」とルーシーは心の底から叫んだ。「どうか私を哀れんでください。あなたが持つ力を、私の罪なき夫に対して行使せず、夫のために使ってください。ああ、同じ女として、私のことを考えてください。妻として、母として!」

デファルジュ夫人は相変わらず冷たく、嘆願する彼女を見つめ、友人ヴァンジャンスの方を向いて言った。

「私たちがこの子ほど小さいころ、いやもっと小さいころから見慣れてきた妻たちや母たちは、大いに顧みられてきたか? 彼女たちの夫や父が監獄に入れられ、彼女たちから引き離されたことを、私たちは何度も知っているのではないか? 私たちは生涯を通じて、同じ女たちが、自分自身と子供たちの身に、貧困、裸、飢え、渇き、病、惨めさ、抑圧、あらゆる種類の無視に苦しむのを見てきたのではないか?」

「それ以外は何も見てこなかった」とヴァンジャンスは答えた。

「私たちは長いあいだこれに耐えてきた」とデファルジュ夫人は目を再びルーシーへ向けて言った。「あなたが判断するといい! いまさら一人の妻と母の苦しみが、私たちにとって大きなことだと思うか?」

彼女は編み物を再開し、出ていった。ヴァンジャンスが続いた。デファルジュは最後に出て、扉を閉めた。

「勇気を、親愛なるルーシー」とロリー氏は彼女を抱き起こしながら言った。「勇気を、勇気を! ここまではすべてうまくいっています――最近、多くの哀れな魂に起こったことに比べれば、はるかに、はるかによい。元気を出し、感謝の心を持つのです。」

「感謝を知らないつもりはありません。でも、あの恐ろしい女が、私と私のすべての希望に影を投げかけるように思えるのです。」

「いやいや!」ロリー氏は言った。「勇敢な小さな胸に、なんという気落ちです? 影だなどと! 実体はありませんよ、ルーシー。」

とはいえ、それにもかかわらず、これらデファルジュ夫妻の態度の影は彼自身にも暗くのしかかり、胸の奥で彼を大いに悩ませていた。

第四章 嵐の中の静けさ

マネット博士は、姿を消して四日目の朝まで戻らなかった。その恐ろしい時に起こったことのうち、ルーシーの耳に入れずに済むものは、彼女から実にうまく隠されたため、ずっと後になり、フランスと彼女が遠く隔たってからでなければ、彼女は知らなかった。無防備な囚人、男女とあらゆる年齢の者、千百人が民衆によって殺されたこと。その恐怖の所業によって四日四晩が暗くされたこと。そして彼女の周囲の空気が、殺された者たちによって穢されていたことを。彼女が知っていたのは、監獄が襲われ、すべての政治囚が危険にさらされ、そのうち幾人かが群衆に引きずり出されて殺された、ということだけだった。

博士はロリー氏に、言うまでもなく秘密厳守を求めて、次のことを語った。群衆は彼を殺戮の場面を抜けさせ、ラ・フォルス監獄へ連れていったこと。監獄の中では、自称の法廷が開かれており、囚人たちは一人ずつその前へ引き出され、速やかに、外へ出されて虐殺されるか、釈放されるか、あるいは(少数の場合には)独房へ戻されるかを命じられていたこと。案内した者たちによってその法廷に引き出された彼は、十八年間、バスティーユで秘密の、告発もされない囚人であった者として、名と職業を名乗ったこと。すると判事役の一人が立ち上がって彼の身元を認め、その男がデファルジュだったこと。

そこで博士は、卓上の登録簿を通じて、義理の息子が生存している囚人の中にいることを確かめ、その命と自由を求めて法廷に懸命に嘆願したこと。その法廷の構成員には眠っている者も起きている者も、殺人で汚れた者も清潔な者も、しらふの者もそうでない者もいたこと。倒された体制の下で苦しんだ著名な被害者として、自分に浴びせられた最初の狂熱的な歓迎の中で、チャールズ・ダーニーをこの無法の法廷の前へ連れてこさせ、尋問させることが認められたこと。彼はただちに釈放される寸前に見えたが、その好意的な流れに、何らかの説明のつかない妨げ(博士には理解できないもの)が生じ、それが数言の秘密協議につながったこと。その後、議長役の男がマネット博士に、囚人は引き続き拘留されねばならないが、博士のために、安全な拘留のもと不可侵に守られると告げたこと。すると合図とともに、囚人はただちに監獄の奥へ戻されたこと。だが博士は、門の外の殺意に満ちた叫びがしばしば手続きをかき消す中、自分の義理の息子が悪意や手違いによってその群衆に引き渡されることのないよう、確かめるために残る許可を強く求め、ついに許され、危険が去るまでその血の広間に留まったこと。

彼がそこで見た光景は、合間に短い食事と睡眠を挟みつつも、語られずに置かれるべきである。救われた囚人たちに対する狂った歓喜は、切り刻まれた者たちに対する狂った残虐さに劣らず、博士を仰天させた。ある囚人が、自由の身として通りへ解放されたが、彼が出ていくとき、錯乱した野蛮人が誤って槍を突き出した、と博士は言った。その傷を手当てしてくれと懇願され、博士は同じ門から外へ出て、犠牲者たちの死体の上に座っているサマリア人の一団[訳注:ここでは傷ついた者を助ける人々の比喩]の腕の中にその男を見つけた。この恐ろしい悪夢の中の何にも劣らず怪物じみた不一致によって、彼らは治療者を助け、傷ついた男をこの上なく優しい心遣いで看護し、担架を作って慎重にその場から運び出した。その後、すぐさま武器をつかみ、あまりに恐ろしい虐殺へ再び飛び込んでいったため、博士は両手で目を覆い、そのただ中で気を失った。

ロリー氏はこうした打ち明け話を聞きながら、そして今や六十二歳になった友の顔を見守りながら、こうした恐ろしい経験が古い危険をよみがえらせるのではないかという不安を胸に覚えた。

しかし彼は、現在の友の姿を見たことがなかった。現在の人物像をまったく知らなかったのである。博士は今、初めて自分の苦しみが力であり、権能であると感じていた。初めて、あの鋭い炎の中で、自分がゆっくりと鍛えてきた鉄が、娘の夫の監獄の扉を破り、彼を救い出すことができるのだと感じた。「すべてはよい目的へ向かっていたのだ、友よ。単なる浪費や破滅ではなかった。愛するわが子が私を私自身へ戻す助けとなってくれたように、今度は私が、彼女自身の最も大切な部分を彼女へ戻す助けとなろう。天の助けによって、私はそれを成し遂げる!」

これがマネット博士だった。そしてジャービス・ロリーは、燃え立つ目、決然とした顔、落ち着いた強い表情と立ち居振る舞いを見た。その人物の人生は、彼にはいつも、長年にわたり時計のように止まり、その有用性が停止していたあいだ眠っていた力によって再び動き出したかのように思えていた。だから彼は信じた。

その時博士が相手にしなければならなかったものよりも大きなものですら、彼の粘り強い目的の前には屈しただろう。彼は、束縛された者も自由な者も、富める者も貧しい者も、悪人も善人も、あらゆる階層の人間を相手とする医師としての立場を守りながら、個人的影響力を賢明に用いた。そのため、ほどなく三つの監獄の監察医となり、その中にラ・フォルスも含まれていた。今や彼はルーシーに、夫はもはや一人で閉じ込められておらず、一般の囚人たちの中に交じっていると保証できた。彼は週に一度その夫に会い、夫の唇から直接の甘い伝言を彼女へ持ち帰った。ときには夫自身が彼女へ手紙を送ることもあった(ただし博士の手によってではなかった)が、彼女が夫へ書くことは許されなかった。監獄内の陰謀について多くの狂った疑惑が渦巻く中で、とりわけ狂った疑いは、国外に友人や恒久的なつながりを持つことが知られている亡命者たちへ向けられていたからである。

博士のこの新しい生活は、疑いなく不安な生活だった。それでも、慧眼のロリー氏は、そこに新たな支えとなる誇りがあるのを見て取った。その誇りに不似合いな色は少しもなかった。それは自然で価値あるものだった。だが彼は興味深いものとしてそれを観察した。博士は、その時まで自分の投獄が、娘と友人の心の中で、自分の個人的苦しみ、喪失、弱さと結びつけられていたことを知っていた。いまそれが変わり、あの昔の試練を通じて、チャールズの最終的な安全と解放のために二人が頼る力を自分が帯びていると知ると、その変化によってある程度高められ、彼は先頭に立ち、方向を定め、弱い者としての二人に、強い者としての自分を信頼することを求めた。彼とルーシーとの以前の相対的な立場は逆転した。だがそれは、最も生き生きした感謝と愛情だけが逆転させうる形での逆転にすぎなかった。彼に誇りがありえたとすれば、自分にあれほど多くをしてくれた彼女に、何らかの役に立つことにおいてだけだったからである。「見るほどに興味深い」とロリー氏は、親切で抜け目のないやり方で思った。「だがすべて自然で正しい。だから、わが親愛なる友よ、先頭に立ち、それを保ちなさい。これ以上ふさわしい手はないのだから。」

しかし、博士がどれほど懸命に努め、チャールズ・ダーニーを釈放させるか、少なくとも裁判にかけさせようと試み続けても、その時代の大きな流れは彼にとって強すぎ、速すぎた。新時代が始まった。王は裁かれ、宣告を受け、斬首された。自由、平等、友愛、しからずんば死の共和国は、武装した世界を相手に、勝利か死かを宣言した。ノートルダムの大塔には黒旗が昼夜ひるがえった。地上の暴君たちに立ち向かえと召喚された三十万の男たちが、フランスのさまざまな土壌から立ち上がった。あたかも竜の歯が一面に蒔かれ、丘にも平野にも、岩地にも砂利にも沖積の泥にも、南の明るい空の下にも北の雲の下にも、荒野にも森にも、葡萄畑にもオリーブ畑にも、刈られた草地にも麦の刈り株の中にも、広い河の豊かな岸辺にも、海辺の砂にも、等しく実を結んだかのように。自由元年の洪水――上から降るのではなく下から湧き上がり、天の窓が開かれるのではなく閉ざされたままの洪水――に対して、個人の不安などどうして身を起こせただろうか。

停止もなく、憐れみもなく、平和もなく、悔い改めの休息の間もなく、時間の尺度もなかった。日と夜は、時が若かったころ、夕べと朝が第一日であったころと同じように規則正しく巡っていたが、それ以外の時の数え方はなかった。国民の荒れ狂う熱病の中で、一人の患者の熱病の中と同じように、時の把握は失われていた。今、都市全体の不自然な沈黙を破って、死刑執行人が王の首を人民に示した――そして今、ほとんど同じ息の中であるかのように、八か月にわたる疲れ果てた獄中の寡婦生活と苦しみによって白くなった、美しい妻の首が示された。

それでも、このような場合すべてに働く奇妙な矛盾の法則に従い、その時代はあまりにも速く燃え過ぎていながら、長かった。首都の革命裁判所、全国に四万ないし五万の革命委員会。自由や生命のあらゆる安全を奪い、どんな善良で無実な者をも、どんな悪人で有罪の者にも引き渡す容疑者法。何の罪も犯していないのに人々で膨れ上がり、審問も受けられない監獄。こうしたものが定められた物事の確立された秩序となり、本性となり、数週間も経たぬうちに古くからの慣行であるかのように見えた。何にもまして、一つの醜悪な姿が、世界の始まり以来ずっと万人の視線の前にあったかのように親しいものとなった――ギロチンと呼ばれる鋭い女の姿である。

それは民衆の冗談の種だった。頭痛に最良の治療薬であり、白髪になるのを確実に防ぎ、肌に特別な繊細さを与え、深剃りする国民的剃刀だった。ギロチンに口づけする者は、小窓をのぞき、袋の中へくしゃみをする。それは人類再生のしるしだった。それは十字架に取って代わった。十字架が捨てられた胸にはその模型がかけられ、十字架が否定された場所で、それは拝まれ、信じられた。

それはあまりにも多くの首を刈り取ったため、それ自身も、それが最も汚した地面も、腐った赤に染まっていた。若い悪魔のための組み合わせ玩具のように分解され、必要なときにはまた組み立てられた。それは雄弁な者を黙らせ、権力ある者を打ち倒し、美しく善いものを廃した。公に名高い二十二人の友、二十一人の生者と一人の死者の首を、ある朝、同じ数の分のうちに切り落とした。旧約聖書の強者の名が、それを扱う主任執行人に降りていた。だが、そう武装した彼は同名の者よりも強く、より盲目で、神自身の神殿の門を毎日引き裂いていた。

これらの恐怖と、それに属する一群のものの中を、博士は落ち着いた頭で歩いた。自分の力に自信を持ち、目的に向かって慎重に粘り強く、最後には必ずルーシーの夫を救うと疑わなかった。とはいえ時代の流れはあまりにも強く深く流れ、時をあまりにも激しく押し流したため、博士がそうして落ち着き自信を持っているあいだに、チャールズは一年三か月も監獄に横たわっていた。その十二月には、革命はいっそう邪悪に、いっそう錯乱しており、南部の河川には夜のうちに暴力的に溺死させられた者たちの死体が詰まり、囚人たちは南の冬の太陽の下で列を成し、方陣を成して銃殺されていた。それでも博士は、恐怖の中を落ち着いた頭で歩いた。その日のパリで、彼以上に知られた者はいなかった。彼以上に奇妙な立場の者もいなかった。寡黙で、人道的で、病院と監獄で不可欠であり、暗殺者にも犠牲者にも等しく医術を用いる彼は、別格の人物だった。その技を行使するにあたり、バスティーユの虜囚の姿と物語が、彼を他のすべての人間から隔てていた。まるで十八年前に本当に蘇った者であるか、死すべき者たちの間を行く精霊であるかのように、彼は疑われることも、問われることもなかった。

第五章 木挽き

一年と三か月。そのあいだじゅう、ルーシーは一刻ごとに、明日にはギロチンが夫の首をはねるのではないかという不安から解放されることがなかった。毎日、石畳の街路を通って、死刑囚を満載した囚人荷車タンブリルが重々しく揺れながら進んでいった。愛らしい娘たち、輝くような女たち――栗色の髪、黒髪、白髪の女たち。若者たち。たくましい男たち、老人たち。高貴な生まれの者、百姓の生まれの者。みなギロチンに捧げる赤い葡萄酒、忌まわしい牢獄の暗い地下室から日々光の中へ引き出され、街路を運ばれて、貪り食らうその渇きを癒やすために彼女のもとへ届けられた。自由、平等、友愛、さもなくば死。――その最後のものこそ、ああギロチンよ、授けるにはいちばん容易な贈り物だった! 

突然襲った災厄と、時代の車輪のめまぐるしい回転とが、博士の娘を打ちのめし、ただ虚しい絶望のうちに成り行きを待つだけにしていたとしても、それは多くの人々と同じことでしかなかっただろう。だが、サン=タントワーヌの屋根裏部屋で、白い頭を若々しい胸に抱いたあの時から、彼女は自分の務めに誠実でありつづけた。試練の季節にこそ、彼女はいっそう誠実だった。静かに忠実で善良な者が、いつでもそうであるように。

新しい住まいに落ち着き、父が日々の務めの決まりきった歩みに入るとすぐ、彼女は夫がそこにいるかのように、小さな家庭をきちんと整えた。あらゆるものに決まった場所があり、決まった時刻があった。幼いルーシーにも、イングランドの家で一家がそろっていた時と同じように、規則正しく教えた。まもなく再会できるのだと信じているふうに自分を欺く、ささやかな仕掛け――夫の早い帰宅のための小さな準備、彼の椅子と本を取っておくこと――そして、牢獄と死の影の中にいる多くの不幸な魂の中でも、とりわけ一人の大切な囚人のために夜ごと捧げる厳かな祈り。重く沈んだ心がはっきり外へ出せる慰めは、ほとんどそれだけだった。

彼女の外見は大きく変わらなかった。喪服に近い地味な黒い服を、彼女も子も身につけていたが、幸福な日々の明るい衣装と同じように、きちんと整えられ、よく手入れされていた。血の気は失せ、昔ながらの張りつめた表情が時おりではなく常のものとなっていたが、それ以外は、変わらずとても可憐で美しかった。夜、父に口づけをするとき、昼のあいだ押し殺していた悲しみが一気にあふれ、「天の下で、私が頼れるのはお父さまだけです」と言うことがあった。父はいつもきっぱりと答えた。「私の知らないところで、彼に何かが起こることはない。ルーシー、私は彼を救えると知っている。」

変わり果てた生活の輪を巡りはじめてから、まだ何週間もたたないある夕方、帰宅した父が彼女に言った。

「いいかい、牢獄の上のほうに窓が一つあって、午後三時になると、チャールズが時どきそこへ近づけることがある。そこへ行けるかどうかは、いくつもの不確かな事情や偶然に左右されるのだが――おまえが私の示すある場所に立っていれば、彼には通りのおまえが見えるかもしれない、と言っている。だが、かわいそうに、おまえからは彼を見ることはできないだろう。たとえ見えたとしても、気づいたと知らせる合図をするのは危険だ。」

「ああ、お父さま、その場所を教えてください。毎日そこへ参ります。」

その時から、どんな天候の日も、彼女はそこで二時間待った。時計が二時を打つと、彼女はそこにいた。そして四時になると、諦めたようにそこを離れた。雨がひどすぎず、天候があまり荒れていなくて子供を連れて行ける時は、二人で行った。そうでない時は一人だった。だが、一日たりとも欠かしたことはなかった。

そこは、曲がりくねった小路の、暗く汚れた一角だった。燃料にするため木を短く切る男の掘っ立て小屋が、その端にある唯一の家で、あとはすべて壁だった。彼女がそこへ立つようになって三日目に、その男は彼女に気づいた。

「こんにちは、市民女。」

「こんにちは、市民。」

この呼びかけ方は、今や布告によって定められていた。少し前から、より徹底した愛国者たちのあいだで自発的に始まっていたものだが、今では誰にとっても法律となっていた。

「またここを散歩かね、市民女?」

「ご覧のとおりです、市民。」

木挽きは、身ぶりの多すぎる小柄な男だった(かつては道路修理人だった)。彼は牢獄に目をやり、牢獄を指さし、十本の指を顔の前に立てて格子のまねをし、その隙間からおどけて覗いた。

「だが、おれの知ったことじゃねえ」と彼は言った。そしてまた木を挽きはじめた。

翌日には、彼は彼女を待ち受けていて、彼女が姿を見せるとすぐ声をかけた。

「なんだ? またここを散歩かね、市民女?」

「ええ、市民。」

「おお! 子供もいるぞ! おまえのお母さんだろう、小さな市民女?」

「はいって言うの、ママ?」幼いルーシーは母にぴったり寄り添い、ささやいた。

「ええ、かわいい子。」

「はい、市民。」

「おお! だが、おれの知ったことじゃねえ。おれの仕事こそ、おれの知ったことだ。見ろ、おれの鋸を! おれはこいつを小さなギロチンと呼んでるんだ。ラ、ラ、ラ。ラ、ラ、ラ! ほうら、首が落ちる!」

そう言うと、薪の一本が落ち、彼はそれを籠に投げ入れた。

「おれは自分を薪ギロチンのサムソン[訳注:フランス革命期の死刑執行人シャルル=アンリ・サンソンを指す]と呼んでる。もう一つ見ろ! ルー、ルー、ルー。ルー、ルー、ルー! ほうら、女の首が落ちる! 今度は子供だ。くすぐれ、くすぐれ。漬けろ、漬けろ! ほうら、そいつの首が落ちる。一家まるごとだ!」

彼がさらに二本の薪を籠に投げ入れるのを見て、ルーシーは身震いした。だが、木挽きが仕事をしているあいだそこにいて、しかもその目に入らずにいることは不可能だった。それ以来、彼の機嫌を取るために、彼女はいつも先に声をかけ、ときどき酒代を渡した。彼はそれをためらいなく受け取った。

詮索好きな男で、彼女が牢獄の屋根や格子を見つめ、夫へと心を高く掲げているうちに、すっかり彼の存在を忘れてしまった時など、ふと我に返ると、彼が片膝を作業台に乗せ、鋸の手を止めて彼女を見ていることがあった。「だが、おれの知ったことじゃねえ!」たいていそう言って、すぐにまた勢いよく木を挽きはじめるのだった。

冬の雪と霜の中でも、春の鋭い風の中でも、夏の暑い陽射しの中でも、秋の雨の中でも、そしてふたたび冬の雪と霜の中でも、ルーシーは毎日二時間をこの場所で過ごした。そして毎日そこを去る時、牢獄の壁に口づけした。夫が彼女を見ることができるのは(彼女が父から聞いたところでは)、五、六回に一度かもしれず、二度三度続けてかもしれず、一週間あるいは二週間まったくないこともあるかもしれなかった。だが、機会が許せば彼が彼女を見ることができ、実際に見ている――それだけで十分だった。その可能性だけで、彼女は週に七日、日がな一日でも待ちつづけただろう。

こうした日々の務めのうちに、彼女は十二月を迎えた。その月、父は恐怖のただ中を、揺るがぬ頭で歩いていた。うっすら雪の降る午後、彼女はいつもの角に着いた。その日は、どこか狂気じみた歓喜と祭りの日だった。道すがら見た家々には、小さな槍と、その先に刺した小さな赤い帽子が飾られていた。三色のリボンもあった。そして定型の銘文(三色文字が好まれていた)も掲げられていた。不可分の一かつ不可分なる共和国。自由、平等、友愛、さもなくば死! 

木挽きの惨めな店はあまりに小さく、その全面を使っても、この標語を書くにはひどく不十分な広さしかなかった。それでも彼は誰かに頼んでそれを書きつけてもらい、その者は「死」の文字を、ひどく不似合いに窮屈な場所へ押し込んでいた。屋根の上には、善良な市民なら当然のように槍と帽子を掲げ、窓には、「小さな聖ギロチン」と銘をつけた鋸を置いてあった――というのも、そのころには、あの鋭い刃を持つ偉大な女は、民衆の間ですでに聖人扱いされていたからだ。店は閉まり、彼はそこにいなかった。それはルーシーにとってほっとすることでもあり、彼女を完全に一人にしてくれた。

だが、彼は遠くにはいなかった。まもなく、騒然とした動きと叫び声が近づいてくるのが聞こえ、彼女は恐怖に満たされた。一瞬ののち、牢獄の壁ぞいの角を回って群衆がどっと押し寄せてきた。その真ん中に、木挽きがヴァンジャンスと手をつないでいた。人数は五百を下らなかっただろうが、踊りぶりは五千の悪魔のようだった。音楽は彼ら自身の歌声だけだった。彼らは流行の革命歌に合わせて踊り、歯ぎしりを一斉に合わせたような凶暴な拍子を取っていた。男と女が踊り、女同士が踊り、男同士が踊った。偶然に寄り集まった相手と踊った。はじめは粗末な赤帽と粗末な毛織のぼろ切れが巻き起こす嵐にすぎなかった。だが、彼らがその場を満たし、ルーシーのまわりで踊るために止まると、狂気に取り憑かれた舞踏の型の、ぞっとするような幻影がその中から立ち上がった。彼らは進み、退き、互いの手を打ち、互いの頭をつかみ、一人でぐるぐる回り、相手を捕まえて二人組で回り、ついには多くが倒れた。倒れた者たちがいるあいだ、残りは手に手を取り、全員で輪になって回った。すると輪が崩れ、二人組や四人組の別々の輪になり、回り、回り、全員が一斉に止まる。また始め、打ち、つかみ、引き裂き、それから回転を逆にし、皆が反対方向へ回った。突然また止まり、一息置き、新たに拍子を打ち出し、公道いっぱいの幅に列を作り、頭を低く垂れ、手を高く掲げ、叫びながら急襲するように去っていった。どんな戦いも、この踊りの半分ほども恐ろしくはなかっただろう。それはあまりにも明らかに堕落した遊戯だった――かつては無垢だったものが、あらゆる悪魔性に引き渡された姿。健やかな気晴らしが、血を怒らせ、感覚を惑わせ、心を鋼に変える手段となったものだった。その中に見える優雅さがあればあるほど、なお醜かった。もともと善い性質を持つものすべてが、どれほど歪み、ねじ曲げられたかを示していたからだ。乙女らしい胸がこのためにさらされ、愛らしいほとんど子供のような頭がこのように錯乱し、繊細な足が血と泥のぬかるみの中で小刻みに動く――それらは、ばらばらに狂った時代の象徴だった。

これがカルマニョールだった。それが通り過ぎ、ルーシーを木挽きの家の戸口におびえ惑わせたまま残したあと、羽毛のような雪は何事もなかったかのように静かに降り、白く柔らかく積もっていた。

「ああ、お父さま!」一瞬、手で暗くしていた目を上げると、父が彼女の前に立っていた。「なんて残酷で、恐ろしい光景でしょう。」

「わかっているよ、わが子よ、わかっている。私は何度も見てきた。怖がらなくていい。あの中の誰一人、おまえに危害を加えはしない。」

「自分のことが怖いのではありません、お父さま。でも夫のことを思うと、あの人たちの慈悲というものを思うと――」

「すぐに彼を、あの者たちの慈悲の上に置いてやる。私は彼が窓へ上っていくところを見て、知らせに来たのだ。ここには見る者はいない。あのいちばん高い、張り出した屋根の方へ、手に口づけして送ってもよい。」

「そうします、お父さま。この口づけと一緒に、私の魂をあの人へ送ります!」

「見えないのだね、かわいそうに?」

「見えません、お父さま」ルーシーは手に口づけしながら、切なく泣いて言った。「見えません。」

雪を踏む足音。デファルジュ夫人だった。「ご挨拶申し上げる、市民女」と博士。「ご挨拶申し上げる、市民。」

すれ違いざまのことだった。それだけだった。デファルジュ夫人は、白い道をよぎる影のように去っていった。

「腕をお貸し、わが子よ。彼のためにも、明るく勇敢な様子でここを離れなさい。よくやった」二人はその場を離れていた。「無駄にはならない。チャールズは明日呼び出される。」

「明日!」

「失う時間はない。私は十分に準備しているが、彼が実際に法廷へ呼び出されるまでは取れなかった用心がある。彼はまだ通知を受けていないが、まもなく明日のために呼び出され、コンシェルジュリー監獄へ移されることを私は知っている。時機を得た情報があるのだ。怖くはないね?」

彼女はかろうじて答えた。「お父さまを信じています。」

「そうしなさい、絶対に。おまえの宙ぶらりんの苦しみはもうすぐ終わる、かわいい子。数時間のうちに彼はおまえのもとへ戻される。私は彼を守るあらゆる備えをめぐらせてある。ロリーに会わねばならない。」

彼は足を止めた。聞こえる範囲で、車輪が重々しくがらがらと鳴っていた。二人とも、それが何を意味するかをあまりによく知っていた。一台。二台。三台。三台の囚人荷車が、恐ろしい荷を載せて、静まり返った雪の上を遠ざかっていく。

「ロリーに会わねばならない」と博士は繰り返し、彼女を別の道へ向けた。

あの堅実な老紳士は、今もなお自分の任務の場にいた。一度もそこを離れたことはなかった。没収され国有化された財産について、彼と彼の帳簿はしばしば求められた。所有者のために救えるものは、彼は救った。テルソン銀行が預かるものをしっかり守り、口を閉ざすには、これ以上の人物は生きていなかった。

濁った赤と黄の空、セーヌ川から立ちのぼる霧は、闇が近いことを示していた。彼らが銀行に着くころには、ほとんど暗くなっていた。モンセニョールの堂々たる館は、すっかり荒れ果て、見捨てられていた。中庭の塵と灰の山の上には、文字が走っていた。国有財産。不可分の一かつ不可分なる共和国。自由、平等、友愛、さもなくば死! 

ロリー氏と一緒にいたのは誰だったのか――椅子の上の乗馬外套の持ち主、姿を見られてはならないその人物は? たった今到着した誰のもとから、彼は動揺し驚いた様子で出てきて、お気に入りの娘を腕に抱いたのか? 彼が声を高め、出てきた部屋の戸口へ頭を向けて、「コンシェルジュリー監獄へ移され、明日呼び出される?」と言った時、彼女の震える言葉を誰に繰り返しているように見えたのか? 

第六章 勝利

五人の判事、検察官、そして意を固めた陪審員から成る恐るべき法廷は、毎日開かれていた。その名簿は毎夕出され、各牢獄の看守たちが囚人に読み上げた。看守たちの決まり文句の冗談は、「中の者ども、出てきて夕刊を聞け!」だった。

「チャールズ・エヴレモンド、通称ダーニー!」

ついにラ・フォルス監獄の夕刊は、そう始まった。

名が呼ばれると、その者は、こうして致命的に記録された者として告げられた人々のために取っておかれた場所へ進み出た。チャールズ・エヴレモンド、通称ダーニーは、この慣例を知るだけの理由があった。何百人もがそのように去っていくのを見てきたのだ。

読書用の眼鏡をかけた肥え太った看守は、その上からちらりと見て、彼が所定の場所に立ったことを確かめると、名簿を読み進め、各名のところで同じように短く間を置いた。名前は二十三あったが、応じたのは二十人だけだった。呼び出された囚人の一人は獄中で死んで忘れられており、二人はすでにギロチンにかけられて忘れられていたからだ。名簿は、ダーニーが到着した夜に、連帯する囚人たちを見たあのアーチ天井の部屋で読まれた。その時いた者は皆、虐殺で命を落としていた。その後、彼が心を寄せ、別れていった人間は一人残らず断頭台で死んでいた。

慌ただしい別れの言葉と親切な言葉が交わされたが、別れはすぐに終わった。毎日の出来事だったし、ラ・フォルス監獄の社交界では、その夜の罰ゲームとささやかな演奏会の準備に取りかかっていた。彼らは格子へ押し寄せ、そこで涙を流した。だが、予定されていた余興の二十の席を埋め直さねばならず、共用室と廊下が夜通し見張る大犬たちに明け渡される施錠時刻まで、どのみち時間は短かった。囚人たちは決して無感覚でも無情でもなかった。彼らの振る舞いは、その時代の状況から生まれたものだった。同じように、ただ微妙に違って、ある種の熱狂あるいは酩酊――何人かを必要もないのにギロチンへ挑ませ、その刃にかかって死なせたことが疑いなく知られているもの――も、単なる虚勢ではなく、激しく揺さぶられた世間の心が生んだ狂った感染だった。疫病の季節には、私たちの中にも病へのひそかな引力が生まれることがある――それで死にたいという恐ろしい一過性の衝動が。私たち皆の胸にも、事情さえあれば呼び起こされる、同じような不思議が潜んでいる。

コンシェルジュリー監獄への道のりは短く暗かった。虫の巣くう独房での夜は長く寒かった。翌日、チャールズ・ダーニーの名が呼ばれる前に、十五人の囚人が法廷の柵の前に立たされた。十五人全員が有罪となり、その全員の裁判にかかった時間は一時間半だった。

「チャールズ・エヴレモンド、通称ダーニー」が、ついに起訴された。

判事たちは羽飾りのついた帽子をかぶり、裁判官席に座っていた。だが、それ以外で目につく頭飾りは、粗い赤帽と三色の花形帽章だった。陪審員と荒れ狂う傍聴人たちを見れば、彼は、物事の通常の秩序が逆転し、重罪人が正直な人間を裁いているのだと思ったかもしれない。低劣で、残酷で、最悪の市民たち――どんな都市にも一定数はいる低劣で残酷で悪質な者たち――が、この場を支配する霊となっていた。彼らは騒がしく評し、喝采し、非難し、結果を先取りし、せき立て、誰にも止められなかった。男たちの大半はさまざまな武器を持っていた。女たちの中にはナイフを身につけた者、短剣を持った者、見物しながら飲み食いする者、そして多くは編み物をしている者がいた。その最後の者たちの中に、編みながら、予備の編み物を脇に挟んだ一人がいた。彼女は最前列にいて、バリエールで到着した時以来一度も見ていなかったが、すぐにデファルジュだと思い出した男の隣にいた。彼女が一、二度その耳にささやき、どうやらその妻らしいことに彼は気づいた。だが、その二人の姿の中で彼がもっとも注意したのは、彼らが可能なかぎり自分の近くに陣取っているにもかかわらず、決してこちらを見なかったことだった。二人は頑固な決意で何かを待っているようで、陪審員たちを見ていたが、それ以外には目を向けなかった。議長席の下には、マネット博士がいつもの静かな服装で座っていた。囚人の目に見えるかぎり、彼とロリー氏だけが、法廷の関係者ではない男の中で、普段どおりの服を着ており、カルマニョールの粗末な身なりをしていなかった。

チャールズ・エヴレモンド、通称ダーニーは、亡命貴族であり、すべての亡命者を死刑の罰則つきで追放する布告のもと、その命は共和国に没収されるべきものだとして、検察官に告発された。その布告の日付が、彼のフランス帰国後であったことなど問題ではなかった。彼はそこにおり、布告もそこにあった。彼はフランスで捕らえられ、その首が要求された。

「首を取れ!」傍聴人たちが叫んだ。「共和国の敵だ!」

議長は鐘を鳴らしてその叫びを静め、囚人に、彼が何年もイングランドで暮らしていたのは真実ではないのかと尋ねた。

疑いなく真実だった。

ならば彼は亡命者ではないのか。自分を何と呼ぶのか。

法律の文言と精神の範囲内では、亡命者ではないと願っている。

なぜか、と議長は知りたがった。

彼は、自分にとって忌まわしい称号と、自分にとって忌まわしい地位を自発的に放棄し、国を離れた――この法廷が現在用いている意味での「亡命者」という語が使われる前のことであると申し上げる――そして、過重な負担を負うフランス人民の労働に寄生して暮らすより、イングランドで自分の労働によって暮らすためだったからだ。

その証拠は何か。

彼は二人の証人の名を差し出した。テオフィル・ガベルと、アレクサンドル・マネット。

だが彼はイングランドで結婚したのではないか、と議長は念を押した。

そのとおり。ただし、相手はイングランド人ではない。

フランスの市民女か。

はい。生まれは。

名と家族は。

「ルーシー・マネット。あそこにお座りの善良な医師、マネット博士の一人娘です。」

この答えは傍聴人に好ましい効果を及ぼした。よく知られた善良な医師をたたえる叫びが法廷を引き裂いた。人々の心はあまりにも気まぐれに動かされ、つい一瞬前まで、囚人を通りへ引きずり出して殺したくてたまらないかのように睨んでいた幾つもの凶暴な顔に、たちまち涙が流れ落ちた。

この危険な道の数歩について、チャールズ・ダーニーはマネット博士が繰り返し与えた指示に従って足を運んでいた。これから先の一歩一歩も、同じ慎重な助言が導いており、その道の一寸一寸が備えられていた。

議長は、なぜその時になってフランスへ戻り、もっと早く戻らなかったのかと尋ねた。

もっと早く戻らなかったのは、フランスで暮らす手段が、自分が放棄したもの以外にはなかったからにすぎない、と彼は答えた。一方イングランドでは、フランス語とフランス文学を教えて生計を立てていた。戻ったのは、あるフランス市民から、彼が自分の不在によって命の危険にさらされていると訴える切迫した書面での懇願を受けた時だった。一市民の命を救い、どんな個人的危険を冒してでも真実を証言するために戻ってきた。それは共和国の目に罪なのか。

民衆は熱狂的に「違う!」と叫び、議長は彼らを静めるために鐘を鳴らした。だが静まらなかった。彼らは自分たちの意思でやめるまで、「違う!」と叫びつづけた。

議長はその市民の名を求めた。被告は、その市民が自分の第一の証人であると説明した。また、バリエールで取り上げられたその市民の手紙にも確信をもって言及し、その手紙は議長の前にある書類の中に必ず見つかるはずだと述べた。

博士は、それがそこにあるよう取り計らっていた――そこにあるはずだと彼に保証していた――そしてこの訴訟手続きの段階で、それは提出され、読まれた。市民ガベルがそれを確認するため呼ばれ、確認した。市民ガベルは、法廷が対処せねばならない共和国の敵の多さにより課された業務の重圧の中で、自分がアバィー監獄においていささか見落とされていた――実際のところ、法廷の愛国的記憶から少々抜け落ちていた――と、限りなく繊細かつ丁重にほのめかした。三日前までは。三日前、彼は法廷に召喚され、陪審員が、彼に対する告発は、市民エヴレモンド、通称ダーニーの出頭によって、彼自身に関しては解消されたと満足を表明したため、釈放されたのだ。

次にマネット博士が尋問された。その個人としての高い人気と、答えの明晰さは大きな印象を与えた。だが、話が進み、被告が長い投獄から解放された自分の最初の友であったこと、被告がイングランドにとどまりながら、亡命中の娘と自分に常に誠実で献身的であったこと、さらに、かの地の貴族的政府の寵愛を受けていたどころか、イングランドの敵でありアメリカ合衆国の友であるとして、実際に命をかけた裁判にかけられたこと――こうした事情を、最大限の慎重さと、真実と誠実さのまっすぐな力によって明らかにしていくにつれ、陪審員と民衆は一つになった。最後に、博士が、そこに同席していたイングランド紳士ムッシュ・ロリーの名を挙げ、自分と同じくそのイングランドでの裁判の証人であり、自分の説明を裏づけることができると訴えると、陪審員は、もう十分聞いた、議長が受け入れるなら評決を述べる用意がある、と宣言した。

一票ごとに(陪審員は声に出して一人ずつ投票した)、民衆は喝采の叫びを上げた。すべての声が囚人に有利であり、議長は彼の釈放を宣言した。

すると、民衆が時として自分たちの移り気、あるいは寛大と慈悲へ向かうより良い衝動を満足させるために演じた、または膨れあがった残酷な怒りの勘定に対する埋め合わせとみなした、あの異様な光景の一つが始まった。そうした異様な光景が、これらの動機のどれに帰せられるべきかは、今となっては誰にも決められない。おそらくは三つすべてが混ざり合い、二番目が優勢だったのだろう。無罪が言い渡されるやいなや、別の時には血が流されるのと同じ気前よさで涙が流され、男も女も、駆け寄ることのできる者は皆、囚人に兄弟のような抱擁を与えた。そのため、長く不衛生な監禁のあとで、彼は消耗から気を失いかける危険にさらされた。しかもなおさらだった。なぜなら彼は、同じ人々が別の流れに運ばれていれば、まったく同じ激しさで自分に襲いかかり、八つ裂きにして街路に撒き散らしただろうことを、よく知っていたからだ。

次に裁かれる他の被告人たちに場所を空けるため、彼が移されたことで、ひとまずその愛撫から救われた。次には五人が、共和国に言葉でも行いでも助力しなかったという理由で、共和国の敵として一緒に裁かれることになっていた。法廷は、失った機会を自分と国民へ埋め合わせるのにあまりにも敏速で、その五人は彼がその場を去る前に彼のもとへ下りてきて、二十四時間以内に死ぬ刑を宣告されたと言った。最初の一人は、死を示す牢獄でのいつもの合図――一本の指を立てること――でそう告げ、皆が言葉を添えた。「共和国万歳!」

確かに、その五人には手続きを長引かせる傍聴人はいなかった。というのも、彼とマネット博士が門から出てきた時、その周囲には大群衆がいて、その中には法廷で彼が見た顔がすべてあるように思えたからだ――ただし二つの顔だけは、いくら探しても見つからなかった。彼が外へ出ると、群衆は新たに彼へ押し寄せ、泣き、抱きしめ、叫び、入れ替わり立ち替わり、また一斉にそれを行った。狂った場面が演じられている岸辺の川の流れまでもが、岸の人々と同じように狂って流れているかのようだった。

彼らは、自分たちの中にあった大きな椅子に彼を座らせた。それは法廷そのものからか、その一室か通路から持ち出したものだった。椅子の上には赤い旗が掛けられ、背には先端に赤帽をつけた槍が縛りつけられていた。この凱旋車に乗せられた彼は、博士の懇願さえも止めることができず、男たちの肩に担がれて住まいまで運ばれた。彼のまわりでは、赤帽の入り乱れた海がうねり、荒れた深みから難破船の残骸のような顔が浮かび上がっては見えた。そのため彼は一度ならず、自分の心が混乱しており、自分はギロチンへ向かう囚人荷車に乗っているのではないかと疑った。

彼らは、夢のように荒々しい行列で、出会う者を抱きしめ、彼を指し示しながら、彼を運んでいった。雪の街路を、共和主義の流行色で赤く染めながら、曲がりくねり踏み鳴らして進んだ。彼らが雪の下をさらに深い色で染めたように、彼らはこうして彼を、その住まいの建物の中庭へ運び込んだ。彼女の父は先に行って彼女に備えさせていた。そして夫が自分の足で立つと、彼女は彼の腕の中で意識を失って崩れ落ちた。

彼が彼女を胸に抱き、彼女の美しい頭を自分の顔と騒がしい群衆との間に向けて、彼の涙と彼女の唇が人目につかず触れ合えるようにすると、何人かが踊りだした。たちまち残りの者全員も踊りだし、中庭はカルマニョールであふれた。すると彼らは、群衆の中の若い女を空いた椅子へ高く掲げ、自由の女神として担ぎ上げた。そして、膨れあがり、隣の通りへ、川岸へ、橋の上へとあふれ出し、カルマニョールは一人残らず彼らを呑み込み、旋回させながら連れ去っていった。

彼の前に勝利と誇りをまとって立つ博士の手を握ったあと、カルマニョールの竜巻と格闘して息も絶え絶えに駆け込んできたロリー氏の手を握ったあと、首に腕を回すために抱き上げられた幼いルーシーに口づけしたあと、そしてその子を抱き上げた、つねに熱心で忠実なプロスを抱擁したあと、彼は妻を腕に抱き、二人の部屋へ運び上げた。

「ルーシー! 私のルーシー! もう大丈夫だ。」

「ああ、愛しいチャールズ、祈ってきたように、ひざまずいて神に感謝させてください。」

皆は敬虔に頭と心を垂れた。彼女が再び彼の腕の中に戻ると、彼は彼女に言った。

「さあ、今度はお父さまに話しかけておくれ、愛しい人。このフランスの中で、私のためにお父さまがしてくださったことをできる人は、ほかに誰一人いなかった。」

彼女は父の胸に頭を預けた。遠い遠い昔、父の哀れな頭を自分の胸に預けさせた時と同じように。父は、自分が彼女に返したものに幸福を感じ、苦しみに報われ、自らの力を誇っていた。「弱くなってはいけないよ、かわいい子」と父はたしなめた。「そんなに震えないで。私は彼を救ったのだ。」

第七章 戸口のノック

私は彼を救った。」

それは、彼がしばしば戻ってくる夢の一つではなかった。彼は本当にここにいた。それでも妻は震え、漠然としていながら重い恐れが彼女にのしかかっていた。

周囲の空気はあまりに濃く暗く、人々はあまりに熱烈に復讐心を燃やし、気まぐれで、罪なき者たちは曖昧な疑いと黒い悪意によって絶えず死に追いやられていた。夫と同じように咎がなく、彼女にとって夫が大切であるのと同じように誰かに大切だった多くの人々が、彼がもぎ取られた運命を毎日分け合っていることを、忘れることなど不可能だった。そのため、彼女の心は、本来そうあるべきだと思うほどには重荷から軽くなれなかった。冬の午後の影が降りはじめ、今も恐ろしい荷車が通りを転がっていた。彼女の心はその後を追い、死刑囚の中に彼を探した。そして、現実にそこにいる彼の存在にいっそう強くしがみつき、さらに震えた。

父は彼女を励ましながら、この女の弱さに対して、見ていて驚くほどの思いやりある優越を示した。もう屋根裏部屋も、靴作りも、北塔百五号もない! 彼は自らに課した仕事を成し遂げ、約束を果たし、チャールズを救った。皆、彼に寄りかかればよいのだ。

彼らの家計はごく倹しいものだった。人民の反感を最小限に抑えるにはそれがもっとも安全な暮らし方だったからだけではなく、彼らが裕福でなかったからでもあり、またチャールズは投獄中、粗末な食事代、監視の費用、さらにより貧しい囚人たちの生活費の一部として、多額を支払わねばならなかったからだ。この理由もあり、また家内の密偵を避けるためもあって、彼らは召使いを置かなかった。中庭の門番を務める市民と市民女が、ときどき彼らに用を足してくれた。そしてジェリーは(ほとんどロリー氏から彼らに引き渡されたも同然で)、日々の雇い人となり、毎晩そこで寝床を得ていた。

自由、平等、友愛、さもなくば死を掲げる不可分の一かつ不可分なる共和国の命令により、すべての家の戸または戸柱には、全居住者の名を、一定の大きさの文字で、地面から一定の見やすい高さに、読みやすく記さねばならなかった。したがって、ジェリー・クランチャー氏の名は、階下の戸柱をしかるべく飾っていた。そして午後の影が濃くなるころ、その名の持ち主自身が、マネット博士がチャールズ・エヴレモンド、通称ダーニーの名を一覧に加えるために雇った塗装職人を見張るところから姿を現した。

時代を暗くしていた普遍的な恐怖と不信の中で、日常生活のいつもの無害な習慣はすべて変わっていた。博士の小さな家庭でも、他の非常に多くの家々と同じく、毎日必要な消耗品は毎晩、少量ずつ、いくつもの小さな店で買い求められた。目を引かぬようにし、噂や妬みの種をできるだけ少なくすることが、共通の望みだった。

ここ数か月、ミス・プロスとクランチャー氏が買い出し係を務めていた。前者が金を持ち、後者が籠を持った。毎日午後、街灯がともるころに二人はこの務めに出かけ、必要なものを買い、持ち帰った。ミス・プロスは、フランス人家庭と長く関わってきたのだから、その気があれば自国語と同じくらい彼らの言葉を知っていてもよかったのだが、そちら方面にその気はなかった。そのため、彼女が「あのたわごと」と呼んでよしとしていたその言葉については、クランチャー氏と同じ程度しか知らなかった。そこで彼女の買い物のやり方は、冠詞めいた前置きなど一切なしに、名詞そのものを店主の頭上へずどんと投げつけることだった。そしてそれが欲しい品の名前でなかった場合は、その品を見回して探し、つかみ取り、値段交渉が終わるまでつかんで離さなかった。値段交渉はいつも行った。商人が何本の指を立てようとも、それより一本少ない指を立て、それを正当価格の表明とするのだった。

「さあ、クランチャー氏」とミス・プロスは言った。幸福で目が赤くなっていた。「あなたの準備ができているなら、私もできています。」

ジェリーはしゃがれ声で、ミス・プロスのお役に立ちますと告げた。彼はとうの昔に、身についた錆びをすっかり落としていたが、針のように逆立った頭だけは、何をしても削り落とせなかった。

「欲しいものは山ほどあります」とミス・プロスは言った。「骨が折れるでしょうね。とりわけ葡萄酒が要ります。どこで買ったって、この赤頭どもが飲む乾杯の文句はたいそう結構なものでしょうよ。」

「あなたの知るかぎりじゃ、嬢さん」とジェリーが言い返した。「連中があんたの健康を祝って飲もうが、悪魔の親玉を祝って飲もうが、たいして違いはねえと思いますがね。」

「それは誰です?」とミス・プロスが言った。

クランチャー氏は少し気後れしながら、自分が言ったのは「悪魔」のことだと説明した。

「はっ!」とミス・プロスは言った。「あの生き物どもの意味を説明するのに通訳はいりません。意味は一つだけ。真夜中の殺人と悪事です。」

「しっ、お願い! どうか、どうか気をつけて!」ルーシーが叫んだ。

「ええ、ええ、ええ、気をつけますとも」とミス・プロスは言った。「でも、私たちだけのあいだなら言ってもいいでしょう。通りでみんなが抱き合うふりをして、玉ねぎ臭くて煙草臭い窒息攻めが起きないことを願っています。さあ、てんとう虫ちゃん、私が戻るまでその火のそばから一歩も動かないのよ! 取り戻した大事な旦那さまを大切になさい。そして今そうしているように、そのかわいい頭を旦那さまの肩から離しちゃだめ、私にまた会うまではね! マネット博士、出かける前に一つお尋ねしてもよろしいですか?」

「その自由は取ってよいと思うよ」と博士は微笑んで答えた。

「お願いですから、自由の話はなさらないでください。もう十分すぎるほどあります」とミス・プロスは言った。

「しっ、お願い! またなの?」

ルーシーがたしなめた。

「ええ、かわいい子」とミス・プロスは力強くうなずいて言った。「要するに、私は慈悲深きジョージ三世陛下の臣民なのです」ミス・プロスはその名にお辞儀をした。「そしてその身として、私の標語はこれです。奴らの政治を打ち砕き、悪辣な策略をくじき、われらの望みは陛下にあり、神よ王を守りたまえ!」

クランチャー氏は忠誠心の高まりに駆られ、教会にいる誰かのように、ミス・プロスのあとからその言葉を唸るように繰り返した。

「あなたの中にそれほどイングランド人らしさがあるのは嬉しいです。もっとも、その声の風邪さえ引いていなければよかったのにと思いますが」とミス・プロスは満足げに言った。「でも質問です、マネット博士。まだ――」この善良な人物は、皆にとって大きな不安の種であることを、わざと軽く扱うふりをし、こうした偶然めいた形で切り出すのが常だった――「まだ、ここから出られる見込みはありませんか?」

「まだだと思う。チャールズにはまだ危険だ。」

「はあ、やれやれ!」ミス・プロスは、火明かりの中で愛しい子の金髪をちらりと見ながら、ため息を陽気に抑え込んで言った。「では、辛抱して待つしかありません。それだけです。頭を上げて、低く戦うのです。兄のソロモンがよく言っていたように。さあ、クランチャー氏! ――てんとう虫ちゃん、動いちゃだめよ!」

二人は出ていき、明るい炉火のそばに、ルーシーとその夫、父、子供を残した。ロリー氏はまもなく銀行から戻るはずだった。ミス・プロスはランプに火を入れていたが、暖炉の火明かりを邪魔なく楽しめるように、それを片隅へ置いていた。幼いルーシーは祖父のそばに座り、その腕に両手を組み合わせていた。そして祖父は、ささやきより少し大きい程度の声で、ある偉大で力ある妖精が、かつて自分に親切をしてくれた囚人のために牢獄の壁を開けて逃がしてやった話を語りはじめた。すべてが静かに落ち着き、ルーシーはそれまでより心安らいでいた。

「今のは何?」彼女は突然叫んだ。

「ルーシー!」父は話を止め、彼女の手に自分の手を置いて言った。「落ち着きなさい。なんという乱れようだ! ほんの少しのこと――何でもないことに――びくついてしまう! おまえは、私の娘なのだよ!」

「お父さま」とルーシーは、青ざめた顔と震える声で弁解した。「階段に聞き慣れない足音がしたように思ったのです。」

「わが子よ、階段は死のように静かだ。」

彼がその言葉を口にした時、戸が叩かれた。

「ああ、お父さま、お父さま。これは何なのでしょう! チャールズを隠して。助けて!」

「わが子よ」と博士は立ち上がり、彼女の肩に手を置いて言った。「私は彼を救った。何という弱気だ、かわいい子よ。私が戸へ行こう。」

彼はランプを手に取り、間にある二つの外部屋を横切って、戸を開けた。床の上を乱暴に足音が鳴り、サーベルと拳銃で武装した、赤帽の荒々しい男四人が部屋へ入ってきた。

原文

「市民エヴレモンド、通称ダーニー」と先頭の男が言った。

「誰が彼を探している?」ダーニーが答えた。

「私が探している。われわれが探している。知っているぞ、エヴレモンド。今日、法廷でおまえを見た。おまえは再び共和国の囚人だ。」

四人は、妻と子がしがみついている彼を取り囲んだ。

「どうして、なぜ私がまた囚人になるのか、教えてくれ。」

「ただちにコンシェルジュリー監獄へ戻るだけで十分だ。明日になればわかる。おまえは明日呼び出されている。」

この訪問で石のように固まり、ランプを手にしたまま、まるでそれを持つために作られた像のように立っていたマネット博士は、その言葉が発せられると動き、ランプを置き、話し手に向き合った。そして赤い毛織のシャツのゆるんだ胸元を、乱暴ではなくつかんで言った。

「彼を知っている、と君は言った。私を知っているか?」

「はい、知っています、市民博士。」

「われわれ全員、あなたを知っています、市民博士」と他の三人が言った。

彼はぼんやりと一人から一人へ視線を移し、しばらくして低い声で言った。

「では、彼の問いに私へ答えてくれるか。どういうことなのだ?」

「市民博士」と先頭の男は気が進まない様子で言った。「彼はサン=タントワーヌ区に告発されました。この市民」彼は二番目に入ってきた男を指し示した。「サン=タントワーヌの者です。」

示された市民はうなずき、つけ加えた。

「彼はサン=タントワーヌによって告発されています。」

「何の罪で?」博士が尋ねた。

「市民博士」と先頭の男は前と同じ気の進まなさで言った。「それ以上はお尋ねにならないでください。共和国があなたに犠牲を求めるなら、善良な愛国者として、あなたは疑いなく喜んでそれを捧げるでしょう。共和国は何にも優先します。人民は至高です。エヴレモンド、急いでいる。」

「一言だけ」と博士は懇願した。「誰が彼を告発したのか、教えてくれないか?」

「規則に反します」と先頭の男は答えた。「だが、ここにいるサン=タントワーヌの彼に尋ねることはできます。」

博士はその男へ目を向けた。男は落ち着かず足を動かし、少し髭をこすり、ついに言った。

「よろしい! 本当は規則に反します。だが彼は告発された――しかも重大に――市民デファルジュと市民女デファルジュによって。そしてもう一人によって。」

「もう一人とは?」

あなたが尋ねるのですか、市民博士?」

「そうだ。」

「ならば」とサン=タントワーヌの男は奇妙な目つきで言った。「明日、答えを得るでしょう。今は、私は口を閉ざします!」

第八章 カードの一手

家で新たな災厄が起きていることを幸いにも知らぬまま、ミス・プロスは、買わねばならない不可欠な品々の数を頭の中で数えながら、狭い通りを縫って進み、ポン・ヌフの橋で川を渡った。クランチャー氏は籠を持ち、彼女の横を歩いた。二人は通り過ぎる店のほとんどを右へ左へと眺め、人々が群れ集まっているところには警戒の目を向け、ひどく興奮した話し手の集団を避けるためには道をそれた。肌寒い夕暮れで、霧に包まれた川は、燃える灯りのせいで目にはぼやけ、荒々しい物音のせいで耳にもぼやけていたが、共和国軍のために銃を作る鍛冶工たちが働く艀の停泊場所を示していた。あの軍に小細工をした者、あるいは不相応な昇進を得た者に災いあれ! 髭など生えなかったほうがその者にはましだった。国民的剃刀が、彼をすっかり剃り上げてしまうのだから。

少しばかりの食料雑貨と、ランプ用の油を一量り買ったあと、ミス・プロスは必要な葡萄酒を思い出した。いくつかの酒屋を覗いた末、彼女は、かつて(そして二度も)チュイルリーであった国民宮殿からほど近い、「古代の善良なる共和主義者ブルータス」の看板の前で足を止めた。そこの様子が、なかなか彼女の気に入ったのだ。同じ種類の店でこれまで通り過ぎたどこよりも静かに見え、愛国的な帽子で赤くはあったが、他ほど赤くはなかった。クランチャー氏の意見を探り、自分と同じ考えだとわかると、ミス・プロスはその騎士を従えて、「古代の善良なる共和主義者ブルータス」へ入った。

二人の異国風の客は、煙った灯り、パイプをくわえてくたびれた札と黄色いドミノで遊ぶ人々、胸と腕をむき出しにして煤にまみれた一人の職人が新聞を声に出して読み、他の者たちがそれに耳を傾けている様子、身につけられ、あるいはまた身につけるため脇に置かれた武器、前のめりに眠り込んでいる二、三人の客――彼らは流行の肩の高い毛むくじゃらの黒い短上着を着て、その姿勢では眠る熊か犬のように見えた――を少しばかり観察しながら、カウンターへ近づき、欲しいものを示した。

葡萄酒が量られている時、隅で一人の男が別の男と離れ、立ち上がって出ていこうとした。出ていくには、ミス・プロスと向き合わねばならなかった。彼が彼女の方を向くやいなや、ミス・プロスは悲鳴を上げ、両手を打ち合わせた。

たちまち、その場の全員が立ち上がった。誰かが意見の相違を正すために誰かに暗殺された、というのがいちばんありそうな出来事だった。誰もが誰かが倒れるのを見ようとしたが、目に入ったのは、男と女が互いを見つめて立っている姿だけだった。男は外見上すっかりフランス人で、徹底した共和主義者だった。女は明らかにイングランド人だった。

原文

この期待外れの尻すぼみの場面で、「古代の善良なる共和主義者ブルータス」の弟子たちが何を言ったのかは、非常に早口で大声だったということ以外、ミス・プロスとその護衛にとって、たとえ全身が耳だったとしても、ヘブライ語かカルデア語同然だっただろう。だが、二人は驚きのあまり、何を聞く耳も持たなかった。記しておかねばならないが、ミス・プロスが驚愕と動揺で我を失っていただけでなく、クランチャー氏も――どうやら彼自身の別個の個人的理由によって――最大級の驚きの状態にあった。

「何事だ?」ミス・プロスに悲鳴を上げさせた男は、低い声ながら苛立ったぶっきらぼうな声で、イングランド語で言った。

「ああ、ソロモン、愛しいソロモン!」ミス・プロスは再び両手を打ち合わせて叫んだ。「こんなにも長いあいだ、姿も見ず、便りもなかったあなたに、ここで会うなんて!」

「ソロモンと呼ぶな。おれを殺す気か?」男は人目を忍ぶように、おびえた調子で尋ねた。

「兄さん、兄さん!」ミス・プロスは涙をあふれさせて叫んだ。「私があなたにそんな残酷なことを聞かれるほど、厳しくしたことがありましたか?」

「なら、そのおせっかいな舌を黙らせろ」とソロモンは言った。「話したいなら外へ出ろ。葡萄酒の代金を払って、外へ来い。この男は誰だ?」

ミス・プロスは、まったく愛情深くない兄に向かって、愛情に満ちつつうなだれた頭を振り、涙越しに言った。「クランチャー氏です。」

「そいつも外へ来させろ」とソロモンは言った。「おれを幽霊だとでも思っているのか?」

見たところ、クランチャー氏はそう思っていた。その表情から判断すれば。とはいえ彼は一言も発せず、ミス・プロスは涙のせいで非常に苦労しながら小袋の奥を探り、葡萄酒の代金を払った。そのあいだにソロモンは「古代の善良なる共和主義者ブルータス」の信奉者たちに向き直り、フランス語で短い説明をした。それにより、彼らは皆もとの席と仕事へ戻った。

「さて」とソロモンは暗い街角で立ち止まって言った。「何の用だ?」

「私の愛を何ものも奪えなかった兄が、こんな挨拶をして、愛情のかけらも見せてくれないなんて、なんてひどく不親切なのでしょう!」ミス・プロスは叫んだ。

「ほら。畜生! ほら」とソロモンは言い、自分の唇でミス・プロスの唇にちょんと触れた。「これで満足か?」

ミス・プロスはただ頭を振り、黙って泣くだけだった。

「おれが驚くとでも思っているなら」と兄ソロモンは言った。「驚きはしない。おまえがここにいることは知っていた。ここにいるたいていの人間について、おれは知っている。もし本当におれの命を危険にさらしたくないのなら――半分はそうしたいのだと思っているが――できるだけ早く自分の道を行き、おれにもおれの道を行かせろ。おれは忙しい。役人なのだ。」

「私のイングランド人の兄ソロモン」ミス・プロスは涙に満ちた目を天へ向け、嘆いた。「祖国では、最高で偉大な人物の一人になれるだけの素質があったのに、外国人たちの中で役人に、それもこんな外国人たちの中で! 私はむしろ、愛しい少年が自分の――」

「ほら言った!」兄は遮って叫んだ。「わかっていた。おまえはおれを殺したいのだ。実の妹のせいで、おれは容疑者にされる。せっかく出世しつつあるところなのに!」

「恵み深く慈悲深い天が、それをお許しになりませんように!」ミス・プロスは叫んだ。「それくらいなら、愛しいソロモン、二度とあなたに会えないほうがどれほどましでしょう。私はこれまでも心からあなたを愛してきましたし、これからもそうです。ただ一言、愛情ある言葉を言ってください。私たちの間に怒りも隔たりもないと教えてください。そうすれば、もうあなたを引き止めません。」

善良なミス・プロス! まるで二人の隔たりが、彼女に何か責められるべきことがあって生じたかのように。何年も前、ソーホーの静かな一角で、このありがたい兄が彼女の金を使い果たして彼女を捨てたことを、ロリー氏が事実として知っていなかったかのように! 

それでも彼は、その愛情ある言葉を言いかけていた。ただし、二人の相対的な値打ちと立場が逆だったとしても、とても示せなかったほど渋々とした尊大な恩着せがましさを伴っていた(これは世界中どこでも、決まってそういうものだ)。その時、クランチャー氏が彼の肩に触れ、しゃがれ声で唐突に、次の奇妙な問いを差し挟んだ。

「ちょいと! お尋ねしてもよろしいかね? あんたの名前はジョン・ソロモンなのか、それともソロモン・ジョンなのか?」

役人は突然疑わしげに彼へ向き直った。それまで彼は一言も発していなかった。

「さあ!」クランチャー氏は言った。「はっきり言いな、わかってるだろ」(もっとも、ついでに言えば、彼自身にはそれ以上のことはできなかったのだが)。「ジョン・ソロモンか、ソロモン・ジョンか? この人はあんたをソロモンと呼ぶ。妹なんだから知ってるはずだ。で、おれはあんたがジョンだって知ってる、わかるな。どっちが先なんだ? それからプロスって名についてもだ。海の向こうじゃ、それはあんたの名前じゃなかった。」

「どういう意味だ?」

「いや、おれにも全部はわからねえ。海の向こうであんたが何て名前だったか、思い出せねえんでな。」

「そうか?」

「そうだ。だが二音節の名前だったことは誓える。」

「ほう?」

「ああ。もう一人のは一音節だった。おれはあんたを知ってる。あんたは密偵だった――ベイリーの証人だ。嘘の父親で、あんた自身の親父でもあるやつの名にかけて、あの時あんたは何て呼ばれてたんだ?」

「バーサード」と、別の声が割り込んだ。

「それだ、千ポンドの値打ちのある名だ!」ジェリーは叫んだ。

割って入った声の主は、シドニー・カートンだった。彼は乗馬外套の裾の下で両手を後ろに組み、オールド・ベイリーそのものに立っていたとしてもそうしたであろうほど無造作に、クランチャー氏の肘のそばに立っていた。

「驚かないでください、親愛なるミス・プロス。私は昨日の夕方、ロリー氏のところへ着きました。氏は驚かれましたが。すべてがうまくいくまで、あるいは私が役に立てる時まで、ほかの場所には姿を見せないでおこうと話し合っていたのです。ここへ姿を見せたのは、あなたのお兄さんと少し話をさせていただくためです。あなたのお兄さんが、バーサード氏よりましな仕事をしている方だったらよかったのですが。あなたのためにも、バーサード氏が牢獄の羊でなければよかったと思います。」

羊とは、当時の隠語で、看守の下にいる密偵を意味していた。密偵は青ざめていたが、さらに青ざめ、彼にどうしてそんなことを――と尋ねた。

「教えてあげよう」とシドニーは言った。「一時間かそれ以上前、私がコンシェルジュリー監獄の壁を眺めていた時、そこから出てくるあなたに出くわしたのです、バーサード氏。あなたの顔は記憶に残る顔で、私は顔をよく覚えています。その関係であなたを見たことに好奇心をそそられ、また、今ひどく不幸な境遇にある友人の不運とあなたを結びつける理由が――あなたにも思い当たらぬわけではない理由が――あったので、私はあなたの行く方へ歩きました。あなたのすぐあとからここの酒屋へ入り、近くに座りました。あなたの遠慮のない会話と、あなたの崇拝者たちの間で公然と交わされていた噂から、あなたの職業の性質を推し量るのは難しくありませんでした。そして次第に、私がでたらめに始めたことが、目的の形を取りはじめたのです、バーサード氏。」

「何の目的だ?」密偵は尋ねた。

「通りで説明するには厄介で、危険かもしれません。内密に、数分お付き合い願えませんか――たとえば、テルソン銀行の事務所で。」

「脅しのもとでか?」

「おや! 私がそう言いましたか?」

「なら、なぜそこへ行かねばならない?」

「本当に、バーサード氏、あなたが言えないのなら、私にも言えません。」

「あなたは、言わないという意味かね?」密偵はためらいがちに尋ねた。

「たいへんはっきりおわかりですね、バーサード氏。言いません。」

カートンの態度にある投げやりな無鉄砲さは、彼が胸に秘めている仕事、そして相手にしなければならないこの男に対して、彼の機敏さと巧みさを力強く助けていた。彼の熟練した目はそれを見抜き、最大限に利用した。

「ほら、おまえに言ったとおりだ」と密偵は妹を責めるように見て言った。「これで面倒が起きたら、おまえのせいだ。」

「まあまあ、バーサード氏!」シドニーが叫んだ。「恩知らずなことを言わないでください。あなたの妹御をたいへん尊敬していなければ、私たち双方の満足のために申し上げたい小さな提案へ、これほど感じよく話を導きはしなかったかもしれないのです。銀行へ一緒に来ますか?」

「言うことは聞こう。よし、一緒に行く。」

「まずはあなたの妹さんを、彼女の住む通りの角まで無事にお送りすることを提案します。ミス・プロス、腕をお貸しください。今のこの町は、あなたが無防備に出歩くにはよい町ではありません。そしてあなたの付き添いはバーサード氏を知っているので、彼もロリー氏のところへ一緒に招くことにします。準備はよろしいですか? では行きましょう!」

ミス・プロスはその後まもなく思い返し、生涯忘れなかった。シドニーの腕に両手を押し当て、ソロモンに危害を加えないでほしいと懇願しながら彼の顔を見上げた時、その腕には張りつめた目的があり、目には一種の霊感が宿っていた。それは彼の軽い態度を裏切るだけでなく、この男を変え、高めてもいた。その時の彼女は、彼女の愛情にほとんど値しない兄への不安と、シドニーの友好的な慰めにあまりにも心を奪われていて、自分の見たものを十分に重く受け止めることができなかった。

彼らは彼女を通りの角で別れさせ、カートンはロリー氏のもとへ先導した。そこは歩いて数分の距離だった。ジョン・バーサード、あるいはソロモン・プロスは、その隣を歩いた。

ロリー氏はちょうど夕食を終え、陽気に燃える小さな薪火の前に座っていた――おそらく、その炎の中に、今からもう何年も前、ドーヴァーのロイヤル・ジョージで赤い炭火を覗き込んでいた、テルソン銀行のあの少し若い老紳士の姿を見ていたのかもしれない。彼らが入ってくると、彼は頭を向け、見知らぬ者を見て驚きを示した。

「ミス・プロスのお兄さんです」とシドニーは言った。「バーサード氏。」

「バーサード?」老紳士は繰り返した。「バーサード? その名には――そしてその顔には、思い当たるものがある。」

「あなたには目立つ顔だと申し上げましたね、バーサード氏」とカートンは冷ややかに言った。「どうぞお掛けください。」

彼自身も椅子に腰を下ろすと、ロリー氏が求めていたつながりを補うように、眉をひそめて彼に言った。「あの裁判の証人です。」

ロリー氏はすぐに思い出し、新たな訪問者を隠しもしない嫌悪の目で見た。

「バーサード氏は、あなたもお聞きになったあの愛情深い兄として、ミス・プロスに認められました」とシドニーは言った。「そしてその関係を認めました。もっと悪い知らせに移ります。ダーニーがまた逮捕されました。」

老紳士は愕然として叫んだ。「何と言うのだ! 私はこの二時間以内に、彼を安全で自由な状態にして別れ、今まさに彼のもとへ戻ろうとしていたところだ!」

「それでも逮捕されました。いつ行われたのですか、バーサード氏?」

「たった今だ、もし行われたのなら。」

「バーサード氏は可能なかぎり最良の権威です」とシドニーは言った。「そして私は、葡萄酒の瓶を挟んで友人で同業の羊に語ったバーサード氏の伝達から、逮捕が行われたことを知っています。彼は使者たちを門に残し、門番に入れられるのを見ました。彼が再び捕らえられたことに、この世の疑いはありません。」

ロリー氏の実務的な目は、話し手の顔から、この点にこだわるのは時間の損失だと読み取った。混乱してはいたが、自分の冷静さに何かがかかっているかもしれないと悟り、彼は自制し、黙って注意を向けた。

「さて、私は信じたいのです」とシドニーは彼に言った。「マネット博士の名と影響力が、明日も今日と同じように彼の助けになることを――彼は明日また法廷に出ると言いましたね、バーサード氏? ――」

「ああ、そう思う。」

「――明日も今日と同じように助けになることを。ですが、そうならないかもしれない。正直に申し上げます、ロリー氏、マネット博士にこの逮捕を防ぐ力がなかったことに、私は揺さぶられています。」

「博士は事前に知らなかったのかもしれない」とロリー氏は言った。

「しかし、博士が義理の息子とどれほど一体視されているかを思えば、その事情自体が不安材料でしょう。」

「それはそのとおりだ」とロリー氏は認め、悩ましげな手を顎に当て、悩ましげな目をカートンへ向けた。

「要するに」とシドニーは言った。「これは絶望的な時代であり、絶望的な賭け金をめぐって絶望的な勝負が行われる時代です。博士には勝ち目のある勝負をしてもらいましょう。私は負ける勝負をします。ここでは、人の命に買う価値などありません。今日、人民に担がれて家へ運ばれた者が、明日には有罪になることもある。さて、最悪の場合に私が賭けようと決めている賭け金は、コンシェルジュリー監獄にいる一人の友人です。そして私が自分のために勝ち取りたい友人は、バーサード氏です。」

「よい札をお持ちでなければなりませんな」と密偵は言った。

「一通り見てみましょう。何を持っているか見てみます――ロリー氏、あなたは私がどんなろくでなしだかご存じです。少しブランデーをいただけるとありがたいのですが。」

それは彼の前に置かれ、彼は一杯飲み干した――もう一杯飲み干した――瓶を考え込むように押しやった。

「バーサード氏」と彼は続けた。本当に手札を眺めている者のような口調だった。「牢獄の羊、共和委員会の使者、時に看守、時に囚人、常に密偵で秘密告発者。イングランド人であることがここではいっそう価値を持つ。なぜなら、フランス人よりイングランド人のほうが、そのような役目で買収されたとの疑いを受けにくいからだ。その男が雇い主に対して偽名を名乗っている。これはなかなかいい札です。現在、共和フランス政府に雇われているバーサード氏は、かつてはフランスと自由の敵である貴族的イングランド政府に雇われていた。これは素晴らしい札です。この疑惑の地では、推論は白昼のように明らかだ。バーサード氏は今も貴族的イングランド政府から金を受け取り、ピット[訳注:当時の英国首相ウィリアム・ピットを指す]の密偵であり、共和国の懐に潜む裏切りの敵であり、しばしば語られながら見つけにくい、あらゆる悪事を働くイングランドの裏切り者にして手先である。これは負けようのない札です。私の手札についてこられましたか、バーサード氏?」

「あなたの勝負筋がわかるほどには、ついていない」と密偵はやや落ち着かない様子で返した。

「私はエースを切ります。バーサード氏を最寄りの区委員会へ告発することです。手札をよくご覧ください、バーサード氏。何を持っているか見てください。急がずに。」

彼は瓶を引き寄せ、ブランデーをもう一杯注ぎ、飲み干した。密偵が、彼がすぐに告発を実行できる状態まで飲んでしまうことを恐れているのを、彼は見て取った。それを見ると、彼はもう一杯注ぎ、飲んだ。

「手札を慎重にご覧ください、バーサード氏。時間をかけて。」

その手札は、彼が疑っていたより貧弱だった。バーサード氏は、シドニー・カートンの知らない負け札をその中に見ていた。イングランドであまりにも多く失敗した偽証のために、名誉ある職を追われた彼は――そこに必要とされなかったからではない。秘密主義や密偵に対して自分たちが優越していると自慢するイングランド人の理由は、ごく近代のものにすぎない――自分が海峡を渡り、フランスで仕事を受け入れたことを知っていた。最初は、そこにいる同国人のあいだで誘惑者となり、盗み聞きする者となった。次第に、土地の人々のあいだでも誘惑者となり、盗み聞きする者となった。彼は、倒された政府のもとで、自分がサン=タントワーヌとデファルジュの酒屋を見張る密偵であったことを知っていた。警戒深い警察から、マネット博士の投獄、釈放、経歴について、デファルジュ夫妻と親しい会話を始める導入として役立つはずの情報の要点を受け取り、それをデファルジュ夫人に試したが、見事に失敗したことを知っていた。彼は、あの恐ろしい女が、自分と話している時に編み物をしていたこと、指が動くあいだ不吉な目で彼を見ていたことを、いつも恐怖と震えとともに思い出していた。その後、彼はサン=タントワーヌ区で、彼女が編み物名簿を何度も取り出し、人々を告発し、その命が確実にギロチンに呑まれていくのを見てきた。彼は、自分と同じ仕事をしている者なら誰もが知っているように、自分が決して安全ではないことを知っていた。逃亡は不可能であり、斧の影の下にしっかり縛りつけられていること、支配する恐怖を進めるためにどれほど巧みに変節し裏切っても、一言でそれが自分の上に落ちてくるかもしれないことを知っていた。ひとたび告発され、しかも今しがた彼の心に示されたような重大な根拠によるならば、その冷酷な性格の証拠をいくつも見てきた恐ろしい女が、自分に対してあの致命的な名簿を持ち出し、最後の生の望みを打ち砕くだろうと予見した。すべての秘密の人間はすぐに恐怖する人間であるということに加え、ここには、その持ち主が手札をめくりながらかなり青ざめるに足る、黒い一揃いの札が確かに十分あった。

「どうも手札がお気に召さないようですね」とシドニーはこの上ない落ち着きで言った。「勝負しますか?」

「私は思うのですが」と密偵は、この上なく卑屈な態度でロリー氏に向き直って言った。「あなたのご年齢とご慈悲にすがり、このもう一人の紳士、あなたよりずっと若い紳士に、どのような事情があれ、自分の身分と、先ほど話したエースを切ることとを両立させられるのか、お尋ねいただけるのではないでしょうか。私は、自分が密偵であり、それが不名誉な立場と見なされていることを認めます――もっとも、誰かがその役を務めねばならないのですが。しかしこの紳士は密偵ではない。なぜ自らを貶めて、そのような者にならねばならないのです?」

「私はエースを切りますよ、バーサード氏」とカートンは自分で答えを引き受け、時計を見ながら言った。「ほんの数分のうちに、何のためらいもなく。」

「ご両名とも」と密偵は、なおもロリー氏を議論に引き込もうとして言った。「私の妹への敬意から――」

「あなたの妹御への敬意を示すには、最終的に彼女から兄を取り除いて差し上げる以上によい方法はありません」とシドニー・カートンは言った。

「そうお考えでないと?」

「その点については完全に決心しています。」

密偵の滑らかな態度は、これ見よがしに粗野な服装、そしておそらくいつもの振る舞いとも奇妙に不協和だったが、カートンの底知れなさ――彼より賢く正直な男たちにとっても謎だったもの――によって痛撃を受け、ここで揺らぎ、役に立たなくなった。彼が途方に暮れているあいだに、カートンは、先ほどのように札を眺めているふうを取り戻して言った。

「実のところ、考え直してみると、ここにはまだ数え上げていないもう一枚のよい札があるように強く感じます。田舎の牢獄で草を食んでいると自称していた、あの友人で同業の羊。あれは誰です?」

「フランス人だ。あなたは知らない」と密偵は素早く言った。

「フランス人、ですか?」カートンは彼の言葉を反復しながら、物思いに沈み、まったく彼に気づいていないように見えた。「なるほど、そうかもしれない。」

「そうだ、保証する」と密偵は言った。「重要なことではないが。」

「重要なことではないが」とカートンは同じ機械的な調子で繰り返した。「重要なことではないが――いや、重要ではありません。ええ。だがあの顔には覚えがある。」

「そうは思わない。絶対に違う。ありえない」と密偵は言った。

「ありえない」とシドニー・カートンは過去をたどるようにつぶやき、またグラス(幸い小さいものだった)をもてあそんだ。「ありえない。うまいフランス語を話した。けれど、外国人のように思えたが?」

「地方訛りだ」と密偵は言った。

「違う。外国人だ!」カートンは、はっきりと心に光が差したように、開いた手でテーブルを叩いて叫んだ。「クライだ! 変装しているが同じ男だ。あの男はオールド・ベイリーでわれわれの前に出た。」

「それは早まっていますな」とバーサードは言い、笑みを浮かべた。その笑みによって鷲鼻はいっそう横へ傾いた。「そこは本当に、あなたのほうが私に有利な材料を与えてくださっている。クライ(時がたった今なら遠慮なく認めますが、彼は私の相棒でした)は数年前に死んでいます。私は彼の最後の病を看取りました。彼はロンドンのセント・パンクラス・イン・ザ・フィールズ教会に埋葬されました。その時のならず者の群衆の人気のなさのせいで、私は遺骸についていくことはできませんでしたが、彼を棺に納める手伝いはしました。」

ここでロリー氏は、自分の座っているところから、壁にきわめて異様な小鬼めいた影が映っているのに気づいた。その元をたどると、クランチャー氏の頭に生えている、もともと逆立って硬い髪が、突然、異常なほど立ち上がり、硬直したために生じたものだとわかった。

「理性的にいきましょう」と密偵は言った。「公平にいきましょう。あなたがどれほど間違っているか、あなたの推測がどれほど根拠のないものかを示すため、クライの埋葬証明書をお見せしましょう。たまたまそれ以来、手帳に入れて持ち歩いていたものです」彼は慌ただしい手つきでそれを取り出し、開いた。「そこにあります。さあ、ご覧なさい、ご覧なさい! 手に取ってもよろしい。偽造ではありません。」

ここでロリー氏は、壁に映る影が伸び、クランチャー氏が立ち上がって前へ出るのを見た。彼の髪は、その瞬間に『ジャックの建てた家』[訳注:英語圏の童謡]に出てくる曲がった角の牛に整えられたとしても、これほど激しく逆立ちはしなかっただろう。

密偵に見えないように、クランチャー氏は彼のそばに立ち、幽霊のような執行吏のごとく肩に触れた。

「そのロジャー・クライってやつを、旦那」とクランチャー氏は、無口で鉄のように固い顔つきで言った。「じゃああんたが棺に入れたってのか?」

「入れた。」

「誰がそいつを棺から出した?」

バーサードは椅子の背にもたれ、どもった。「どういう意味だ?」

「おれの言う意味は」とクランチャー氏は言った。「そいつは一度もそこに入ってなかったってことだ。いいや! 入ってねえ! もしそいつが一度でも入ってたなら、おれの首を取られてもいい。」

密偵は二人の紳士を見回した。二人とも言葉にならない驚きでジェリーを見ていた。

「言っておくぞ」とジェリーは言った。「あんたはあの棺に敷石と土を埋めたんだ。おれにクライを埋めたなんて言うんじゃねえ。あれはぺてんだ。おれとあと二人がそれを知ってる。」

「どうしてそれを知っている?」

「あんたに何の関係がある? 畜生!」クランチャー氏は唸った。「商売人に恥ずべきだましをしやがって、古い恨みを持ってる相手はあんたのほうだったか! 半ギニーくれるなら、あんたの喉をつかんで絞めてやる。」

この成り行きにロリー氏とともに驚愕していたシドニー・カートンは、ここでクランチャー氏に、落ち着いて説明するよう求めた。

「また別の時に、旦那」と彼は言い逃れるように返した。「今は説明には具合が悪うございます。おれが譲らねえのは、そいつが、あのクライってやつがあの棺に一度も入ってなかったことをよく知ってるって点です。一音節の言葉一つでも、入ってたと言わせてみな。おれはそいつの喉をつかんで半ギニーで絞めるか」クランチャー氏は、これをかなり気前のよい申し出として力を込めた。「さもなきゃ外へ出て、そいつのことを知らせてやる。」

「ふむ! 一つわかりました」とカートンは言った。「もう一枚札がありますよ、バーサード氏。疑惑が空気を満たす荒れ狂うパリで、あなたと同じ経歴を持つ別の貴族的密偵と通じていることを告発されれば、生き延びることは不可能です。しかもその密偵には、死を偽装して生き返ったという謎がある! 牢獄内における、外国人の共和国に対する陰謀。強い札です――確実なギロチン札だ! 勝負しますか?」

「しない!」密偵は返した。「降りる。認める。われわれは乱暴な暴徒にあまりにも不人気で、私は溺れ死ぬ危険を冒してようやくイングランドから逃げ出せた。クライはあちこちで追い回されて、あの芝居がなければまったく逃げられなかった。もっとも、この男がどうしてそれが芝居だと知っているのか、私には不思議中の不思議だが。」

「この男のことで頭を悩ませるんじゃねえ」と、けんか腰のクランチャー氏が言い返した。「あんたはそちらの紳士に注意を向けるだけで、十分厄介を抱えることになる。それから、いいか! もう一度言うぞ!」――クランチャー氏は自分の気前よさをやや大げさに見せびらかすことを抑えられなかった――「半ギニーくれるなら、あんたの喉をつかんで絞めてやる。」

牢獄の羊は彼からシドニー・カートンへ向き直り、よりきっぱりと言った。「話はここまで来た。私はすぐ勤務に入るので、時間を超えてはいられない。提案があると言ったな。それは何だ? 今さら言っておくが、私にあまり多くを求めても無駄だ。私の職務上、頭を余分な大きな危険にさらすようなことを求めるなら、承諾した場合の危険に命を預けるより、拒絶した場合の危険に命を預けたほうがましだ。端的に言えば、私はそちらを選ぶ。あなたは絶望の話をする。ここでは皆、絶望している。覚えておけ! 私がそうすべきだと思えば、あなたを告発できる。私は石壁を貫くほどに誓いを立てられるし、他にもそうできる者はいる。さて、私に何を望む?」

「たいしたことではありません。あなたはコンシェルジュリー監獄の看守ですね?」

「一度きり言っておく。脱獄など可能ではない」と密偵は断固として言った。

「なぜ私が尋ねていないことを言う必要があるのです? あなたはコンシェルジュリー監獄の看守ですね?」

「時にはそうだ。」

「望めばそうなれる?」

「望めば出入りできる。」

シドニー・カートンは別のグラスにブランデーを満たし、それをゆっくり炉床へ注ぎ、滴るのを見つめた。すべて流れ尽くすと、彼は立ち上がって言った。

「ここまでは、この二人の前で話しました。札の価値が、あなたと私だけの間にとどまらないほうがよかったからです。こちらの暗い部屋へ来てください。最後に一言、二人だけで話しましょう。」

第九章 勝負は決まる

シドニー・カートンと監獄の羊が隣の暗い部屋に入り、物音ひとつ聞こえないほど低い声で話しているあいだ、ジャービス・ロリー氏はかなりの疑念と不信をもってジェリーを見つめていた。その正直な商売人は、その視線を受け止める態度がどうにも信用を誘わなかった。まるで脚が五十本もあって、その全部を試しているかのように、体重を預ける脚をしきりに替えた。指の爪を、いかにも怪しげな熱心さで検分した。そしてロリー氏の目と合うたび、片手を口の前で丸めずにはいられない、あの独特の短い咳に襲われた。そういう咳が、完全に開けっぴろげな性格につきものの持病であるなどとは、まず聞いたためしがない。

「ジェリー」とロリー氏が言った。「こっちへ来なさい。」

クランチャー氏は、片方の肩を先に突き出すようにして、横歩きで進み出た。

「使い走りのほかに、君は何をしていたのだ?」

ひとしきり考え込み、雇い主をじっと見つめた末に、クランチャー氏は「農業関係の人間でございます」と答えるという、光り輝く名案を思いついた。

「どうも私の胸騒ぎがするのだ」とロリー氏は、怒って人差し指を振りながら言った。「君は由緒正しき大商会テルソン銀行を隠れ蓑に使い、悪名高い性質の違法な仕事に手を染めていたのではないかとな。もしそうなら、イングランドへ戻ってから私が君の味方をするなどとは思わんことだ。もしそうなら、私が君の秘密を守るなどとも思わんことだ。テルソンが欺かれることは許さん。」

「どうか旦那」と、しょげ返ったクランチャー氏は嘆願した。「旦那みてえなお方、あっしが白髪になるまで名誉にも雑用をさせていただいた紳士なら、たとえそうだったとしても――そうだとは申しませんが、たとえそうだったとしても――あっしを傷つける前に二度は考えてくださるもんだと思います。それに、もしそうだったとしても、それは片っぽだけの話じゃねえってことも勘定に入れていただかねえと。そこには二つの面があるんで。今この瞬間にも、医者先生方が、正直な商売人じゃファージング銅貨一枚――ファージング! いや、その半ファージングだって拾えねえところで、ギニー金貨を拾い集めてるかもしれねえ。半ファージング! いや、その四分の一だってだ――煙みてえにテルソンへ預けに来て、こっそり医者の目でその商売人を流し見し、自分らの馬車へ出たり入ったりしてるかもしれねえ――ああ! 同じくらい煙みてえに、いやもっとかもしれねえ。なら、それだってテルソンを欺いてるってことになりまさあ。ガチョウにだけソースをかけて、雄ガチョウにかけねえってわけにはいきませんから。それにここにクランチャー夫人がいる、少なくとも古きイングランドのころにはおりまして、理由さえあれば明日にでもまた、あの商売に反対して身を投げ出すほど祈り散らして、破滅させる――まったく破滅させるんです! ところが医者先生の女房どもは祈り倒しなんざしねえ――やってみろってんだ! いや、たとえ祈ったって、その祈りは患者が増えるほうに効くんで、一方なしにもう一方をどうして正当に持てるってんです? それから葬儀屋だの、教区書記だの、墓掘りだの、私設夜警だの(みんながめつくて、みんな噛んでる)、そういうのがあるもんで、たとえそうだったとしても、人ひとりが得るものなんざ大したことはねえんです。それに、たとえ人がほんの少し得たって、そいつの身には決して栄えませんぜ、ロリー氏。ちっともいい目は見ねえ。いったんその筋に入っちまったら――たとえそうだったとしても――抜け道が見えるなら、ずっとその筋から足を洗いてえと思うもんなんです。」

「ううむ!」ロリー氏は叫んだ。とはいえ、いくらか気持ちは和らいでいた。「君を見るだけでぞっとする。」

「さて、旦那に謹んで申し上げたいのは」とクランチャー氏は続けた。「たとえそうだったとしても、そうだとは申しませんが――」

「ごまかすな」とロリー氏が言った。

「いいえ、決していたしません、旦那」とクランチャー氏は、そんなことは考えたことも実行したこともないという顔で答えた。「そうだとは申しませんが――旦那に謹んで申し上げたいことは、こういうことでございます。あそこのあの腰掛け、あそこのあのカウンターに、あっしのあの息子が座っております。育ち上がって一人前になったあの子で、旦那がお望みなら、旦那の足の踵が頭の位置に来るまで、使い走りでも、伝言でも、雑用でも、なんでも務めます。もしそうだったとしても、あっしは今もそうだとは申しません(旦那にごまかしはいたしませんから)、あの子に父親の場所を継がせ、母親の面倒を見させてやってください。あの子の父親のことを吹聴しねえでください――どうか、それだけはなさらねえでください、旦那――そしてその父親には、まっとうな掘り仕事の筋に入らせてやってください。掘り返したかもしれねえものの埋め合わせに――もしそうだったとしても――これからは心を込めて掘って埋め、未来にわたって安全に保つという信念をもって働かせてください。それが、ロリー氏」とクランチャー氏は、話が大詰めに達した合図のように腕で額を拭いながら言った。「あっしが旦那に敬意を込めて申し上げたいことでございます。首なしの御方々が、こんな恐ろしい具合に周りで進んでいるのを見て、神様、荷運び賃ほど、いやそれすら怪しいくらいまで値を下げるほど十分にいるのを見りゃ、人間、物事を真剣に考えずにはいられません。もしそうだったなら、あっしの考えはこうでございます。どうかお忘れなきようお願い申しますが、さっきあっしが言ったことは、黙っていることもできたのに、よい目的のために立ち上がって申し上げたことなんです。」

「少なくとも、それは本当だ」とロリー氏は言った。「今はもう何も言うな。もし君がそれに値し、言葉でなく行いで悔い改めるなら、私はまだ君の味方でいてやるかもしれん。もう言葉はいらない。」

クランチャー氏は額に拳を当てて敬礼した。そのとき、シドニー・カートンと密偵が暗い部屋から戻ってきた。「さらばだ、バーサード氏」と前者が言った。「こうして取り決めができた以上、私から恐れるものは何もない。」

彼は炉辺の椅子に腰を下ろし、ロリー氏と向かい合った。二人きりになると、ロリー氏は彼に、何をしたのかと尋ねた。

「大したことではありません。囚人に不利なことになった場合、一度だけ彼に会えるよう手は打ちました。」

ロリー氏の顔が曇った。

「私にできたのはそれがすべてです」とカートンは言った。「多くを求めすぎれば、あの男の首を斧の下に差し出すことになる。本人も言ったように、告発されればそれ以上悪いことは起こりようがない。そこがこの立場の明らかな弱みでした。どうにもなりません。」

「だが彼に会えるとしても」とロリー氏は言った。「もし法廷で不利になれば、それでは彼を救えまい。」

「救えるとは一言も言っていません。」

ロリー氏の目はしだいに火のほうへ移っていった。愛しい娘への同情と、再逮捕という重い失望とが、しだいに彼を弱らせた。彼はもう老人であり、このところの心労に押し潰され、涙がこぼれた。

「あなたは善良な人で、真の友です」とカートンは声を変えて言った。「あなたが心を動かされていることに触れるのを許してください。私は自分の父が泣くのを見て、平気でそばに座ってはいられません。そして、もしあなたが私の父であったとしても、あなたの悲しみをこれ以上深く尊ぶことはできなかったでしょう。もっとも、あなたはその不幸からは自由ですが。」

最後の言葉は、いつもの調子に滑り戻って言ったものだったが、その声音にも手の触れ方にも、真の感情と敬意があった。彼のよい面を見たことのなかったロリー氏は、まったく予期していなかった。彼は手を差し出し、カートンはそれをそっと握った。

「哀れなダーニーの件に戻りましょう」とカートンは言った。「この面会のことも、この取り決めのことも、彼女には話さないでください。これがあっても、彼女が彼に会いに行けるわけではありません。最悪の場合に備えて、判決を先回りする手段を彼に伝えるために仕組まれたのだと、彼女は思うかもしれない。」

ロリー氏はそのことを考えておらず、それがカートンの頭にあるのかどうか確かめようと、素早く彼を見た。どうやらそのようだった。カートンはその視線を受け止め、明らかにその意味を理解していた。

「彼女は千ものことを考えるでしょう」とカートンは言った。「そのどれもが、ただ彼女の苦しみを増すだけです。彼女に私のことを話さないでください。最初に来たときあなたに言ったとおり、私は彼女に会わないほうがいい。そのことなしに、私の手が彼女のために見つけられるささやかな助けなら、手を伸ばしてやれます。あなたは彼女のところへ行くのでしょう? 彼女は今夜、ひどく心細いはずです。」

「今すぐ行くところだ。」

「それはよかった。彼女はあなたに深い愛着を持ち、頼りにしています。彼女はどんな様子ですか?」

「不安で不幸そうだ。だが、とても美しい。」

「ああ!」

それは長く、悲しげな音だった。ため息のようで、ほとんどすすり泣きのようでもあった。その音に引かれてロリー氏はカートンの顔を見た。顔は火のほうへ向けられていた。光とも影とも(老紳士にはどちらとも言えなかった)つかぬものが、荒れて明るい日に丘の斜面を変化がさっと走り抜けるように、その顔を素早くよぎった。そしてカートンは、前へ転げ出ようとしていた小さな燃え木の一本を押し戻そうと足を上げた。彼は当時流行していた白い乗馬用コートと長靴を身につけており、火の光がその淡い表面に触れて、伸び放題の長い茶色の髪が乱れて垂れる彼の姿を、ひどく青白く見せていた。火への無頓着さは、ロリー氏から一言たしなめを引き出すほど際立っていた。燃える丸太が彼の足の重みで割れたあとも、長靴は熱い熾き火の上に乗ったままだった。

「忘れていました」と彼は言った。

ロリー氏の目はまた彼の顔に引き寄せられた。もともと端正な顔立ちを曇らせる消耗した様子に気づき、さらに囚人たちの顔つきが記憶に生々しく残っていたため、彼は強くその表情を思い起こさせられた。

「それで、あなたのこちらでの務めは終わりに近づいたのですね?」とカートンは彼のほうへ向き直って言った。

「ああ。昨夜、ルーシーが思いがけず入ってきたときに話していたとおり、私はようやくここでできることをすべて終えた。彼らを完全に安全な状態に置いてから、パリを去るつもりだった。通行許可証も持っている。出発の準備はできていた。」

二人はどちらも黙った。

「振り返るには、長い人生ですね」とカートンは物思わしげに言った。

「私は七十八年目に入っている。」

「あなたは一生を通じて役に立ってこられた。着実に、絶えず働き、信頼され、尊敬され、仰がれてきたのですね?」

「私は人となって以来、ずっと実務の人間だった。実際、少年のころから実務の人間だったと言ってよい。」

「七十八歳で、あなたが占めている場所を見てください。あなたがその場所を空けたら、どれほど多くの人があなたを惜しむでしょう!」

「孤独な老いた独身者だ」とロリー氏は首を振って答えた。「私のために泣く者など誰もいない。」

「どうしてそんなことが言えるのです? 彼女はあなたのために泣かないと? 彼女の子は?」

「ああ、ああ、神に感謝する。私は言ったことを本気でそういう意味で言ったわけではない。」

「それは神に感謝すべきことです。そうではありませんか?」

「もちろんだ、もちろんだ。」

「もし今夜、あなたが自分自身の孤独な心に向かって、真実としてこう言えるとしたら――『私は人間の誰からも愛情も愛着も、感謝も尊敬も得ていない。誰の心にも優しい居場所を勝ち取っていない。記憶されるような善いことも、有益なことも何ひとつしてこなかった』と。あなたの七十八年は、七十八の重い呪いになるでしょう。そうではありませんか?」

「君の言うとおりだ、カートン氏。私もそう思う。」

シドニーは再び目を火に向け、数瞬の沈黙のあとで言った。

「お尋ねしたいのですが――あなたの子ども時代は遠く感じますか? 母上の膝もとに座っていた日々は、はるか昔の日々に思えますか?」

その和らいだ態度に応じて、ロリー氏は答えた。

「二十年前なら、そうだった。だが今の年齢では、そうではない。終わりに近づけば近づくほど、私は輪を巡って、始まりへと近づいていくのだ。道を優しくならし、整えてくれるものの一つであるように思える。今の私の心は、長く眠っていた多くの思い出に触れられる。若く美しかった母の記憶に(この私がこんなに老いているのに!)、また、私たちが『世間』と呼ぶものが私にとってまだそれほど現実ではなく、私の欠点もまだ固まっていなかった日々の、数々の連想に。」

「その気持ちはわかります!」カートンはぱっと頬を紅潮させて叫んだ。「そして、それによってあなたはよりよい人になっている?」

「そう願っている。」

カートンはここで立ち上がり、ロリー氏が外套を着るのを手伝って、会話を終わらせた。「だが君は」とロリー氏はその話題に戻って言った。「君は若い。」

「ええ」とカートンは言った。「私は老いてはいません。ですが私の若い道は、決して老いへ向かう道ではありませんでした。私のことはもう十分です。」

「私のことも、もう十分だとも」とロリー氏は言った。「外へ出るのかね?」

「彼女の門までご一緒します。私の放浪癖と落ち着きのない習慣はご存じでしょう。もし私が長いこと街をうろついても、心配しないでください。朝にはまた姿を現します。明日、法廷へ行かれるのですね?」

「ああ、不幸にも。」

「私もそこにいます。ただし群衆の一人としてですが。私の密偵が場所を見つけてくれるでしょう。腕をお取りください。」

ロリー氏はそうし、二人は階段を下り、街へ出た。数分でロリー氏の目的地に着いた。カートンはそこで彼と別れたが、少し離れたところに留まり、門が閉じられるとまた引き返して、門に触れた。彼女が毎日監獄へ通っていることを聞いていたのだ。「彼女はここから出てきた」と彼はあたりを見回して言った。「こちらへ曲がり、この石の上を何度も踏んだに違いない。彼女の足跡をたどらせてくれ。」

彼がラ・フォルス監獄の前に立ったのは、夜十時だった。彼女が何百回も立った場所である。小柄な木挽きが店を閉め、店先でパイプを吸っていた。

「こんばんは、市民」とシドニー・カートンは通り過ぎる途中で足を止めて言った。男が彼を詮索するように見ていたからだ。

「こんばんは、市民。」

「共和国の調子はどうだ?」

「ギロチンのことかね。悪くない。今日は六十三だ。じきに百に届くだろうよ。サンソンとその手下どもは、ときどき疲れ切ったってぼやいてる。は、は、は! あのサンソンはおどけた奴だ。たいした床屋だ!」

「君はよく彼を見に行くのか――」

「剃るところをか? いつもだ。毎日さ。なんて床屋だ! 奴の仕事ぶりを見たことは?」

「一度もない。」

「まとまった客がいるときに見に行くがいい。想像してみろ、市民。今日、奴は六十三人を、パイプ二服かからずに剃ったんだ! 二服もかからずにだ。名誉にかけて!」

にやにや笑う小男が、処刑人の時間をどう測ったか説明しようと吸っているパイプを差し出したとき、カートンはその男の命を叩き潰したい衝動がこみ上げるのをはっきり感じ、身を翻した。

「だがあんた、イングランドの服を着てるが、イングランド人じゃないな?」と木挽きは言った。

「そうだ」とカートンは再び足を止め、肩越しに答えた。

「フランス人みたいに話す。」

「昔、ここで学んだ学生だ。」

「ああ、なら完全なフランス人だ! おやすみ、イングランド人。」

「おやすみ、市民。」

「だがあの愉快な犬を見に行けよ」と小男はなおも後ろから呼びかけた。「パイプを持って行くんだぞ!」

シドニーは姿が見えなくなるほど遠くへ行かないうちに、かすかに光る街灯の下、通りの真ん中で立ち止まり、紙切れに鉛筆で何かを書いた。それから、道をよく覚えている者の確かな足取りで、暗く汚れたいくつもの通りを横切った――恐怖の時代には、最もよい公共の大通りでさえ清掃されず、いつもよりずっと汚れていた――そして、一軒の薬屋の前で足を止めた。店主が自分の手で店を閉めようとしているところだった。小さく、薄暗く、歪んだ店で、曲がりくねった上り坂の通りにあり、小さく、薄暗く、歪んだ男が営んでいた。

この市民にもこんばんはと言い、カウンター越しに向かい合うと、彼は紙切れを差し出した。「ひゅう!」薬屋はそれを読んで、低く口笛を吹いた。「へえ! へえ! へえ!」

シドニー・カートンは気にも留めず、薬屋が言った。

「あなた用かね、市民?」

「私用だ。」

「別々に保管するよう気をつけるんだな、市民? 混ぜたらどうなるか知っているね?」

「よく知っている。」

小さな包みがいくつか作られ、彼に渡された。彼はそれらを一つずつ内衣の胸にしまい、代金を数えて払い、落ち着いて店を出た。「もうすることは何もない」と彼は月を見上げながら言った。「明日までは。眠れない。」

速く流れる雲の下で、彼がその言葉を声に出して言った態度は、無謀なものではなかった。また、それは無頓着さよりも挑戦を示すものでもなかった。それは、さまよい、もがき、道に迷いながら、ついに自分の道へ踏み込み、その終わりを見た疲れた男の、定まった態度だった。

はるか昔、若く大いに有望だと最初の競争相手たちのあいだで名を知られていたころ、彼は父を墓まで送った。母はその何年も前に死んでいた。父の墓前で読まれた荘厳な言葉が、暗い通りを、重い影のあいだを、月と雲が頭上高く流れる下で歩く彼の心に浮かび上がった。「主は言われる、我は復活なり、命なり。我を信ずる者は、たとえ死んでも生きる。また、生きて我を信ずる者は、永遠に死ぬことがない。」

斧に支配された都市で、夜ひとり、今日処刑された六十三人と、今まさに監獄で運命を待つ明日の犠牲者、さらに明日のまた明日の犠牲者たちへの自然な悲しみがこみ上げるなか、その言葉を深みから錆びた古い船の錨のように胸へ引き上げた連想の鎖は、たやすく見つかったかもしれない。彼はそれを探ろうとはせず、ただその言葉を繰り返して歩き続けた。

人々が周囲の恐怖を数時間の静かな眠りのあいだ忘れようとしている、灯のともった窓に、また、祈りの捧げられない教会の塔に――民衆の反動は、幾年にもわたる聖職者たちの欺瞞と略奪と放蕩から、自己破壊のそこまで進んでいたのだ――また、門に「永遠の眠りのため」と記された遠くの墓地に、あふれる監獄に、そして六十人ずつが転がされていく通りに、その死があまりにも日常的で物質的なものとなったため、ギロチンのすべての働きから、取り憑く霊の悲しい物語ひとつ民衆のあいだに生まれなかった、その通りに、厳粛な関心を抱きながら、都市の生と死のすべてが、怒りの短い夜の休止へ沈んでいくのを見つめつつ、シドニー・カートンは明るい通りへ向かって再びセーヌ川を渡った。

外を走る馬車は少なかった。馬車に乗る者は疑いを受けやすく、上品な身分の者は赤いナイトキャップに頭を隠し、重い靴を履いて歩いたからだ。だが劇場はどこも満員で、彼が通り過ぎると、人々は陽気にあふれ出し、おしゃべりしながら家路についた。ある劇場の入口に、母親と一緒の小さな女の子がいて、泥のなか通りを渡る道を探していた。彼はその子を抱えて渡してやり、臆病な腕が首から離れる前に、キスをねだった。

「主は言われる、我は復活なり、命なり。我を信ずる者は、たとえ死んでも生きる。また、生きて我を信ずる者は、永遠に死ぬことがない。」

今や通りは静まり、夜が更けていくと、その言葉は彼の足音の反響のなかにあり、空気のなかにあった。完全に穏やかで揺るぎなく、歩きながらときおり自分に向かってそれを繰り返した。だが、彼にはいつもその言葉が聞こえていた。

夜は尽き、彼が橋の上に立ち、パリ島の川壁に水が跳ねる音を聞いていると、そこでは家々と大聖堂の絵のような混沌が月光に明るく輝いていた。やがて空から死んだ顔のように冷たく朝が現れた。それから月と星を抱いた夜は青ざめ、死に、しばらくのあいだ、天地創造のすべてが死の支配に引き渡されたかのように見えた。

だが、昇る栄光の太陽は、長く明るい光線のなかで、夜の重荷であったあの言葉を、まっすぐ温かく彼の心へ打ち込むようだった。そして彼が敬虔に目をかざしてその光を見やると、彼と太陽とのあいだの空に光の橋が架かり、その下で川がきらめいているように見えた。

朝の静けさのなか、強い潮流は、速く、深く、確かで、気の合う友のようだった。彼は家々から遠く離れて川辺を歩き、太陽の光と温もりのなか、岸辺で眠りに落ちた。目覚めて再び立ち上がると、なおもしばらくそこに留まり、目的もなくくるくる回る渦を見つめた。やがて流れがそれを呑み込み、海へと運び去った。――「私と同じだ。」

枯葉の柔らいだ色をした帆を張った商船が、やがて彼の視界に滑り込み、彼のそばを漂い、消えていった。その静かな航跡が水面から消えると、彼の心から湧き上がっていた祈り――自分の哀れな盲目と過ちのすべてに憐れみ深い配慮を願う祈り――は、「我は復活なり、命なり」という言葉で終わった。

彼が戻ったとき、ロリー氏はもう外出しており、善良な老人がどこへ行ったかは容易に察せられた。シドニー・カートンは少しのコーヒーだけを飲み、パンをいくらか食べ、体を洗い、着替えて気分を整えると、裁判の場へ出かけた。

法廷は騒然とざわめいていた。多くの者が恐れて離れていく黒い羊が、群衆の中の目立たない隅へ彼を押し込んだ。ロリー氏がそこにいた。マネット博士もいた。彼女もそこにいて、父のそばに座っていた。

夫が連れてこられると、彼女は彼に視線を向けた。そのまなざしは彼を支え、励まし、称賛の愛と哀れみ深い優しさに満ち、それでいて彼のために勇敢だった。そのため、彼の顔には健康な血色がよみがえり、目は輝き、心は活気づいた。もしシドニー・カートンに対する彼女のまなざしの影響に気づく目があったなら、それがまったく同じ影響であることが見て取れただろう。

その不正な法廷の前では、被告人にまともな審理を保証する手続きの秩序など、ほとんど、あるいはまったく存在しなかった。あらゆる法律、形式、儀礼が、まず恐るべきまでに乱用されていなければ、このような革命はあり得なかった。だからこそ革命の自殺的な復讐は、それらすべてを四方八方へ吹き散らそうとしたのである。

すべての目が陪審に向けられた。昨日も一昨日も、明日も明後日も同じ、断固たる愛国者にして善良な共和主義者たち。その中でもひときわ前のめりで熱心な男が一人いた。飢えた顔をし、指を絶えず唇のあたりに漂わせている。その姿は傍聴人たちに大いなる満足を与えた。命に飢え、人喰いめいた、血なまぐさい心を持つ陪審員、サン=タントワーヌのジャック三号である。陪審全体が、鹿を裁くために選ばれた犬の陪審のようだった。

次いで、すべての目は五人の裁判官と公訴人へ向かった。今日、その方面に好意的な傾きはなかった。そこには凶悪で、妥協せず、殺意に満ちた、本気の用件があった。次いで、すべての目は群衆のなかの別の目を探し、賛同するようにぎらりと光った。頭と頭がうなずき合い、それから緊張した注意をもって前へかがんだ。

チャールズ・エヴレモンド、通称ダーニー。昨日釈放。昨日再告発、再逮捕。昨夜、起訴状を交付。共和国の敵として疑われ、告発された者。貴族、暴君の一族の一員、追放対象の血統に属する者。廃止された特権を用いて人民を悪名高く圧迫したためである。チャールズ・エヴレモンド、通称ダーニーは、その追放の権利により、法の上で絶対的に死者である。

この趣旨を、公訴人はこれと同じくらい少ない、あるいはさらに少ない言葉で述べた。

議長が尋ねた。被告は公然と告発されたのか、秘密裡にか。

「公然とです、議長。」

「誰によって?」

「三つの声によって。サン=タントワーヌの酒屋、エルネスト・デファルジュ。」

「よろしい。」

「その妻、テレーズ・デファルジュ。」

「よろしい。」

「医師、アレクサンドル・マネット。」

法廷に大きなどよめきが起こり、そのただなかでマネット博士が、青ざめ震えながら、座っていた場所に立っているのが見えた。

「議長、これは偽造であり欺瞞であると、私は憤然として抗議する。あなたは被告が私の娘の夫であることをご存じだ。私の娘と、娘にとって大切な者たちは、私の命よりもはるかに大切だ。私がわが子の夫を告発したと言う偽りの陰謀者は、誰で、どこにいるのか!」

「市民マネット、静粛に。法廷の権威に従わぬことは、あなた自身を法の外へ置くことになる。命より大切なものについて言えば、善良な市民にとって共和国ほど大切なものはない。」

この叱責に、大きな喝采が湧いた。議長はベルを鳴らし、熱を込めて続けた。

「もし共和国があなた自身の娘の犠牲を求めるなら、あなたには娘を犠牲にするほか義務はない。これから続くことを聞くがよい。そのあいだ、黙っていよ!」

狂乱した喝采がまた湧き上がった。マネット博士は腰を下ろし、目はあたりを見回し、唇は震えていた。娘は父に身を寄せた。陪審席の飢えた男は両手をこすり合わせ、いつもの手を口へ戻した。

法廷が彼の声を聞けるほど静まると、デファルジュが呼び出され、投獄の話、博士に仕えていたとき自分がただの少年だったこと、釈放、そして釈放され自分に引き渡されたときの囚人の状態を、手早く述べた。法廷の仕事は速かったので、続いて短い尋問が行われた。

「市民、君はバスティーユ襲撃の際、よく働いたのだな?」

「そう思います。」

ここで、群衆の中から興奮した女が金切り声を上げた。「あんたはあそこにいた最高の愛国者の一人だったじゃないか。なぜそう言わないんだい? あの日、あんたは砲手で、呪われた要塞が陥ちたとき、真っ先に中へ入った者の一人だった。愛国者たち、私は真実を言っているよ!」

ヴァンジャンスが、聴衆の熱い称賛のただなかで、こうして手続きを助けたのである。議長はベルを鳴らしたが、励ましに熱くなったヴァンジャンスは「そんなベルなど怖くないよ!」と叫び、そのことでもまた大いに称賛された。

「市民、その日、バスティーユ監獄の中で何をしたかを法廷に知らせよ。」

「私は知っていました」とデファルジュは、自分が立たされた階段の下にいて、じっと見上げている妻を見下ろしながら言った。「私が話しているこの囚人が、北塔百五番として知られる独房に閉じ込められていたことを知っていました。本人から聞いたのです。私のもとで靴を作っていたころ、彼は自分を北塔百五番という名以外では知りませんでした。その日、私は自分の大砲に仕えながら、この場所が陥ちたら、その独房を調べようと決めました。要塞は陥ちました。私は陪審員の一人である同胞市民とともに、看守に案内されてその独房へ上がりました。綿密に調べました。煙突の中の穴、石が抜き取られてまた戻されていた場所に、文書を見つけました。これがその文書です。私はマネット博士の筆跡の見本をいくつか調べることを自分の務めとしました。これはマネット博士の筆跡です。私はマネット博士の筆跡によるこの文書を、議長の手に託します。」

「読ませよ。」

死んだような沈黙と静止の中で――裁かれている囚人は妻を愛しげに見つめ、妻は彼を見つめるほかは父を気遣って見やり、マネット博士は読み手に目を据え、デファルジュ夫人は囚人から決して目を離さず、デファルジュは満ち足りる妻から決して目を離さず、そこにいるほかのすべての目は博士に注がれていたが、博士はそれらを誰一人見ていなかった――文書は次のように読まれた。

第十章 影の実体

私、アレクサンドル・マネット、不幸な医師、ボーヴェの生まれ、のちにパリに住んだ者は、千七百六十七年の最後の月、バスティーユ監獄の悲惨な独房で、この陰鬱な文書を書く。私はあらゆる困難のもと、盗むような合間にこれを書いている。これを煙突の壁の中に隠すつもりである。そこには、ゆっくりと苦労して隠し場所を作った。私と私の悲しみが塵となったのち、憐れみある手がそこにこれを見つけるかもしれない。

「これらの言葉は、囚われて十年目の最後の月に、私が書くために使う錆びた鉄の先で、煙突から掻き取った煤と木炭を血に混ぜ、苦労して形にしたものである。希望は私の胸からまったく去った。私自身の中に認めた恐ろしい兆しから、私の理性が長く損なわれずに残ることはないと知っている。だが私は厳かに宣言する。今この時、私は正気を保っている。私の記憶は正確で詳細である。そして私は真実を書く。これら私の最後に記録された言葉が人に読まれるか否かにかかわらず、永遠の審判の座において、私はこの言葉に責任を負う。

「千七百五十七年十二月第三週の、曇った月夜(その月の二十二日だったと思う)、私は霜の降りる空気で気分を晴らすため、医学学校通りの住まいから一時間ほど離れたセーヌ川沿いの人通りの少ない岸辺を歩いていた。そのとき、背後から馬車が非常な速さでやって来た。そうしなければ轢かれるかもしれないと案じ、私はその馬車を通すため脇へ寄った。すると窓から頭が出され、声が御者に止まれと呼んだ。

「馬車は御者が馬を抑えられるや否や止まり、同じ声が私の名を呼んだ。私は答えた。そのとき馬車は私のかなり先まで進んでいたので、私が追いつくまでに二人の紳士が扉を開け、降りる時間があった。

「私は二人とも外套にくるまり、身を隠しているように見えることに気づいた。馬車の扉の近くに二人並んで立つ姿を見て、私はまた、二人が私と同じくらいの年齢、あるいはやや若く、背丈、物腰、声、そして(見えた限りでは)顔までも、ひどくよく似ていることに気づいた。

「『あなたがマネット博士か?』と一人が言った。

「そうです。

「『ボーヴェにいたマネット博士だな』ともう一人が言った。『若い医師で、もとは腕利きの外科医、この一年か二年のうちにパリで評判を上げつつある者か?』

「『紳士方』と私は返した。『あなた方がそのようにご厚意をもっておっしゃる、そのマネット博士が私です。』

「『あなたの住まいへ行った』と最初の男が言った。『だが運悪くお会いできず、おそらくこちらの方角へ散歩していると聞かされ、追いつければと思って後を追ってきた。馬車に乗っていただけるか?』

「二人の態度は尊大で、その言葉が発せられると同時に、二人は私を自分たちと馬車の扉のあいだに置くように動いた。彼らは武装していた。私はそうではなかった。

「『紳士方』と私は言った。『失礼ながら、私は通常、どなたが私の助けを求める栄誉をくださるのか、また私が呼ばれた症例の性質がどういうものかを伺います。』

「これへの返答は、二番目に話した男がした。『博士、あなたの依頼人は身分ある人々だ。症例の性質については、あなたの技量への信頼により、われわれが説明するより、あなた自身がよく見きわめると確信している。十分だ。馬車に乗っていただけるか?』

「従うほかなく、私は黙って馬車に乗った。二人も私のあとに乗り込んだ――最後の一人は踏み段を上げてから飛び乗った。馬車は向きを変え、以前と同じ速さで走り出した。

「私はこの会話を起こったとおり正確に繰り返している。一語一句そのままだと疑いはない。私はすべてを、起こったとおり正確に記述し、心がこの務めから逸れないよう強いている。ここに続く途切れた印をつけるところで、私はいったん筆を置き、紙を隠し場所へ戻す。


「馬車は通りを後にし、北の関門を通り、田舎道へ出た。関門から三分の二リーグ(その時は距離を見積もっていなかったが、のちに通ってみて知った)ほどのところで、大通りから外れ、ほどなく一軒の孤立した家に止まった。私たち三人は皆降り、放置された噴水があふれている庭の、湿った柔らかな小道を歩いて、家の扉へ向かった。ベルに応じてすぐには扉が開かれず、私を連れてきた二人のうち一人が、開けた男の顔を重い乗馬手袋で打った。

「この行為は、私の特別な注意を引くものではなかった。平民が犬よりももっと普通に打たれるのを、私は見慣れていたからである。だが二人のうちもう一人も同じく腹を立て、同じように腕でその男を打った。そのとき兄弟の顔つきと身のこなしがあまりにもそっくりだったので、私はそこで初めて彼らが双子の兄弟であると悟った。

「外門で降りた時から(その門は施錠されており、兄弟の一人が私たちを入れるために開け、また鍵をかけた)、私は上階の部屋から叫び声が聞こえているのを耳にしていた。私はまっすぐその部屋へ案内され、階段を上るにつれて叫び声は大きくなった。そして寝台に、脳の高熱に冒された患者が横たわっているのを見つけた。

「患者はたいへん美しい若い女だった。確かに二十歳を大きく過ぎてはいなかった。髪は引き裂かれ乱れ、両腕は飾り帯やハンカチで体の脇に縛りつけられていた。私はそれらの拘束具がすべて紳士の衣服の一部であることに気づいた。その一つ、礼装用の房飾りのついたスカーフに、貴族の紋章とEの文字を見た。

「患者を観察し始めて最初の一分以内に、私はそれを見た。というのも、彼女は落ち着きなくもがくうち、寝台の端でうつ伏せに転がり、スカーフの端を口の中に引き込み、窒息の危険にあったからである。私の最初の行動は、彼女の呼吸を楽にしようと手を差し出すことだった。そしてスカーフを脇へ動かしたとき、隅の刺繍が目に入った。

「私は彼女をそっと仰向けにし、落ち着かせ、押さえておくため胸に手を置き、顔をのぞき込んだ。目は大きく見開かれ、狂乱していた。彼女は絶えず耳をつんざく悲鳴を上げ、『私の夫、私の父、私の兄弟!』という言葉を繰り返し、それから十二まで数え、『静かに!』と言った。ほんの一瞬だけ、そしてそれ以上ではなく、耳を澄ますように止まり、すぐまた鋭い悲鳴が始まり、『私の夫、私の父、私の兄弟!』という叫びを繰り返し、十二まで数え、『静かに!』と言った。その順序にもやり方にも変化はなかった。これらの音を発するなかで、規則的な一瞬の休止を除けば、途切れはなかった。

「『これはどのくらい続いているのですか』と私は尋ねた。

「兄弟を区別するため、私は彼らを兄と弟と呼ぶことにする。兄とは、より大きな権威を振るっていたほうである。答えたのは兄だった。『昨夜のちょうどこの時刻ごろからだ。』

「『彼女には夫、父、兄弟がいるのですか?』

「『兄弟がいる。』

「『私は彼女の兄弟に話しかけているのではないのですね?』

「彼はひどく軽蔑して答えた。『違う。』

「『彼女には最近、十二という数と結びつく何かが?』

「弟が苛立って言い返した。『十二時と、ということか?』

「『ご覧ください、紳士方』と私は、なおも彼女の胸に手を置いたまま言った。『こうして連れて来られても、私はまったく役に立ちません。何を診に来るのか知っていたなら、準備して来られたでしょう。こうなっては時間を失わねばなりません。この寂しい場所では薬も手に入りません。』

「兄が弟を見やると、弟は横柄に言った。『ここに薬箱がある』そしてそれを戸棚から持ち出し、卓上に置いた。


「私は瓶をいくつか開け、匂いを嗅ぎ、栓を唇に当てた。もしそれ自体が毒である麻酔薬以外のものを使う必要があったなら、私はそのどれも投与しなかっただろう。

「『それらを疑うのか?』と弟が尋ねた。

「『ご覧のとおり、ムッシュ、私はそれを使おうとしています』と私は答え、それ以上は言わなかった。

「私は大変な苦労と何度もの試みの末、与えたいと思った薬量を患者に飲み込ませた。しばらくしてからそれを繰り返すつもりであり、その効き目を見守る必要があったので、私は寝台のそばに腰を下ろした。付き添いとして、怯え、身を縮めた女(下にいる男の妻)がいて、隅へ退いていた。家は湿って朽ちかけ、家具も粗末だった――明らかに最近使われ始め、一時的に用いられているものだった。窓の前には厚い古い掛け布が釘で打ちつけられ、悲鳴の音を鈍らせていた。悲鳴は規則的な連なりで続き、『私の夫、私の父、私の兄弟!』という叫び、十二までの数え上げ、『静かに!』が続いた。狂乱があまりに激しかったので、私は腕を拘束する帯を解かなかった。ただし痛みを与えていないかは調べた。この症例で唯一の励みは、私の手が苦しむ者の胸にあることで、数分ずつではあるが、その体を静めるほどの鎮静効果があったことだった。叫びには何の効果もなかった。振り子でさえ、これほど規則正しくはあるまい。

「私の手がそうした効果を持ったため(と私は推測する)、私は寝台のそばに半時間座り、二人の兄弟が見守っていた。そののち兄が言った。

「『もう一人患者がいる。』

「私は驚き、『急を要する症例ですか』と尋ねた。

「『見たほうがよい』と彼は無造作に答え、灯りを取り上げた。


「もう一人の患者は、二つ目の階段を渡った奥の部屋に横たわっていた。そこは馬小屋の上にある屋根裏のような場所だった。一部には低い漆喰の天井があり、残りは瓦屋根の棟まで吹き抜けで、梁が渡っていた。その部分には干し草と藁、燃料用の薪束、そして砂の中に積まれたリンゴの山が置かれていた。私はもう一人のところへ行くため、そこを通らねばならなかった。私の記憶は詳細で揺るがない。私はこの細部でそれを試している。そして囚われて十年目の終わりに近いこのバスティーユの独房で、あの夜に見たすべてを、今もすべて見ている。

「床の干し草の上に、頭の下にクッションを投げ入れられて、美しい農民の少年が横たわっていた――せいぜい十七歳にもならない少年だった。彼は仰向けに寝て、歯を食いしばり、右手を胸の上で握りしめ、ぎらつく目でまっすぐ上を見ていた。私は片膝をついて彼の上にかがみ込んだが、傷がどこにあるのかは見えなかった。ただし、鋭い切っ先による傷で彼が死にかけていることは見て取れた。

「『私は医者だ、かわいそうに』と私は言った。『診せてくれ。』

「『診てもらいたくない』と彼は答えた。『放っておいてくれ。』

「傷は彼の手の下にあり、私は手をどけさせようと彼をなだめた。その傷は剣による突き傷で、二十時間から二十四時間前に受けたものだった。だが、すぐに手当てされていたとしても、どんな技術でも彼を救うことはできなかっただろう。そのとき彼は急速に死へ向かっていた。私が兄のほうへ目を向けると、彼は命が流れ出ていくこの美しい少年を、傷ついた鳥か野兎か兎でも見るように見下ろしていた。断じて同じ人間を見る目ではなかった。

「『これはどうして起きたのですか、ムッシュ?』と私は言った。

「『狂った若い平民の犬め! 農奴だ! 私の弟に剣を抜かせ、弟の剣に倒れた――紳士らしくな。』

「この返答には、憐れみも、悲しみも、同じ人間としての情も、ひとかけらもなかった。話し手は、その異なる種類の生き物がそこで死にかけているのは不便なことだと認めているようであり、本来ならその害虫の類にふさわしく、いつもの目立たぬ成り行きの中で死んでいればよかったのに、と思っているようだった。彼には、その少年にもその運命にも、憐れみの感情を抱く能力がまったくなかった。

「少年の目は、彼が話すあいだゆっくり彼へ動き、今またゆっくり私へ動いた。

「『先生、あいつら貴族はとても誇り高い。だが俺たち平民の犬にも、時には誇りがある。あいつらは俺たちから奪い、辱め、打ち、殺す。だが俺たちにも、時にはまだ少しの誇りが残っている。彼女を――先生は彼女を見たか?』

「悲鳴と叫びは、距離に弱められてはいたが、そこにも聞こえていた。彼は、まるで彼女が私たちの前に横たわっているかのように、それを指して言った。

「私は言った。『見た。』

「『彼女は俺の姉だ、先生。あいつら貴族は、何年も、俺たちの姉妹の慎みと貞節に対して、恥ずべき権利を持ってきた。だが俺たちの中にも善良な娘はいた。俺はそれを知っているし、父もそう言うのを聞いた。彼女は善い娘だった。善い若者とも婚約していた。あいつの小作人だ。俺たちはみな、あいつの小作人だった――そこに立っている男のだ。もう一人はその弟、悪い一族の中でも最悪の奴だ。』

「少年が話すために肉体の力を集めるのは、極度に困難だった。だがその魂は恐ろしい強さをもって語った。

「『そこに立っているあの男に、俺たちはひどく奪われた。俺たち平民の犬が、あの上等な存在どもに奪われるように――容赦なく税をかけられ、無償で働かされ、自分たちの麦をあいつの水車小屋で挽かされ、俺たちの惨めな作物であいつの飼い鳥どもを何十羽も養わされ、俺たち自身は一羽の飼い鳥も持つことを命がけで禁じられ、略奪に略奪を重ねられた。たまたま少し肉が手に入ったときには、あいつの者たちに見られて取り上げられないよう、扉にかんぬきを掛け、鎧戸を閉め、怯えながら食べた。言うが、俺たちはそうして奪われ、追い立てられ、あまりに貧しくされたので、父は俺たちに、子をこの世に生み出すのは恐ろしいことだ、俺たちが一番祈るべきなのは、女たちが子を産めず、惨めな一族が絶えることだ、と言ったんだ!』

「私は、虐げられているという感覚が、火のように噴き出すのをそれまで見たことがなかった。それが民衆のどこかに潜んでいるに違いないとは思っていた。だが、死にゆく少年の中にそれを見るまで、それが噴き出すのを見たことはなかった。

「『それでも、先生、姉は結婚した。そのとき彼は病んでいた、かわいそうな奴で、姉は愛する相手と結婚した。俺たちの小屋で――あの男なら犬小屋と呼ぶだろう場所で――彼を世話し、慰めるためだ。結婚してまだ何週間も経たないうちに、あの男の弟が姉を見て気に入り、あの男に姉を貸せと言った――俺たちの間で夫など何だというのだ! あの男は十分その気だった。だが姉は善良で貞淑で、あの弟を俺と同じくらい強く憎んでいた。するとあの二人は、姉の夫が姉を説得して承諾させるよう、その影響力を使わせるために何をした?』

「私を見据えていた少年の目が、ゆっくり傍観者へ向いた。そして二つの顔に、彼の言うことがすべて真実であるのを私は見た。互いに向き合う二つの相反する誇りを、私はこのバスティーユの中にあっても見ることができる。紳士の誇りは、すべて怠惰な無関心。農民の誇りは、すべて踏みにじられた感情と、激しい復讐である。

「『先生も知っているだろう、俺たち平民の犬を荷車につなぎ、走らせるのは、あいつら貴族の権利の一つだ。あいつらは彼をそうしてつなぎ、走らせた。先生も知っているだろう、貴族の眠りが妨げられぬよう、蛙を静かにさせるため、俺たちを自分たちの敷地に一晩中置いておくのは、あいつらの権利の一つだ。あいつらは彼を夜の不健康な霧の中に出しっぱなしにし、昼にはまた馬具につながれろと命じた。だが彼は説得されなかった。違う! ある日の正午、食事のために――もし食べ物が見つかればだが――馬具から外された彼は、鐘の一打ちごとに一度、十二回すすり泣き、姉の胸の上で死んだ。』

「自分が受けたすべての不正を語ろうとする決意だけが、少年の命をつなぎ止めていた。彼は迫り来る死の影を押し戻し、握りしめた右手を握ったままにして傷を覆うよう強いていた。

「『それから、あの男の許可、いや助けさえあって、弟は姉を連れ去った。姉があの弟に必ず告げたはずのことにもかかわらず――それが何か、先生、もし今は知らなくても、長く知られずにはおかれない――弟は姉を連れ去った。自分の快楽と気晴らしのために、少しのあいだ。俺は道で、姉が俺のそばを通っていくのを見た。その知らせを家へ持ち帰ると、父の心臓は破裂した。胸に満ちていた言葉を一つも口にすることなく。俺は幼い妹(もう一人いるのだ)を、この男の手の届かない場所へ連れていった。少なくともそこなら、妹が決してこいつの家臣になることはない。それから俺は弟の跡をここまで追い、昨夜忍び込んだ――平民の犬だが、剣を手にして。――屋根裏の窓はどこだ? このあたりだったはずだ。』

「部屋は彼の目に暗くなりつつあった。世界が彼の周りで狭まっていた。私はあたりを見回し、干し草と藁が床の上で踏み荒らされ、格闘があったかのようであるのを見た。

「『姉は俺の声を聞いて駆け込んできた。俺は、あいつが死ぬまで近寄るなと言った。あいつは入ってきて、まず金を何枚か俺に投げた。それから鞭で打ちかかってきた。だが俺は、平民の犬とはいえ、あいつに剣を抜かせるほど打ち返してやった。俺の平民の血で汚した剣を、あいつがどれほど粉々に砕こうとも構わない。あいつは身を守るために剣を抜いた――命を守るため、全技量を尽くして俺を突いた。』

「その少し前、私の目は干し草の中に落ちている折れた剣の破片に留まっていた。その武器は紳士のものだった。別の場所には、兵士のものだったらしい古い剣が横たわっていた。

「『さあ、先生、俺を起こしてくれ。起こしてくれ。あいつはどこだ?』

「『彼はここにいない』と私は少年を支えながら言った。彼が弟を指しているのだと思ったのである。

「『あいつだ! 貴族どもはあんなに誇り高いくせに、俺を見るのが怖いんだ。ここにいた男はどこだ? 俺の顔をそいつの方へ向けてくれ。』

「私はそうし、少年の頭を自分の膝に当てて持ち上げた。だがその瞬間、尋常でない力を授けられた彼は、完全に身を起こした。私も立ち上がらなければ、彼を支え続けることはできなかった。

「『侯爵』と少年は、目を大きく開き、右手を上げて彼のほうへ向き直って言った。『これらすべてに責任を負うべき日が来るとき、俺はあなたとあなたの者たちを、悪い一族の最後の者に至るまで召喚し、その責任を負わせる。俺がそうするしるしとして、この血の十字をあなたにつける。これらすべてに責任を負うべき日が来るとき、俺はあなたの弟、悪い一族の最悪の者を、別に召喚し、その責任を負わせる。俺がそうするしるしとして、この血の十字をあいつにつける。』

「彼は二度、胸の傷に手を当て、人差し指で空中に十字を描いた。彼は一瞬、その指をなお上げたまま立っていたが、その指が落ちると同時に彼も倒れ、私は彼を死者として横たえた。


「若い女の寝台のそばへ戻ると、彼女はまったく同じ連続の順序でわめき続けていた。これは何時間も続き、おそらく墓の沈黙で終わるだろうと私は知っていた。

「私は彼女に与えた薬を繰り返し、夜がかなり更けるまで寝台のそばに座っていた。彼女の悲鳴は鋭さを少しも弱めず、言葉の明瞭さや順序も一度も乱れなかった。それは常に『私の夫、私の父、私の兄弟! 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二。静かに!』だった。

「これは私が最初に彼女を見た時から二十六時間続いた。私は二度行き来し、再び彼女のそばに座っていた。そのとき彼女は言葉をもつれさせ始めた。私はその機会を助けるためにできるわずかなことをし、やがて彼女は昏睡に沈み、死者のように横たわった。

「長く恐ろしい嵐のあと、風雨がついに静まったかのようだった。私は彼女の腕を解き、女を呼んで、彼女の体勢と破れた衣服を整える手助けをさせた。そのとき、私は彼女が初めて母となる兆しを宿している状態であることを知った。そしてそのとき、私が彼女に抱いていたわずかな望みも失われた。

「『死んだのか?』と、私がなお兄と呼ぶ侯爵が、馬から降りたまま長靴で部屋へ入ってきて尋ねた。

「『死んではいません』と私は言った。『しかし死にそうです。』

「『この平民の体にはなんという力があるのだ!』彼は多少の好奇心をもって彼女を見下ろしながら言った。

「『悲しみと絶望には、途方もない力があります』と私は答えた。

「彼はまず私の言葉を笑い、それから眉をひそめた。彼は足で椅子を私の近くへ動かし、女に出て行くよう命じ、低い声で言った。

「『博士、私の弟がこの農民どもとの困難に陥っているのを見て、私はあなたの助力を招くことを勧めた。あなたの評判は高く、身を立てようとする若者として、おそらく自分の利益にも気を配っていることだろう。あなたがここで見ることは、見られるべきことであって、語られるべきことではない。』

「私は患者の呼吸を聞き、返事を避けた。

「『博士、私にご注意を向けてくださっているのかな?』

「『ムッシュ』と私は言った。『私の職業において、患者から伝えられたことは常に秘密として受け取られます』私は返答に慎重だった。聞き、見たことに心を悩ませていたからである。

「彼女の呼吸はあまりにもかすかでたどりにくかったので、私は脈と心臓を注意深く調べた。命はあった。それだけだった。席に戻りながら見回すと、兄弟二人が私をじっと見つめているのに気づいた。


「私はあまりにも苦労して書いている。寒さは厳しく、見つかって地下牢と完全な闇へ送られることをひどく恐れている。そのため、この物語を短くしなければならない。私の記憶に混乱も欠落もない。私とあの兄弟とのあいだで交わされた言葉は、すべて思い出すことができ、詳細に述べることもできる。

「彼女は一週間生き延びた。終わりに近づいたころ、私が耳を彼女の唇に近づけると、彼女が私に言ったいくつかの音節を理解することができた。彼女は自分がどこにいるのか尋ね、私は答えた。私が誰かを尋ね、私は答えた。彼女の家名を尋ねても無駄だった。彼女は枕の上でかすかに首を振り、少年がそうしたように、自分の秘密を守った。

「彼女に質問できる機会は、彼女が急速に衰え、もう一日も生きられないと私が兄弟に告げるまでなかった。それまで、女と私以外の誰も彼女の意識に現れることはなかったが、私がそこにいるときには、兄弟のどちらかが必ず嫉妬深く、寝台の頭側のカーテンの後ろに座っていた。だがその段になると、彼らは私が彼女とどんなやり取りをしても気にしなくなったように見えた。まるで――その考えが私の心をよぎった――私も死にかけているかのように。

「私はいつも、彼らの誇りが、(私がそう呼ぶ)弟が農民と剣を交え、しかもその農民が少年だったことを、激しく恨んでいるのを見て取った。彼ら二人の心に影響を与えているように見えた唯一の考慮は、それが家門にとってひどく屈辱的であり、滑稽だということだけだった。弟の目を捉えるたび、その表情は、私が少年から知ったことを知っているために、彼が私を深く嫌っていることを思い出させた。彼は兄より私に対して滑らかで礼儀正しかった。だが私はそれを見た。私はまた、兄の心にも、私が厄介な邪魔者であることを見た。

「私の患者は真夜中の二時間前に死んだ――私の時計では、私が初めて彼女を見た時刻にほとんど分刻みで一致する時だった。彼女の哀れな若い頭がそっと片側へ傾き、地上のあらゆる不正と悲しみが終わったとき、私は彼女と二人きりだった。

「兄弟は下の部屋で、馬で去るのを待ちかねていた。私が寝台のそばに一人でいると、彼らが乗馬鞭で長靴を打ち、行ったり来たりしている音が聞こえていた。

「『ついに死んだのか?』と、私が入っていくと兄が言った。

「『死にました』と私は言った。

「『祝福するぞ、弟よ』彼は振り向きながらそう言った。

「彼は以前、私に金を差し出したが、私は受け取るのを先延ばしにしていた。彼は今、金貨の包みを私に渡した。私は彼の手からそれを受け取ったが、卓上に置いた。私はこの問題を考え、何も受け取らないと決めていた。

「『どうかお許しください』と私は言った。『この状況では、受け取れません。』

「彼らは視線を交わしたが、私が頭を下げると彼らも私に頭を下げ、どちらからもそれ以上一言もなく別れた。


「私は疲れた、疲れた、疲れた――惨めさにすり減らされた。この痩せ衰えた手で書いたものを読むことができない。

「朝早く、金貨の包みが小箱に入れられ、外側に私の名が記されて、私の扉の前に置かれていた。最初から、私は自分が何をすべきかを気がかりに考え続けていた。その日、私は大臣に私的に手紙を書き、自分が呼ばれた二つの症例の性質と、行った場所を述べることに決めた。実質的には、すべての事情を述べることになる。宮廷の影響力がどのようなもので、貴族の免責がどのようなものか、私は知っていた。だからこの件が取り上げられることは決してないだろうと予想した。だが自分の心を軽くしたかった。私はこの件を、妻にさえ深く秘密にしていた。そしてそのことも手紙に記す決心をした。私自身の実際の危険については、まったく何の恐れも抱いていなかった。ただし、私の持つ知識を他者が持つことで他者が巻き込まれれば、危険が及ぶかもしれないとは意識していた。

「その日、私は非常に忙しく、夜に手紙を完成させることができなかった。翌朝、いつもよりずっと早く起きて、それを書き終えた。その日は年の最後の日だった。手紙がちょうど完成して目の前に置かれていたとき、会いたいという婦人が待っていると告げられた。


「私は自分に課した務めに、ますます耐えられなくなっている。寒く、暗く、感覚はひどく痺れ、私を覆う陰鬱は恐ろしい。

「その婦人は若く、感じがよく、美しかったが、長く生きる運命には見えなかった。彼女はひどく取り乱していた。彼女は自分をエヴレモンド侯爵の妻だと名乗った。私は少年が兄を呼んだ称号と、スカーフに刺繍された頭文字を結びつけ、つい最近その貴族に会ったのだと結論するのは難しくなかった。

「私の記憶はなお正確だが、私たちの会話の言葉を書くことはできない。以前より厳しく見張られているのではないかと疑っており、いつ見張られているかもわからない。彼女はその残酷な物語の主要な事実、そこに夫が関わっていること、そして私が呼ばれたことを、一部は疑い、一部は突き止めていた。彼女は娘が死んだことを知らなかった。彼女の望みは、ひそかに女としての同情を示すことだったと、ひどく苦しみながら言った。長く苦しむ多くの者たちに憎まれてきた一族から、天の怒りをそらすことが彼女の望みだった。

「生きている若い妹がいると信じる理由が彼女にはあり、その妹を助けることが彼女の最大の願いだった。私が彼女に告げられたのは、そうした妹がいるということだけだった。それ以上は何も知らなかった。私を信頼し、私の秘密保持に頼って彼女が来た動機は、私がその妹の名と住まいを告げられるかもしれないという望みだった。だが、この惨めな時に至るまで、私はそのどちらも知らない。


「この紙片も尽きようとしている。昨日、一枚が警告とともに私から取り上げられた。今日中に記録を終えなければならない。

「彼女は善良で、思いやりある婦人であり、結婚生活に幸福ではなかった。どうして幸福でいられようか! 弟は彼女を信用せず嫌い、その影響力はすべて彼女に敵対していた。彼女は彼を恐れ、夫をも恐れていた。私が彼女を扉まで送り下ろしたとき、彼女の馬車には二歳から三歳ほどの、美しい男の子がいた。

「『この子のために、先生』と彼女は涙ながらに彼を指して言った。『私はできるかぎり、乏しい償いでもできることをしたいのです。そうでなければ、この子は相続の中で決して栄えないでしょう。もしこのことに対して、ほかに罪なき償いがなされなければ、いつかこの子にそれが求められるという予感がします。私が自分のものと呼べる残り――それはいくつかの宝石の価値を少し超えるほどにすぎません――それを、この傷つけられた家族へ、もしその妹が見つかるなら、死んだ母の憐れみと嘆きとともに与えることを、この子の人生の第一の責務にいたします。』

「彼女はその子にキスをし、愛撫しながら言った。『お前自身の大切なためなのよ。忠実でいてくれるわね、小さなチャールズ?』子どもは勇ましく答えた。『はい!』私は彼女の手にキスをし、彼女は子を腕に抱いて、愛撫しながら去っていった。私は二度と彼女に会うことはなかった。

「彼女は私が夫の名を知っていると信じてその名を口にしたので、私は手紙にそれを付け加えなかった。手紙に封をし、自分の手から離して託すことはせず、その日のうちに自分で届けた。

「その夜、年の最後の夜、九時ごろ、黒い服の男が私の門でベルを鳴らし、私に会いたいと求め、私の召使いであった少年エルネスト・デファルジュのあとについて静かに階段を上がってきた。召使いが、私が妻とともに座っていた部屋に入ってきたとき――おお、わが妻、わが心の最愛の人よ! 美しい若きイングランドの妻よ! ――私たちは、門にいるはずの男が、その背後に黙って立っているのを見た。

「サントノレ通りで急患がある、と彼は言った。長くは引き留めない、馬車が待っている、と。

「その馬車が私をここへ運んだ。私を墓へ運んだ。家から離れると、背後から黒い襟巻きが私の口にきつく巻きつけられ、腕を縛られた。二人の兄弟が暗い角から道を横切って現れ、一つの身振りで私を確認した。侯爵はポケットから私が書いた手紙を取り出し、私に見せ、掲げられたランタンの明かりでそれを燃やし、灰を足で消した。一言も発せられなかった。私はここへ連れてこられた。生きながらの墓へ連れてこられた。

「もしが、この恐ろしい年月のあいだ、あの兄弟のいずれかの固い心に、私の最愛の妻の消息を少しでも私に許す思いを置いてくださったなら――生きているか死んでいるかを、一言で知らせるだけでも――私は、神が彼らを完全には見捨てていないと思えたかもしれない。だが今、私は赤い十字の印が彼らにとって致命的であり、彼らが神の憐れみに何の分け前も持たないと信じる。そして彼らとその子孫を、その一族の最後の者に至るまで、私、アレクサンドル・マネット、不幸な囚人は、千七百六十七年のこの年の最後の夜、耐えがたい苦悶の中で、これらすべてに責任が問われる時代に向けて告発する。私は彼らを天と地に告発する。」

この文書の朗読が終わると、恐ろしい音が湧き上がった。そこには、血という以外に言葉として形を成すもののない、渇望と熱狂の音があった。その物語は時代の最も復讐心に燃えた情念を呼び起こし、国中のどんな首であれ、その前には落ちずに済まなかっただろう。

この法廷とこの聴衆の前では、デファルジュ夫妻が、奪取されたほかのバスティーユの記念品が行列で運ばれた際にこの文書を公にせず、時機を待ってそれを保管していたことを示す必要はほとんどなかった。この忌まわしい家名がサン=タントワーヌで長く呪われ、致命的な名簿に織り込まれていたことを示す必要もほとんどなかった。その日その場で、このような告発に抗して、いかなる徳と功績をもってしても身を支えられる人間など、地上を踏んだことはなかった。

そして運命を定められた男にとって、告発者がよく知られた市民であり、自分に深く結びついた友人であり、妻の父であったことが、いっそう悪かった。民衆の狂熱的な願望の一つは、古代の疑わしい公共的美徳を模倣し、人民の祭壇に犠牲と自己犠牲を捧げることだった。したがって議長が(そう言わなければ彼自身の首が肩の上で震えたであろう)、共和国の善き医師は、忌まわしい貴族の一族を根絶することによって、共和国に対してさらによく功績を立てることになり、娘を寡婦にし、その子を孤児にすることに聖なる高揚と喜びを感じるに違いない、と述べたとき、そこには荒々しい興奮、愛国的熱狂があり、人間的同情はひとかけらもなかった。

「あの博士には、周りにずいぶん影響力があるのね」とデファルジュ夫人はヴァンジャンスに笑いながらささやいた。「さあ救ってごらんなさい、私の博士。救ってごらんなさい!」

陪審員が一人票を投じるごとに、咆哮が起こった。また一人、また一人。咆哮、また咆哮。

満場一致で決した。心においても血筋においても貴族、共和国の敵、人民を虐げた悪名高き者。コンシェルジュリー監獄へ戻し、二十四時間以内に死を! 

第十一章 夕暮れ

こうして死を宣告された無実の男の哀れな妻は、まるで致命傷を受けたかのように、その判決の下に崩れ落ちた。だが、声は一つも漏らさなかった。彼女の内なる声――この世の誰よりも自分こそが、苦しみの中にある夫を支えねばならず、その苦しみを増してはならないのだと告げる声――はあまりに強く、その衝撃の中からさえ、たちまち彼女を立ち上がらせた。

裁判官たちは屋外での民衆示威に加わらねばならず、法廷は休廷となった。いくつもの通路から人々がどっと引き上げていくせわしない物音と動きがまだ収まらぬうちに、ルーシーは夫へ向かって両腕を差し伸べて立っていた。その顔にあるのは、愛と慰めだけであった。

「触れさせてください! 一度だけ、抱きしめさせてください! ああ、善良な市民の皆さん、どうか私たちにそれだけの慈悲を!」

そこに残っていたのは看守一人と、昨夜彼を連行した四人の男のうち二人、それにバーサードだけだった。人々はみな街頭の見物へ流れ出ていた。バーサードがほかの者に提案した。「抱かせてやれ。ほんの一瞬だ。」

無言のままそれは黙認され、彼らは彼女を広間の座席の上へ渡らせ、高くなった場所へ連れていった。そこなら彼が被告席から身を乗り出して、彼女を腕に抱くことができた。

「さようなら、わが魂の最愛の人。別れに、私の祝福を愛する君へ。疲れた者が安らぐ場所で、また会おう!」

彼女を胸に抱きしめながら、夫がそう言った。

「耐えられます、愛しいチャールズ。私は天から支えられています。私のために苦しまないで。別れに、私たちの子へ祝福を。」

「君を通して、あの子へ送る。君を通して、あの子に口づけする。君を通して、あの子に別れを告げる。」

「あなた。いや! もう少しだけ!」

彼は彼女から身を引き裂こうとしていた。「長く離れ離れになるわけではない。やがてこれで私の心は砕けるだろう。だが、できる限り私は務めを果たす。そして私があの子を残していく時、神は私にそうしてくださったように、あの子にも友をお与えになる。」

彼女の父は彼女の後についてきており、二人の前にひざまずこうとした。だがダーニーが手を伸ばして彼をつかみ、叫んだ。

「いけません、いけません! あなたが私たちにひざまずくようなことを、いったい何をなさったというのです! 今こそ分かりました。昔、あなたがどれほどの闘いをなさったのか。私の出自を疑い、それを知った時、どれほどの苦しみに耐えられたのか。今こそ分かりました。あの人のために、あなたが本能的な嫌悪と闘い、それを打ち克ってくださったことが。心の底から、すべての愛と敬意をこめて、あなたに感謝します。天の加護があなたにありますように!」

彼女の父にできた返事はただ、両手を白髪の中へ差し入れ、苦悶の叫びとともにそれを握りしめることだけだった。

「ほかに道はなかったのです」と囚人は言った。「すべては起こるべくして絡み合い、こうなった。私の哀れな母の託した思いを果たそうとした、あのいつも虚しい努力こそが、最初に私という致命的な存在をあなたの近くへ引き寄せたのです。あれほどの悪から善が生まれるはずもなく、あれほど不幸な始まりに、より幸福な結末など自然の理にありませんでした。どうか心を慰め、私をお許しください。天があなたを祝福されますように!」

彼が引き離されると、妻は彼を放し、祈るように両手を合わせて、彼の後ろ姿を見つめて立っていた。その顔には光が差すような表情が浮かび、慰めるような微笑さえあった。彼が囚人用の扉から出ていくと、彼女は振り向き、愛おしげに父の胸へ頭を預け、何か言おうとして、その足もとに倒れた。

原画

その時、それまで一歩も動かなかった暗い隅から、シドニー・カートンが出てきて彼女を抱き上げた。そばにいたのは、彼女の父とロリー氏だけだった。彼女を抱き上げ、その頭を支える腕は震えていた。だが彼の様子には、ただの憐れみだけではないものがあった。そこには誇りの色が差していた。

「馬車までお連れしましょうか。重さなど少しも感じません。」

彼は彼女を軽々と戸口まで運び、馬車の中へそっと横たえた。彼女の父と老友が乗り込み、彼は御者の隣に腰を下ろした。

数時間前、闇の中で立ち止まり、彼女の足がこの通りの荒い石のどこを踏んだのかと思い描いたあの門口に着くと、彼はまた彼女を抱き上げ、階段を上って彼らの部屋まで運んだ。そこで彼女を長椅子に寝かせると、子どもとミス・プロスが彼女の上に身をかがめて泣いた。

「意識を戻させないでください」と彼は後者に静かに言った。「このままのほうがいい。ただ気を失っているだけなら、目覚めさせないで。」

「ああ、カートン、カートン、愛しいカートン!」小さなルーシーは跳ね起きると、悲しみの爆発のままに彼の首へ激しく腕を回して叫んだ。「あなたが来てくれたんだから、きっとママを助けるために何かしてくれる、パパを救うために何かしてくれるわ! ああ、見て、愛しいカートン! ママを愛している人たちの中で、あなたがこんなママを見ていられるの?」

彼は子どもの上に身をかがめ、花のような頬を自分の顔に押し当てた。それからそっと彼女を離し、意識のない母親を見つめた。

「行く前に」と彼は言い、そこで言葉を切った。「口づけしても?」

後になって思い出されたことだが、彼が身をかがめ、彼女の顔に唇を触れた時、何かをつぶやいた。彼にいちばん近くにいた子どもが後にそれを語り、美しい老婦人となってから孫たちにも語った。彼がこう言うのを聞いた、と。「あなたの愛する命を。」

彼は隣の部屋へ出ると、後についてきたロリー氏と彼女の父のほうへ不意に振り向き、後者に言った。

「マネット博士、つい昨日まであなたには大きな影響力があった。せめてそれを試してみるべきです。あの裁判官たちも、権力を持つ者たちも、あなたには非常に好意的で、あなたの功績をよく認めている。そうでしょう?」

「チャールズに関わることは、何一つ私に隠されていなかった。私は彼を救えると、最も強い保証を得ていた。そして救ったのだ。」

彼は深い苦悩の中で、ひどくゆっくりと答えた。

「もう一度試してください。今から明日の午後まで、時間はわずかで短い。けれど試してください。」

「試すつもりだ。一瞬たりとも休まない。」

「それでいい。あなたほどの力が、これまでに大きなことを成し遂げたのを私は見てきました――もっとも」と彼は微笑とため息を同時に漏らして付け加えた。「これほど大きなことはありませんが。だが試してください! 命など、誤って使えば価値の乏しいものですが、それでもその努力に値する。そうでなければ、投げ出すのに何の代償も要らないことになってしまう。」

「私は行こう」とマネット博士は言った。「ただちに検事と議長のところへ行く。それから名を出さぬほうがよい人々のところへも行く。手紙も書こう、そして――いや待て! 街では祝典が行われている。暗くなるまで誰にも会えまい。」

「確かに。よし! どのみち万に一つの望みです。暗くなるまで遅れたからといって、その望みがそれほど薄くなるわけでもない。結果は知りたい。とはいえ、忘れないでください! 私は何も期待していません! マネット博士、その恐るべき権力者たちに会えるのは、いつ頃になりそうですか?」

「暗くなったらすぐに、と願いたい。今から一、二時間のうちに。」

「四時を過ぎればすぐ暗くなる。一、二時間を少し延ばして考えましょう。九時にロリー氏のところへ行けば、ご友人からでもあなたご自身からでも、何をなさったか聞けますか?」

「ああ。」

「うまくいきますように!」

ロリー氏はシドニーについて外の扉まで行き、彼が去ろうとした時、肩に触れて振り向かせた。

「私には望みがない」とロリー氏は低く悲しげに囁いた。

「私にもありません。」

「この者たちの一人でも、あるいは全員でも、彼を助けようという気になったとして――それ自体が大きな仮定だが。彼の命、いや誰の命であれ、あの者らにとって何だというのか! ――法廷であの示威があった後で、彼らが助ける勇気を持つかどうか疑わしい。」

「私もそう思います。あの声の中に、斧の落ちる音を聞きました。」

ロリー氏は扉の柱に腕をもたせ、顔を伏せた。

「気を落とさないでください」とカートンはとても優しく言った。「悲しまないで。私がマネット博士にこの考えを促したのは、それがいつか彼女の慰めになるかもしれないと思ったからです。そうでなければ、彼女は『夫の命は無益に投げ捨てられた、むだにされた』と思うかもしれない。それが彼女を苦しめるでしょう。」

「そうだ、そうだ、その通りだ」とロリー氏は目を拭いながら返した。「君の言う通りだ。だが彼は死ぬ。本当の望みはない。」

「ええ。彼は死にます。本当の望みはありません」とカートンも繰り返した。

そして、定まった足取りで階段を下りていった。

第十二章 闇

シドニー・カートンは通りで足を止め、どこへ行くべきかまだ決めかねていた。「九時にテルソン銀行で」と、物思いに沈んだ顔で言った。「それまでの間、姿を見せておくのがよいだろうか? そう思う。こういう男がここにいると、あの連中に知っておかせるのがいちばんだ。堅実な用心であり、必要な準備になるかもしれない。だが慎重に、慎重に、慎重に! よく考え抜け!」

何か目的へ向かい始めていた足を止め、すでに暗くなりかけた通りを一、二度行き来しながら、その思いつきがどのような結果を招きうるかを頭の中でたどった。最初の印象は確かめられた。「やはりそれがいちばんだ」と、最後に決心して彼は言った。「こういう男がここにいると、あの連中に知っておかせるのが。」

そして彼はサン=タントワーヌのほうへ顔を向けた。

その日、デファルジュは自分をサン=タントワーヌ郊外の酒屋の主人だと名乗っていた。街をよく知る者にとって、誰にも尋ねずにその家を見つけるのは難しくなかった。場所を確かめると、カートンは入り組んだ通りからまた出て、食事を出す店で夕食をとり、その後ぐっすり眠った。何年ぶりかで、彼は強い酒を口にしていなかった。昨夜から、薄い軽いワインを少し飲んだだけで、昨夜はブランデーを、もうそれと縁を切った男のように、ロリー氏の暖炉の上へゆっくりと垂らしたのだった。

さっぱりした気分で目を覚ました時には、もう七時近かった。彼は再び通りへ出た。サン=タントワーヌへ向かう途中、鏡のある店の窓で足を止め、乱れたゆるいクラヴァット、上着の襟、乱れた髪を少し直した。それを済ませると、まっすぐデファルジュの店へ進み、中へ入った。

店には、落ち着きのない指としわがれ声のジャック三号のほか、客はいなかった。彼は陪審員席で見た男で、小さなカウンターで酒を飲みながら、デファルジュ夫妻と話していた。ヴァンジャンスも、店の常連の一員のように会話に加わっていた。

カートンが入って腰を下ろし、ひどくたどたどしいフランス語で少量のワインを求めると、デファルジュ夫人は何気なく彼を一瞥し、それからより鋭く、さらに鋭く見て、みずから近づき、何を注文したのかと尋ねた。

彼は先ほど言ったことを繰り返した。

「イギリス人?」デファルジュ夫人は黒い眉を探るように上げて尋ねた。

彼はまるでフランス語の単語一つの音さえ理解するのに時間がかかるかのように彼女を見てから、先ほどと同じ強い外国訛りで答えた。「ええ、マダム、ええ。私はイギリス人です!」

デファルジュ夫人はワインを取りにカウンターへ戻った。彼がジャコバン派の新聞を手に取り、その意味を苦心して読み解いているふりをしてじっと見入ると、彼女が言うのが聞こえた。「誓って言うわ、エヴレモンドにそっくりだよ!」

デファルジュがワインを持ってきて、こんばんは、と言った。

「何と?」

「こんばんは。」

「ああ! こんばんは、市民」と、グラスを満たしながら彼は言った。「ああ! いいワインですね。共和国に乾杯。」

デファルジュはカウンターへ戻り、「確かに、少し似ている」と言った。

夫人は厳しく言い返した。「かなり似ていると言っているの。」

ジャック三号が穏便に言った。「それほどあの男が頭から離れないのですよ、マダム。」

愛想のよいヴァンジャンスが笑いながら付け加えた。「ええ、まったく! それに奥さまは、明日もう一度あの男に会えるのを、たいそう楽しみにしていらっしゃるのだもの!」

カートンは遅い人差し指で新聞の行と語を追い、勉強に没頭しているような顔をしていた。彼らはみなカウンターに腕をもたせ、身を寄せ合って低い声で話していた。数瞬の沈黙のあいだ、彼らはみな彼のほうを見たが、ジャコバン派の編集者から外面上の注意を逸らさせることはなかった。そしてまた会話を始めた。

「マダムのおっしゃることは本当だ」とジャック三号が言った。「なぜ止める? そこには大きな力がある。なぜ止める?」

「いや、しかし」とデファルジュは理を説くように言った。「どこかでは止めねばならん。結局、問題はそのどこかだ。」

「根絶で」と夫人は言った。

「見事!」ジャック三号がしわがれ声で言った。ヴァンジャンスも大いに賛成した。

「根絶はよい教義だ、妻よ」とデファルジュはやや困惑して言った。「一般論として、私はそれに反対はしない。だがこの博士は多く苦しんだ。今日お前も見ただろう。あの紙が読まれた時の顔を見ただろう。」

「あの顔を見たわ!」夫人は軽蔑と怒りをこめて繰り返した。「ええ。見たわ。あの顔が共和国の真の友の顔ではないことを見たのよ。あの男、自分の顔に気をつけることね!」

「それに見ただろう、妻よ」とデファルジュはなだめるように言った。「娘の苦悩も。あれは博士にとって恐ろしい苦しみに違いない!」

「娘も見たわ」と夫人は繰り返した。「ええ、見たわ。一度どころではない。今日も見たし、ほかの日にも見た。法廷で見たし、監獄のそばの通りでも見た。私がこの指を上げさえすれば――!」

彼女はそれを持ち上げたようだった(聞き手の目はずっと新聞の上にあった)。そして目の前の縁へ、まるで斧が落ちたかのようにがたんと振り下ろした。

「市民夫人はすばらしい!」陪審員がしわがれ声で言った。

「天使よ!」ヴァンジャンスは言い、彼女を抱きしめた。

「お前に関しては」と夫人は情け容赦なく続け、夫へ向かって言った。「もしお前次第なら――幸い、そうではないけれど――今からでもこの男を救い出すだろうね。」

「違う!」デファルジュは抗議した。「このグラスを持ち上げれば救えるとしても、私は救わん! だが、そこまででよいと言っているのだ。そこで止めろと言っている。」

「では聞きなさい、ジャック」とデファルジュ夫人は怒りに燃えて言った。「お前も聞きなさい、可愛いヴァンジャンス。二人とも見ておきなさい! 聞くのよ! 暴君、圧制者としてのほかの罪ゆえに、私はこの一族を長いあいだ名簿に載せ、破滅と根絶に定めてきた。夫に聞いてごらん、本当かどうか。」

「本当だ」と、問われるまでもなくデファルジュは同意した。

「偉大なる日々の始まり、バスティーユが陥ちた時、この人は今日のこの紙を見つけ、家へ持ち帰った。そして真夜中、ここが人払いされ戸締まりされてから、私たちはこの場所で、このランプの明かりの下、それを読んだ。聞いてごらん、本当かどうか。」

「本当だ」とデファルジュは同意した。

「その夜、紙を最後まで読み終え、ランプが燃え尽き、あの雨戸の上と鉄格子の間に夜明けが光り始めた時、私はこの人に、今こそ伝えるべき秘密があると言った。聞いてごらん、本当かどうか。」

「本当だ」とデファルジュは再び同意した。

「私はその秘密を伝えた。今こうして打つように、この両手でこの胸を打ち、こう言ったのよ。『デファルジュ、私は海辺の漁師たちの中で育った。そしてあのバスティーユの紙に書かれている、二人のエヴレモンド兄弟にあれほど傷つけられた農民の一家は、私の家族だ。デファルジュ、地面に倒れ致命傷を負った少年の姉は私の姉、あの夫は私の姉の夫、胎内の子は二人の子、あの兄は私の兄、あの父は私の父、あの死者たちは私の死者、そしてそれらのことに答えよという召喚は、私へ受け継がれたのだ!』聞いてごらん、本当かどうか。」

「本当だ」とデファルジュはもう一度同意した。

「なら、風と火に、どこで止まれと言ってごらん」と夫人は返した。「でも私に言うんじゃない。」

聞いていた二人は、彼女の怒りの死を招く性質に恐ろしい悦びを覚えていた――耳を澄ます者には、見なくとも彼女がどれほど蒼白か分かる気がした――そして二人ともそれを大いに称賛した。弱い少数派であるデファルジュは、侯爵の情け深い妻の記憶のために数語を差し挟んだ。だが自分の妻から引き出せたのは、最後の答えの繰り返しだけだった。「風と火に、どこで止まれと言ってごらん。私にではなく!」

客が入り、集まりはほどけた。イギリス人の客は飲んだ分を払い、釣り銭を戸惑ったように数え、よそ者として国民宮殿への道を尋ねた。デファルジュ夫人は彼を戸口まで連れて行き、道を指し示すために彼の腕に自分の腕を置いた。その時、このイギリス人の客は、こう考えずにはいられなかった。その腕をつかみ、持ち上げ、その下を鋭く深く突き刺すなら、それは善行かもしれない、と。

だが彼はそのまま道を行き、やがて監獄の壁の影に呑み込まれた。定められた時刻になると、その影から現れ、再びロリー氏の部屋に姿を見せた。そこでは老紳士が落ち着かぬ不安の中、行ったり来たりしていた。ロリー氏は、つい今しがたまでルーシーのところにいて、約束を守るためにほんの数分だけ彼女を離れて来たのだと言った。彼女の父は、四時頃に銀行を出て以来、姿を見せていなかった。彼女には、父の取りなしがチャールズを救うかもしれないというかすかな望みがあったが、それはごく薄かった。彼が出ていってから五時間以上経っていた。いったいどこにいるのか? 

ロリー氏は十時まで待った。だがマネット博士は戻らず、ルーシーをこれ以上放っておきたくなかったので、彼はいったん彼女のもとへ戻り、真夜中にまた銀行へ来ることになった。その間、カートンが一人、暖炉のそばで博士を待つことになった。

彼は待ち、なお待った。時計が十二時を打った。だがマネット博士は戻らなかった。ロリー氏が戻ってきたが、博士の消息はなく、何の知らせも持ってこなかった。いったいどこにいるのか? 

彼らがそのことを話し合い、長い不在の上にか弱い希望の骨組みをほとんど組み上げようとしていた時、階段に博士の足音が聞こえた。部屋に入った瞬間、すべてが失われたことは明らかだった。

本当に誰かのもとへ行っていたのか、それともその間ずっと街をさまよっていたのかは、ついに分からなかった。彼が立ったまま二人を見つめると、二人は何も尋ねなかった。その顔がすべてを物語っていたからだ。

「見つからない」と彼は言った。「どうしても要るのに。どこにある?」

頭と喉はむき出しで、彼は頼りなくあたりを見回しながらそう言うと、上着を脱ぎ、床へ落とした。

「私の作業台はどこだ? どこを探しても作業台が見つからない。私の仕事をどうしたのだ? 時間がない。あの靴を仕上げねば。」

二人は顔を見合わせ、胸の内で心が死んだ。

「さあ、さあ!」彼は泣き言のようなみじめな調子で言った。「仕事をさせてくれ。私の仕事を渡してくれ。」

返事がないと、彼は気の狂った子どものように髪をかきむしり、足で地面を踏み鳴らした。

「哀れな見捨てられた者を苦しめないでくれ」と彼は恐ろしい叫びで懇願した。「仕事をくれ! 今夜あの靴ができなければ、私たちはどうなるのだ?」

失われた、完全に失われた! 

彼を説得したり、正気へ戻そうとしたりすることが、あまりに明らかに望みの外にあったため、二人はまるで申し合わせたように、それぞれ彼の肩に手を置き、すぐに仕事を渡すと約束して、暖炉の前へ座るようになだめた。彼は椅子に沈み込み、熾火をじっと見つめて涙を流した。屋根裏部屋の日々以来のすべてが一瞬の幻、あるいは夢ででもあったかのように、ロリー氏は彼が、かつてデファルジュが見守っていたあの姿そのものへ縮こまっていくのを見た。

この破滅の光景に、二人は深く打たれ、恐怖に圧倒されていた。だが、そうした感情に身を任せる時ではなかった。最後の希望と支えを奪われた孤独な娘が、あまりにも強く二人に訴えかけていた。再び、まるで申し合わせたように、二人は同じ意味を顔に浮かべて見合った。最初に口を開いたのはカートンだった。

「最後の機会は消えました。大したものではありませんでしたが。ええ、彼は彼女のもとへ連れていったほうがよい。ですが、行く前に、少しの間だけ私にしっかり注意を向けていただけますか。これから私が出す条件や、求める約束の理由を尋ねないでください。理由はあります――十分な理由が。」

「疑いはしない」とロリー氏は答えた。「続けてくれ。」

二人の間の椅子にある姿は、その間ずっと単調に前後へ揺れ、呻いていた。二人は、夜に病床の傍らで見守る時に使うような声で話した。

カートンは、足に絡みそうになっていた上着を拾おうとかがんだ。その時、博士がその日の用件の一覧を入れて持ち歩いていた小さなケースが、軽い音を立てて床へ落ちた。カートンが拾い上げると、中に折りたたまれた紙があった。「これは見るべきです!」と彼は言った。ロリー氏は同意してうなずいた。彼はそれを開き、叫んだ。「神に感謝を!」

「何だ?」ロリー氏が勢い込んで尋ねた。

「少し待ってください! 順序どおりに話します。まず」と彼は上着に手を入れ、別の紙を取り出した。「これは私がこの都市を出ることを可能にする証明書です。見てください。分かりますね――シドニー・カートン、イギリス人。」

ロリー氏はそれを手に開いたまま、彼の真剣な顔を見つめていた。

「明日まで私のために預かっておいてください。ご存じのとおり、私は明日彼に会います。監獄へ持っていかないほうがよい。」

「なぜだ?」

「分かりません。そうしたくないのです。さて、マネット博士が身につけて持ち歩いていたこの紙を取ってください。これは同様の証明書で、博士とその娘とその子が、いつでも関門と国境を通過できるものです! 分かりますか?」

「ああ!」

「おそらく昨日、災いに備えた最後の、最大限の予防として彼が手に入れたのでしょう。日付はいつです? いや、構わない。見るために時間を使わず、私のものとあなた自身のものと一緒に注意深くしまってください。さあ、聞いてください! ここ一、二時間まで、私は彼がこのような紙を持っている、あるいは持てることを疑ったことはありませんでした。それは有効です。取り消されるまでは。だが、すぐに取り消されるかもしれないし、私はそうなると思う理由があります。」

「彼らが危険だというのか?」

「非常に危険です。デファルジュ夫人に告発される危険がある。私はそれを彼女自身の口から知りました。今夜、あの女の言葉を聞き、彼らの危険が私にははっきりと見えたのです。私は時を無駄にせず、それからあの密偵にも会いました。彼は私の考えを裏づけました。監獄の壁のそばに住む木挽きがデファルジュ夫妻の支配下にあり、デファルジュ夫人から、彼女が――」彼は決してルーシーの名を口にしなかった。「――囚人たちに合図や信号を送るのを見た、と証言するよう仕込まれていることを知っています。口実がありふれたもの、つまり監獄内の陰謀になることは容易に予想できます。そしてそれは彼女の命を巻き込む――おそらく子どもの命も――おそらく父の命も――二人とも彼女と一緒にその場所で見られているからです。そんなに恐ろしそうな顔をしないでください。あなたが皆を救うのです。」

「天がそうさせてくださるように、カートン! だが、どうやって?」

「その方法を話します。それはあなたにかかっています。そしてあなた以上にふさわしい人はいません。この新たな告発は、明日が過ぎるまでは確実に起こりません。おそらく二、三日後まで起こらない。もっとありそうなのは一週間後です。ご存じでしょう、ギロチンの犠牲者を悼んだり同情したりすることは死罪です。彼女と父は疑いなくこの罪に当たる。そしてあの女(その執念深い追及は言い表せません)は、それを自分の訴えに加えて、万全を期すために待つでしょう。ついてきていますか?」

「あまりに注意深く、また君の言うことを信じて聞いているので、今この瞬間は」と、博士の椅子の背に触れながら言った。「この苦悩さえ見失っているほどだ。」

「あなたには金があり、旅が可能な限りの速さで海岸へ向かう手段を買えます。イングランドへ戻る準備は、数日前から整っている。明日の早朝、馬を用意させてください。午後二時には出発できる状態にしておくのです。」

「そうしよう!」

彼の態度はあまりに熱烈で人を奮い立たせるものだったので、ロリー氏にもその火が移り、若者のように素早くなった。

「あなたは気高い心の持ち主です。あなた以上に頼れる人はいないと言いましたね。今夜、彼女に、子どもと父を巻き込む危険について知っていることを話してください。そこを強く訴えるのです。彼女は自分の美しい頭を夫の隣に喜んで差し出してしまうでしょうから。」

彼は一瞬言いよどみ、それから前と同じ調子で続けた。「子どもと父のために、その時刻に、彼らとあなたとともにパリを離れる必要を強く説いてください。それは夫の最後の手配だったと告げてください。それには、彼女が信じることも望むこともあえてできないほど多くのものがかかっていると告げてください。彼女の父は、この悲しい状態であっても、彼女に従うと思いますね?」

「確信している。」

「そう思いました。ここ中庭で、あなた自身が馬車に座ることまで含め、これらすべての手配を静かに、確実に整えてください。私があなたのところへ来た瞬間、私を乗せ、走り去るのです。」

「どんな場合でも君を待つ、ということだね?」

「私の証明書はほかのものと一緒にあなたの手の中にあります。私の席を取っておくのです。待つのは、私の席が埋まるまで。それだけです。そしてイングランドへ!」

「それなら」とロリー氏は、熱を帯びながらも固く落ち着いた彼の手を握って言った。「すべてが一人の老人にかかっているわけではない。私のそばには若く熱い男がいることになる。」

「天の助けがあれば、そうなります! 今、私たちが互いに誓い合うこの道を、いかなることにも左右されて変えないと、厳かに約束してください。」

「何ものにも左右されない、カートン。」

「明日、この言葉を思い出してください。この道を変えること、あるいは遅らせること――どんな理由であれ――それをすれば、一つの命も救えず、多くの命が必ず犠牲になります。」

「覚えておく。自分の役目を忠実に果たしたい。」

「そして私も、自分の役目を果たしたい。では、さようなら!」

彼は真剣な厳かな微笑を浮かべてそう言い、老紳士の手に唇を触れさえしたが、その時にはまだ別れなかった。彼は、消えかけた熾火の前で揺れている姿をなんとか呼び起こすのを手伝い、外套と帽子を着せ、なお呻きながら欲しがっている作業台と仕事がどこに隠されているか探しに行こうと誘い出した。彼はその反対側を歩き、その姿を守りながら家の中庭まで行った。そこでは、かつて自分の荒れ果てた心を彼女に打ち明けた、あの忘れがたい時には幸福であった苦しむ心が、恐ろしい夜を眠らず見守っていた。彼は中庭に入り、しばらく一人でそこに残り、彼女の部屋の窓にともる明かりを見上げた。立ち去る前、その窓へ向かって祝福と別れを息に乗せた。

第十三章 五十二人

コンシェルジュリー監獄の黒い牢獄で、その日の死を宣告された者たちが運命を待っていた。その数は一年の週の数に等しかった。五十二人が、その午後、都市の生命の潮に乗って、果てしない永遠の海へと流されるのだ。彼らの独房が空く前に、新たな住人はすでに決められていた。彼らの血が昨日流された血に混じる前に、明日その血と混じる血はすでに選り分けられていた。

四十と十二人が割り当てられた。富でも命を買えなかった七十歳の徴税請負人[訳注:旧体制下で国家の税徴収を請け負い、しばしば民衆の憎悪を集めた者]から、貧しさと無名さでも身を救えなかった二十歳の縫い子まで。人間の悪徳と怠慢から生じる肉体の病は、あらゆる階層の犠牲者を襲う。そして、言い尽くせぬ苦難、耐えがたい圧政、無情な無関心から生まれた恐るべき道徳の病も、区別なく等しく打ちのめした。

チャールズ・ダーニーは、法廷から独房へ来て以来、独りきりの房の中で、甘い幻想に身を支えられることはなかった。聞かされた物語の一行一行に、自分の有罪判決を聞いていた。どんな個人的影響力も彼を救うことはできず、自分は事実上、数百万の人々によって刑を宣告され、個々の力など何の役にも立たないのだと、彼は完全に理解していた。

それでも、愛する妻の顔がまだ鮮やかに目の前にある中で、耐えねばならぬものへ心を落ち着けるのは容易ではなかった。命への執着は強く、それを緩めるのは非常に、非常に難しかった。少しずつ努力してこちらを少し開けば、あちらがいっそう固く握られる。力をこめてその手をほどき、ようやく緩むと、今度はこちらがまた閉じてしまう。また彼のあらゆる思考には焦りがあり、心は荒々しく熱く働いて、諦念と争っていた。もし一瞬、諦めを覚えたとしても、その後に生きていかねばならない妻と子が抗議するように思え、それが利己的なことに感じられた。

だが、それは初めのうちだけだった。ほどなくして、彼が迎えねばならない運命には不名誉がなく、同じ道を不当に行かされながらも、毎日多くの人々がしっかりと歩んでいるという考えが湧き上がり、彼を励ました。次に、愛する人々が将来享受できる心の平安の多くは、自分の静かな剛毅さにかかっているという思いが続いた。そうして彼は徐々に、よりよい状態へと落ち着いていき、やがて思いをずっと高いところへ上げ、そこから慰めを引き下ろすことができるようになった。

有罪判決の夜がすっかり暗くなる前に、彼は最後の道をそこまで進んでいた。筆記用具と明かりを買うことを許されたので、監獄のランプが消される時刻まで書こうと、彼は腰を下ろした。

彼はルーシーへ長い手紙を書き、自分が父の投獄について、彼女自身から聞くまで何も知らなかったこと、またその苦しみについて自分の父と叔父に責任があったことも、あの紙が読まれるまで彼女と同じく知らなかったことを示した。自分が捨てた名を彼女に隠していたのは、彼女の父が二人の婚約に付したただ一つの条件――今となっては十分に理解できる条件――であり、結婚の朝にもなお彼が求めたただ一つの約束であったことは、すでに彼女へ説明してあった。彼は彼女に、父のために、あの紙の存在を父が忘れ去っていたのか、それともあの懐かしい庭のプラタナスの下で過ごした昔の日曜日、塔の物語によって(一時的にせよ、永久にせよ)思い出したのかを、決して知ろうとしないでほしいと懇願した。もし父がそれについて明確な記憶を少しでも保っていたなら、民衆がバスティーユで発見し、全世界に説明された囚人たちの遺品の中にその記載がないのを見て、バスティーユとともに破壊されたと思ったに違いない。彼は彼女に懇願した――もっとも、それが不要なことだとは分かっていると付け加えたが――父が正当に自分を責めるべきことは何一つしておらず、むしろ二人のために一貫して自分を忘れてきたのだという真実を、思いつく限りの優しい手段で父の心に刻み、慰めてほしいと。彼自身の最後の感謝に満ちた愛と祝福を彼女が守ること、そして悲しみに打ち勝って愛する子へ身を捧げることに次いで、彼は、天国で再会することを誓いとして、父を慰めてほしいと彼女に懇願した。

彼女の父自身にも同じ調子で書いた。ただし父には、妻と子を明確にその保護に委ねると告げた。彼が陥りかねないと予見した落胆や危険な回顧から父を呼び覚ましたいという望みをこめて、彼はそれを非常に強く告げた。

ロリー氏には、彼ら全員を託し、自分の世俗の事柄を説明した。それが済むと、感謝に満ちた友情と温かな愛着の言葉を多く書き添え、すべては終わった。彼はカートンのことを思い浮かべなかった。心がほかの人々であまりに満たされていたため、彼のことを一度も考えなかった。

明かりが消される前に、これらの手紙を書き終える時間はあった。藁の寝床に横たわった時、彼は自分がこの世と縁を切ったと思った。

だがこの世は眠りの中で彼を手招きし、輝く姿を見せた。自由で幸福に、ソーホーの昔の家(実際の家とは似ても似つかないものだったが)へ戻り、どういうわけか解放され、心軽く、彼はまたルーシーと一緒にいた。彼女は、すべては夢で、彼はどこへも行かなかったのだと告げた。忘却の間があり、それから彼は苦しみさえも経て、死んで安らぎの中に彼女のもとへ戻ってきた。それでも彼には何の違いもなかった。さらに別の忘却の間があり、彼は陰鬱な朝に目を覚ました。自分がどこにいるのか、何が起こったのかも分からなかったが、やがて心に稲妻のように閃いた。「今日は私の死ぬ日だ!」

こうして彼は、五十二の首が落ちる日までの時間をくぐり抜けてきた。そして今、彼は落ち着き、静かな英雄的態度で最期を迎えられると望んでいたが、目覚めている思考の中で、新たな働きが始まった。それを制御するのは非常に難しかった。

彼は自分の命を終わらせる器具を見たことがなかった。それは地面からどのくらい高いのか、段は何段あるのか、自分はどこに立たされるのか、どのように触れられるのか、触れる手は赤く染まっているのか、顔はどちらへ向けられるのか、自分は最初なのか、それとも最後かもしれないのか。こうした問いや同じような多くの問いが、彼の意志とはまったく関係なく、数え切れないほど何度も何度も押し寄せた。それらは恐怖と結びついているわけでもなかった。彼には恐怖の自覚はなかった。むしろそれは、時が来た時に何をすべきか知りたいという、奇妙につきまとう欲求から生じていた。その欲求は、それが関わるわずかな一瞬に比して巨人のように不釣り合いで、自分自身のものというより、彼の内にいる別の霊の驚きに似ていた。

彼が行ったり来たりするうちに時は進み、時計は彼が二度と聞くことのない時刻を打った。九時は永遠に去り、十時も永遠に去り、十一時も永遠に去り、十二時が来て、やがて過ぎようとしていた。彼を最後に悩ませたその風変わりな思考の働きとの厳しい闘いの末、彼はそれに打ち勝っていた。彼は彼らの名をそっと繰り返しながら歩き回った。闘いの最悪の部分は終わっていた。彼は気を散らす空想から自由に、自分自身と彼らのために祈りながら歩き回ることができた。

十二時は永遠に去った。

最後の時刻は三時だと彼は知らされており、囚人護送車タンブリルが通りを重くゆっくりと揺れながら進むため、それよりいくらか早く呼び出されることも知っていた。そこで彼は、二時をその時刻として心に置き、それまでの間に自分を強くし、その後で他の者たちを強くできるようにしようと決めた。

胸の前で腕を組み、規則正しく行き来する彼は、ラ・フォルス監獄で行ったり来たりしていた囚人とはまったく別人だった。一時が彼から打ち去られるのを、彼は驚きもなく聞いた。その一時間は、ほかの大半の時間と同じように測られた。取り戻した自制心を天に心から感謝しながら、彼は「今や、あと一つだけだ」と思い、また歩き出そうと向きを変えた。

扉の外の石の通路に足音。彼は立ち止まった。

鍵が錠に差し込まれ、回された。扉が開く前、あるいは開きかけた時、一人の男が低い声で英語で言った。「ここで私を見たことはない。私は彼の目を避けてきた。お前一人で入れ。私は近くで待つ。時間を無駄にするな!」

扉はすばやく開いて閉じられ、彼の前に真正面から立っていたのは、静かに、彼をまっすぐ見つめ、顔に微笑の光を宿し、唇に注意を促す指を当てたシドニー・カートンだった。

その表情にはあまりに明るく尋常でないものがあったため、最初の瞬間、囚人はそれが自分の想像の幻ではないかと疑った。だが彼は話した。それは彼の声だった。彼は囚人の手を取った。それは本物の握りだった。

「地上の誰よりも、私に会うとは思っていなかったでしょう?」と彼は言った。

「君だとは信じられなかった。今でもほとんど信じられない。君は――」不安が突然彼の心に浮かんだ。「囚人ではないのか?」

「違います。偶然、この中の看守の一人に対して力を持つことになり、その力によってあなたの前に立っています。彼女のもとから来ました――あなたの妻からです、親愛なるダーニー。」

囚人は彼の手を固く握った。

「彼女から、あなたへの願いを持ってきました。」

「何だ?」

「あなたがよく覚えている、あの大切な声の最も痛切な調子であなたへ向けられた、きわめて真剣で、切迫した、強い懇願です。」

囚人は顔を少し横へ向けた。

「なぜ私がそれを持ってきたのか、それが何を意味するのか、あなたに尋ねる時間はありません。私にも話す時間はありません。あなたはそれに従わねばならない――今履いているその靴を脱ぎ、私のこれを履いてください。」

独房の壁際、囚人の後ろに椅子があった。カートンは前へ押し出るように進み、すでに稲妻のような速さで彼をそこへ座らせ、自分は裸足で彼の上に立っていた。

「私のこの靴を履いてください。手を動かして、意志を向けて。早く!」

「カートン、ここから逃げることはできない。絶対にできない。君は私と一緒に死ぬだけだ。狂気の沙汰だ。」

「もし私があなたに逃げろと求めているなら狂気でしょう。だが求めていますか? その扉から出ろと私が求めた時に、それは狂気だと言ってここに残りなさい。このクラヴァットを私のこれと替え、その上着を私のこれと替えてください。その間に、あなたの髪からこのリボンを取って、私の髪のようにほどきます!」

驚くべき素早さと、ほとんど超自然的に見える意志と行動の強さで、彼はこれらすべての交換を相手に強いた。囚人は彼の手の中で幼子のようだった。

「カートン! 親愛なるカートン! 狂気だ。成し遂げられるはずがない、絶対にできない、試みられたことはあり、いつも失敗してきた。私の死の苦しみに、君の死まで加えないでくれ。」

「親愛なるダーニー、私はあなたに扉を通れと頼んでいますか? それを頼んだ時には拒んでください。この机にペンとインクと紙があります。書けるほど手は落ち着いていますか?」

「君が入ってきた時はそうだった。」

「もう一度落ち着かせて、私が口述することを書いてください。急いで、友よ、急いで!」

ダーニーは混乱した頭に手を押し当て、机に向かって座った。カートンは右手を胸元に入れたまま、彼のすぐそばに立っていた。

「私が言うとおりに正確に書いてください。」

「宛名は誰に?」

「誰にも。」

カートンはなお胸元に手を入れていた。

「日付は?」

「不要です。」

囚人は問いのたびに顔を上げた。カートンは胸元に手を入れて彼の上に立ち、見下ろしていた。

「『もしあなたが覚えているなら』」カートンは口述した。「『遠い昔、私たちの間で交わされた言葉を、あなたはこれを見た時、すぐに理解するでしょう。あなたが覚えていることを、私は知っています。それを忘れることは、あなたの本性にはありません』。」

彼は胸元から手を引き出しつつあった。囚人が、慌ただしい驚きの中で書きながらふと見上げると、その手は何かを握ったまま止まった。

「『忘れることはありません』まで書きましたか?」

カートンが尋ねた。

「書いた。その手にあるのは武器か?」

「いいえ。私は武装していません。」

「手に持っているものは何だ?」

「すぐに分かります。書き続けてください。あと数語だけです。」

彼は再び口述した。「『それを証明できる時が来たことに、私は感謝しています。私がそうすることは、後悔や悲しみの種ではありません』」これらの言葉を、書き手に目を据えたまま言いながら、彼の手はゆっくりと、そっと、書き手の顔のすぐ近くへ下りていった。

ペンがダーニーの指から机の上へ落ち、彼はうつろにあたりを見回した。

「今の蒸気は何だ?」彼は尋ねた。

「蒸気?」

「何かが私をかすめた。」

「私には何も感じません。ここに何かあるはずがない。ペンを取って終えてください。急いで、急いで!」

記憶が損なわれたか、能力が乱れたかのように、囚人は注意を立て直そうと努めた。曇った目と変わった息づかいでカートンを見る彼を、カートンは――また胸元に手を入れて――じっと見つめていた。

「急いで、急いで!」

囚人はもう一度、紙の上に身をかがめた。

「『もしそうでなかったなら』」カートンの手はまた用心深く、そっと忍び下りていた。「『私はより長い機会を用いることはなかったでしょう。もしそうでなかったなら』」その手は囚人の顔にあった。「『私はそれだけ多くの責めを負うだけでした。もしそうでなかったなら――』」カートンはペンを見て、それが意味不明の記号へと流れていくのを見た。

カートンの手が胸元へ戻ることはもうなかった。囚人は非難するような目で跳ね起きたが、カートンの手は彼の鼻先にぴたりと固く当てられ、カートンの左腕は彼の腰を抱えていた。数秒のあいだ、彼は自分のために命を投げ出しに来た男にかすかに抵抗した。だが一分ほどのうちに、彼は意識を失って床に伸びていた。

迅速に、しかし心と同じく目的に忠実な手つきで、カートンは囚人が脱いだ服を身につけ、髪を後ろへとかし、囚人が結んでいたリボンで縛った。それから、彼は静かに呼んだ。「そこへ入れ! 入ってこい!」すると密偵が姿を現した。

「見えるな?」カートンは、意識を失った姿のそばに片膝をついて紙を胸元へ入れながら、顔を上げて言った。「危険はそんなに大きいか?」

「カートンさん」と密偵は、おずおずと指をぱちんと鳴らして答えた。「あなたが取引のすべてを守ってくださるなら、この忙しさの真っただ中で、私の危険はそれほどではありません。」

「私を恐れるな。私は死ぬまで守る。」

「そうしていただかねばなりません、カートンさん。五十二人という勘定を正しくするには。あなたがその服装で勘定を正しくしてくださるなら、私は恐れません。」

「恐れるな! 私はすぐにお前を害する道から消える。残りの者たちも、神のお許しがあれば、すぐにここから遠く離れる。さあ、手を借りて私を馬車へ運べ。」

「あなたを?」密偵は神経質に言った。

「男よ、私と入れ替わった彼をだ。お前は私を連れて入った門から出るのだな?」

「もちろんです。」

「お前が私を連れて入った時、私は弱って気が遠くなっていた。そしてお前が私を連れ出す今、さらに気が遠くなっている。別れの面会に圧倒されたのだ。こういうことはここではよく、あまりにもよく起きている。お前の命はお前自身の手の中にある。早く! 助けを呼べ!」

「私を裏切らないと誓いますか?」震える密偵は、最後の一瞬ためらって言った。

「男よ、男よ!」カートンは足を踏み鳴らして返した。「私はすでに厳粛な誓いによって、これをやり遂げると誓っているではないか。今さら貴重な瞬間を浪費するのか? お前自身で彼を例の中庭へ運び、お前自身で馬車に乗せ、お前自身でロリー氏に見せ、空気以外の気付けを与えるなと伝え、昨夜の私の言葉と、昨夜の彼の約束を思い出せと伝え、走り去れ!」

密偵は引っ込み、カートンは机に座って、額を両手に預けた。密偵はすぐに二人の男を連れて戻った。

「さて、これは?」一人が倒れた姿を眺めながら言った。「友人が聖ギロチンの籤で当たりを引いたのを知って、これほど打ちのめされたのか?」

「善良な愛国者でも」ともう一人が言った。「その貴族が外れを引いたとしても、これほど悲しみはしなかっただろう。」

彼らは意識のない姿を持ち上げ、戸口へ持ってきた担架に載せ、運び出そうとかがんだ。

「時間がないぞ、エヴレモンド」と密偵が警告する声で言った。

「よく分かっている」とカートンは答えた。「どうか私の友を大切に扱ってくれ。頼む。そして私を一人にしてくれ。」

「では、行こう、わが子らよ」とバーサードは言った。「持ち上げて、出るんだ!」

扉が閉まり、カートンは一人残された。彼は聴覚の力を極限まで張りつめ、疑いや警報を示す音がないか耳を澄ませた。何もなかった。鍵が回り、扉が鳴り、足音が遠い通路を過ぎていった。普段と違うと思える叫びも、慌ただしさも起こらなかった。しばらくして少し楽に息をつくと、彼は机に座り、時計が二時を打つまでまた耳を澄ませた。

その時、恐れる必要のない音が聞こえ始めた。意味は察していたからだ。いくつもの扉が順に開き、最後に彼自身の扉が開いた。手に名簿を持った看守がのぞき込み、ただ「ついて来い、エヴレモンド!」と言っただけだった。彼は離れたところにある広い暗い部屋へついていった。暗い冬の日で、内にも外にも影があり、そこへ連れてこられて腕を縛られる他の者たちを、彼はぼんやりとしか見分けられなかった。立っている者もいれば、座っている者もいた。嘆き、落ち着きなく動いている者もいた。だが、それは少数だった。大多数は黙って静かに、地面をじっと見つめていた。

五十二人のうち何人かが彼の後から連れてこられる間、彼が薄暗い隅の壁際に立っていると、一人の男が通りかかりに足を止め、知り合いとして彼を抱いた。それは彼に発覚への大きな恐怖を走らせた。だが男はそのまま行ってしまった。そのほんの少し後、ほっそりした少女のような体つき、色の気配がまったくない甘く痩せた顔、大きく見開かれた忍耐強い目をした若い女が、彼が座っているのを見ていた席から立ち上がり、話しかけに来た。

「市民エヴレモンド」と彼女は冷たい手で彼に触れて言った。「私は、ラ・フォルスであなたと一緒だった哀れな小さな縫い子です。」

彼は答えにつぶやいた。「そうだった。何の罪に問われていたのだったか、忘れてしまった。」

「陰謀です。正しい天は、私が何一つ罪のないことをご存じですのに。ありえますか? 私みたいな、哀れで小さな弱い者と陰謀を企てようなんて、誰が思うでしょう?」

そう言う時の見捨てられたような微笑があまりに彼の胸を打ったので、彼の目に涙が浮かんだ。

「死ぬのは怖くありません、市民エヴレモンド。でも私は何もしていません。私たち貧しい者にたくさんのよいことをしてくださるはずの共和国が、私の死で益を得るのなら、死ぬのが嫌なわけではありません。でも、それがどうしてそうなるのか分からないのです、市民エヴレモンド。こんなに哀れで弱い小さな者が!」

地上で彼の心が最後に温まり、柔らかくなる相手として、その心はこの哀れな娘へ温まり、柔らかくなった。

「あなたは釈放されたと聞きました、市民エヴレモンド。本当だと願っていました。」

「本当でした。だが、私は再び捕らえられ、有罪を宣告されました。」

「もしご一緒の車に乗れるなら、市民エヴレモンド、あなたの手を握らせてくださいますか? 怖くはありません。でも私は小さくて弱いので、そうすればもっと勇気が出ます。」

忍耐強い目が彼の顔へ上げられると、彼はそこに突然の疑い、そして驚きを見た。彼は仕事で荒れ、飢えで痩せた若い指を握り、唇に触れた。

「あなたは、あの方のために死ぬのですか?」彼女は囁いた。

「そしてその妻と子のために。静かに! そうです。」

「ああ、見知らぬ勇敢な方、あなたの手を握らせてくださるのですね?」

「静かに! ええ、哀れな妹よ。最後まで。」


その同じ午後の早い時刻、監獄に落ちているのと同じ影が、群衆に囲まれた関門にも落ちている。パリを出ようとする馬車が、検査のために進み出る。

「ここを通るのは誰だ? 中にいるのは誰だ? 書類を!」

書類が差し出され、読まれる。

「アレクサンドル・マネット。医師。フランス人。どれだ?」

彼だ。この頼りなく、言葉にならぬことをつぶやき、さまよう老人が指し示される。

「どうやら市民医師は正気ではないようだな? 革命熱がこたえすぎたか?」

ひどくこたえすぎたのだ。

「はっ! それに苦しむ者は多い。ルーシー。その娘。フランス人。どれだ?」

彼女だ。

「どうやらそうらしい。ルーシー、エヴレモンドの妻。そうだな?」

そうだ。

「はっ! エヴレモンドは別の場所に約束がある。ルーシー、その子。イギリス人。これか?」

その子以外にない。

「キスしておくれ、エヴレモンドの子よ。さあ、お前は善良な共和主義者にキスしたのだ。お前の一族には新しいことだぞ。覚えておけ! シドニー・カートン。弁護士。イギリス人。どれだ?」

彼は馬車のこの隅に横たわっている。彼も指し示される。

「どうやらイギリス人の弁護士は気絶しているらしいな?」

新鮮な空気の中で回復することを願っている、と説明される。体があまり丈夫ではなく、共和国の不興を買った友人と悲しい別れをしてきたのだ、と述べられる。

「それで全部か? 大したことではないな! 共和国の不興を買っている者は多い。小窓をのぞくことになるのだ。ジャービス・ロリー。銀行家。イギリス人。どれだ?」

「私です。最後ですから、当然ながら。」

これまでのすべての問いに答えていたのはジャービス・ロリーである。馬車を降り、馬車の扉に手を置いて立ち、役人たちの一団に答えているのはジャービス・ロリーである。彼らはゆっくりと馬車の周りを歩き、ゆっくりと御者台に上って、屋根に載せたわずかな荷物を見る。周囲にたむろする田舎の人々は馬車の扉へさらに押し寄せ、貪るように中を見つめる。母親に抱かれた小さな子どもは、ギロチンへ行った貴族の妻に触れられるよう、短い腕を差し出されている。

「見よ、ジャービス・ロリー、お前の書類は副署された。」

「出発してよろしいか、市民?」

「出発してよい。進め、馭者たち! よい旅を!」

「敬礼します、市民諸君。――そして最初の危険は越えた!」

手を組み、上を見上げながら、こう言うのはまたしてもジャービス・ロリーである。馬車の中には恐怖があり、すすり泣きがあり、意識のない旅人の重い息づかいがある。

「遅すぎませんか? もっと速く行かせられませんか?」ルーシーは老人にすがりついて尋ねる。

「逃げているように見えてしまう、愛しい子よ。あまり急がせてはならない。疑いを起こす。」

「後ろを見て、後ろを見て、追われていないか確かめて!」

「道は空いている、最愛の子よ。今のところ、追われてはいない。」

二、三軒ずつの家々が私たちの横を過ぎていく。ぽつんと立つ農家、荒れた建物、染物場、なめし革工場など、開けた田野、葉を落とした木々の並木。固くでこぼこの石畳が私たちの下にあり、柔らかく深い泥が両側にある。時には、私たちをがたがた揺らす石を避けて端の泥へ入り込む。時には、そこの轍や泥沼にはまる。その時、待ちきれぬ苦痛はあまりに大きく、狂おしい恐怖と焦りの中で、私たちは降りて走り出したくなる――隠れたくなる――止まっている以外なら何でもしたくなる。

開けた田野を抜け、また荒れた建物、ぽつんと立つ農家、染物場、なめし革工場などの間へ入り、二、三軒ずつの小屋、葉を落とした木々の並木。あの男たちは私たちを欺き、別の道で引き返させているのか? これは二度目の同じ場所ではないのか? 天に感謝を、違う。村だ。後ろを見て、後ろを見て、追われていないか確かめて! 静かに! 駅逓所だ。

のんびりと、四頭の馬が外される。のんびりと、馬を失った馬車が小さな通りに立ち尽くし、二度と動きそうにない姿をさらす。のんびりと、新しい馬が一頭ずつ見えるところへ現れる。のんびりと、新しい馭者たちが続き、鞭の房を口で吸い、編みながらやってくる。のんびりと、古い馭者たちが金を数え、足し算を間違え、不満げな結果にたどり着く。その間ずっと、過剰に張りつめた私たちの心臓は、これまで生まれた最速の馬の最速の疾走さえはるかに追い越す速さで打っている。

ついに新しい馭者たちが鞍にまたがり、古い馭者たちは後に残された。私たちは村を抜け、丘を上り、丘を下り、低く湿った土地へ出る。突然、馭者たちが激しい身ぶりで言葉を交わし、馬はほとんど後脚で立つほどに引き止められる。追われているのか? 

「おい! 馬車の中の者。答えろ!」

「何事だ?」ロリー氏が窓から顔を出して尋ねる。

「何人と言っていた?」

「何のことか分からない。」

「――前の駅でだ。今日はギロチンへ何人だ?」

「五十二人。」

「そう言っただろう! 立派な数だ! ここにいる同胞市民は四十二人だと言い張る。首は十個多いほうがいい。ギロチンは見事に働く。俺はあれが好きだ。さあ進め。ほう!」

夜は暗く迫る。彼はさらに動く。意識を取り戻し始め、はっきりと話し始めている。彼はまだ二人が一緒にいると思っている。相手の名を呼び、その手に何を持っているのかと尋ねる。ああ、慈悲深き天よ、私たちを憐れみ、助けてください! 外を見て、外を見て、追われていないか確かめて。

風が私たちの後を追って奔り、雲が私たちの後を飛び、月が私たちの後を突進し、荒れ狂う夜全体が私たちを追っている。だが今のところ、それ以外には何ものにも追われていない。

第十四章 編み物の終わり

あの五十二人が運命を待ち受けていた、まさにその同じ時刻、デファルジュ夫人はヴァンジャンスと革命裁判陪審のジャック三号と、暗く不吉な相談をしていた。デファルジュ夫人がこの二人の同志と語り合ったのは酒屋ではなく、かつて道路補修人だった木挽きの小屋である。木挽き本人はその評議には加わらず、少し離れたところに控えていた。求められるまで口をきかず、促されるまで意見も述べぬ、外側を回る衛星のように。

「だが、われらがデファルジュは」とジャック三号が言った。「疑いなく立派な共和主義者だな? え?」

「フランスじゅう探しても」と、饒舌なヴァンジャンスが甲高い声で抗議するように言った。「あれ以上はいないよ。」

「静かに、おちびのヴァンジャンス」とデファルジュ夫人は、かすかに眉をひそめ、腹心の唇に手を当てて言った。「私の話をお聞き。同志よ、夫は立派な共和主義者で、勇敢な男だ。共和国に十分尽くしてきたし、共和国からも信頼されている。けれど夫には弱みがある。この博士に対して情けをかけるほど、弱いのだ。」

「それはまことに残念だ」とジャック三号は、空腹げな口元に残酷な指を当て、疑わしげに首を振りながら、しわがれ声で言った。「立派な市民らしからぬことだ。惜しむべきことだな。」

「いいかい」と夫人は言った。「私はこの博士のことなど、どうでもいい。首をつけていようが落とされようが、私には何の関わりもない。同じことだ。だが、エヴレモンドの者どもは根絶やしにされねばならない。妻と子も、夫であり父である男の後を追わねばならない。」

「あの女の首は見栄えがする」とジャック三号はしわがれ声で言った。「あそこでは青い目と金の髪を見たことがある。サムソンがそれを掲げたとき、実に愛らしく見えたものだ。」

人食い鬼のような男は、美食家のように語った。

デファルジュ夫人は目を伏せ、しばし考え込んだ。

「あの子もまた」とジャック三号は、自分の言葉を味わうように思案げに言った。「金髪で青い目だ。それに、あそこに子どもが来ることはめったにない。見ものだぞ!」

「つまり」と、短い沈思から戻ってデファルジュ夫人が言った。「この件で夫を信用するわけにはいかない。昨夜から、計画の細部を夫に打ち明けることはできないと感じているだけではない。もし私がぐずぐずすれば、夫が警告を与える危険があり、そうなれば奴らは逃げるかもしれないとも感じている。」

「それは断じてあってはならん」とジャック三号はしわがれ声で言った。「誰一人逃してはならん。今でさえ、数は半分にも足りんのだ。一日に六スコア、百二十人は必要だ。」

「つまり」とデファルジュ夫人は続けた。「夫には、あの一族を滅亡まで追い詰める私の理由がない。私にも、あの博士に感傷を抱く夫の理由はない。だから私は自分で動く。こちらへ来な、おちびの市民。」

木挽きは、死ぬほどの恐怖から夫人を敬い、自分を従わせていたので、赤い帽子に手をやりながら進み出た。

「あの合図のことだ、おちびの市民」とデファルジュ夫人は厳しく言った。「あの女が囚人どもに送っていた合図。お前は今日ただちに、その証言をする覚悟ができているね?」

「ああ、ああ、なぜできねえことがありましょう!」木挽きは叫んだ。「毎日、どんな天気でも、二時から四時まで、いつも合図してました。ちっちゃいのと一緒のこともあり、一人のこともありました。俺は知ってることを知ってます。自分の目で見たんです。」

彼は話しながら、あらゆる身振りをしてみせた。まるで、実際には見たこともない多種多様な合図のいくつかを、つい真似しているかのようだった。

「明白な陰謀だ」とジャック三号が言った。「透けて見えるほどにな!」

「陪審に疑いはないね?」デファルジュ夫人は、陰鬱な笑みを浮かべて彼に目を向けながら尋ねた。

「愛しき女性市民よ、愛国的な陪審を信頼なさい。陪審仲間については私が保証する。」

「さて」とデファルジュ夫人は、また考え込んで言った。「もう一度だけ考えよう。この博士を夫のために見逃してやれるか? 私はどちらでも構わない。見逃せるか?」

「一つの首には数えられる」とジャック三号が低い声で言った。「本当に首が足りていない。惜しいことになると思うがね。」

「私があの女を見たとき、博士も一緒に合図をしていた」とデファルジュ夫人は論じた。「一方を語って他方を語らないわけにはいかない。それに、私は黙って、この件をまるごとこのおちびの市民に任せるわけにもいかない。なぜなら、私も悪い証人ではないからだ。」

ヴァンジャンスとジャック三号は、夫人こそ最も見事で驚嘆すべき証人だと、熱烈な賛辞を競い合った。おちびの市民も負けじと、夫人は天上の証人だと断言した。

「あの男は運に任せるしかない」とデファルジュ夫人は言った。「だめだ、見逃せない! お前たちは三時に用があるね。今日の一群が処刑されるのを見に行くのだろう。――お前は?」

問いは木挽きに向けられた。彼は急いで肯定の返事をし、その機会に、自分こそ最も熱烈な共和主義者であり、陽気な国民的床屋を眺めながら午後のパイプをくゆらす楽しみを何かに妨げられでもしたら、実際、この上なく打ちひしがれた共和主義者になるだろう、と付け加えた。この点で彼はあまりにも大げさだったので、一日のどの時刻にも自分の身の安全を案じる、ささやかな個人的恐怖を抱いているのではないかと疑われかねなかった――おそらく、デファルジュ夫人の頭から軽蔑をこめて彼を見つめる暗い目には、そう疑われていた。

「私も」と夫人は言った。「同じ場所に用がある。それが終わったあと――今夜八時としよう――サン=タントワーヌの私のところへ来るがいい。私の地区で、あの者どもを告発する。」

木挽きは、女性市民のお呼びにあずかれるとは誇りであり光栄だと言った。女性市民が彼を見つめると、彼はどぎまぎし、小犬のようにその視線を避け、薪の中へ退いて、鋸の柄の上に身の置き所のない混乱を隠した。

デファルジュ夫人は陪審員とヴァンジャンスを戸口のほうへ少し近寄らせ、そこでさらに自分の見通しをこう説明した。

「あの女はいま家にいるだろう。夫の死の時を待っている。嘆き悲しんでいるはずだ。共和国の正義を非難したくなるような心境にいるだろう。共和国の敵どもへの同情でいっぱいになっている。私がその女のところへ行く。」

「何と見事な女だ、何と崇めるべき女だ!」ジャック三号は恍惚として叫んだ。「ああ、私の大事な人!」ヴァンジャンスは叫び、夫人を抱きしめた。

「私の編み物を持っておいで」とデファルジュ夫人は、それを腹心の手に置いて言った。「いつもの席に用意しておくのだ。いつもの椅子を取っておきな。まっすぐそこへ行きなさい。今日はおそらく、いつもより人が集まるだろうから。」

「頭領の命令には喜んで従うよ」とヴァンジャンスはきびきびと言い、夫人の頬に口づけした。「遅れないだろうね?」

「始まる前には行く。」

「荷車が着く前にだよ。必ずそこにいておくれ、私の魂よ」とヴァンジャンスは、すでに通りへ出ようとしていた夫人の背へ呼びかけた。「荷車が着く前に!」

デファルジュ夫人は、聞こえている、頃合いよく着くから頼りにしてよい、という意味で軽く手を振り、泥の中を進んで、監獄の塀の角を曲がっていった。ヴァンジャンスと陪審員は、歩み去る夫人を見送りながら、その見事な姿と、卓越した精神的資質を大いに称賛した。

その時代には、時そのものに恐ろしく醜く歪められた女たちが多くいた。だが、その中に、いま通りを進んでいるこの無慈悲な女ほど恐るべき者は一人もいなかった。強く恐れを知らぬ性格、抜け目のない判断と機敏さ、並外れた意志の強さ。そして、その持ち主に堅固さと敵意を与えるだけでなく、他人にもそれらの性質を本能的に認めさせるような美しさ。どのような境遇にあっても、騒乱の時代は彼女を押し上げたに違いない。だが、幼少の頃から沈鬱な不正の意識と、ある階級への根深い憎悪を染み込まされていた彼女は、機会を得て雌虎へと成長した。彼女にはまったく憐れみがなかった。かつてその徳が内にあったとしても、今は完全に抜け落ちていた。

祖先の罪のために無実の男が死ぬことなど、彼女には何でもなかった。彼女が見ていたのは彼ではなく、彼らだった。その妻が寡婦となり、娘が孤児となることも、彼女には何でもなかった。それでは罰が足りない。彼らは生まれながらの敵であり獲物であり、そうである以上、生きる権利などなかったからだ。彼女に訴えることは絶望的だった。自分自身に対してさえ憐れみを持たなかったからだ。もしこれまで関わった数々の衝突のどれかで彼女が通りに倒れていたとしても、自分を憐れんだりはしなかっただろう。明日斧のもとへ送られる命令を受けたとしても、自分をそこへ送った男と立場を入れ替えたいという激しい望み以外、少しも柔らかな感情を抱かずに向かったに違いない。

デファルジュ夫人は、そのような心を粗い衣の下に抱えていた。無造作にまとったその衣は、ある異様な意味では十分に彼女に似合っており、粗末な赤い帽子の下で黒髪は豊かに見えた。胸の内には、弾を込めた拳銃が隠されていた。腰には、研ぎ澄まされた短剣が隠されていた。そう身支度を整え、そのような性格にふさわしい自信に満ちた足取りで、少女時代に裸足で、脚もむき出しのまま、褐色の海砂の上をいつも歩いていた女らしいしなやかな自由さをもって、デファルジュ夫人は通りを進んでいった。

さて、そのまさに同じ時刻、乗客が揃うのを待っていた旅行馬車の行程が昨夜計画されたとき、ミス・プロスをその馬車に乗せる難しさは、ロリー氏の心を大いに悩ませていた。馬車を過積載にしないことが望ましいというだけではなかった。馬車と乗客を検査される時間を極限まで短くすることが、最も重要だったのだ。逃亡の成否は、あちらこちらでほんの数秒を節約できるかにかかっているかもしれなかったからである。最終的に、彼は気を揉みながら熟考した末、町を出る自由のあるミス・プロスとジェリーが、当時知られていた中で最も車輪の軽い乗り物に乗り、三時に町を発つことを提案した。荷物に煩わされなければ、二人はすぐ馬車に追いつき、それを追い越して街道を先行し、先々で替え馬を手配しておける。そうすれば、遅れが最も恐ろしい夜の貴重な時間に、馬車の進みを大いに助けられるはずだった。

この手配の中に、差し迫った危急の時に真の役に立てる望みを見いだして、ミス・プロスは喜んで受け入れた。彼女とジェリーは馬車が出発するのを見届け、ソロモンが誰を連れてきたのかも知り、身を切るような不安の中で十数分を過ごし、今まさに馬車の後を追う段取りを終えようとしていた。そのころデファルジュ夫人は通りを進みながら、二人が相談している、ほかには誰もいない宿へ、いよいよ近づいてきていた。

「ねえ、どう思います、クランチャー氏」とミス・プロスは言った。動揺があまりに激しく、話すことも、立つことも、動くことも、生きていることさえやっとだった。「この中庭から出発しないほうがいいのではないかしら? 今日もう一台、ここから馬車が出ていますもの。疑いを招くかもしれません。」

「俺の考えじゃ、ミス」とクランチャー氏は答えた。「あんたの言う通りです。それに、正しかろうが間違ってようが、俺はあんたの味方です。」

「あの大切な方々のことを思うと、恐れと望みで頭がめちゃくちゃで」とミス・プロスは狂おしく泣きながら言った。「何の計画も立てられません。あなたは何か考えられますか、親切なクランチャー氏?」

「これから先の人生の方針についてなら、ミス」とクランチャー氏は答えた。「そう願いてえところです。だが、このありがてえ古頭を今すぐ役に立てるって話になると、そうは思えません。ミス、お願いだが、この危機にあたって俺が書き留めておきてえ二つの約束と誓いに、耳を貸してくれませんかね?」

「ああ、お願いですから!」ミス・プロスはなおも狂おしく泣きながら叫んだ。「すぐに記録して、片づけてしまってくださいな。あなたは立派な方なんですから。」

「第一に」とクランチャー氏は、全身を震わせ、灰のように青ざめた厳粛な顔で言った。「あのかわいそうな方々が無事ここを抜け出せたら、俺はもう二度とあれはしねえ、二度とだ!」

「確信しています、クランチャー氏」とミス・プロスは答えた。「それが何であれ、あなたは二度となさらないでしょうし、それが何なのかをこれ以上詳しく言う必要はないと思ってください。」

「いいえ、ミス」とジェリーは答えた。「それはあんたの前では名を出しません。第二に、あのかわいそうな方々が無事ここを抜け出せたら、俺はクランチャー夫人のフロッピングに、もう二度と口出ししねえ、二度とだ!」

「それがどんな家事の取り決めであれ」とミス・プロスは目を乾かし、気持ちを落ち着けようとしながら言った。「クランチャー夫人が完全にご自分の監督のもとでなさるのが一番に違いありません。――ああ、私のかわいそうな大事な方々!」

「さらに申し上げるなら、ミス」とクランチャー氏は、説教壇から説教でも始めそうな、まことに危なっかしい調子で続けた。「この言葉をあんた自身を通じて書き留め、クランチャー夫人へ届けてほしいんですが、俺のフロッピングに関する考えは変わったのであり、今この時、クランチャー夫人がフロッピングしていてくれりゃいいと、心の底から願っているのであります。」

「はい、はい、はい! していらっしゃるといいですね、あなた」と取り乱したミス・プロスは叫んだ。「そして、それが奥様の期待に応えるものであることを願います。」

「どうか」とクランチャー氏は、さらに厳粛に、さらにゆっくりと、さらに説教を続け押し通しそうな様子で続けた。「俺がこれまで言ったりしたりした何事も、今あのかわいそうな方々を思う俺の真剣な願いの妨げとなりませんように! あの方々をこの陰気な危険から救い出すためなら、都合さえつくなら俺たち全員がフロップすべきだということが、妨げられませんように! ミス、どうか妨げられませんように! 俺が言うのは、妨げられませんように、であります!」

これは、もっとよい結びを長々と探したがむなしかった末の、クランチャー氏の結論だった。

それでもなお、デファルジュ夫人は通りを進み、近づき、さらに近づいていた。

「もし私たちが故国へ戻れたら」とミス・プロスは言った。「あなたがおっしゃった、あれほど感銘深い言葉のうち、私に記憶でき、理解できる限りを、必ずクランチャー夫人にお伝えします。いずれにせよ、この恐ろしい時に、あなたがまったく真剣だったことは私が証言します。さあ、考えましょう! 尊敬するクランチャー氏、考えましょう!」

なおもデファルジュ夫人は通りを進み、近づき、さらに近づいていた。

「あなたが先に行って」とミス・プロスは言った。「馬車と馬がここへ来ないよう止めて、どこかで私を待っていてくだされば、それが一番ではないでしょうか?」

クランチャー氏は、それが一番かもしれないと思った。

「どこで私を待てますか?」ミス・プロスは尋ねた。

クランチャー氏はあまりに取り乱していて、テンプル・バーのほかに場所を思いつかなかった。ああ! テンプル・バーは何百マイルも彼方であり、デファルジュ夫人は本当にすぐ近くまで迫っていた。

「大聖堂の扉のそばで」とミス・プロスは言った。「二つの塔の間にある大きな大聖堂の扉の近くで私を拾うのは、大きな回り道になりますか?」

「いいえ、ミス」とクランチャー氏は答えた。

「では、最高に立派な方らしく」とミス・プロスは言った。「まっすぐ駅馬車宿へ行って、その変更をしてください。」

「ちょっと気がかりなんです」とクランチャー氏はためらい、首を振りながら言った。「あんたを置いていくのが、ね。何が起こるかわかりませんから。」

「本当に、何が起こるかなど天のみぞ知るです」とミス・プロスは答えた。「でも私のことは心配しないで。三時、あるいはできるだけそれに近い時刻に、大聖堂で私を拾ってください。ここから一緒に出るより、きっとそのほうがいい。私はそう確信しています。さあ! 神のお恵みを、クランチャー氏! 私のことではなく、私たち二人にかかっているかもしれない命のことを考えてください!」

この訴えと、ミス・プロスが苦悶するような懇願で両手を彼の手に重ねたことが、クランチャー氏の心を決めた。彼は励ますように一つ二つうなずくと、すぐに手配を変えるため出て行き、彼女が提案した通りに後から来られるよう、彼女を一人残した。

すでに実行に移りつつある予防策を自分が発案したことは、ミス・プロスにとって大きな救いだった。通りで特別に目立たぬよう、身なりを整えねばならないことも、また別の救いだった。時計を見ると、二時二十分だった。ぐずぐずしている暇はなく、すぐ支度をしなければならなかった。

極度の動揺の中で、人気のない部屋の孤独と、開いた扉という扉の陰から半ば想像上の顔がのぞいているような気配を恐れながら、ミス・プロスは冷水の入った鉢を取り、腫れて赤くなった目を洗い始めた。熱に浮かされたような不安に取り憑かれていた彼女は、滴る水で一分たりとも視界が遮られることに耐えられず、絶えず手を止めて、誰も見ていないことを確かめるため周囲を見回した。その一度の間に、彼女は後ずさりして叫んだ。部屋の中に一つの人影が立っているのを見たのである。

鉢は床に落ちて砕け、水はデファルジュ夫人の足もとへ流れた。奇妙で厳しい道をたどり、多くの血に染まりながら、その足はこの水に出会うところまで来ていたのだ。

デファルジュ夫人は彼女を冷たく見つめ、言った。「エヴレモンドの妻はどこだ?」

ミス・プロスの脳裏に、扉がすべて開いたままで、それが逃亡を示唆してしまうという考えがひらめいた。最初にしたことは扉を閉めることだった。部屋には四つ扉があり、彼女はすべて閉めた。それから、ルーシーが使っていた部屋の扉の前に立ちはだかった。

デファルジュ夫人の暗い目は、この素早い動きの間ずっと彼女を追い、終わると彼女に据えられた。ミス・プロスには美しいところなど何一つなかった。歳月はその姿の荒々しさを飼い慣らしもせず、険しさを和らげもしなかった。だが彼女もまた、別の意味で決然とした女であり、デファルジュ夫人を頭の先から爪先まで、目で測った。

「その姿じゃ、ルシファーの女房と言われてもおかしくないわ」とミス・プロスは息をつきながら言った。「それでも、あなたに負けはしない。私はイングランド女ですもの。」

デファルジュ夫人は軽蔑して彼女を見たが、それでも、二人が追い詰められて対峙しているという点では、ミス・プロス自身と似た認識をいくらか持っていた。かつてロリー氏が同じ姿の中に強い手を持つ女を見たように、彼女の前には引き締まり、硬く、針金のような女がいた。デファルジュ夫人は、ミス・プロスが一家に身を捧げた友であることをよく知っていた。ミス・プロスも、デファルジュ夫人が一家に悪意を抱く敵であることをよく知っていた。

「あちらへ行く途中で」とデファルジュ夫人は、死の場所へ向かって手をかすかに動かしながら言った。「私の椅子と編み物が取ってある場所へ行く途中で、通りがかりにあの女へ挨拶をしに来た。会いたいのだ。」

「あなたの意図が邪悪なことはわかっています」とミス・プロスは言った。「だから、よく覚えておきなさい。私はそれに断固立ち向かいます。」

それぞれ自分の言葉で話した。どちらも相手の言葉は理解しなかった。二人ともきわめて用心深く、表情と身振りから、理解できない言葉の意味を読み取ろうと神経を研ぎ澄ませていた。

「今この時に私から身を隠したところで、あの女のためにはならない」とデファルジュ夫人は言った。「善良な愛国者たちは、それが何を意味するか知るだろう。会わせろ。行って、私が会いたいと言え。聞こえるか?」

「その目がベッドの巻き上げ器で、私がイングランド製の四柱寝台だったとしても」とミス・プロスは答えた。「私の木片一本たりとも緩められやしないわ。だめよ、邪悪な外国女。私はあなたの相手になる。」

デファルジュ夫人がこうした慣用的な言葉を細かく追えるはずはなかった。だが、自分が問題にされていないことだけは理解した。

「愚かで豚のような女め!」デファルジュ夫人は眉をひそめて言った。「お前から返事を受け取るつもりはない。私はあの女に会うことを要求している。私が会うと要求していると伝えるか、扉の前をどいて私を通すか、どちらかにしろ!」

そう言って、怒りを込めて右腕を大きく振り、意味を示した。

「あなたのばかげた言葉を理解したいと思う日が来るなんて、少しも考えたことがありませんでした」とミス・プロスは言った。「でも、あなたが真実を疑っているのか、その一部でも疑っているのかを知るためなら、着ている服以外の持ち物を全部差し出してもいい。」

二人は一瞬たりとも互いの目を離さなかった。デファルジュ夫人は、ミス・プロスが初めて彼女に気づいた時に立っていた場所から動いていなかった。だが今、一歩前に出た。

「私はブリテン人です」とミス・プロスは言った。「私は必死です。自分のことなんかイングランドの二ペンスほども惜しくありません。あなたをここに長く引き留めるほど、私のてんとう虫ちゃんに望みが増えることはわかっています。もし私に指一本でも触れたら、その黒髪を一つかみたりとも頭に残しておきませんからね!」

こうしてミス・プロスは、素早い一文ごとに頭を振り、目を光らせ、その一文一文を一息で言った。生涯で一度も殴ったことのないミス・プロスが、そう言ったのである。

だが、その勇気は感情から来るもので、抑えようのない涙を彼女の目に浮かべさせた。デファルジュ夫人はその種の勇気をほとんど理解できず、弱さと取り違えた。「は、は!」と彼女は笑った。「哀れな女め! お前に何の値打ちがある! 私はあの博士に言っているのだ。」

それから声を張り上げて叫んだ。「市民博士! エヴレモンドの妻! エヴレモンドの子! この惨めな愚か者以外の誰か、女性市民デファルジュに答えろ!」

続く沈黙のせいだったのか、ミス・プロスの顔つきに潜んだ何かの露見のせいだったのか、あるいはそのどちらでもない突然の疑念のせいだったのか、彼らはもう逃げたのだと、デファルジュ夫人にささやくものがあった。彼女は三つの扉を素早く開け、中をのぞいた。

「部屋はどれも乱れている。急いで荷造りをした跡がある。こまごました物が床に落ちている。お前の後ろの部屋には誰もいないな! 見せろ。」

「絶対に!」ミス・プロスは言った。その要求を完全に理解していたし、デファルジュ夫人もその返事を完全に理解していた。

「奴らがその部屋にいないなら、逃げたのだ。追って連れ戻せる」とデファルジュ夫人は自分に言った。

「あの部屋にいるのかいないのか、あなたにわからない限り、あなたはどうすべきか決められない」とミス・プロスは自分に言った。「そして、私が防げるなら、そのことをあなたに知らせはしない。知ろうが知るまいが、私があなたを抑えていられる限り、ここから出しはしない。」

「私は初めから通りにいた。何ものも私を止めなかった。お前を八つ裂きにしてでも、その扉の前からどかせてやる」とデファルジュ夫人は言った。

「私たちは人けのない中庭に立つ高い家の最上階で二人きり。声は聞こえそうにない。そして私は、あなたをここに留めるだけの身体の力を授けてくださいと祈っています。あなたがここにいる一分一分が、私の大切な子にとって十万ギニーにも値するからです」とミス・プロスは言った。

デファルジュ夫人は扉へ突進した。ミス・プロスはその瞬間の本能で、両腕を夫人の腰に回してつかみ、固く抱え込んだ。デファルジュ夫人がもがこうが打とうが無駄だった。憎しみより常にずっと強い愛の力強い執念で、ミス・プロスは彼女をきつく抱き締め、もみ合う中で床から持ち上げさえした。デファルジュ夫人の両手は彼女の顔を打ち、引っかいた。だがミス・プロスは頭を下げて腰にしがみつき、溺れる女以上の力で取りすがった。

やがてデファルジュ夫人の手は打つのをやめ、抱え込まれた腰のあたりを探った。「私の腕の下にある」とミス・プロスはくぐもった声で言った。「抜かせはしない。私はあなたより強い。そのことを天に感謝します。どちらかが気を失うか死ぬまで、あなたを離さない!」

デファルジュ夫人の手は胸元にあった。ミス・プロスは顔を上げ、それが何かを見て、それを打った。閃光と轟音が炸裂し、彼女は一人立っていた――煙に目を奪われて。

すべては一瞬の出来事だった。煙が晴れ、恐ろしい静けさが残ると、それは空気の中へ消えていった。地面に命なく横たわる激しい女の魂のように。

自分の置かれた状況への最初の恐怖と戦慄の中で、ミス・プロスはできるだけ遺体から離れてそのそばを通り、階段を駆け下り、無駄な助けを呼ぼうとした。幸いにも、彼女は自分の行為の結果に間に合って思い至り、足を止めて戻った。再び扉から中へ入るのは恐ろしかった。だが彼女は入った。身につけねばならない帽子やその他の物を取るため、遺体の近くにまで行きさえした。それらを階段の上で身につけ、まず扉を閉めて鍵をかけ、鍵を持ち去った。それから階段に数分腰を下ろして息をつき、泣き、やがて立ち上がって急いで立ち去った。

幸運にも帽子にはヴェールが付いていた。そうでなければ、通りを進む途中で止められずに済むことはほとんど不可能だっただろう。幸運にもまた、彼女はもともと非常に風変わりな外見だったので、ほかの女のようには傷つき乱れた様子が目立たなかった。彼女にはその二つの利点が必要だった。顔にはつかんだ指の跡が深く残り、髪は引き裂かれ、震える手で急いで整えた服は、あちこち百通りにもつかまれ引きずられていたからだ。

橋を渡る時、彼女は扉の鍵を川へ落とした。付き添いより数分早く大聖堂に着き、そこで待つ間、彼女は思った。もし鍵がもう網に引っかかっていたら。もしそれが特定されたら。もし扉が開けられ、残骸が発見されたら。もし門で止められ、監獄へ送られ、殺人の罪に問われたら! そうした動揺する思いのただ中に、付き添いが現れ、彼女を乗せ、連れ去った。

「通りは騒がしいですか?」彼女は彼に尋ねた。

「いつも通りの騒ぎです」とクランチャー氏は答えた。そして、その問いと彼女の様子に驚いた顔をした。

「聞こえません」とミス・プロスは言った。「何とおっしゃったの?」

クランチャー氏が同じことを繰り返しても無駄だった。ミス・プロスには聞こえなかった。「なら、うなずくことにしよう」とクランチャー氏は驚きながら思った。「とにかく、それなら見えるだろう。」

そして彼女には見えた。

「今、通りは騒がしいですか?」しばらくして、ミス・プロスは再び尋ねた。

またクランチャー氏はうなずいた。

「私には聞こえません。」

「一時間で耳が聞こえなくなったのか?」クランチャー氏は心を大いに乱しながら、考え込んで言った。「いったい何があったんだ?」

「私には」とミス・プロスは言った。「閃光と轟音があって、その轟音が、この世で私が聞く最後の音だったように感じます。」

「こいつはただならねえ様子だ!」クランチャー氏はますます落ち着かなくなって言った。「勇気を保つために、いったい何を飲んだんだ? 聞け! あの恐ろしい荷車の轟きだ! これは聞こえるでしょう、ミス?」

「私には聞こえます」とミス・プロスは、彼が自分に話しかけているのを見て言った。「何も。ああ、あなた、最初に大きな轟音があって、それから大きな静けさが来ました。その静けさは固定され、変わることなく、私の命が続く限り、もう二度と破られないように思えるのです。」

「旅の終わりにもう間近い、あの恐ろしい荷車の音が今聞こえねえなら」とクランチャー氏は肩越しにちらりと見ながら言った。「俺の考えじゃ、本当にこの世でこれから何一つ聞くことはねえだろう。」

そして実際、彼女は二度と聞くことはなかった。

第十五章 足音は永遠に消える

パリの通りを、死の荷車が虚ろに、耳障りに轟いていく。六台の囚人護送車が、その日の酒をギロチンへ運ぶ。想像力が自らの記録を残し得るようになって以来、人が思い描いてきたあらゆる貪り食う飽くなき怪物が、一つの現実、ギロチンの中に溶け合っている。だが、土壌と気候の豊かな多様性を持つフランスにおいて、この恐怖を生み出した条件ほど確実な条件のもとで成熟する草の一枚、葉の一枚、根の一本、小枝の一本、胡椒粒の一つさえ存在しない。同じ槌の下で、人間性をもう一度形なきものへ押し潰せば、それは同じ拷問された形へと身をよじるだろう。同じ強欲な放縦と抑圧の種を再び蒔けば、それは必ず、その種類に従った同じ実を結ぶだろう。

六台の囚人護送車が通りを進む。強大な魔法使いよ、時よ、これらをもう一度かつての姿へ戻してみるがよい。そうすれば、それらは絶対君主の馬車、封建貴族の車列、派手に着飾ったイゼベル[訳注:旧約聖書に登場する悪女の名]たちの化粧台、わが父の家ではなく盗人の巣である教会、飢えた幾百万の農民の小屋として見えるだろう! 否、創造主の定めた秩序を荘厳に成し遂げる大魔術師は、決して自らの変身を逆戻りさせない。「もし神の御心によってその姿に変えられたのなら」と、賢いアラビア物語の予言者たちは魔法にかけられた者に言う。「そのままであれ! だが、単なる一時の呪術によってその姿をまとっているなら、もとの姿に戻れ!」

変わることなく、望みもなく、囚人護送車は進む。

六台の車の陰鬱な車輪が回るにつれ、それらは通りの民衆の中に、長く曲がりくねった畝を掘り起こしていくように見える。顔の畝がこちら側へ、あちら側へ投げ分けられ、鋤は着実に前へ進む。この光景に家々の常住者たちはすっかり慣れていたので、多くの窓には人影もなく、いくつかの窓では、手の仕事を少しも止めることなく、目だけが囚人護送車の顔を眺めていた。ところどころでは、住人が見物の客を迎えている。すると彼は、博物館の管理人か公認の解説者のような満足げな様子で、あの車、この車を指さし、昨日は誰がここに座っていたか、一昨日は誰があそこにいたかを語っているように見える。

囚人護送車に乗る者たちの中には、こうしたものや、最後の道沿いにあるすべてを、無表情な眼差しで眺める者もいる。ほかには、暮らしや人の営みに未練を残すような関心をもって見る者もいる。頭を垂れて座り、沈黙の絶望に沈んでいる者もいる。また、自分の見え方をひどく気にして、劇場や絵画で見たような視線を群衆へ投げる者もいる。数人は目を閉じ、考え、あるいは散らばる思いをまとめようとしている。ただ一人、狂ったような様子の惨めな者だけが、恐怖に打ち砕かれ酔わされて、歌い、踊ろうとしていた。その全員の中に、目つきや身振りで民衆の憐れみに訴える者は一人もいない。

囚人護送車に並んで進む幾人もの騎馬兵の護衛があり、顔がしばしばそのうちの誰かへ向けられ、何か質問が投げかけられる。いつも同じ質問であるらしい。なぜなら、それはいつも第三の車のほうへ人々が押し寄せることを伴うからだ。その車に並ぶ騎馬兵たちは、しばしば剣で車内の一人の男を指し示す。人々の第一の好奇心は、それがどの男かを知ることだった。彼は囚人護送車の後ろに立ち、頭をかがめ、車の脇に座って彼の手を握る一人の娘と語っている。彼は周囲の光景に好奇心も関心も示さず、いつもその娘に話しかけている。サントノレ通りの長い道筋のあちこちで、彼に向けた叫びが上がる。それが彼を動かすとしても、彼は髪を顔のまわりに少しゆるく振りかけながら、静かに微笑むだけである。腕を縛られているため、顔に手を触れることは容易ではない。

教会の階段には、囚人護送車がやって来るのを待って、密偵であり監獄の羊である男が立っている。彼は一台目をのぞき込む。そこにはいない。二台目をのぞき込む。そこにもいない。「あいつは私を犠牲にしたのか?」と彼が自問し始めたその時、三台目をのぞき込んで、その顔が晴れる。

「エヴレモンドはどれだ?」背後の男が言う。

「あれだ。後ろのところにいる。」

「娘と手をつないでいるやつか?」

「そうだ。」

その男は叫ぶ。「エヴレモンドを倒せ! 貴族どもをみなギロチンへ! エヴレモンドを倒せ!」

「しっ、しっ!」密偵はおずおずと頼む。

「なぜいけない、市民?」

「あの男は代償を払おうとしている。あと五分もすれば払われる。静かにしてやれ。」

だがその男がなおも「エヴレモンドを倒せ!」と叫び続けたので、エヴレモンドの顔が一瞬そのほうを向いた。その時エヴレモンドは密偵を見、じっと見つめ、それから自分の道を行った。

時計は三時を打とうとしており、民衆の中に掘られた畝は、処刑場へ入り、終わるために曲がりつつあった。こちら側へ、あちら側へ投げ分けられた畝は、最後の鋤が通り過ぎると、その後ろで崩れて閉じていく。皆がギロチンへ続いているからだ。その前には、公の遊園地にいるかのように椅子に腰かけた女たちが大勢いて、忙しく編み物をしている。いちばん前の椅子の一つに、ヴァンジャンスが立ち、友の姿を探している。

「テレーズ!」彼女は甲高い声で叫ぶ。「誰か見たかい? テレーズ・デファルジュを!」

「あの人が来なかったことなんて、これまで一度もないよ」と、編み物女の仲間の一人が言う。

「ないさ。今だって来ないわけがない」とヴァンジャンスは苛立って叫ぶ。「テレーズ!」

「もっと大きな声で」と女が勧める。

そうだ! もっと大きく叫べ、ヴァンジャンス、もっとずっと大きく。それでも彼女にはほとんど聞こえまい。さらに大きく、ヴァンジャンス、少しばかり罵り言葉も添えて。それでも彼女を呼び寄せることはほとんどできまい。ほかの女たちをあちこちへやり、どこかでぐずぐずしている彼女を探させるがよい。それでも、その使いの者たちが恐ろしい行いをしてきた女たちであるにせよ、自分の意志で彼女を見つけるところまで遠くへ行けるかどうかは疑わしい! 

「運が悪い!」ヴァンジャンスは椅子の上で足を踏み鳴らして叫ぶ。「もう囚人護送車が来てしまった! エヴレモンドは瞬く間に片づけられるのに、あの人がいない! 見ておくれ、あの人の編み物は私の手にあり、空の椅子も用意してある。悔しさと失望で泣きたいよ!」

ヴァンジャンスがそれをするため高いところから降りると、囚人護送車は積み荷を降ろし始めた。聖ギロチンの執行人たちは装いを整え、準備ができている。ガシャン! ――一つの首が掲げられる。つい先ほどまで考え、話すことのできたそれを見るためにほとんど目も上げなかった編み物女たちは、一と数える。

二台目の囚人護送車が空になって進み、三台目が近づく。ガシャン! ――編み物女たちは、自分たちの仕事を少しもためらわず、止めもせず、二と数える。

エヴレモンドと思われている男が降り、その次にお針子が抱き下ろされる。降りる時にも彼は、彼女の辛抱強い手を離さなかった。約束した通り、なお握っている。絶えずうなりながら上がっては落ち、砕く機械に背を向けるよう、彼は優しく彼女を立たせる。彼女は彼の顔を見つめ、礼を言う。

「親切な見知らぬ方、あなたがいなければ、私はこんなに落ち着いてはいられませんでした。私はもともと、臆病で気の弱い、哀れな小さな者ですから。それに、今日ここで私たちが望みと慰めを持てるようにと死に赴かれた御方へ、思いを高めることもできなかったでしょう。あなたは天から私のもとへ遣わされた方だと思います。」

「あるいは、君が私のもとへ」とシドニー・カートンは言う。「私だけを見ているんだ、かわいい子。ほかのものは何も気にしなくていい。」

「あなたの手を握っている間は、何も気になりません。手を離す時も、早く済むなら、何も気にしません。」

「早く済む。恐れなくていい!」

二人は急速に少なくなっていく犠牲者の群れの中に立っているが、まるで二人きりであるかのように語る。目と目、声と声、手と手、心と心。ほかならぬ普遍の母の子であるこの二人は、本来あれほど遠く隔たり、異なる者同士であったのに、暗い道の上で出会い、ともに家へ帰り、その胸に憩うために結ばれたのだった。

「勇敢で寛大なお友だち、最後に一つだけ質問してもよろしいですか? 私は何も知らなくて、そのことが、ほんの少しだけ気がかりなのです。」

「言ってごらん。」

「私には従妹がいます。私と同じ孤児で、たった一人の身寄りで、とても愛しています。私より五つ年下で、南のほうの農家に住んでいます。貧しさのために私たちは引き離され、彼女は私の運命を何も知りません。私は字が書けませんし、たとえ書けたとしても、どうして伝えられましょう! このままのほうがいいのです。」

「そうだ、そうだ。このままのほうがいい。」

「ここへ来る間ずっと考えていたこと、そして今も、私をこんなに支えてくださるあなたの優しく強いお顔を見つめながら考えていることは、こういうことです。――もし共和国が本当に貧しい人々のために善いことをし、人々が飢えを少しでも減らし、あらゆる苦しみを少しでも減らしていけるなら、彼女は長く生きるかもしれません。年老いるまで生きるかもしれません。」

「それで、優しい妹よ?」

「あなたは、こう思われますか」多くの忍耐をたたえた、不平を言わぬ目に涙が満ち、唇が少し開いて震える。「あなたも私も慈悲深く守られると信じる、もっとよい国で私があの子を待っている間、その時間は私に長く感じられるでしょうか?」

「そんなことはない、わが子よ。そこには時がなく、苦しみもない。」

「とても慰められます! 私は本当に何も知らなくて。今、あなたに口づけしてよいのですか? その時が来たのですか?」

「来た。」

彼女は彼の唇に口づけし、彼も彼女の唇に口づけする。二人は厳かに互いを祝福する。彼がその細い手を離しても、手は震えない。辛抱強い顔には、甘く明るい揺るぎなさ以外、何もない。彼女は彼の一つ前に進む――消える。編み物女たちは二十二と数える。

「主は言われる、わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、たとえ死んでも生きる。また、生きていてわたしを信じる者は、決して死ぬことがない。」

多くの声のざわめき、多くの顔が上を向くこと、群衆の外縁で多くの足音が押し寄せ、一つの大きな水のうねりのように塊となって前へ膨らむこと、そのすべてが閃くように消え去る。二十三。


その夜、町では彼について、人々は言った。あれほど穏やかな男の顔は、かつてこの地で見られたことがない、と。多くの者はさらに、彼は崇高で予言者のように見えた、と付け加えた。

同じ斧のもとで苦しんだ者の中でも最も注目すべき一人――一人の女――は、少し前、同じ断頭台の下で、自分を鼓舞している思いを書き留めることを許してほしいと願ったことがあった。もし彼が自分の思いを何か言葉にしており、それが予言的なものであったなら、それはこうであっただろう。

「私は見る。バーサード、クライ、デファルジュ、ヴァンジャンス、陪審員、裁判官、古き圧制者の破壊の上に立ち上がった新たな圧制者たちの長い列が、この報復の道具によって滅びていくのを。この道具が現在の用途を終える前に。私は見る。この深淵から、美しい都と輝かしい民が立ち上がるのを。そして、真に自由であろうとする彼らの苦闘の中で、勝利と敗北の中で、来るべき長い年月を通して、この時代の悪と、それが自然に生まれ出た前の時代の悪とが、しだいに自らの罪を償い、すり減っていくのを。

「私は見る。私が命を捧げる命たちが、私にはもう見ることのないイングランドで、平和に、有益に、栄え、幸福に暮らしているのを。私は見る。彼女が胸に子を抱き、その子が私の名を帯びているのを。私は見る。彼女の父が、老いて背は曲がっているが、それ以外は癒やされ、癒やしの務めにおいてすべての人に誠実で、安らかにいるのを。私は見る。長く彼らの友であった善良な老人が、十年後、持てるすべてで彼らを豊かにし、静かに報いのもとへ旅立つのを。

「私は見る。彼らの心の中に、そして幾世代も後の子孫の心の中に、私のための聖所があるのを。私は見る。老いた彼女が、この日の命日に私のために涙を流しているのを。私は見る。彼女とその夫が、生涯の歩みを終え、地上最後の寝床に並んで横たわっているのを。そして私は知っている。互いの魂の中でそれぞれが敬われ、神聖にされていたのに劣らず、二人の魂の中で私もまたそうであったことを。

「私は見る。彼女の胸に横たわり、私の名を帯びていたあの子が、かつて私のものであった人生の道を、一人の男として勝ち上がっていくのを。私は見る。彼がその道を見事に進み、私の名が、彼の光によってそこで輝かしいものとなるのを。私は見る。私がその名に投げかけた汚点が消え去っていくのを。私は見る。彼が正しい裁判官、尊敬される人々の最前に立つ者となり、私の名を持つ一人の少年を、私が知る額と金の髪をした少年を、この場所へ連れてくるのを――その時ここは、この日の醜い傷跡を少しも残さず、美しく眺められる場所となっている――そして私は聞く。彼がその子に、優しく震える声で、私の物語を語るのを。

「私が今なすことは、これまで私がなしてきたいかなることよりも、はるかに、はるかに優れたことだ。私が向かう安息は、これまで私が知ったいかなるものよりも、はるかに、はるかに優れた安息だ。」

公開日: 2026-07-03